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「世界を切り開いてゆく」という読書
2015/08/27 10:33
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りー - この投稿者のレビュー一覧を見る
臓物を思わせる粘ついた世界を舞台に異形の生命が跋扈し、ほぼ全ての固有名詞が造語からなるという奇怪な連作短編小説。作中で造語や世界観に関する説明が一切なされず、読者は赤子が世界に順応してゆく様に感覚的に物語を把握せねばならない。しかし一見難解にも思えるその「世界を認識する」作業が殊の外愉快で懐かしく、全く苦にならない。本作はSFであるが、この物語がSFとしての全容を顕すのは全編を読み終えた後。それまでは未知なる世界を手探りで彷徨う快楽に身を浸したい。
現代最高の奇書
2024/07/30 20:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ててて - この投稿者のレビュー一覧を見る
独自の造語で語られる奇妙なSF労働小説です。他に類を見ない読み心地の悪い粘度のある文章に慣れてくると気がつけば酉島伝法さんのファンになっていました。
ハイレベルなSF
2015/11/03 23:25
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は第34回日本SF大賞を受賞した酉島伝法のデビュー作です。デビュー作なのにハイレベルというべきなのか、デビュー作だからこそ生まれた斬新さなのか分かりませんがとにかく凄まじいSFでした。
まず第1章の「皆勤の徒」。不定形の大型生物”社長”とその下で働く”従業者”が製臓業を営む日常を描いた作品です。作中の造語や表現がやたらと粘着質で湿り気を帯びていて、読んでいると世界観が迫ってきます。全章を通して最も読みにくく、最も魅力のある作品だと思います。
続いて第2章の「洞の街」。惑星胚の消化器官(という背景設定も全章を読み通して気付くかどうかというレベル)に住む異形の生物の生活を描いた作品です。学生の土師部(はにしべ)の視点で描かれていて、書き味がやや柔らかく読みやすいですがこの作品もやたら異形の生物やら昆虫やらが出てきます。
第3章の「泥海の浮き城」は第1章の短編を連作として書籍化する際に書き下ろした作品で、登場するのは全て昆虫(化した人間?)です。体色を透明にすることができる私立探偵が主人公のハードボイルド作品…というと聞こえは良いですがやはり虫が大量に登場するので、苦手な人は本当に苦手だと思います。
そして最終章「百々似隊商」。本作は時系列をあえて逆行する形で章立てされているので、この章が一番読みやすく、かつ背景設定が分かりやすいです。第2章で登場する謎の生物”百々似”の起源が分かると、4つの短編の背景に流れる極めて重厚なSF設定がうっすら分かってくるのではないかと思います。
途中で放り出さずに最後まで読んで、大森望さんの解説を読んでみてください。そこまでしないとこの作品の魅力に気付くことはおそらく出来ないと思います。骨のある作品が読みたい方にうってつけの濃厚かつ重厚な作品です。
どれだけ空想できるか
2021/07/12 13:25
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投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
初見の作家さんです。
元々それぞれ別に発表した4篇を繋がりのある1作品としてまとめた作品です。
本作品で多数の賞やランキングで1位になられたようです。
物語の世界は作者が想像し設定したまったくイマジネーションであり、
作中に使われている言葉にも多くの造語がある為に
下手な翻訳の海外小説よりも読むのに手こずりました。
400ページ弱の本作を読み終えるのにほぼ半月かかりました。
そんな場合大概どこかで嫌になり投げ出しそうなものですが、
最後まで読み終えたいと思わせる何かがありました。
そして読み終えた今それなりの満足感は確かにあるのですが、
具体的に何が良かったのか言葉にすることができません。
読み始めるまでにもかなり寝かせていたのですが、
またしばらく寝かせておいて気が向いた時に再読をしようと思っています。
解説からよむとよろし
2016/12/18 00:51
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投稿者:Zero - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品を書くのに使った日本語辞書を普段使ったら、ものすごいことになること間違いなし。あと、解説を読んでから本文を読まないとまったく意味がわからないことも間違いなし。
1回読み終わって
2015/11/25 00:55
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投稿者:マック・ディオナー - この投稿者のレビュー一覧を見る
んーなんだろう。解説を読んで補完となった。さてもう一回仕切り直し。というところでしょうか。評価はただ、すげーという感じ。もう一回読み直さないとはっきりしない。だから1マイナスで4点。
皆勤の徒
2016/11/07 13:00
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投稿者:によ - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんぞこれ!
異形の生物系SF?ブラックユーモア風刺系SF?
とりあえず全体的に内臓と虫でぐちょぐちょしているので食事中に読みたくないやつ。
なのに癖になる造語群!
挿絵もグロテスクだと思っていたのに謎の吸引力。
世界観が掴めたかと思った途端にあっさり迷子。
連作短編一周してやっとパズルのピースを全部眺め終わって、全体図を組み立てるのにあと何度読めば理解できるのやら!
でも、内臓と虫でぐryしたので胸焼けしたから…再読はしばらく経ってからにしよう…。
「くさいのが癖になる珍味」みたいな本だと思った。(褒め言葉)
【追記:自分用メモ】
一つ目。
読後一日中「皆勤の徒」の世界が頭から離れなかったので、これは自分好みなんだろう…。
ぐちょとか色々言わずに再読しよう。
二つ目。
記憶の奥の方から世界の終わりとハードボイルドワンダーランドがちらつくのは、螺導・紋々土と禄・南無絡繰の章のせいかな?と思い至る。
ずいぶん読んでないから曖昧だけどw