とにかく楽しい怪物専門の探偵モノ
2016/04/01 10:01
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投稿者:やきとり - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者の代表作である天才オタク高校生探偵の「裏染シリーズ」も面白いが、こちらはこちらで面白い。舞台は科学文明へと変わろうとしている19世紀末のヨーロッパ。人々を恐怖で支配していたモンスター達は狩る側から狩られる側へと変わろうとしていた。この様な歴史を背景に誰もが知っているモンスターを加害者、被害者、容疑者に迎えて怪物専門の探偵が本格推理で謎を解いていきます。
探偵役は輪堂鴉夜と助手の真打津軽。そしてその鴉夜に影の様に付き従う使用人の静句。各話の基本構成は事件の発端、推理パート、戦闘パートの3つに分かれており前半の推理パートでは聴き取りから現場検証、そして謎解きとお馴染みの展開。ただし推理は本格的で論理的なのでナルホドと唸ります…と普通の探偵モノならココで終了ですが、何せ関係者がモンスターなのでこの後バトルに突入します。(笑)
とにかくこの3人組探偵が魅力的で鴉夜と津軽の推理パートでのお寒い掛け合いや戦闘パートでの津軽と静句の立ち回りがホント楽しい!また彼ら日本人探偵が何故ヨーロッパを彷徨っているのか、何故怪物専門の探偵をやっているのかなどの謎の部分も沢山あり早く先が知りたくなります。あと19世紀末のヨーロッパが舞台なので他の推理モノの有名どころが沢山出てきそう〜、今回もお一人登場しておりますが…。
推理&バトルで登場人物もほぼ超人や怪物ということでどこか雰囲気が西尾維新に似てるかも。コレ絶対アニメ化されるなぁ。
人ならざるものたちの力と『知恵』の闘争
2020/09/14 22:23
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投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
コミック版もスタートした、青崎有吾の新シリーズ。
吸血鬼や人造人間が実在し人間と共存している十九世紀末の欧州を舞台に、人外の名探偵トリオが活躍します。
怪物の存在や能力を前提としたトリックやロジックが楽しめる予想外の(『体育館の殺人』の著者であることを考えればむしろ予想通りというべきでしょうか)堅実な本格ミステリー。
さらに、ミステリーファンは思わずニヤリとしてしまう趣向も。その趣向の延長線上に姿を現した宿敵との対峙が描かれるであろう続刊が、今から楽しみです。
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投稿者:靴下ネコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初はわかりにくいんだけど読み始めると「あーあ、なるほど!」となり、そこからは津軽とあやの掛け合いが面白くて、テンポにつられて読んでしまえる。ダジャレが寒いけどおかしいのです。いま2巻読んでますー。
登場人物は異常なのに推理はまとも
2025/04/23 10:24
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投稿者:ふるかわぎ - この投稿者のレビュー一覧を見る
結構まともに推理するんだなと思った。
吸血鬼の話は、犯人が使った凶器は謎解きまで分からなかったが読み返すとしっかりヒントは提示されている。
正直、犯人がそんな方法で証拠隠滅するとは、これこそが、この物語の特長と言える。
人造人間の話しは、吸血鬼のときの話しを踏まえて、自分なりに証言とか踏まえて、推理したら消えたものの行方は合っていた。
こういう締め方をされると続きが気になる。この方はまさか。
怪物には怪物の論理がある
2023/10/31 20:42
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投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーにファンタジーとは何とも反則めいた組み合わせだが、怪物の論理を上手く落としこんだ傑作。1800年代末期オールスターズといった顔ぶれで繰り広げる物語は、キャラクターの立った語り調子で小気味良く、関連小説にまで手を出したくなるような小説フリークにはたまらない小説になること請け合いだ。
人造人間の章で「何でそこに気づかない」と思ってしまったのがちと残念。
【魑魅魍魎が蠢く欧州にて、散りばめられた謎を解き明かせ】
2022/11/03 17:26
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投稿者:えびし - この投稿者のレビュー一覧を見る
魑魅魍魎を受け持つ探偵達の物語。
時は十九世紀末の欧州。
近代的な蒸気機関車などが登場する中、お伽噺の世界であった筈の異形達がその特性故か、数々の問題を起こした。
そこに立ち上がるは、怪物事件専門の探偵達。
毒を以て毒を制す。
今宵の闇に紛れ込み、蠱毒の壺のように殺し合う。
鴉夜の洞察力と津軽の戦闘力を以てして、人が眼を背けるような事件に血湧き肉躍るように、手がかりを探し出していく。
立ち塞がる名探偵と教授の存在を乗り越えて、阿鼻叫喚の真相を導き出していくのだ。
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予定になかったが、あらすじを読んで面白そうだったので購入。著者名に見覚えがあるような気がしていたが、鮎川哲也賞でデビューした人だった。それで覚えていたのかな?
昨日買った3冊の中では一番アタリだった。随所に仕込まれたオマージュがやや目立っているが、ミステリとしての体裁と、得意なキャラクター性が両立しているのは良かった。主人公の口調もテンポが良くていい。
他の著書も読んでみよう。
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不死身の吸血鬼が殺された。謎を解くために現れたのは怪物専門の探偵、鳥籠を持った道化師のような男とメイドだった。
思った以上にロジカルなミステリ。設定は吸血鬼だの鬼だの人造人間が出てくるがフェアである。フランケンシュタイン、ドラキュラなどが無理なく配置されミステリ要素に取り込んでいるのは読んでいて楽しい。この巻の最後に敵役が名乗っているが、まさかM教授とは。もっと早く気がついて良かったはず。まだまだ私も洞察力が足りない。
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個人的に注目している作者の新シリーズということで、期待値も上がってましたが、流石の面白さ。主人公達の掛け合いが絶妙で、怪物の設定が上手いことトリックに絡んでいて何とも感心させられる。特に人造人間はおどろおどろしい中にも悲哀が見事に描かれていたと思う。
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【クリスマス献本企画】に当選して、手元に届いたもの。献本自体応募したりするのも初めてでドキドキ。でも、自分の好き要素が詰まっていたし、応募して良かった。ありがとうございます!
とにかく、読み終えて面白い!そして、続きが気になる!
最初は極々普通の登場人物かと思いきや、一癖も二癖もある奇っ怪な面々の漫才的なやり取りに終始笑みがこぼれてしまう。
異形達だからこその余裕と危うさを感じさせる流れがバランス良く現れているように思う。
物語は大きく二つの事件があるが、個人的には『吸血鬼』の方が好み。
ストレートに行けば犯人になりうる人がではなく、意外な人物が犯人だったり、トリックもなるほど~と思えたし、かえって卿が哀れだなぁと。
『人造人間』の方は、あまり興味を引かれる内容では無かったけど、最後の最後にヤツに繋がったのが意外な展開だった。
人外的な要素も見逃せないし、3対4+1のままなのか、"一派"の方が増えるのか互いに増えるのか…どうなんだろう?
このあと、どう絡んでくるのか楽しみである。
漫画化も決定しているようだが、これは活字で読んだ方が面白いように感じる。
予想以上だった為、次巻も期待&購入予定。
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怪物専門の探偵・鳥籠使い「輪堂鴉夜」と「真打津軽」。不死身の吸血鬼が殺された事件や人造人間といった事件を解決していく・・・
怪物が出てくるからファンタジーかと思いきや、推理はいつものロジカルなので面白かった!それに有名な名探偵もちらほら・・・それに滝から落とされたという教授という人物も!!これは例の有名なキャラでは!?とワクワクしてしまいました。続きも気になります(^^♪
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ファンタジィとミステリを足したドリフターズ(平野耕太)。
予想していたよりちゃんとミステリしてて、すごい安心しました。よっ、さすが平成のクイーン。西尾維新みたいな方向に流れていったらどうしようかと思ってた。
吸血鬼、化け物が出てくる世界におけるミステリ。異界ものっていえばいいのかな。山口の「生ける屍の死」もそうだし、この手で一番印象に残っててうめぇなって思ったの、上遠野の「殺竜事件」なんだけど、あれも最近新刊でなかったっけ? 途中で読むの止めちゃってるけどまた読みたい。
もともとな、青崎の姿勢は嫌いじゃなくて、文章やキャラの動かし方も好きなので、すんなり楽しめました。いや、面白いよこれ。
1巻ってなってるのでまあ続きはあるんだけど、大きな流れ、目的はありつつ、その道中で別個の事件を解決していくというタイプ。
探偵も助手も人外なんですがね。助手のキャラクタがとても好きです。あと静句さんはおいくつなんでしょうね? このひとも人外なのかなぁ。普通のひとなのかな。ダンガンロンパ2のペコちゃんを思い出したよ。
二章の「人造人間」で出てきた刑事さん、名前は出てこなかったけどポアロさんですね。ほかにはルパンやホームズの名前もざくざく出てきます。
敵方ボスのじじいはモリアーティ教授ですかね。カーミラってのは女吸血鬼、アレイスターは魔術師クロウリィの名前ってとこまではぐぐった。ジャックはジャック・ザ・リッパー? 舞台が19世紀後半のヨーロッパだからまあ時代的にあり得なくはないのかな。
小説の人物やらなにやらを引っ張ってきてるので、ファンタジィ版ドリフターズだなって思いました。
第一章の謎解きとか、青崎らしく緻密で好きです。是非とも戦闘だけじゃなくて、ちゃんとミステリしている方向で走ってもらいたい。
抜粋。アイスが食べたいと駄々をこねる師匠と助手の会話。
「コーンポタージュ味がいいな」
「そんな味のアイスは百年経っても作られないでしょうよ」
(´・ω・`)つ【ガリガリ君(コーンポタージュ味)】
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【これは確かに紛うことなき喜劇】
よくある世界観。よくあるキャラクター。よくある問答。よくある展開。そして恐らくよくある結末になるであろう。
だけど、読ませる力がある。津軽のあっと思うセリフ回しやうまく絡めた風刺が読み進めると癖になる。展開は短調で王道を極めていても、最後のページまで勢いで読ませてくれた。
こーゆー系の話はいくらでも続けられるので、このままダラダラと続くのか、ひねりを入れるのか分からないけど、次巻が要になりそうだ。
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なかなか評判は良いみたいだけど期待はずれだったらどうしよう…と、身構えて読みましたが、杞憂。評判どおり面白かったです。最初こそ落語口調のノリに不安を感じたものの、あれ、クセになりますね。ミステリー部分もしっかりしているし、奇妙な輪堂&真打の関係性も刺激的です。力では最強の設定なはずなのに、静句嬢に簡単にお仕置きされちゃうあたりがカワイイというか笑えます。
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「ははははは」「ふふふふふ」津軽と鴉夜は時々こうしておかしそうに笑い合う。登場人物の個性がいい感じのバランスを持っている。この師弟2人にメイドの静句と新聞記者のアニーを加えた一行がこれからどんな珍道中を見せてくれるのかとても楽しみ。