STAP細胞の騒動を冷静に追い続けた本
2016/10/14 18:51
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投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
STAP細胞に関わる一連の騒動は、報道内容を追うだけでは何となく訳が分からないうちに幕引きされた印象がありました。事態の真相を知ろうと関連本を探していたところ、毎日新聞科学部記者が執筆、大宅壮一ノンフィクション賞受賞という本書ならと思い読んでみました。期待を裏切らない内容でした。個人的な取材でやり取りしたメール、記者会見の内容などが時系列でまとめられており、華々しい記者会見から事態が一転して疑惑が次々と出てくる状況の下、それぞれの当事者がどう発言し、主張したかが非常によく整理されています。最初から誰がシロ、誰がクロと決め付けるのではなく、事態の進行に従って著者が感じた疑問を素直に取材対象に質問し、咀嚼しつつ取材を進めるプロセスには好感が持てます。またこういうニュースを理解する時に必要となる専門分野の基礎となる知識も解説されており、これ一冊でSTAP細胞に関わる事態の全体像がつかめます。どういう状況で研究不正が発生しやすいのか、真面目に研究に取り組んでいる研究者はどういう印象を受けたのか等について貴重な提言やコメントもあり、研究職を目指す高校生や大学生には是非読んでもらいたい気がします。
振り回されただけ?
2015/08/31 14:46
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投稿者:rictac - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは、我々によく「伝達」してくれています。
・・が、私が思っていたストーリーとは違うエッセンスも加わり、残念ながら、又、分からなくなってしまった問題・・。
結局のところ・・「彼女」は一体何者なんだろう??
小保方さんの行方
2015/05/21 16:31
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投稿者:今村 隆美 - この投稿者のレビュー一覧を見る
流行り物かと思ったが、しっかりした内容でものすごく面白かった。
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投稿者:さとる - この投稿者のレビュー一覧を見る
エセ科学者の小保方氏のデタラメさ、世界的権威でありながらねつ造を見抜けず、暴走した笹井氏、理研の隠ぺい体質とトカゲのしっぽ切りで終息を図った小賢しさ、世紀のねつ造事件の背後を取材した渾身のルポ。
結局なんだったのか
2016/12/07 00:30
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投稿者:k - この投稿者のレビュー一覧を見る
検証実験終了前にこの本が出版されたのは
STAP細胞の有無を問題にしたいわけではなく
ここに至った経緯や背景を現場研究者とのやりとりをもとに訴えたかったのに違いない
ただ、検証実験後に出版されたなら、表現が変わったであろうところが多々ある
同じ研究者として憤りを禁じ得ない
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去年世間を騒がせたSTAP細胞を検証
表紙のもう揃うことのない3人の写真になんとなく見入ってしまう
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三大誌に一度掲載拒否された問題の論文。
この時の査読者は、基本的に「この論文いろいろおかしいぜ」という反応。
その後、笹井さんが著者に加わったら、Natureの査読コメントが明らかに好意的になった。
この、明らかな権威主義に、科学はどう立ち向かえばいいのだろうか。
科学者は科学的真実を追う。
科学的真実は、科学的真実として存在し、それは人間の行為とは乖離している。
しかし、その科学的真実を追うのは人間自身の行為であり、この行為の過程に、人間的要素(例えば性善説とか権威主義とか)を排除するのは難しい。
科学者は、科学的真実に近いところに居るから、科学者自身が科学的真実に覆われているという無意識があるように思う。
しかしこれは明らかに間違いで、科学をしている者、取り巻く環境が、いつも科学的真実と共にあるなどと、決しておごってはいけない。
人間はいつも多少の間違いを含んでいる。
これを前提に社会(すなわち科学を追う環境)は設計されなければならないだろう。
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STAP細胞事件はいまやベル研のシェーン事件、韓国のヒトクローン事件と並ぶ、世界三大捏造事件なんだそうだ。大和雅之とセルシードにまつわる陰謀説などもささやかれているようだが、ここまでくれば真相は藪の中なのでは。
本書は毎日新聞記者によるもので、よくまとまっており読みやすい。
前半部分はちょっと引き伸ばした感があり冗長だが、後半の謎解き部分はよい。特にSTAP細胞論文として投稿された四回の査読結果を入手しているのはポイント高いのでは。H26.11ころまでのことしか書かれておらず、出版を急いだのがちょっと残念。もう少し待って検証委員会の報告なども入れて欲しかった。
・8番染色体のトリソミーがあり、マウスから抽出して一週間ほど培養したSTAP細胞のものではあり得ない。ES細胞の培養を繰り返しているうちに起こりやすい異常であり、ES細胞の混入とみるべき
・TCR再構成もやはり確認されておらず、Tリンパが初期化されたという証拠はない
・胎盤になりうる、というもの一つの売りであったが、ES細胞9にTS細胞1の割合で混ぜたものであった
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華々しい会見からまだ1年経っていないとは不思議に感じるほどだ。
STAP(Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency)細胞の発表は、生物学の常識を覆す、驚くべき発見として注目された。
ヒトなどの動物の体は、受精卵に始まり、多くのプロセスを経て、体を構成する種々の細胞へと変化していく。受精卵はさまざまな細胞に変化する能力(全能性、多能性)を持つが、筋肉や神経など、ひとたび一定の役割を持つように分化した細胞は、別の種類の細胞に容易に変化することはない。
長らく、「動物の分化しきった体細胞を”初期化”して、多能性を持たせることはできない」と目されてきたが、この常識を覆したのが、イギリスのガードン博士による、アフリカツメガエルの実験である(1962年)。体細胞の核を取り出し、核を除いた卵に移植して、「クローンガエル」の作製に成功したのである。
1996年には、ウィルムット博士らのグループにより、体細胞クローンヒツジのドリーが誕生し、哺乳類でもクローン作製が可能であることが証明された。
2006年、京都大学の山中博士は、卵子を使うことなく、4つの遺伝子を細胞に組み込むことで、マウス皮膚細胞の初期化に成功し、これをiPS(induced-Pluripotent Stem:人口多能性幹)細胞と名付けた。翌2007年にはヒトでの作製にも成功した。この研究で山中博士は2012年ノーベル医学生理学賞を受賞している。
STAP細胞は、遺伝子を導入することなく、弱酸に細胞を浸すだけで細胞が多能性を得ることができる、というものだった。「え、そんなに簡単に?」と誰しも思った。生物発生のメカニズムを解く意味でも非常に興味深いし、臨床への応用にも期待がふくらんだ。
そしてその研究を主導したのが、若く、自由な発想を持つ、おしゃれにも気を配る女性であった点が、さらに人々の耳目を集める原因となった。突飛な発想のようだが、類い希な才能を持つ新星だからこそなしえたのだ。一流の研究者がグループに参加し、一流の科学雑誌に発表されたのだから、これは「本物」だろう。
斯くして、STAP細胞は時代の寵児となった。
実は、発表時点で、一流であるとはいえ一科学雑誌への論文2報の掲載であり、しかもマウスを用いたごく予備的な実験で、臨床への応用はもちろん、ヒトでの作製が可能かどうかもわからなかったのだけれど。
発表時の自分の感想を思い出すと、「やぁ、何だかとんでもなくすごい成果が出てきたな」というものだったように思う。ただ、筆頭著者の人となりにあまりにフォーカスするのはどうかな、という危惧はあった。記者会見は少しはしゃぎすぎの印象を受けたし、筆頭著者が語る「夢の若返り」という言葉には行きすぎと感じた。が、まぁ本当にすばらしい成果であるようだし、多少のお祭り騒ぎは仕方ないのか、とも思った。この後、淡々と実験が積み重ねられ、STAP現象はどのように起こるのか、どうやって制御されているのか、分子レベルでも解明されていくのだろう、と思っていた。
が。
最初の華々しさの反動のように、この件は急旋回し、暗転していく。
多くの研究者が試みたのに、再現実験がまったく成功しないのである。
そればかりか、論文自体に多くの疑義が寄せられ、インターネットの場でもさまざまな指摘がなされ、盗用や捏造が取り沙汰される事態となった。
責任研究機関である理化学研究所は対応に追われ、しかしその対応がまずいとの指摘も多く、さらに混乱に拍車を掛ける形になった。
前置きが長くなったが、本書はこのSTAP事件を追うノンフィクションである。
著者は毎日新聞科学環境部記者。
毎日新聞は、この件に関して、終始、冷静かつ科学的、抑制が利きながらポイントを押さえた報道をしてきたメディアの1つだろう。理研などの記者会見の一問一答のまとめも迅速で適確だった。著者は、記者会見があるたび、核心をつく質問をしていたのが印象的である。
その立場ならではの豊富な資料がすっきりとよくまとめられた1冊と言えるだろう。本書の内容は2014年11月時点のものであるので、12月の調査委員会のまとめは入っていないが、それまでの時系列がよくわかる。事件を追っていた人には復習となるだろうし、飛び飛びで見聞きしていた人には全体の流れがこうなっていたのか、と納得できる作りとなっている。
科学記者という仕事がどのようなもので、研究者とどのようにつながり、どのように情報を得ているのか、といった観点からも興味深い。
STAP報道に関わる毎日新聞科学部といえば著者、というイメージだったが、本書を読むと、チームがうまく機能して、互いをサポートしあっている印象を受ける。
そしてまた、研究者と記者とのやり取りも、それぞれの立場は背負いつつも、人と人との信頼感が基本なのだということも感じさせる。自殺してしまった責任著者とのメールのやり取りは胸に迫るものがある。
また、個人的には第10章の査読者コメントに関しては知らない話が多く、非常に興味深く読んだ。
肝心のSTAP問題自体に関しては、11月時点までの内容であり、12月の調査委員会の内容はもちろん、今後行われるであろう懲戒委員会の判断も盛り込まれていないため、この本をもって、結論めいたことを言うのは躊躇われる。諸般の事情はあったのだろうが、なぜこの時期の出版となったのか、時期尚早ではないかという思いはぬぐえない。
著者によるまとめの第12章は、執筆時点で判明している事実から、本事件の問題点を洗い出しており、誠実な人柄を感じさせる。
筆頭著者が基礎教育を十分な形では受けていなかった、シニア研究者の監督がうまくなされていなかった、科学誌の査読システムの落とし穴といった指摘もなるほどと頷ける。
書籍という形であるかどうかはわからないが、著者が追う「その後」に注目していきたい。
この問題、関係者それぞれの思惑はあっただろうと思うのだが、その思惑を超えて、人の耳目を集めすぎてしまったがゆえに、問題が「必要以上に」大きくなってしまった印象も受ける。
巨大化したミラーボールのように、ある一面からは例えば組織のガバナンスの問題が見え、ある一面からは例えば若手研究者につらい環境であるという問題が見え、ある一面からは専門が分化しすぎて共同研究した際にデータの適正さの判断が難しいという問題も見え、またある一面からは競争が激化しすぎて成果主義に陥りすぎているという問題���見える。
華々しい登場の仕方から、普段、科学に興味のない層の関心も惹きつけ、生物基礎研究に関する関心も高まるのかとも思ったが、以後の落胆させるような展開から、科学自体への失望感・疑念を持った向きもあるかもしれない。
個々の問題に取り組むには、一度、論点を丁寧に解きほぐしていく必要があるのかもしれない。だが、そのためにはまだわかっていないことが多い。今後、この騒動から何らかの教訓が引き出せるのだとしても、今は少し時期尚早だろう。何らかの建設的な結論を得るには、憶測を含まない「事実」が落ち着いて語られる必要があるように感じる。
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読了後「STAPがあるかどうか」と問うことが虚しくなること間違いなし。「論文に不正(捏造)があったか?」を重視すべきだったのでは、と思うことしきり。
この本の記事を読んでも「難病で苦しんでいる人のことを云々」「STAPがあるかどうかが大事」「小保方さんは陰謀に巻き込まれた」とかいう人がいるなら、その考えのほうが問題だと思いますね…。
なお、この本に対してお願いしたいのは、2014年12月以降のSTAPの状況も活字にしてもらいたいと言うこと。その時は続編になるのかもしれませんが。
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まず、タイムリーでおもしろかった。
作者が理系であり記者であるからこそ、STAP細胞への疑惑とそこからくる小保方さんへの不信感、そして科学者として尊敬する笹井氏がなぜ疑惑を口にしなかったのか、なぜ小保方さんを擁護する立場にいなければならなかったのかを知りたいという葛藤と、今後同じような「事件」が起こらないことを願っている想いが強く感じられた。
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小保方さんは、STAP細胞を発見していた。科学史に汚点を残した世紀の大発見の真相は?!
STAP細胞は存在した。再生医療や果ては夢の若返りまで実現する大発見である。しかし、その事実を知った政府と某国はそれが社会に及ぼす結果を憂慮した。医療革新による高齢者の更なる増加、それに伴う医療費及び年金の増加、雇用問題の悪化を危惧したからだ。政府と某国はこの発見を国家機密とすべく大胆な工作を実行に移すことにした。
発見者の小保方さんとその上司である笹井副センター長を抱き込み、あの派手な演出を伴った会見を行ったのである。その後、捏造問題が表面化することを知りながら・・・
小保方さんは、社会影響を鑑み自己を捨て、世界からの非難を一身に受けることで、政府に協力することをを決意した。笹井氏も同様のはずだった・・・
「STAP細胞はあります」釈明会見で述べたこの言葉は真実であると同時に、STAP細胞への非難を更に助長するための言葉であった。
捏造問題が拡大することで、世界の科学者はSTAP細胞から離れていき価値の無いものとして理解されるようになる。
一方、笹井氏は良心の呵責に苛まれていた。科学者として、人間としてこの発見を闇に葬ることに耐えられなくなってきた。科学を志し、社会のために役に立つ研究を行うことを責務と考え人生をかけた自身の心に背くことはできないと真実を発表することを決意した。これを察知した某国はエージェントを送り込みそうとは分からない方法により・・・
斯くして、政府及び某国の思惑通り、この分野の研究は20年は遅れることになり、社会の暫定的な安定を継続すると共に、将来の国家基盤を築くべく極秘の開発に入った。小保方さんをチームリーダーとして・・・
というようなミステリー、誰が書いてくれないかな。そしたら読むんだけど。
で、内容の方はというと、理研の対応が悪すぎるのが目に付く。また、取材の限界だとは思うが小保方氏のコメントが少なすぎる点で真実には届いていない気がする。現時点で事件はうやむやのままになっているが、今後も取材を継続してもらい、もう少し静かになった時点で小保方氏の取材も含めて行って頂き真相を解明してもらいたいものだ。
科学の発展のためにも理研にはもっと議論して欲しい。
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誰が悪いんだろ。。
きちんと論理的にすべてもっと調査結果をだしたほうが
いいと思う。
なんにせよ小保方さんは想いが強い、頑固、想念が
強そうで危うい感じに想いました。
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これを読むとあの騒動の謎が解ける…
という本ではありませんでした。
タイトルで誤解しそうだけれど、これは自殺された笹井さんと、STAP細胞に踊らされた人々を書いたもの。
という感じ。
最近、O嬢(と書くとおフランスだw)が告白本を出されたが、この本の著者について悪魔の手先のような描写をしておられた。
なんだか、あの事件は当事者も含めて皆が分からないままくるくる空回りダンスしていただけの事件だったのだなと(何
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久々に寝るのも後回しにして読み進めている最中。
そもそも科学的な発見というより、既にスキャンダラスでセンセーショナルな事件として扱われざるを得ないような内容だけど、著者が毎日新聞科学部の記者さんということで購入を決めました。
骨の髄まで文系人間だけどSTAP細胞関連の記者会見は(時間帯の関係で)ほとんどライブ中継を見ていて、いつだったか忘れたけれど、毎日新聞の女性記者の理路整然としていて、一歩も引かない感じの質問がカッコよくって印象に残っていたものですから。(読んでわかったのだけど、小保方氏の単独記者会見時の記者質問の時のことだったようです)
うちの上司(そろそろ60代、男性)が「小保方さんが可愛いから信じてあげたかった」と言っているのを耳にして、これって小保方氏の周囲の男性研究者にも共通してる感覚なのじゃないかと思って、口ポカーンになりました。
私はとりあえず、割烹着姿の時点で胡散臭いと思ってしまいました。科学的な根拠はありませんけど。
今回のことで、現在頑張ってる、またはこれから目指そうとしてる女性(女子じゃなく女性)がやりづらくならないことを、それと日本の研究者が色眼鏡で見られないことを願います。
一社会人としても、退職願をとっとと認めて、クビを切ろうにも切れないなんて状況はアホかと思って納得できませんよ……。