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御手洗潔シリーズ2冊目の短編集
2017/04/13 12:40
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投稿者:sipa - この投稿者のレビュー一覧を見る
20年ぶりくらいに再読した御手洗潔(みたらいきよし)シリーズの5作目。 「御手洗潔の挨拶」に続く2冊目の短編集で、4つの話が入っています。
権力にへつらわない、美女には媚びない、子供にはさりげなく優しい。 そして色々と奇行が目立つ、私立探偵・御手洗潔が主役のミステリー。 この頃の話はすべてワトソン役の作家・石岡君の視点で書かれています。
1話目「山高帽のイカロス」の舞台は浅草、事件発生は1980年代前半。 人は鳥のように空を飛べると主張していた画家が、ある日行方不明に。 数日後、ビルの谷間に架かる電線の上に、両手を拡げた死体が現れ…
後に東武スカイツリーラインという名前がつく東武伊勢崎線が出ています。
2話目「ある騎士の物語」の舞台は国分寺、事件発生は1970年代前半。 国立や国分寺の大学に通っていた学生5人が恋ヶ窪で会社を設立。 5人の中の1人の裏切りが発覚し、その1人は雪の夜に所沢で死亡。 動機のある4人は15km離れた恋ヶ窪にいて、現地までの交通手段は無く…
武蔵野線が開通し、国立-国分寺間に西国分寺駅ができた頃の話です。
3話目「舞踏病」の舞台は再び浅草、事件発生は1980年代後半。 浅草寺近くにある食堂の2Fに、老人を下宿させてほしいという依頼が。 その老人は、夜になると狂ったように踊り出すという発作があり…
作中では東京の象徴として「塔」のイメージが何度か出てきます。 今読むと、浅草寺の境内からよく見えるスカイツリーが連想されます。
最後の話「近況報告」の舞台は、探偵事務所がある横浜・馬車道。 単行本用のボーナストラック的な内容で、特に事件は起こりません。 1990年当時の御手洗の日々の生活の様子が石岡君視点で語られます。
今読むと「近況報告」は今後の展開を暗示しているようにも見えます。
・初期の本業だった占い師に関する興味が、この時期には薄れている
・この時期の本業である探偵稼業もそうならないかと、石岡君が心配
・脳や遺伝子など、医療分野、人体の謎への興味が増してきている
このあと長編が4作続き、それからシリーズに大きな転機が訪れます。
幻想的な謎と、名探偵の魅力がたっぷり
2015/05/10 21:58
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投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
名探偵御手洗潔の第二短編集。第一短編集『御手洗潔の挨拶』に負けずとも劣らぬ秀作ぞろい。
空を飛べると真顔で語っていた男の、奇怪な死で幕を開ける「山高帽のイカロス」。
御手洗の鋭い考察とユニークな女性観が楽しいアリバイトリックもの「ある騎士の物語」。
踊りを踊る奇妙な下宿人の謎が、思いも寄らない展開を呼ぶ「舞踏病」。
そして事件らしい事件は起きないものの、御手洗ファンには必読の「近況報告」の四編収録。
個人的には、その真相と、そこへいたるプロットが共に、著者ならではの「舞踏病」が一番のお気に入りです。
御手洗らしい短編集
2021/12/15 21:16
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投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
全四話の構成だが、最後の「近況報告」は石岡から見た御手洗の人物像、考え方の分析や紹介なので、実質的には三話のミステリー。本の表題は三話目の「舞踏病」を指していると思われる。どれも御手洗シリーズらしい展開で謎解きを楽しめた。
四つの短編
2022/02/09 21:49
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
とはいえ、ラスト四作目は、ミステリーというものではなく、近況報告のとおり、まさに近況をたんたんと記してある感じです。最初から三作目までは、ミステリーなのですが、三作目インパクトはこの上なし。
御手洗潔のポリシーに共感
2018/11/18 20:33
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投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『御手洗潔のダンス』(1990)は御手洗シリーズ第5巻、2つ目の短編集で、収録作品は
山高帽のイカロス
ある騎士の物語
舞踏病
近況報告
の4作。とはいえ「近況報告」は小説ではなく、御手洗潔ファンからの質問に答える意味で、御手洗潔の日常生活の報告がなされています。
「山高帽のイカロス」は、1982年、東武伊勢崎線浅草駅近くで、空を飛ぶ山高帽をかぶった男ばかりを描く画家赤松稲平が殺され、空中を飛ぶような格好で電線に乗っているところを発見され、また彼の別居中の妻が近くの発狂して発見され、彼女の秘書と車が行方不明となった謎を解く話です。画家が人には「空を飛ぶ」能力があると信じていたことの裏も暴かれるため、なんとなくファンタジーっぽく始まったストーリーもファンシーな部分は木端微塵に粉砕されてしまいます(笑)
「ある騎士の物語」は石岡氏が知り合いの結婚式で聞いてきた15年前(1960年代末)の武蔵野線沿線新秋津駅で起こった不思議な殺人事件を御手洗潔に報告し、後に犯人から告白の手紙が届いて真相が明らかにされるという構成で、御手洗潔の推理は本人によって披露されることはありません。はっきり言ってほとんど出番なしです。でも、彼が傲然と現れた渦中の女性の鼻っ柱をごきっとへし折って追い返すシーンは胸のすくような感じですね。報われない騎士の恋がちょっと気の毒な感じです。
「舞踏病」は1988年の浅草が舞台で、食堂を営む陣内家に突然大金を積んで1か月ばかり下宿させてくれと頼み込んで入居した老人が夜中になると狂ったように踊り出す話。その裏に潜む犯罪を御手洗潔がホームレスたちと酒を飲みながら調査して暴きます。
立場の弱い人たちには丁寧な態度、地位や権威をもって威張り散らす人たちにはぞんざいな態度で臨む御手洗潔の姿勢に非常に共感します。
短編集はファンサービス?
2002/07/29 00:37
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投稿者:marikun - この投稿者のレビュー一覧を見る
どの作品でもそうなのですが、ものすごい力技のトリックが
ここでも披露されています。まあ、あくまでミステリと言う事で…。
「山高帽のイカロス」「ある騎士の物語」「舞踏病」「近況報告」の
4編が収録されています。
やはりこの中で私好みなのは、「ある騎士の物語」。
懲りもせずに、こういうセンチメンタルが匂う作品には、
めっぽう弱いのです(笑)。ある女性を、まるで女神のように
崇拝する4人の学生たちは、その女性が付き合っていた男に捨てられ
身も心もぼろぼろになった時、なんとか力になりたいと思う。
しかし唯一のチャンスの日、東京は大雪で、交通はストップしていた。
御手洗さんの、女性観も披露される一方で、胸が切なくなる
解決が示される作品です。
偶然でしょうが、この短編集は、浅草近辺が舞台となる作品が
2編収録されています。私自身は、たまたま浅草に土地カンが
あるので、なんとなく舞台を想像する事が出来ますが、そうでない
人の場合は、ちょっと不親切かな?と言う気もします。
そして御手洗ファンには「近況報告」は嬉しいですよね。
なんと二人が暮らす部屋の間取りまで公開されていたりします♪
御手洗さんの私生活も
2002/05/09 14:08
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投稿者:麒麟 - この投稿者のレビュー一覧を見る
御手洗探偵シリーズの短編集です。
空を飛べると主張する画家が、地上何十メートルもの上空に浮かんで死ぬ(ビルとビルの間に渡された電線の上にのって死んでいた)という不思議な事件を書いた「山高帽のイカロス」をはじめとする、4つの短編が載っています。
短編といえども読み応えはあります。
けれど、やはり、長編大作ほどの迫力はないような気がします。
ただ、4つ目の「近況報告」というタイトルの短編は、タイトルから想像がつくように、事件報告ではなく、御手洗潔の日常生活を紹介したものです。
石岡が、御手洗ファンの要望に応えて、御手洗について本人からあれこれ聞き出した話や、食べ物、飲み物の好み、部屋の間取り(図入り)まで紹介してくれています。
大の御手洗ファンには、うれしいおまけ作品付の一冊です。