覚悟を決めて、次世代に伝える
2022/03/14 10:51
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
過酷な体験を言葉にするには、やはり覚悟や時間が要るに違いない。
澤地さんでさえ、このような形で体験をまとめたのは、2015年になってようやくなのだから。
旧満州(中国東北部)からの引き揚げ体験をつづった一冊。
「誰だって、語りたくない人生体験を持っている」としながらも「戦争の歴史がくり返されることはたえられないから」と記す。
自らの体験記にもかかわらず、主語を「少女」としているのは、突き放さなければ書けなかったからかもしれないと思う。
それでも次世代に伝えるために、澤地さんがつづった言葉を、胸に刻みたい。
こういう体験を書物の形で残していただいたことは、非常に貴重なことだと思う
2021/10/14 22:45
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
満州開拓民の話を読んだのは初めてだ。14歳の少女の体験なので、余計な知識がない分新鮮でストレートに伝わるものがある。こういう体験を書物の形で残していただいたことは、非常に貴重なことだと思う。簡易な文章なので分かりやすいのもいいと思う。
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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和の激動の時代を少女時代として生きて、かわいそうだなと思いました。戦争さえなかったらと、思ってしまう。
若い世代になんとか伝えたい
2018/05/31 18:40
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
澤地久枝『14歳<フォーティーン>満州開拓村からの帰還』は、自分自身の「満州国」での生活と引き揚げの苦難を、若い世代になんとか伝えたいという思いで書かれた本です。
筆者は、軍国少女であった自分を反省し続けています。
これを読むと、国家というものは苦境に陥ると、国民を簡単に見捨てるという事が分かります。
そして、“苦境”は、戦争という政策の果てにもたらされるのです。
まさに今、時を得て世に出たという感じ
2015/08/21 23:34
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投稿者:Nと〜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現行教育基本法の前文には、旧教育基本法前文にあった格調高い「この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきもの」というくだりがなくなっている。これは何を意味するのだろう?本書を読んで、子どもを平和を愛するものに育てるのも軍国主義者に育てるのも、結局は教育の力だと感じた。おとなの責任は重大。 淡々と書かれていて、ストレスなく読み進めることができました。よくぞ書いてくださったという気持ちで一杯。若い方必読。
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【イントロダクション】
今年の2月号の12回をもって終了しましたが、集英社の月刊書籍情報誌『青春と読書』に連載されていたのをずっと読んでいました。
こんなに早く本になるとは思ってなくて、もっと書き足して推敲して分厚くなる気がしていました。
すでにたぶん70冊はゆうに超える澤地久枝の編著作は全部手元に置いて読んでいますが、近頃ではリアルタイムでないと気が済みません。
今年の9月3日で85歳という高齢で、しかも心臓疾患をかかえた方なので一人暮らしが心配なのですが、そんなことなど吹き飛ばすような溌溂とした言動にはいつも驚きます。
谷音で聞いた脱原発集会でのアジテーションは力強く鮮明でしたし、たしか2月22日の日曜日のNHK「100年インタビュー」でのモノローグは、活き活きとして艶っぽいまでも若々しい精気に溢れていて魅せられました。
おそらく絶望的な凄惨を舐めつくした彼女の透徹した過去と現在の認識・分析・描写が、希望的未来への渇望あるいは強い信念に満ちた意志となって今を生きせしめているんだと思います。(無理やりな文章でなんか変ですね)
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著者自身の14才当時の満州での日常が語られている。
どんな生活をしてたかが如実にわかる。
著者自身がソ連兵にレイプされそうになったシーンも描かれていてその後の人生にも影響があったとある。
中国人の家に住み込んで働き手として労働したり。
シラミだらけの体でいても平気になっていたり…。
下の弟たち(?)を伝染病で亡くしたり。
戦争は弱き者から犠牲になる。
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これまで誰にも話したことのない70年前の記憶をたどる。自分自身を「少女」と客観視して語っていくが、時間も時制も行ったり来たりで、独特の言い回し・言葉遣いなどもあり、読み進めるのに正直なところかなり骨が折れた。でも、ずっと封印してきたことを思い出してとつとつと語る姿としては嘘がないというか、こういうふうに語るのがせいいっぱいであるのだろうと察する。
14歳という多感な時期を戦時下に過ごしたそのときには当人には気づきようもなかったことだが、敵のことも戦争の現実も広い世界のこともなにも知らされない無知や、貧窮して先の見えない暮らしの中での世の中から人生のすべてへの無関心、情報から遮断された闇の中で見通しのない棄民難民暮らしが、どんなに酷なことであったか、傷として残るものであったか、と想像させてくれる。
だれのせい、なにのせい、といった因果関係には言及しない。後付の解釈をくわえずに、頼るべき記録資料もほとんどないまま「記憶」とその後の人生にあらわれた痕跡を書き記し、14歳だった自分にとっての「戦争」をパッケージとしてさしだした。そこに著者のノンフィクション作家としての誠実な姿勢を感じた。
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主人公は著者なのだが、敗戦と引き上げの悲惨な記憶を紐解くゆえか「少女は」という語り方で話しが進む。最後まで違和感があり、文章的にも修辞的にもとても読みにくいものだと感じた。また15歳の肉親に伝えるという思いがあったとの事だが、未亡人に対する実の父の世倍の話しや、読者にとってはどうでもいいこと(とくに15歳の肉親にはどうでもいいので言わないような話)も書いて有って時々ハテナと思わされた。著者の当時の人々に対する意趣晴らしなのかもしれない。
著者の講演会を申し込んだところ抽選に当たったので、演題の満蒙開拓団に関する著者の本として本書を読んだ。読んでからなら講演会への応募はしなかっただろう。
満州国についての資料としてはそこそこ面白いが、いかんせん文章が読み辛かったので、星は二つ。
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満州での敗戦から一切の感情なくした14歳の少女が淡々と事実を記す形式で綴られている。忘れてはならない歴史。この苦難の先に我々の平和があることを忘れてはならない。
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読みやすいとは言い難い本であった。
少女の経験が断片的にただ淡々と語られてゆく。
それは作者の記憶の中の恐怖と関係しているように思う。
執筆することも苦痛であっただろう。
わたしは日本が戦争に向かっていっている気がしてならない。
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14歳の頃の自分と社会を書くというから、自伝的な小説で、中高生にも薦められる内容かと思ったが、書き方はあくまで大人向けで、中高生にはちょっと難しい。
著者は当時としてはごく普通の軍国少女だし、恐ろしい目にあったとはいえ、比較的恵まれていた方だと思う。
だから、凄まじい体験を期待すると肩透かしにあう。
しかし当時を生きてきた者にしか書けないディテールには、やはり衝撃を受けた。月経の時に使う脱脂綿が40歳までしか支給されず、「40以上は垂れ流せというのか」と言っていた、など戦局に臨む男にはどうでもいい些細なことは、記録に残りにくいが、如何に普通の人間の暮らしがないがしろにされていたかを知ることのできる、貴重な証言だ。また、そういう日常の困難は、若者にもイメージしやすい。
できることなら、今生きる14歳が読める文章で書いてほしかった。そうすれば、未来の戦争を抑止する力になっただろう。
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http://blog.goo.ne.jp/abcde1944/e/671d943b0400ef84da694cd160ed8dde
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1930.9.3生まれ(俵萠子さんと同じですね)ノンフィクション作家澤地久枝さんの「14歳 満州開拓村からの帰還」(2015)を読みました。敗戦後外地からの引き揚げがいかに大変かは、藤原ていさん(1918.11.6~2016.11.15)の「流れる星は生きている」などで伺ってますが、この作品は、著者が14~15歳で、満州において、安楽な暮らしから一夜にして修羅場の世界(襲撃・強姦・栄養失調・・・の世界)に叩き落とされた経験を語っています。「女は髪を切れ、男装しろ!」大変な時代でした。
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文字通り、また、筆者が自ら語った通りの「覚え書き」による体験記。その名の通りの「覚え書き」であるため時系列の前後が多々あり少し読みにくさを感じるが・・・、内容については何の不満も無し。
無知な少女が大本営発表や軍国教育のために思想を染められてゆく様が、気味悪いくらいにリアルに伝わってきた。
エンタテイメントではないので読み始めるには少々「とっつきにくさ」を感じるかもしれない。しかし、日本人はこの本を一度読んでおく価値はある。
★3つ、7ポイント半。
2018.10.29.古。
「先生方の招集があいつぎ、空襲は日本本土全体にひろがる事態にあって、戦争が末期であると考えなかったのは、少女だけではなかった。自分の身が痛みを感じなければ、感情は眠ったままである」
↑↑
当時の(満州に住む)一般市民の心理をうまく言い当てているのだろうな。
また、、、南方諸島で多くの兵が敵ではなく飢えとと闘っていた時分の一部上級軍人たちも同様だろうね。
※最後、筆者による痛烈すぎる現代社会への批判。
澤地さんの想いは、弟の孫へ少しは伝わったのだろうか・・・。