自動車産業は第2の石炭・家電産業になるのか?
2018/09/19 05:31
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投稿者:nobita - この投稿者のレビュー一覧を見る
大規模でないカーメーカは生き残るために、寄らば大樹の陰になるであろう。又は家電メーカのように海外メーカに吸収されるであろう。電動化の潮流は止まらないだろう。自動車を取り巻く状況が大きく変化しているのが、よくわかる本である。マツダの例がこの本にも記載されているが、継続していくことができるかが、彼らの生死を分けることになるでしょう。
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【トヨタが没落し、グーグル栄える「未来のクルマ」】燃費で勝る日本を一挙に追い詰めた中国・EUのガソリン車禁止、自動運転技術を握ったITの巨人たち。日本車没落の未来を透視する。
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年末年始に平積みになっていた新書。
刺激的なタイトルになっているけれど、いわゆる100年に一度の変革を、経済記者の視点で、マーケットと日系主要自動車メーカーの状況についてまとめた本。
書かれていることは、ネットや新聞雑誌で書かれていることをまとめた程度で、それ以上でもそれ以下でもない。
自動車産業のいまをおさらい。
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クルマ業界の現状とこれからがほどよくまとまっていてわかりやすい。就職を考えている電気・通信・情報・機械系の学生は読んだほうがいい。できれば中華系メーカーやタタモーターズの話もあるとよかった。
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ここ数年で自動車業界において再編・連携があり報道もなされていました。報道内容を表面的に見る限りでは、三菱自動車は日産に吸収合併、トヨタとマツダの連携も規模の違いからトヨタによる事実上の合併であろうと私はなんとなく理解していましたが、この本を読むことで、それは大きな誤りであることに気づかされました。
この本を執筆された井上氏は、自動車業界について長い間調査を続けており、新聞情報では見られないような内容、その考察が書かれています。
欧州車の偽装問題があったかと思えば、欧州や中国ではハイブリッド車を飛び越して、一気に電気自動車の世界へ移行するかもしれません。今まで何度か電気自動車ブームがあって萎んできましたが、インターネット技術・シェアリングエコノミーが進展するなか、また、若者たちの意識が変わってきた今では、何度かの挫折を乗り越えてインターネットが最終的に普及したように、電気自動車がメインになる時代が迫っているのかもしれません。それも遠くない将来において、私が今の会社に勤務している間にもやってきそうな予感がしました。
以下は気になったポイントです。
・ユダシティ(企業名、オンライン教育のベンチャー企業)の野望、1)技術の標準化、2)車のプラットフォーム獲得、これらは競争のルールを変えようとしている。その中枢にドイツや韓国の企業が入り込む中で、日本の企業が食い込めていない(p21)
・ボッシュはFOTAと呼ばれる車載ソフトウェアを無線でアップデートする事業を2018年に開始、日本では2019年から、これによりスマホのアプリの様に新バージョンにアップデートできる(p26)
・タイヤメーカからメガサプライヤーに成長したコンチネンタルに限った話ではないが、ドイツでは部品メーカと完成車メーカにおける技術面における力関係で逆転現象が起こりつつある(p30)
・自動運転車の分野では、インテル連合と、エヌビディア連合がある、トヨタはGPUの自社開発をあきらめ、エヌビディアの軍門に下ったとも見れる(p36)
・自動運転でコアになる技術、1)目となる画像処理、2)データ処理により、エンジン・ブレーキに指示を出す人工知能、3)半導体技術、並行演算、4)三次元地図(p39)
・CADは手作業をデジタル化したもので、業務効率化に入るが、バーチャルエンジニアリングは、自動車産業の開発思想を抜本的に変えてしまった、この開発手法「モデルベース開発・MBD」を使って初めて成果を挙げた国内メーカがマツダである、モデルを精査することで、実物のエンジンを使った試験データと、バーチャル試験のデータを同じにできる(p54、56)
・ドイツの自動車メーカは、日本勢にかつために、生産技術で勝負するのではなく、開発領域で対抗しようとした。設計者をサポートするために、バーチャルエンジニアリングのツールを開発する会社が台頭してきた(p59)
・トヨタの狙いは、自身の規模拡大よりも、運命共同体ともいえるデンソーやアイシン精機など系列部品会社の規模拡大である。トヨタが誇るハイブリッド技術は優れているが、そ���を採用する自動車メーカは少ない、世界の潮流は電気自動車に傾きつつある。トヨタが特許で固めて他社に使わせなかったことが大きな要因、これによりガラパゴス化する危機を招いている(p70)
・価格勝負となる新興国向けの車開発をトヨタからダイハツに移管する方針で、タイにあるトヨタの開発拠点をダイハツが活用する、ディーゼルエンジン事業は豊田自動織機、MTはアイシンエーアイに移管した(p71)
・2017.2に、ホンダは日立オートモティブシステムズと合弁会社設立を発表、自前で開発してきたハイブリッド車のモータを日立との合弁会社に委ねた、出資比率も日立が51%で経営主導権を渡した(P74)
・車の電脳化によって求められる技術は、機械よりもソフトウェア制御に移っている、正確には機械とソフトウェアを融合させる「機電一体」の技術、過去の強みが弱みに変わる「破壊的イノベーション」の時代には、圧倒的な規模とシェアを持っていた事業が急速にしぼんでいく(P75)
・以前は高級車レクサスのみに、先読み情報サービスを付けていたが、それば対応カーナビを装着すれば、レクサス以外でもスマホ経由で音声認識サービスが受けられるようになった(P85)
・トヨタコネクティッドの前身、トヨタメディアサービスは、2000年に当時は平取締役だった現トヨタ社長の肝いりで設立された、マイクロソフトとセールスフォースドットコムが出資(p86)
・2016年には米テキサス州にマイクロソフトと共同で現地法人を設立、クルマのスマホ化を推進する(p87)
・4代目プリウスから、トヨタ・ニューグローバル・アーキテクチャ(TNGA)という設計手法を採用した、車体構造や部品共通化である。開発から製造までの仕事の進め方を見直して、プラットフォームが同じであれば、部品・構造を徹底して共通化する体制に変えた、これにより作業の共通化が進む(p89)
・トヨタの米国での販売減は、車の大型化という市場の流れに乗り遅れてしまったことが要因である、日産、スバル、ホンダ、マツダが過去最高益を更新するなかで(p94)
・トヨタは、2015年秋には、ケンタッキー州工場内に3.6億ドルを投資して、レクサスESの新工場を建設、米国で初となるレクサス生産を始めた(p97)
・トヨタの7つのカンパニー、1)コンパクトカー、2)中大型車、3)商用車(CV)、4)レクサスインターナショナル、5)先進技術開発(燃料電池、自動運転)、6)パワートレイン(エンジン、変速機開発)、7)コネクティッド(車とITの融合)(p103)
・2017.4入社式の日に、トヨタ本社地区で火事が起きた、その2週間前も三重県トヨタ車体工場で火災発生、最新鋭工場であった(p107)
・EVの基幹技術である、モータ、電池、インバータ(直流を交流へ変更)、回生ブレーキ、統合的制御システムにおいて、電池以外の技術では圧倒的な技術を持っている(p111)
・VWは2016.11に、新経営計画の注力分野として、1)コネクティビティ(ネットワークとの接続)、2)自動運転、3)電動化、4)カーシェア、を掲げた(p118)
・立派な車ができる仕組みをドイツの自動車業界は持っている、そのひとつがES(エンジニアリングサービス)、オーストリアのAVL、ドイツのFEV、EDAG社など、この3社は日本にも拠点をもつ、ホンダはシビックエンジンの一部をAVL、車体開発の一部をEDAGに委託した(p121)
・VWは、2017.5、中国安徽省のJACとEVの合弁生産を決定した、VWは中国にたまっていた資金で、米国環境保護局から課せられた1.5兆円の制裁金、補償金を払った(p134)
・ディーゼル不正はVWだけでなく、ドイツメーカがほとんどグルになっていたので、それを覆い隠すために国ぐるみでEVシフトしているとも言われる(p136)
・新型リーフの武器は、e-Pedalで、アクセルペダルから足を外すと、エンジンブレーキの4倍の勢いで減速させる仕組み、街中での走行のほとんどはブレーキが要らなくなる。回生ブレーキシステム(電子技術)と、摩擦技術を使った機械式ブレーキを融合させたシステム(p141)
・日産は、ハイブリッドという言葉を一切使わない、広報宣伝戦略をしている、e-Powerという名称(p142)
・日産の開発手法は、CMF(コモン・モジュール・ファミリー)2013年の新型車「エクストレイル」から導入、車体の構造を4つ(エンジン、コックピット、サスペンション周辺車体前部、車体重量をさせる車体後部)、それに電子制御を加えて「4+1ビックモジュール」となる、この5つを組み合わせて車を作っていくという設計思想(p149)
・日産が34%の三菱自動車の株式を出資するのに、下落前の5000億程度から、半値以下の2370億円で経営権を取得できた、また財務リストラを終えたばかりの三菱には、当時4500億円のキャッシュがあった(p154)
・三菱には軽自動車の生産技術(独特のノウハウ)があり、新興国市場攻略低価格車にも応用できる、軽を自前で生産していない日産にとって、とても魅力的であった(p125)
・日産での会議は、どの会議も、いつまでに結論を出すかが決められている、無駄なメンバーが入って予定外の議題が出うることを嫌う。議事録も決まったことをホワイトボードに書き込んで、それをカメラ撮影して関係者に添付ファイルを送付、議事録作成は付加価値を生まない(p165)
・ソフトバンクとホンダはAIで共同研究することが発表(2016)された、ソフトバンク子会社、ココロSBが開発した、感情エンジンをモビリティへ活用する研究、2016.12にはグーグルと燃料電池システムの量産を行う合弁会社を設立(p177、181)
・自分たちが敵わない技術や開発ノウハウを持つマツダに対して、巨人トヨタがアプローチしてきたのが取材を通してわかった実情である、MBDをいう、バーチャルシミュレーションを使って、試作品を作らずに製品仕様を決めてしまう手法でマツダが最も進んでいる、これで開発されたのが、圧縮比率14というスカイアクティブエンジン(p199、205)
・専用機ではなく汎用工作機を使っているので、13種類のエンジンを1つのラインに流すことが可能となった、専用機時代には45あった工程が、4工程となった(p209)
・マツダでは、ともすれば対立しがちな開発部門と製造部門が一体となって改革にとりくみ、共通化と多様性の要素を両立させている(p211)
・マツダの環境問題に対する概念は、WtoW(燃料採掘から車両走行)を重視している、EVは発電プロセスで二酸化炭素が出る、ディーゼル車は排出量も少なく、軽油のエネルギー密度は、リチウムイオン電池の40倍もある、マツダは内燃機関の効率化で、二酸化炭素減量に取り組む(P217)
2018年1月8日作成
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昨今、自動車業界は最大の転換期を迎えているといわれています。エンジンからモーターへの駆動系の変化、ネットへの接続、自動運転への移行などの変化が一気に進もうとしています。
これら一連の技術の簡単なおさらいと、これらの変化によって主なメーカーはどのような問題を抱えているのか等について解説しています。本書で取り上げられているメーカーはトヨタ、VW、日産、ホンダ、マツダです。中でもマツダの部分は非常に興味深い内容でした。
一時期は経営難に陥ったマツダが最近は非常に好調です。この復活の裏には設計手法の大転換があり、それは他の日本メーカーの追随を許さないレベルで運用されている事実があります。これら設計手法の概要や、なぜトヨタはマツダとの経営統合に踏み切ったのか等の解説は新聞記事だけでは分からない情報でした。
この転換期に日本の自動車メーカーが先を見誤り、「昔は日本の家電は世界一だった」と言われるように、「エンジン車の時代は日本の車は世界一だった」と過去形で語られる事態とならないことを願うばかりです。
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自動車産業で100年に一度のパラダイムシフト(CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric))が進んでいる。自動車関連の会社に勤めている私にはとても気になるテーマである。
CASEに関していろんな書籍が出ているなか井上さんは、自動車会社の組織や人事にまでも踏み込んで書かれているのが、すごいと思います。その分析もなるほどと思える。
でも、予測どおりに行かないのが世の中。
消えないように頑張るだけです。
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現在自動車業界は大きなパラダイムシフトが起きている。
①自動運転の開発が加速している
②より複雑になるにつれて、開発工数を下げるために、バーチャル・シミュレーショでの開発が進んでいる
③開発費が膨大になってきているので、スマイルカーブ現象が生じ、ある程度の規模を追うか、自社の得意な技術などに特化するかの選択に迫れている
それぞれの会社の戦略が面白い。
やはり同じ土俵で戦うのではなく、どのように強みを活かしていくのかの長期的な戦略が必要。
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現在の自動車業界の状況を考察した本。自動車がスマホ化していると言う。果たして日本の自動車会社は生き残れるのかがテーマで、現在の状況をよく分析し考察している。
車の電子化の広がりで脱落するメーカーもあると思うけれど、いくら電子化が進んでも、車の基本機能「走る曲がる止まる」のノウハウは最低限必要なものであり、本体の製造を担う会社が消えることは無いと思う。会社は時代の要請に応えて、事業を多角化したり提携したり変化させていくので、自動車だけの話で全てを語るのはどうかと思った。
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新聞の経済面は毎日自動車関連のニュースが多いが、門外漢なのでたまにこういう新書でまとまった知識を得られると本当に助かる。
トヨタの項はあまりメディアに出なかったという複数の工場の火事や章男社長の人事、アメリカでのロビー活動の弱体化などもと朝日新聞経済部記者だけにかなり詳しいかつ辛辣。
日産の項は、事業の選択や社内マネジメントなど、世界を牽引する会社の勢いが伝わっきて非常に刺激的。
※ちょっとレビューを書いてみたら著作権違反になるくらい引用が多くなってしまったので、メモに保存。ブクログは便利だな~
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2018年、26冊目です。
タイトルは、昨今の車のIT化の流れに迎合するようなセンセーショナルものですが、
内容的には、そんなことはほとんど書かれていません。
各カーメーカーが、今後の自動車開発にどう向かっていくのかが書かれています。
既存の自動車メーカーが、各社の特徴を強みにして、スマホ化する自動車の時代で
如何に車を開発していくかを好意的に書いています。
特に、マツダの取り組みに、高い評価がされています。
中でも、バーチャルエンジニアリングやモデルベース開発で他社をリードする取り組みを進めていると言われています。
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自動車会社は消えるわけではなく、自動運転やIT化による他の業種からの参入が一層激化するというのが主旨。
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180116自動車会社が消える日 井上久男 ☆☆☆
傑作本 トヨトミの野望の著者ではないかと推測する
自動車業界は大きく変わりつつある 日本のメーカーは対応に後手
1.パラダイムシフト クルマのスマホ化とロボット化
ハードから制御ソフト ネットワークでアップデイト
完全自動運転 人工知能と融合
2.ビジョン・長期戦略に合わせてエンジニアを育成
横並びの絶対評価を厳しい相対評価へ
3.全体を構想する力とリスクを取る力が凄い
4.名人芸に依存する日本軍の怠慢 「ものつくり敗戦」
兵器をシステムとして運用する思想と能力を欠いていた
5.豊田章男社長の課題 豊田の凋落か・・・(Ⅳ章)野望と同じ
内向きの風土 仲良し人事によるモラルダウン
世界はEVへ? 豊田のHVを牽制
6.VW新経営計画「トランスフォーム2025+」
(1)コネクティビティ ネットワークとの接続
(2)自動運転
(3)電動化 雇用に大問題 生産体制の縮小
(4)カーシェア
7.孫正義「産業の再定義」自動車も対象 世界13億台がデバイスになる
ホンダの迷走 台数主義 コストカット→技術者の退職 八郷氏「わいがや」復活
8.マツダの新しい戦略展開に成功
日本のメーカーは「新しい国際社会の在り方」に鈍感 安全保障+経済政策
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刺激的なタイトルだが、筆者の日本車メーカーへの期待が込められている。
ただ、個人的には日本車メーカーの未来は悲観的。
それほど、CASEは従来の車の概念を変えると思う。
ついていけるかどうか。
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「自動車がスマホのようにコンピュータ化する」というのが言われて久しいが、それによって日本の経済界ひいては我々の生活がどのように変わってしまうのか、それを広く知るために著者が取材を重ねて出来上がった本。
いつから読みたいと思ってたか既に忘れてしまったが、図書館に無く、ついに購入してしまった。
いわゆる"中の人"的に関わっていた私から見ても、取材先の幅広さに感服する。トヨタ日産に留まらず、外資系の情報はもちろん、それによる世界市場を知ることができた。
日本経済としては耳の痛い話。今後の大きな変革を注視していきたい。