紙の本
ハードボイルド風冒険小説
2024/04/27 16:37
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投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつてレジスタンスであったイギリス人が、依頼を受け訳ありの人物をリヒテンシュタインへ送り届けようよするが警察と謎の組織から追われることになる。真相は多くの人が予想できるであろうし、ミステリーというよりはハードボイルド風冒険小説という色合いが強い。
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ラストに分かるタイトルの意味
2023/05/21 21:12
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投稿者:マーブル - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの意味は最終ページでようやく分かる。が、何故このようなタイトルなのかが分かる訳ではない。静かに降る雪。トンネルのように真っ暗な山道を下りる。深夜を回ってしまった事実と、自分の人生がピークを過ぎてしまった実感とを重ね合わせているのだろうか。それともそれはわずかなこと、と言うことか。今の印象では行く先で待っているのは明るい未来などではない気がする。ラストの行為も、決して友情の結果でもなく、自分と違った道を歩んで欲しい、それに手を貸すことで自分の手の汚れを少しでも落としたい、そんな贖罪の行為に思えた。
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地名を知らないと
2022/08/16 12:46
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投稿者:ME - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後のカラクリもいまひとつよく分からなかった。少し長く感じた。
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ハードボイルドなバディもの
2018/09/30 17:52
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次世界大戦でレジスタンスとして活動していたルイス・ケインは戦争から久しく経っているにも関わらず、戦時に培った技能を生かして危険な仕事をしていた。自由のために戦った男たちが、戦後も戦争に縛られ続け、命のやりとりからいまだに抜け出せないでいる。変わるチャンスならいくらでもあるが、彼らはそれを手にしない。なぜなら、彼らは英雄のままでいたいから。
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早朝、たまたまつけたNHKの「小さな旅」で新宿ゴールデン街をやっていた。そこに恐らく偶然に映された「深夜プラス1」の看板。今は亡き内藤陳さんのお店ですよね。
久しぶりにギャビン・ライアルなど読み返そうかと本棚を調べたらライアルは数冊あるけど肝心の「深夜プラス1」が無い。という訳でAmazonで発注。
ところが読み始めると、確かに何度も読み返した本ではあるのですが、それにしてもどうも記憶に新しい。調べたら2012年に読んでいましたね。
とは言え、名作は何度読んでも面白い。
しかし、3年前に読んだ本はどこに行ったのだろう。
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12-012 2012/01/31 ☆☆☆☆☆
前回の感想を見ると、9年ぶりの再読のようです。
最初に読んだのは本当に若い頃でしたから、それにしては意外に日焼けしていないと思ったら、出張先(たぶんアメリカ)で買ってきた2冊目の本のようです。
下の感想に付け加える事はありません。
第2次大戦後の世界を描いた作品ですから確かに古びて来た。
しかし、やっぱり良いものは、良いです。
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03-048 2003/07/08 ☆☆☆☆☆
何でこんな本が机の上にあるのだろう?不思議に思い考えてたら、出張の時に向こうで捨ててくるつもりで100円で買った古本でした。本当に久しぶりの再読です。今回は、出てくる銃や車をネットで調べながらゆっくり読み通しました。
自ら同名の酒場を経営するタレント内藤陳さんの「読まずに死ねるか!」で大きく取り上げられた作品ですが、それ以前から読み、気に入っていた本です。
2次大戦のあとの話ですから、さすがにシチュエーションは古い。しかし、なんと言ってもこの雰囲気は捨てられない。重苦しく、ハードボイルド。登場人物のセリフや行動の一つ一つがシニカルで格好よくって。。。
こうしたハードボイルドの作品は数多く発表されます。ほとんどはすぐに消えていく中で、この作品は長く行き残ってきました。そうは言っても、この作品もそろそろ寿命だと思います。でも、私の中ではまだ生き生きとした作品なのです。
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20年ぶりの再読。キャラクター造形からストーリー展開、描かれる葛藤と矜持まで完璧な作品だ。
いつでも男は龍を追い求める。
それがひょっとしたら最後の龍である事を決して認めようとせず、戦いを挑んでしまうものなのだ。
ロヴェルとミス・ジャーマンが、最後の龍に巡り合わずに戦いを終わらせる事を主人公と共に臨んで止まない。
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再読。まごうかた無き傑作。
表紙デザインの着眼がいい。モーゼル拳銃がこの小説のシンボルと言えるから。
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冒頭の1ページからラスト1行まで痺れる小説など滅多にあるものではない。冒険小説の名作として散々語り継がれてきた「深夜プラス1」だが、読者が年齢を重ねる程に味わい方も深くなる大人のためのエンターテイメント小説であり、陶酔感でいえば当代随一であろう。優れた作家のみが成し得る唯一無二の世界へとどっぷりと嵌り、惜しくも最終ページへと辿り着いたあとは、軽い恍惚感と心地良い余韻にしばし浸る。他の作品では今ひとつ精彩が無いギャビン・ライアルが遺した奇跡のような「深夜プラス1」。発表は1965年。新訳を機に再読する。
第二次大戦終結から二十年後。元レジスタンスの闘士ルイス・ケインは、無実の罪で警察に追われる実業家をフランスからリヒテンシュタインまで護送する依頼を引き受ける。護衛役となる相棒には、元シークレットサービスで欧州3位の腕を持つガンマン/ハーヴィー・ラヴェル。大西洋岸のブルターニュに到着した実業家と秘書を乗せ、目的地に向けてシトロエンDSは闇の中を疾走する。その先に待ち受けるのは、正体不明の人物に雇われた殺し屋たちの罠。予測不能の強襲に対し、ケインらは培った経験と技術で応酬する。
物語の構成は極めてシンプルで、黒幕となる人物も意外性としては低い。だが、複雑なプロットを排した故に、展開するストーリーの密度が濃くなっている。一瞬の判断で危険を察知/回避し、敵を如何に欺いて翻弄するか。プロの仕事に徹するケインとラヴェルの伎倆が燻し銀の輝きを放つ。
成熟しながらも過去への感傷を捨てきれない男のロマンティシズムが横溢し、独自の世界観を創り出す。主人公や脇役、端役に至るまで、その場/その状況に応じてぴたりとはまる言動をとるのだが、これが実にクールでスタイリッシュなのである。登場人物の信条やレトリック、銃器や自動車へのこだわりなど、本筋よりも細部を味わうことに喜びを見出す〝欲深い〟冒険小説ファンにとっては、読めば読むほど味が出るに違いない。殺し屋を「ガンマン」と呼称するところなど、懐古的でありながらも、舞台をヨーロッパに移した「ウエスタン」としても捉えることでき、新鮮な印象を残す。
キャラクターとして人気の高いラヴェルだが、ドライなケインに比してウエットな性格であり、中途からは殆ど役に立たない。硬い殻の中に弱さ/ナイーブな一面を持つラヴェルは、或る種の女々しさも併せ持つハードボイルドの世界を象徴する人物ともいえる。ハードに生きる男の理想像を描きつつ、ラヴェルのような鬱屈した人物を配置したライアルの巧さが光る。再び暴力の世界へと戻り、己を律することで仕事を成し遂げたケインの自信と誇り。ラストシーンにおいて、対極的に収束する二人のアイデンティティー。その対峙は一層際立っている。
名前から女性によく間違えられるらしいが、翻訳家・鈴木恵は男性である。翻訳の良し悪しを評価できる素養を私は持たないが、硬質ながらも単調な言い回しが気になる菊池光に比べ、よりしなやかでスマートな文章に仕上がっており、一人称であるからこその魅力を伝えている。
ソフィスティケートの極みともいうべき「深夜プラス1」。終幕をそのままに表���たものだが、名作に相応しいタイトルを付けたライアルは、この時まさに神懸かっていたのだろう。
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旧作でも名作であれば面白い。
設定としては第二次世界大戦の二十年後。主人公は大戦時もレジスタンスとして活躍した運び屋。相棒はアル中のガンマン。運ぶのはフランス人の富豪と美人秘書。
設定としてはベタだし黒幕も予想通り。それでも次々と刺客が襲ってくるスピーディな展開と色々なツテを活かして目的地へと向かうサスペンスのような展開が読ませる。
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カーアクションやバトルの中にもある頭脳戦。
それがかっこよかった。が、頭が付いて行かなかった。
敵と味方が入りまじり、敵か味方か分からない展開の戦いがスリルがあった。
呑んだくれのガンマンと腕利きドライバーが立ちはだかる警察や謎の敵を切り抜けながらリヒテンシュタインまで実業家を運ぶ展開が男らしくかっこよかった。
めまぐるしい展開に頭が付いて行かなかったので、味わえる魅力が半減してしまったかもしれない。
再読して今度こそ魅力を存分に味わいたい。
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15年ぶりに再会した元恋人ジネットに逆プロポーズ的なことを言われたルイスのモノローグ
『いきなりそんな。』
一貫してハードボイルド調の一人称翻訳文で急にテンションがおかしくなるキャントン萌え。
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エンタメは進化していくものだと思う。
過去の傑作は、次々と現れる新しい才能により下敷きにされ、踏み台にされ、より新しい傑作に取って代わられる運命にあると思う。
しかし、中には圧倒的に輝き、後進の追随をはねつけるほどの作品がある。
この本はその希少な一冊じゃないだろうか。
古臭いのは仕方ない、それでも息をつかせぬほどに面白い。
エンタメ好きに多大な影響を与えていると思う。
ルパン三世が世に出て人気が出たとき、ああ、ノリが軽すぎるけど深夜プラスワンだあ、と思った記憶がある。
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新訳、読みやすい。ジネットって、こんな可愛らしい女性だったんだ。キャントンのプロ意識、正義へのこだわりが、やっぱカッコ良いよなぁ。ベストをつくそうとしながらも、結構「あっ!イケネ!」な部分もあったんだなぁ。ハーヴィーは、どうしようない呑んだくれだねぇ「ごめん、呑んじゃった。俺、使い物にならんわ」は、無いだろ(笑。この年になって読むと、いろいろ発見があって楽しかったです。超絶オススメのエンターテイメント!面白い!
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実際は古いほうの文庫。もう何回読んだか分からないくらい読んでいる。その度ごとに感銘する。ふしぎなものだなあ。
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第二次大戦で大活躍した元レジスタンスの英雄”キャントン”ことイギリス人のルイス・ケインとヨーロッパではトップ3に入るガンマンで元シークレットサービスのアメリカ人・ハーヴィー・ラヴェルのコンビが、殺し屋と警察双方に追われる実業家マガンハルトとその美人秘書をフランスからスイスを経由し、リヒテンシュタインまで送り届けるという護送する依頼を受ける。タイムリミットは3日後の零時ジャスト。その間、殺し屋たちから命の危機にさらされ、警察からも執拗な追跡を受けながらも自分の生き方を曲げないルイスとハーヴィーの姿を描いたハードボイルド冒険小説の古典的名作。
本書の存在はかなり前から知っていたが、今まで未読だった。2016年に新訳が出ているので新訳の方を読んでみた。
1965年に発表された本書であるが、本書を読んでいるとハンフリー・ボガード主演の『カサブランカ』や『三つ数えろ』のような名作白黒映画を思い出した。セリフや主人公達の行動がいちいち格好いいのだ。
ハードボイルド冒険小説としては銃撃戦あり、騙し合いあり、裏切りあり、と極めてオーソドックスなストーリー。かといって今の冒険小説にありがちなジェットコースターアクションでは決してない。
順序よく定期的に敵や警察の襲撃に遇い、それを撃退しながら目的地へ車や列車を使って進んでいくという、どちらかというとロードムービー的な要素が強い。そして各種イベントの間に主人公達の小気味よい会話が繰り広げられ、読者はそこで一息つく。
『深夜プラス1』の魅力はなんと言ってもそのキャラクターとセリフ。
元英国特殊工作員“キャントン”ことルイス・ケイン、そして腕は凄腕なのだがアル中のハーヴィー・ラヴェル、この二人の男の美学を読者は本書を読みながら感じまくることができる。
例えば、ルイスとハーヴィーは任務中に警官は殺さないと決めている。ハーヴィーがそれをマガンハルトに説明するセリフがまた痺れる。
『おれたちみたいに逃げる連中なんか、お巡りは気にしない。それもあたりまえだと思っている――むしろ歓迎する。
逃げるのは敬意を示すことなんだから。だけど、お巡りを殺すやつは?そいつは逃げなかった。敬意を示さなかった。つまりそいつは法を犯してるだけじゃなくて、法を破壊しようとしてるんだ。
お巡りが自分たちの象徴していると考えるものに、ことごとく挑戦しているわけだよ。法、秩序、文明――そしてすべての警官に。
それはもう他人事じゃない。そいつだけはつかまえなきゃならない』
自分たちにとって現在は敵である警察官にも敬意を払う。もう『男の美学』という言葉しか見つからない。
そしてルイスとハーヴィーの掛け合いを読んでいると、どうしても『ルパン三世』のルパンとその相棒のガンマン・次元大介を思い出してしまう。伝説の英雄“キャントン”がルパンというのはちょっと軽すぎるかもしれないが、敵の声色使って相手を騙すところや、敵になりすまして相手をやり込めるなんてところは変装が得意なルパンと共通する。
そして、ハーヴィーはそのまま次元大介だ。公式的���は何の発表もないが、たぶん次元大介のモデルはこのハーヴィー(ちなみに漫画『ルパン三世』で次元大介が初登場したのが1967年10月号『週刊漫画アクション』第10話『ルパン殺し』。『深夜プラス1』の発表が本国では1965年、日本語訳初出が1967年なのでその可能性は高い)。
ガンマンとして随一の腕を誇りながらもアル中で酒を飲まないと手が震えてくるハーヴェイと帽子を被らないと正確に銃が撃てないという弱点を持つ次元大介、弱点を持つガンマン、そしてクールな男の渋みが持ち味というところが二人の共通点だ。
その脇を固めるのが時折不可解な行動をとるマガンハルトの美人秘書ミス・ジャーマン(『ルパン三世』的な立場で言えば峰不二子かな(笑))とルイスの元恋人のジネット。彼女達とルイス、ハーヴィーとのやりとりもおしゃれで素敵だ。
『深夜プラス1』は冒険小説の古典であり、数々の作品の元ネタとなってきた。
先ほどの『ルパン三世』やタイムリミットがあるなか二人組の相棒同士が困難な任務に挑む話など、それこそ星の数ほど作られているが、本書が元ネタだと思われるものがなんと多いことか。それだけ、今の時代二番煎じ、三番煎じのモノが溢れているということなのだろう。
本書は今から50年以上前に書かれた小説であるが、全く古さは感じない。むしろ、ハードボイルド冒険小説とは本来こういうものかと新鮮さを感じたほどだ。
冒険小説ファンを名乗る読者人なら一度は読んでおかねばならない一冊だろう。