紙の本
作品の配列(順番)がなかなか見事
2022/04/04 17:57
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投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
先月の「100分de名著」聴講予習のため一読したもの。『黒猫』なんて大昔に読んだ記憶がありましたが、すべてすっかり忘れていて唖然。以下、各篇ごとのコメントということで。
『黒猫』: 改めて読むと陳腐な作品。猫が入っているのに気づかないなんて、あり得ない。
『赤き死の仮面』『ライジーア』: 途中までの盛り上げ方(描写)は確かに筆力を感じたが、結末が「なんじゃこりゃ」という感じ。
『落とし穴と振り子』: 通俗的には、本書の中で一番面白かった。映画的というか、1842年初出として、その頃としてはかなりぶっ飛んだセンスだったのではなかろうか。(評者だったら、最後のあがきで「木のベッド」(105頁)をかすがいにして壁の接近をブロックしようとしただろうなと想像した。)
『ウィリアム・ウィルソン』: 悪くない。だが、個人的には、映画『世にも怪奇な物語』でルイ・マルの手になる「影を殺した男」の方が怖く、かつインパクトもあった。
『アッシャ家の崩壊』: こちらも非常に映像的というか、オリジナリティに満ちた恐怖譚。その後における文芸・映像作品の「原型」を創造したとも云えようか。最後の崩壊シーンなどは、安っぽい映像よりもずっとイメージが喚起される。
本書の作品収録順は初出年に従っていない。私見では、『黒猫』でまずは読者を引き込み、『赤き死の仮面』で「なんじゃこれ」と思わせ、その後は次第にボルテージを上げていくという構成が妙。感激度と翻訳の読みやすさ(語と語の関係性など、ところどころ日本語がおかしくないか・・・)の点では星4がせいぜいなのだが、じわじわくる後味の重厚さに加え、ここはやはりEAPに敬意を表して星5とする。
紙の本
新訳、助かります
2021/07/29 13:09
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投稿者:midnight-sun - この投稿者のレビュー一覧を見る
自身が中高生の頃に読んだときは新潮文庫の(今となっては)旧版の佐々木直次郎訳のものであった。現在は巽孝之訳に変わり、ゴシック編として1冊に集められている。ゴシックというキーワードは私のこどもたちにとっても興味をひくものであり、そこからポーの世界に接近してきます。共通の話題として盛り上がるにも、読みやすい新訳は大歓迎です。
電子書籍
ポー短編集 ゴシック編
2020/05/09 13:57
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
エドガー・アラン・ポーの短編の中でも、「黒猫」や「ライジーア」「アッシャー家の崩壊」などを収録。中でも「赤い死の仮面」が面白かった。
紙の本
黒猫はやっぱり名作
2019/01/13 23:19
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
新潮文庫のポー短篇集はゴシック編とミステリー編に別れていて、身の毛もよだつ結末が待っている「黒猫」が収録されているのはもちろんゴシック編である。(ゴシックとは神秘的だとか、幻想的だとかそういう意味)。谷崎潤一郎、萩原朔太郎、芥川龍之介、そしてもちろん江戸川乱歩に影響を与えた人なのだが、生前は全く作品が評価されていなかったというから不思議だというか、意味がわからない。もちろん、今読んでみると、このようなおどろおどろしい作品というのは彼の死後150年以上たって模倣されてしまっていて衝撃はないのだけれど「黒猫」を読んで凄いと感じなかった当時のアメリカ人はそうとうに頭が悪かったのだろう
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『黒猫』
『赤き死の仮面』
『ライジーア』
『振り子と落とし穴』
『ウィリアム・ウィルソン』
『アッシャー家の崩壊』
2009年4月29日購入
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以前、江戸川乱歩を読んだときその筆名がここからもじっていると知り
一度、作品を読んでみたいと思っていました。
頭で整理しながら読まなければいけないところが多かった印象でしたが
面白かったです。
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2009/
2009/
収録作品
黒猫:読了
黒猫の反逆劇とでも言うべきでしょうか。“黒”という色のイメージが人間の罪悪・強欲を映し出していると感じた。罪悪は、黒猫を殺した行為である。また、強欲は人間の奥深くに潜む邪心である。それら二つを“黒”という色がそれらのイメージを照射している。
赤き死の仮面:こちらも、色が作品と深くかかわっている気がしました。色の持つイメージを巧みに操っています。
ライジーア:
落とし穴と振り子:
ウィリアム・ウィルソン:
アッシャー家の崩壊:
解説:・孝之
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The Black Cat(1843年、米)。
不気味で不条理で暗い。しかしラストは笑ってしまった。普通気付くだろう!
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新潮文庫が「海外名作新訳コレクション」と題し,さまざまな作品がを新訳で発売している。ちょうどエドガー・アラン・ポーは生誕200周年にあたり,アメリカ文学研究者の巽氏が,ポーの短編を,「ゴシック編」と「ミステリー編」に分けて翻訳している。「モルグ街の殺人」を読みたいところだが,私がスデニ持っている,ボルヘス編『盗まれた手紙』に収録された作品ばかりだったので,とりあえず「ウィリアム・ウィルソン」が収録された「ゴシック編」を購入した。収録されているのは以下の通り。
黒猫(1843年)
赤き死の仮面(1842年)
ライジーア(1838年)
落とし穴と振り子(1842年)
ウィリアム・ウィルソン(1839年)
アッシャー家の崩壊(1839年)
私が「ウィリアム・ウィルソン」を読みたかったのは,現在研究中のポール・オースター『ガラスの街』の主人公,ダニエル・クィンのペンネームがウィリアム・ウィルソンというからだ。米国のユダヤ人作家であるオースターはポーから多大な影響を受けている。ポーのデュパンシリーズの舞台はフランスだし,「群集の人」の舞台はロンドン。米国作家であるポーが注目されたのはフランスのボードレールが翻訳・紹介してからであるように,ポーはフランスと関係が深いし,ポーの作品自体,非常にヨーロッパ的雰囲気を持っている。そして,オースターもフランスに行っていたこともあり,彼の作品にはポー的,ボードレール的雰囲気はプンプンだ。実際,『ガラスの街』でスティルマンという老人がニューヨークの街を徘徊する場面は「群集の人」を思い起こさせ,一見,探偵小説の設定を有するところは,探偵小説の祖であるポーへのオマージュといえる。実際に作品中にはポーの名前も登場し,「盗まれた手紙」からの直接的な引用もある。そして,このウィリアム・ウィルソンという名前はポーの分身物語「ウィリアム・ウィルソン」が明らかに意識されている。
残念ながら,巽さんの文章を読んだことはないけど,読みたい本を書いている人なので,かなり期待したが,やはりポー自身の物語展開が非常に奇抜で一読しただけではよく分からないというのが正直なところ。まあ,「盗まれた手紙」も「群集の人」も一読ですっと頭のなかに入ってくる類の短編ではない。まあ,だからこそ面白いのかもしれないが。しかし,そのことは同時に,ポーの恐るべき想像力に感服するしかない。まさに,ゴシックの名に相応しい,おどろおどろしい世界がそこに拡がっています。小学生の時,学校の図書館で借りて一時期はまってしまった江戸川乱歩シリーズのように。いま考えると,江戸川乱歩という作家も相当のものだと思う。ポーの2つの特徴である,探偵ものとゴシック性とを1つの作品に併せ持ったものを日本で作り上げたのだから。といっても,幼い頃の読書経験が記憶で幻想化しているのかも。乱歩の作品も小学生用に書き換えられたものではなく,ちゃんと読んでみたくなった。
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ゴシック色の強い作品を集めた6篇の短編集。
『黒猫』
黒猫見るたびにトラウマになりそうな・・・。怖い。
『赤き死の仮面』
『ライジーア』
美女よみがえりを扱った何作かのうちのひとつ。
『落とし穴と振り子』
『ウィリアム・ウィルソン』
ドッペルゲンガー・・・
『アッシャー家の崩壊』
この兄妹といい、屋敷の雰囲気といい、萩尾望都の「ポーの一族」っぽい!吸血鬼ではないけど。
そういえば、「ポーの一族」のポーってなにからとっているんだろう。この6作のなかで一番好きでした。
でもゴシックホラーは苦手。
名前はよく知っているのに、読んだことがない作家は意外と多いなぁ。
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暗い。ダークすぎる。自分には合いませんでした。
読んでると気分が沈む。
落ち込んでるときなどに読むと死にたくなるので要注意。
悪い作品では無いと思いますが。
さすが江戸川乱歩の師匠(?)だと思いました。
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奇々怪々としている傑作も私にはその凄さはよくわからず…でも面白かった。登場人物のセリフがほとんどないので少々読みづらい。後は「かてて加えて」という表現が頻繁に出てくる。「更に」でもなく「その上」でもなく。翻訳者の好みなのかな。
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やっぱり何度読んでも暗欝とした気分にさせてくれて、いい作品ばかりです。
こういうの好きな人にはおすすめ。
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六つの短編が編集されており、それぞれが異色な雰囲気を放ち、奇々怪々とした物語が編み出されていました。何処か異質で暗鬱とした舞台や人物は、不思議と引き込まれます。
理解しようとして読むのではなく、その場の空気を味わいながら読んだ方が、より臨場感や鬱々としたものを味わえると思います。
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ポーの世界観には中毒性あり!!
そしてその世界は妖しく美しく…!!
そして翻訳をなさった考之氏の言葉達の旋律の前にに、わたくしは陶酔してしまいませう!!
って感じになっちゃう自分がいますね。
笹田さんとはまた違った感じのGothicな感じですね。
海外の本って、訳があまりよくないイメージがあったのですが…凄く素晴らしいですね。
何度でも読みたい。