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アガサはこんな怪奇小説も好きだったようで
2023/02/21 06:58
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは原題が「The Hound of Death and Other Stories」とあるように、1933年に発表された短編集である。
ただ「ミステリの女王」と称されるアガサ・クリスティーだが、この短編集はかなり雰囲気が違う。
アガサの作品と聞かないと、わからないかもしれない。
この短編集に収録されている作品の多くが(唯一あの戯曲としても映画原作としても有名な「検察側の証人」の小説版がこの短編集ではむしろ異色)怪奇幻想の世界でできあがっているのだから。
もっともアガサには怪奇幻想の作品がないわけではない。
ポアロやミス・マープルといった人気キャラクターが有名だが、異色の人物クィン氏が活躍する作品群がある。
作品では1930年に発表された『謎のクィン氏』という短編集がある。
その系統の続きとして、この短編集があるといっていい。
表題作の「死の猟犬」は一人の修道女にとりついた闇の現象を描いた作品。
「赤信号」は危機の予知能力がありそうな男を巻き込むミステリ、「ランプ」は古い家を購入した家族の前に現れる怪異現象もの、といったような短編が11篇収録されている。
面白かったのは「青い壺の謎」という短編で、幻聴を男に聞かせることで高価な青い壺を騙し取る話。
その手口の鮮やかさは、現代の詐欺事件にも劣らない。
11篇のそんな短編を読んでくると、もうひとつの短編「検察側の証人」が実によく見える。
この短編集の作品構成が1933年当時のものかどうか知らないが、編集の妙といっていい。
基本テーマは幻想怪奇的。
2017/04/15 21:40
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:igashy - この投稿者のレビュー一覧を見る
1933年のノンシリーズ短編集。バラエティに富んでいる。 以前の作品の解説で読んだけど、クリスティーは降霊会が気取らないお茶会の普通の娯楽だった世界をうまく描いているとのこと。 オカルト前世的な話から、精神異常と感応の世界と思わせて犯罪……と思ったら別の話はみえみえの詐欺と思わせて……。 真ん中に配置された通常のミステリ「検察側の証人」がお互いを引き立ててる。
一味違うクリスティの短編集
2025/05/01 21:16
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投稿者:今井 - この投稿者のレビュー一覧を見る
クリスティといえばポワロやミス・マープルなどミステリものの印象が強いが、こういう幻想怪奇の色が濃い作品もあるんだと初めて知った。「最後の降霊会」が印象的。初めからなんだか怪しい感じがしていたが、まさかあんなことになるなんて…。
怪奇幻想色の濃いクリスティーの作品集
2004/06/20 23:51
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投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
純粋なミステリと言えるのは「検察側の証人」一編のみ。他の作品は、心霊術や憑依現象、予知能力などをテーマに、不気味な雰囲気を醸し出している。本書は、そうした怪奇幻想色の濃い短編集である(1933年)。
純然たる怪奇小説でもない、かと言ってミステリでもない、中途半端な印象も受けたけれど、そこはクリスティー、なかなか面白いじゃないのという作品がいくつもあった。なかでも、O・ヘンリ風の話の妙味を感じた「翼の呼ぶ声」が一押し。金の威力に縛られた億万長者が、現世からの脱出を希求する話が面白かった。
「検察側の証人」は、後年(1954年)、クリスティーが戯曲化したものを、ビリー・ワイルダー監督が映画化した作品として有名(映画の邦題は「情婦」)。話がどう転がっていくか予測がついていたとは言え、かっちりと引き締まったプロットと、巧みな人物造型に、これは見事な作品だなあと唸らされた。
まあ、クリスティーの異色短編集ではあるけれど、緊迫したムードが高まっていく話のスリリング感などには、ぞくぞくさせられる雰囲気があって楽しめた。
風間賢二氏の巻末解説は、「ミステリと怪奇幻想」「精神分析学と心霊主義」の面から、本作品集の味わいを見ていったもの。読みごたえがあった。
怪奇な短編集+1
2014/07/31 21:14
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投稿者:yami_aru - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作は「検察側の証人」で知られる、怪奇オカルト系の短編集です。
ほとんどが超常現象やオカルトに彩られた作品なのですが、
やはり探偵小説としては「検察側の証人」が白眉でしょう。
今となっては通用しないようなネタですが、まさにこの時代にしか書かれない内容です。
この作品のためだけに購入しても良いかと思います。
ほかの短編はまあ、これといってどうということはない作品なんですが。