紙の本
柴崎友香氏の恋人たちのささやかな日常の奇跡を描いた心に響く作品集です!
2020/07/03 09:21
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『きょうのできごと』できごと(咲くやこの花賞)、『その街の今は』(織田作之助賞)、『寝ても覚めても』(野間文芸新人賞)、『春の庭』(芥川賞)などの名作を次々に発表してこられた柴崎友香氏の連作小説です。同書の最初には、「人を思う気持ちはいつだって距離を越える。離れた場所や時間でも、会いたいと思えば会える。だって、わたしはどこにでも行けるから」と味わい深い、また恋心を募らせる女性の気持ちが前面に現れた文章が登場します。これで、一騎に読者は小説世界に引き込まれていきます。同書は、遠い隔たりを「ショートカット」する恋人たちのささやかな日常の奇跡を描いたせつなく心に響く作品集です。
電子書籍
大好きな
2018/12/24 18:11
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投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
芸人さんが東京進出で大阪を離れた時、東京でやたら楽しそうなライブなどをやっていた時、そして好きだった人も就職で東京に行った時、何度東京にワープしたいと思った事だろう。その時の気持ちを思い浮かべて読んでみたい。
紙の本
距離をめぐる4つの物語
2018/08/11 08:17
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投稿者:あられ - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京育ちの間で、東京育ちだと逆に表参道のような「最先端スポット」には行く機会がないよね、という話になることがあります。山手線の内側で育ったような人は別かもしれませんが、山手線の駅からJRや私鉄で15分~20分という地域(そういう地域が、東京はたいへんに多い)が地元だと、特に用がなければ行かないエリアがとても多い。雑誌などで取り上げられるエリアの大半がそういう感じの近くて遠い街で、特に何の感情も呼び起こさない、あるいは冷笑気味の反応を引き起こすような感じです。それでも『ショートカット』で「なかちゃん」の語る表参道感には、「ああ、なんかわかる、そういうの」となります。作者の柴崎さんの観察眼とことばのセンスが優れているのでしょう。
観察眼といえば、柴崎さんの作品によく出てくる写真は、この短編集でも重要な役割を担っています。『ポラロイド』は題名のとおり、写真が不可欠な物語。『パーティー』は、単に写真を撮るだけだったはずが、どうしてこうなった、というドタバタ劇。『やさしさ』は、写真ではなく映画ですが、映像っぽさというか、空気感がよい作品です。
あと、柴崎さんの作品を通じて、「東京には大きな木が多い(大阪にはほとんどない)」ということを知りました。欅並木など、当たり前の光景だったのですが、言われてみればそうですね。
紙の本
この人の作品はクセになる
2020/01/28 20:27
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
四つの短編が収められている短編集だ。同じ人がちょくちょく出てくる。連作短編集と言えるだろう。この人の作品には奇妙な人がよく出てくる。表現も独特な感じがする。なんかよくわかるというときもあれば、よくわからないときもある。この短編集では、よくわからないの方が多かったかな。でもこの人の作品はクセになる。
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ともすれば不思議世界というかファンタジーになる物語がとても身近に感じられる構成がとてもいい。巻末、高橋源一郎さんの解説までもが素敵だった一冊。「俺、わーぷしたことあんねんで、すごいやろ」
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作者の言葉の選び方が好き。
特にこの作品は描写がすごく美しい。
今回はストーリーよりもその事に感動してしまった。
3/23
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離れているけど気持ち次第で近くなる距離。
なにか、雲を掴むような話です。
といっても、いかんせん土台無理な話ってことではなくて
掴んでもそこには無い、指の間からこぼれ落ちていくような、そんな儚い話です。
短編4つなんですが微妙に繋がっています。
その薄い繋がりの描き方が上手くて何度もページを遡りました。
最後のタイトルが、その名も
『ポラロイド』
僕も使っている大好きなPolaroid690が出てきます。
おそらく柴崎さんも使っておられるのは?
描き方が細かくて、ホントに使っている人でしかわからないようなこともこまごまと書いていて
おもわずウンウンと頷きながら読んでしまいました。
最後のシーン
「今ここにしかない景色を全部見ることができるのはカメラじゃなくて私だ」
深いよ!深い!
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私は彼に会うために大阪から東京へショートカットする。そんな夢のような、一見訳の分からない話。でも、心の距離って現実よりも、もっともっと短いのかもしれない。ショートカットすることは出来ないけれど、「いつも近くにいる」というその距離を信じることが大切なのかも。
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好きな人や、たいせつな人がいらっしゃるなら、めっちゃせつなくなるはずです。
キモチは、距離を越える。
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4つの恋愛オムニバス(一部に、共通?と思われる人が出てますけど)。
読後感のすっきりした小説。
ドロドロでもなくて、とりわけラブラブでもない。
なんだか、等身大で日常の恋愛。
関西弁苦手じゃなければ、オススメ。
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あ、これわかる、と思うところが何箇所もあった。だけど説明しようとしすぎて文が長くなっていることが多くて、リズムが悪いのが気になりました。
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思いが 膨らんで 何かを超える瞬間
桜を散らす風や、夏のぬるい夜風
そんなものを通すと
全てが透明になって、気持ちがどこまでも走る
会いたい人を思い出す
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関西弁の文章はあまり得意ではないのだけれどこの小説は問題なくというよりも
むしろ親しみを感じて読めた。関西弁を使う人物はやけにハイテンションなキャラに
されがちだけれど、この小説に出る人はみんな淡々としゃべるせいかもしれない。
たまにはしゃいでも「大人も許される範囲の」はしゃぎ方だから不自然さもない。
特にはっとする斬新な表現もなければ、テーマもありふれたものだけれど
この会話文のうまさで飽きることなく読み進められる。
4作に共通するのは「距離」で基本的にそれは壁になるけれど、扱われ方は微妙に違う。
大阪と東京。行けないこともないのだけれど、なんだか腰が重い中途半端な遠さと思い。
どの主人公も、誰かに会いたいと思うのと同じくらいにどうでもいいと感じていて
その足が地に着いていないところが、ショートカットの場面を印象的にしている。
今までのぼんやりしていた景色が、そこを境にふっとクリアに切り替わる。
本当にワープをしてしまったような気持ちよさがある。
そして、なかちゃん。彼は本当にいい味を出しているなぁ。
4作全てに登場するのにずっとサブキャラクターの割に情報もほとんどなくて
もっと知りたいと思わせるあたりが絶妙だ。
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つまりワープ。
遠いとかなかなか行けないと思っている場所でも。案外近いもんで、お金とちょっとした時間があれば行けてしまう。
ここに出てくる人達はみんなそんな感じで、行きたいと思ったら、行けばいいみたいな。
思ったときにしか行けないっていうかできない。
やろうと思ったときしかできないこともある。
そういう勢いとかタイミングは大事。
きっとそう思ったときが一番やりたくてあとは薄れていくだけだから。
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この人の描く日常と異性同士の係わり合いがとっても好きです。
普段も素敵な人間関係気付いてるのかなぁと考えてしまう。
遠距離恋愛がテーマの連作短編集です。