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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
家庭内のゴタゴタは外には見えずらいものだ。家裁での扱いは当事者とならない限りは分からないものだが裁判所の仕事の仕方が良く分かる。
桑田判事の転勤と赴任先での審判。話に深みが増した気がする。
2021/01/12 18:04
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
桑田判事は、出世コースの転勤を蹴って、緑山家裁よりさらに小さな家裁と地裁が同居する裁判所に赴任。そこでの審判の内容は、前シリーズよりさらにリアリティが増したようにも思う。植物のもつストーリーと、物語も上手くシンクロし、益々面白くなってきた。しかし、4作目でいちばん好きなのは、夏休みに旅行した沖縄の離島での話。
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家裁、すなわち家庭裁判所では少年犯罪が審理される。この作品は家裁判事である桑田義雄という人物を主人公にして家庭裁判所という舞台に登場するさまざまな少年たちと桑田判事との出会いを綴った作品である。「おっ、題名にある家裁のサイの字がまちがっとるばい。」というご指摘もあろうかと思うが、これでいいのだ。主人公の桑田判事はいつも植物の世話ばかりしている何となくぼーっとした判事である。そして彼の少年の非行に対する取り組みも植物の世話とよく似ている。「育てなければ…毎日愛して、そこから始めませんか」と言う桑田判事の語りかけは家裁は裁くところではなく栽(そだ)てるところだというこの作品の底流に流れている。だから〈栽〉の字でいいのである。
扱われている素材は少年の非行である。教育の現場(学校やら家庭)が切り捨ててしまった少年少女たちの傷をそのまま受け入れ、自分の力で育っていけるように桑田判事は彼らに接していくのである。
東京第二弁護士会の山崎司平氏が監修しているので、事例はおおむね実際の事件に基づいているのかもしれない。それだけのリアリティがあるし、法律的なバックグラウンドも確かである。きびしい状態に置かれた子どもたちを我々はどう理解しているのか、を具体的な事件を素材に見つめてみることは必要ではないだろうか。特に法律の世界は無視し、教育の理念も省みずに子どもを切り捨てている教育現場の人間にはぜひとも読んでほしい作品である。また、第十三巻から十五巻はあの福岡でおきた生き埋め体罰事件をモチーフとして描かれている。全十五巻のうち三巻を費やして語らなければならないほど、あの事件は桑田判事にとっても重たい事件であったのだろう。それに対して福岡の教員は答えを出したのだろうか。三越三郎というどこかで聞いたような名前の博多弁をしゃべる弁護士も登場する。さあ、あなたも姿と名前を変えて出ているかもしれないよ。
◎実は荒れている少年たちに読ませたい。
★★★★★(これは特上五つ星)