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そもそも「右翼」「左翼」とは何か、という、おそらく多くの人が抱くであろう疑問に平易に答えている。その内容的実態は非常に可変的であるということがわかる。
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ある程度の平等と自由が確保された現在、イデオロギーとしての「右」・「左」は複雑で多面的になりその方向性を見失ってく[m:80]結局複雑にからみあってわかりづらいものだと思うのですが、右と左ってそもそも何なんだろうという疑問にある程度答えてくれる著だと思います[m:66]
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・右翼,左翼にあたる思想は時代とともに入れ替わっている
・共産主義は独裁,虐殺を生み,資本主義は必ずしも敗者に貧困を強いないことから,「セカイ系」としての右翼,左翼思想は廃れた.
・もはや右翼,左翼は記号である.
-左翼には思想の進歩が見られず,手段が目的となってしまっている.
例)日教組
・右,左の軸は今や多次元であり,定義が難しい.
・宗教原理主義と民族主義が新たな「セカイ系」となる?
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右翼と左翼の変遷を、フランスの起源から、主に日本について現代(セカイ系にぎりぎりタッチ)まで概観。あいつは右翼(ウヨ)、あいつは左翼(サヨ)とレッテル貼ったり、発言鵜呑みにしてないですアピールしたりにとどまっている人におすすめ。
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日本社会では曖昧な「右翼」と「左翼」をわかりやすく解説した書。その起源(フランス革命期)から今日の日本まで時代の流れにそって解説。
これは右翼なのか?これは左翼なのか?だとすればそれはどうしてか?と、書を読んで思われる疑問も逐一説明されてるので理解が進みよい。複雑なところが図になっているところもよい。
最後の、現在の日本の右翼と左翼の関係の章。グローバリズムの高まりや宗教、思想の自由化などの影響で、図はもはや二次元で扱いきれなくなり、三次元・・・それでも足りないという状況。さらに、右と左の考えが合わさったような新自由主義の考えの導入によってさらに混乱を増している状況。複雑な状況故、何が正しいのかわからない、つまりイデオロギーが錯綜している状況。政治の迷走が叫ばれているがこうしたことも原因のひとつかと感じた。
自由と平等がある程度約束された現在の環境をふまえると、左翼の思想はあまり強いとはいえない。その左翼を封じ込める右翼の思想も同じである。いずれにせよ二つの思想はそれぞれ限界がある。
この迷走化を止めるには二つの思想を超えるような、新たな概念が必要である。そんな筆者の意見がよく伝わった。
あ、あと、ぶっちゃけ、フランス革命や戦時中の日本の章はそこらへんの世界史や日本史の参考書より断然わかりやすかった。受験生にもおすすめ。
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「右翼」「右」「左翼」「左」
わかっているようでよくわからない。
第1章でわかりやすく説明されています。
あとは歴史をもとに書かれています。
少々難解です。
岩波って「左」だったんですかー。朝日は有名じゃけどね。
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右翼・左翼の、イメージはあるけども実はよくわかっていないというもどかしさを解消してくれる。日本の話はちょっと難しいかな
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日常で使われる「右」「左」という用語、なんとなく分かるようで分からなかったこの概念を歴史を紐解きながら解説する。
本書を読むと、この「右」「左」という概念が極めて相対的であり、ある時期には「右」であっても、時代の流れと共に「左」と認識されることもあり得ることが分かる。
*「左」「左翼」…人間は本来「自由」「平等」で「人権」があるという理性、知性で考えついた理念を、まだ知らない人にも広め(啓蒙)、世に実現しようと志す(p44)。
*「右」「右翼」…「伝統」や「人間の感情、情緒」を重視。「知性」や「理性」がさかしらにも生み出した「自由」「平等」「人権」では人は割り切れないと考える(p45)。
*「歴史は進歩している」「その進歩とは『自由』『平等』の実現をいう」とする考え方を前提に、その「進歩」をより先取りしようとする立場が「左」「左翼」で、押しとどめようとする立場が「右」「右翼」(p100)。
進歩史観的な軸で見ていくと分かりやすい左右の対立概念もまた、戦後になると四次元、五次元と、複雑な世界情勢を背景にその概念、対立軸が入り混じり、結局「ウヨ」「サヨ」といった軽い言葉へと変質してしまったように思えてくる。
何れにせよ、本書は「右」「左」という政治的概念の(イメージではなく)本質的な部分に迫った良書であることは間違いない。
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これは少し理解するのは難しく感じるかも。
だけれども難解、といった類の難しさではなく
私たちにある「右」「左」という概念が
今現在では希薄になってしまっているのが
一因の様に感じました。
ただし、その歴史に関しては
一読の価値があります。
なぜ右なのか、なぜ左なのか…
そんな素朴な疑問がその歴史にて解決します。
意外に両極では図れない世界なのに驚き。
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日々耳にはするが、厳密にいかなる差異があるのかがはっきりしなかった「右」「右翼」と「左」「左翼」の概念を、歴史から説明してある良書。
もともとはフランス革命に端を発することや、右翼が左翼への反動として生まれたことなどは、これまで知らなかった。
また、左右に関する対立的な発想は、時と場合によっていくらでも変動しうるものであり、さらに加えて冷戦後では、そもそも「左」にも「右」にも最終的なユートピアを見出せないという事態が生じたことによって、いっそう左右のイデオロギーがわかりにくくなってしまった。
それゆえに、現代のみで右翼や左翼を理解しようとすると、曖昧ではっきりしなかったのか!と納得した。
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読むのに大分時間がかかってしまいました。
基礎知識が不足しているとこういう少し難しい話についていけなくなってしまいますね。
右翼・左翼という、日常生活からは少し距離感はあるものの、概念としては良く聞く用語について解説をしてくれる書籍です。
前半はそれら言語が発生してきた歴史の経緯に関して、後半は現在の日本における右翼・左翼の存在について述べています。
フランス革命に端を発する右翼・左翼の歴史についての説明は、丁寧でしたが私には長くてつらかったです…。
しかし、後半の現代日本における分析は非常に分かりやすく、共感できるところが多かったように思います。
日米安保闘争や冷戦など様々な政治的分野の変革だけでなく、日本の先進国化やサブカルチャーの推移といった文化的側面からの検討が興味深かったですね。
右翼・左翼共に、発端だったはずの理念・理想を実現するのではなく中途半端な妥協の中にある、という結論が印象的でした。
より高次元のトピックとして筆者が宗教を最終的に挙げてきたのも新鮮でおもしろかったです。
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右翼・左翼いうイデオロギーが、近年特にセカイ系小説のように矮小な動機づけに基づいている。
「自分自身が生きにくいのは、社会がゆがんでいるせいにして、世の中が変われば幸せで面白い日々が私にもくると信じる」
「自分自身の矮小さや脆弱さを、民族だの階級だの革命だのといった偉大な使命へ自分を委ねている自覚で乗り越えた気になる」ものとしての右翼、左翼といったイデオロギーが「一種のカウンセリングやメンヘルドラッグ」として求められる傾向が強まっているのだという。
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はて、この考えは左なのかはたまた右なのか。そんな疑問から本書を購入した。
今日続いてる右左の軸はフランスの政治に由来しているらしい。しかし国や歴史によって様々な意味付けもされているようだ。自分はおそらく左派だと思うが、左派の弱点はアイデンティを与えることが出来ないとの指摘は響いた。
ヒトが物事を理解するためにはそれを分けることだ。そしてそれは二つに分けることから始まる。右左もそのようなものだろうか。それともそれは原始的な敵味方を区別する生物的なものだろうか。
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社会主義、共産主義を唱えながら、そのための犠牲は厭う「左」と、ナショナリズムは叫ぶが、やはりそのための犠牲は避けたい「右」が補完し合いつつ、全国民的な政策合意であった「経済成長」へ邁進していった戦後日本。それは「右」「左」が、それぞれ核として持っていたはずの「正義」を喪失していき、体制の一機関と化してゆくプロセスだったといえましょう。p187
「新左翼」の学生運動のモチベーションの源泉⇒イギリスの政治学者イングルハートのいう政治行動の脱物質主義化?p196
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思想一般の不誠実さがどこからくるのか少し分かった気がした。己の思想がどんな来歴や原理原則に根差していることを直視せずに、結局のところ中道ぶる姿勢が欺瞞なのだ。
右派については、「自衛隊のイラク派兵…彼らのみにリスクを負わせるな。徴兵制復活が先だという主張が…上がったという報道はありません」という言及。
左派については、「被征服のリスクは、非武装の憲法を選択している論理的な帰結としては負うべき」という言及。
この原理を意識せずに何事かを述べること、本来自分の思想がこのどちらかに基礎を置き構築されていることに気づかないこと、それがあらゆる欺瞞の本性のように感じた。