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投稿者:やびー - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロシア船に拿捕された、嘉兵衛は遠くカムチャッカの地へと幽閉される身となる。
もちろん、拉致をされた経験も無く自らの生殺与奪の権利を他者に委ねる経験も無い私には、いつ殺されるのか?という環境に身を置く事はこうも生きる意欲を奪うものなのかと、息を呑む気持ちで読み進めました。
幽閉中に嘉兵衛は国家の存立とはどうあるべきかと言う中で…
他を謗らず、自ら誉めず世界同様に治まり候国は上国と心得候(意味:上等の国とは他国の悪口を言わずまた自国の自慢をせず、世界の国々とおだやかに仲間を組んで自国の分の中におさまっているくにを言う。)と、語ります。
この台詞は今の日本人の耳にどう聞こえるでしょうか?
リコルドと嘉兵衛は言葉が通じ無いながらも交流を得ながら、互いに礼を持って接する事で信を得て行きます。国家間の問題をどう解決するのか?信頼を担保に置ける事が交渉をこうも感動的に彩れるのかと胸を熱くします。
現代の東アジアを取り巻く環境を補助線に読み進めると考えさせられました。
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投稿者:Kanye - この投稿者のレビュー一覧を見る
司馬遼太郎の作品が好きで,よく読むのですが,この作品はいまひとつ入り込めませんでした。どこかで,司馬さんが会ってみたい人に主人公をあげていらっしゃったので,かなり期待して読み始めたのが原因かも知れません。それでも楽しい時間でした。
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日本人。男としての判断。時流。人間関係。そういったものが1人の人間の中でいかに昇化しうるかが感じられます。
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淡路島の高田屋嘉平のキャンプ場に一度行ってみたいな、と思いつつ読んだ。偉いというか、凄い人がいたんやなぁ。
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18世紀末から19世紀初期の船乗り高田屋嘉兵衛の物語。
今から約200年前にロシアに渡った男です。
ゴローニン事件、間宮林蔵、など日本史や世界史でちらっと習った記憶がある出来事や人物が、人間味溢れて描かれています。
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淡路島に生まれ、蝦夷地を開拓した高田屋嘉兵衛の生涯を書いた本。
農家の出だが、海の男。
私の憧れの人の一人。
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物語は終結へ。嘉兵衛は囚われてカムチャッカへ。現地指揮官のリコルドと心を通じ合わせ、ロシア・日本の両国の間の誤解に基づく衝突を回避するために全力を尽くす。当時函館に虜囚の身となっていたロシア人グロブニンの手記と、リコルドの手記が現存しているために、嘉兵衛本人の記憶に基づく記録との対比で物語の進行を描いている。
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高田屋嘉兵衛の生涯を通じて、日本の貨幣経済の在り方、日露関係史までを学ぶことが出来る作品。鎖国という外交を取っていた日本と、日本人としての芽生え、そして男としての生き方を学ぶことが出来た。
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全六巻のうち前三巻が高田屋嘉平が船頭として出世して蝦夷地と交易するようになり日本の外に意識が出て行くまでを綴り、それから二巻がロシアの拡大政策の歴史になり、最後の一巻で合体する異色の構成。
小説というのはこういうことをしていいのかと思わせる。
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あらすじ(裏表紙より)
突然の災厄が、嘉兵衛を襲った。彼自身がロシア船に囚われ、遠くカムチャツカに拉致されたのだ。だが彼はこの苦境の下で、国政にいささかの責任もない立場ながらもつれにもつれたロシアと日本の関係を独力で改善しようと、深く決意したのである、たとえどんな難関が待ち受けていようとも…感動の完結篇。
途中、ロシアの話がメインになったり
中だるみ?があったのですが
無事終わりました
北前船に乗ってみたくなりました
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嘉兵衛の船が、ゴローニンを救おうとするリコルド少佐率いるロシアのディアナ号に遭遇、カムチャッカへ。嘉兵衛とリコルドの友情とゴローニンを救うための模索。言葉の通じない日露のふたり。嘉兵衛についていく文治、以下5人。この巻のために5巻があるようなもの。黒船がくる少し前の話。「タカダヤ・大将」と慕われた嘉兵衛の大仕事。
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よかった。この巻を読むためにそれまでの話があったのだと思えるくらい充実した内容だった。特にリコルドの「二人も!何て沢山の友達だろう!」の言葉と、リコルドと乗組員たちによるウラァ・タイショウの三唱の件は読んでいて鳥肌がたった。
そしてこの話がノンフクションであるということに一番感動した。
あと、この『菜の花の沖』というタイトルもすごくいいつけ方だと思った。コレ以降菜の花の鮮やかな黄色を見るとこの人のことが浮かんでくるだろうなぁ。
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「司馬遼太郎」の歴史小説は全部読もうと考え、ブックオフで見つけて一度に購入。あらすじを読んで自分の好きな戦国、幕末ではなく、江戸後期の話であったので、ずっと積読のままであった。
しかし、読んでみて、非常に面白かった。というより、日本にこんな人物がいたのかと知ると日本に生まれてよかったと思えた。主人公の「高田屋嘉兵衛」の人としての偉大さには勇気を与えられたし、その商人哲学には強く感銘を受けた。
ストーリーとしては中盤から終盤の内容もいいが、自分としては序盤から中盤までの商人として主人公が活躍し始めるまでの展開が好きだ。この本を読んで物語の舞台である灘近辺、北方領土にも興味を持てた。
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あー、ようやく読み終わった!
5巻はえんえん当時のロシア事情が語られるのみでちょっときつい…ですが、この本に書かれた高田屋嘉兵衛の生きざまには勇気を与えられます。苦労がおおいかぶさってきても、めげずにそこに活路を見出し、必死に生きる人の姿は、力強くて励まされるものです。
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最終巻では、いよいよ嘉兵衛がロシアに拉致される。一方のロシア捕虜(ゴローニン)の返還に向けての息詰まる交渉、人間ドラマが描かれている。
最終的には、人間同士の信頼性がものを言うのであるが、『グローバル人材』と声高にいっても、結局は、とてもベーシックなところが重要なのだ。
以下抜粋
「結局は流暢な言語のみが人間の関係を成立させたり、深くしたりするものではないことを、この夜のリカルドと嘉兵衛における交情が物語っている」
嘉兵衛にとっての『上国の対語としてのよくない国』は、「他国の悪口を言い自国をむやにみ誇るという愛国主義が鼓吹されている国と思われる」。
自分の父は函館出身であるが、その先祖は京都出身だという。
江戸時代、「蝦夷」がどのような位置付けにあったのか、政治的に、商業的に、それが理解できたことは、自らのルーツを知る上でも大きな収穫であった。