紙の本
独特な感性
2015/11/05 13:21
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投稿者:akiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
まずはフェスのことがよく分からず、これは一体なんの話なんだろう?と読み始めましたが、ある種独特な人間関係に引き込まれました。
電子書籍
テンポが悪く、前半は忍耐力が必要
2018/05/11 09:50
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投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『水底フェスタ』は辻村深月氏の作品にしては後味が悪くて救いがあまりないストーリーです。自然を切り売りし、またロックフェスティバルを誘致して潤う山村の閉塞感をテーマにした物語で、村長の息子で高校生の主人公広海はロックが好きで、フェスティバルの良さを理解しようとしない村民に不満を抱き、ほとんど唯一の理解者である父に対する敬慕、心配症で俗物的な見栄っ張りの母に対する疎ましさなど思春期にありがちな不安定さを持っています。そんな彼の平穏な日常が地元出身のモデル・女優である由貴美によって大きく変化します。8歳年上の彼女の誘惑に溺れ、「村への復讐」に協力することになった彼は取り返しのつかない事件に巻き込まれ、村に古くからある地縁の強烈さと結託した隠ぺい体質を目の当りにすることになります。
この作品に描かれた閉じた村の「常識」の非常識さに驚く一方で、ありそうな感じがして怖いです。そして広海が絶望ゆえにどんな行動を起こし、どこに行きつくのか将来が心配なところで終わるのがこの作品を後味の悪いものにしています。
また、前半の進行がやや退屈で「引き」が弱いので、急展開で話が進んでいく後半に辿り着くまでに少々忍耐力が必要です。そういう意味ではテンポの良くない作品と言えます。
紙の本
私は大好きな作品です!
2016/05/10 17:06
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投稿者:ダブルシー大好き!! - この投稿者のレビュー一覧を見る
辻村深月さんが大好きで全作品の読破を目指し、その中の一つとして読みました。
読み終わってから作者の意図である曖昧な箇所に関して他の方の意見はどうなのかとレビューを見たところ、酷評が多く見受けられました。
ですが個人的にはすごく面白かったですし、何より恐ろしく、その中で友情や恋といった輝く愛情が散りばめられています。何度も読み返したいと思える作品でした。
紙の本
村に囚われて
2017/10/18 03:39
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
年上女性に対する、少年の純真無垢な恋愛感情が印象深かったです。日本の村社会の特殊性についても考えさせられました。
紙の本
開放的で閉鎖的な村。
2021/06/04 19:26
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投稿者:どらやき - この投稿者のレビュー一覧を見る
湖の冷たさや、深い色までが伝わってくるような、圧倒的な表現力の作品でした。 朝が来るを読んで、辻村さんの筆力に魅了されましたが、今回も淀みなく読めました。 登場人物には共感出来ませんでしたが、一読の価値があります!
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うーむ。なんといっていいのやら。
閉鎖的な村のしきたりやしがらみに取り込まれ、翻弄され壊れた由貴美と広海の物語。
救いがなくただ村の住人のある意味狂気の部分が恐ろしい
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この村に復讐するためにわたしは帰ってきた.芸能界で成功を収め帰郷した由貴美,村の高校生,広海は彼女の謎めいた魅力に囚われ恋に落ちる.そんな広海に復讐の手助けを頼む由貴美.村の秘密と彼女の嘘が引き起こす悲劇.とても切ない物語.なんとなく今までの辻村作品とは違う雰囲気.
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泥沼。一言で言うと、辛い。息が詰まる。
何も信じられなくなりそうで、良くも悪くももう読みたくない作品。
本質を見抜くことがいかに大切か。
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大好きな辻村深月さん。
わくわく期待感で読み始めた。
うーーーーん心が痛い。
最後まで逆転劇はないのかーーー。痛い。
救われない話、辛い。
救われない辻村作品はちょっと違うなあ、、
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主人公の湧谷広海は睦ッ代村の村長の息子。村おこしの祭典ムツシロ・ロック・フェスティバルで芸能人織場由貴美と出会う。由貴美は昨年母を亡くし村に帰ってきた。由貴美はこの村に復讐するために帰ってきたという。そして広海にその復讐を手伝って欲しいと持ちかける。
地方選挙を通しての村体質や広海と同級生である睦ッ代の開拓を企む東京の開発会社の息子、日馬(くさま)達哉が由貴美に会いたがる本当の理由とは。
始まりは過疎地での芸能人との恋愛小説を思わせるような感じで始まるものの中盤からドンドン辻村ワールドに引き込まれていく。
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これまでとは一線を画する辻村作品。
“人”よりはもっと大きな括りである、この作品で言えば“共同体”に焦点を当てている。それを後半に向かって見せていくのはらしさかな。
また、性描写もこれまでになかった部分。
そして、はっきりとしたハッピーエンドで終わらなかったところ。
こういうところから、これまで辻村深月作品で感じてきた、登場人物への共感、懐かしさや憧れに浸れる青春、胸が締め付けられるような感動や悲しさ、作品の中に入り込める心地良さ、人間の善悪の深層心理、などなど感じ取れてきたどれとも異なる感覚を持った。
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面白い。すごい面白いけど、すごい沈む…。切ないすぎるよ。
最近の辻村深月作品はほのぼのした雰囲気のものが多かったように思うけど、この感じこそ辻村作品なのかも。
胸の奥がずん、としている。
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いつもながらに難解・・・。
しきたりや慣習は尊い。
悪習は絶つべき。
その狭間で迷う人たちが多いのは確かだろう。
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同作者の「島はぼくらと」を読んだ後に間を開けずに読書。
「島はぼくらと」は島という閉鎖的な世界をどちらかというと良いものとして語られていたが、こちらは真逆。村独自の慣習の気持ち悪さを際立たせて描かれている。
睦ッ代村は物語の中身も影響しているのだろうが、私の勝手なイメージはずっとどんより曇り。
血縁や元々の村や地区のつながりがえぐく、気持ち悪い。
広海の父親や母親が前半はいい人のように思えたが、終盤に差し掛かって印象ががらりと変わる。最後に父親の補足のようなセリフがあるが、それだけでは印象は変わらない。
由貴美も結局は村にしばられていたんだなと思った。
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本作を読んでいると、気分がゆらりゆらりと沈んでいきます。そして閉鎖的な村の体制に「管理」されてしまう主人公達の境遇を思うと、落ち込みながら彼らに同調(同情ではない)してしまい、特に後半は憤りや恨みのような感情が自分の中にも芽生えてくるのを感じました。
黒辻村作品の中でも一番気持ちを落とされた作品でした。
それはディストピア的な舞台設定だけでなく、共感や同情できる人物が辻村作品の中では極端に少なかったことが要因かもしれません。
八方美人なところがどうにも気に入らない主人公の広海。自分の目的のために広海を利用する由貴美。キレると平気で他人を傷つける友哉。その他、古臭い因習に染まりきった村の住人たち。
村人たちはともかく、友哉もともかく、主人公と由貴美にすら途中イラッとさせられることがあり、読後しばらくは嫌な気持ちを引きずっていました。
それを思い出しながら感想を書いているうちに、村全体に漂う隠蔽体質や村人達の異様な価値観の気持ち悪さから、ふと手塚治虫「奇子」を連想しました。
「大人たちの思惑の犠牲になって自由を奪われたひとりの少女――。この少女のつらさを想像してください。」(「手塚治虫のメッセージ」 手塚治虫公式サイトより)
脱線していろんなサイトを見ていたら、上記メッセージに行き当たりました。これを見たとき、読中には感じなかったけど、奇子と似たような境遇にある睦ツ代村で育った少年少女たちに同情する心が芽生えてきました。
特に由貴美。独善的な親に潜在意識レベルで縛られて、自分の人生を生きられていなかったのかも。結果、それが要因となって悲しい最期を迎えたのだとしたら…… 生き様としてあまりに儚なすぎて辛すぎます。
今後しばらく、本作のことを思い出しては落ち込む日が続きそうです。