電子書籍
地方都市の憂い
2017/12/11 16:14
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投稿者:真太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
商店街活性化問題について、読めば読むほど「これ地元?」と思う方々多いのでは。それぐらい時代から取り残され、沈みゆく商店街の数々。そんな商店街を復活させようと行政と地元住民がタッグを組み、家族や近所を巻き込みながら、模索しながら健気に企画立案する姿勢に感動。助成金の仕組み、再開発事業計画という言葉の真意も随時わかり、日本の地方のあり方改めて思い直すべきではないかと。
紙の本
メガネっ子とギャルママが
2022/03/27 14:48
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
頑固おやじたちが居座る商店街をひっくり返していく姿が爽快です。2000年の大規模小売店舗法や、近年の再開発事業についても勉強になります。
紙の本
超現実路線の野心作。
2018/11/09 08:47
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
山内マリコさんにヒット作が出ましたよ。
読んでいる途中で、なんでこれが直木賞の、しかも候補作にすら
入らなかったのかと目を血走らせながら読んでいました。
中盤から終盤にかけてが直木賞的にはいけないのだと思われます。
わたしも読んだ直後は、なんともいえないイヤーな感じがしましたし。
しかし一日たち、二日過ぎると嫌な部分が苦みに変わります。
すると頭が冷静になって、これが最も現実的な展開だということに
気づくのです。小説的には盛り上がりにかけるのですが、
現実社会の問題点を鋭くえぐっていて、
大人の解決策のせいでかえって傷口に塩が塗られてしまうのです。
誰も気づきもしないまま。
そこには、受け入れるしかないという、やるせなさしか残っていません。
前半の軽快な面白さにつられていただけに、
後半はずずんと重みがかかってきました。
書評を書き始めるのに、いつもより時間が必要でした。
観察力がものすごく鋭いのに、真正面から切り込まずに面白おかしく
読ませるので、コントラストが効いています。
時間をかけながら広まっていく作品のような気がします。
表面的には分かりにくいですが、内面にしっかり流れるものがあるので、
作品の個性は強いです。
地方のシャッター商店街のお話です。
むかしは華やかだった商栄会商店街。
主人公は商店街にあるウチダ書店の娘の貴子です。
実家の本屋が好きだったのですが、父親の猛プッシュにより
市役所勤めをしています。所属は広報課。
ある日、市役所中心市街地活性課の星野から、
大学講師のゼミの研究への協力を押しつけられました。
講師はまゆみ先生といい、まちづくりを学ぶ学生とともに
活動できるネタを探しに来たのでした。
地方創生をきっかけにして、地方の個性を取り上げるTV番組が
増えていますが、この小説は三歩くらい先をいっていました。
これぞ真実、まさに現実。うなってしまいました。
大事なことは、これは地方のさびれたシャッター商店街の哀愁話に
とどまらないってことです。
古きよきニッポンにしがみついた結果がどうなるか。
盛り返そうとしても、既得権益と若気のいたりのぶつかり合いで
皆がまとまらなければ何が起こるか。
いつの間にか行政が手を回していて、きれいごとで片付けてしまう
強制リセットの現実。
これまで日本中のあちこちで、何回も見てきたことではないですか?
都会だって、こういうローカルエリアがあちこちあるはずです。
バブルの時の地上げを思い出して下さい。
さびれたままではいけない。
新しければいいというものでもない。
では答えは?
○×みたいな答えなんかあるはずがありません。
とても考えさせられる作品でした。
文体が軽やかだからこそ、頭の中はぐるぐる回り、
これこそ小説だと強く思った次第です。
でも星は四つ。矛盾するみたいですが、未完成感がありますので。
紙の本
正反対の姉妹
2018/01/21 19:46
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
寂れた商店街を再生しようと奮闘する人たちのドタバタ劇。
公務員の姉と正反対の妹が10年の家でから突然帰って来ます。しかも臨月で。
シャッター街再生に立ちはだかる問題が続出。こういった問題、実際にあるんでしょうねぇ。
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やっぱ長編向きじゃないな、と改めて感じさせられたかな。。山内さんは短編のが光る、気がする。
今作もアラサー女+地方都市小説。さらには社会派です! シャッター街になってしまった商店街をなんとか再生させようと姉妹で奔走する話。
フリポケ調べたら実際に富山で行われてた(行われてる)っぽいですね。
地元富山愛がビンビン感じられるのですが、強すぎてうまく入ってこなかった。けど、ゼミ生の片桐くんの冷静すぎる視点が良かった。特にレポート。
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【さびれた商店街の未来とは?】著者が地元、富山の商店街を徹底取材。なぜ商店街がさびれていくのか? 再生のために何ができるのか? 著者渾身の社会派エンタメ!
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首都圏に住んでいるけれど、20~30年ほど前にはあった近所の小さな商店街が2つとも、今は無くなっている。多くの店が普通の住宅と差し代わり、ところどころに店のある住宅街の道といった感じ。私の小学生時代には夏祭りや七夕祭りなどが結構盛大に開催されていて、友達と行くのが楽しみだった場所だ。駅前にデパートやスーパー・商業ビルなどができて、寂れてしまった印象がある。そのデパートも今は撤退しちゃったけど。そんなことを思いながら読んだ。
似たようなことが日本中の商店街で起きているんだろうし、今、日本の社会全体も商店街のように縮小しているように思う。色々、示唆に富んだ内容に思えた。
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王様のブランチで紹介されていて面白そうだったので。
シャッター商店街を再生するため奮闘する姉妹の話。
再生が難しいのは、単に「人がいない」ことだけが理由ではないのだなあ。
ずっと姉目線で物語が進んでいたが、最終章で妹目線になり、エピローグ的に5年後の現実が語られる。
完全なるハッピーエンドではないところがリアルだけど、タカちゃんはかなりの高齢出産……というところが気になる。。。
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山内マリコの小説って、小気味良い文章で地方を小馬鹿にするような小説というイメージで、その小気味良いタッチで、ストーリーのついでに余計なことをゆってみて、その余計なことがおもしろい小説だと思う。インスタグラムとかみてても、そんな小説書いてるのに垢抜けきれてないところが好感度が高い。
けど、そろそろそういうのも飽きたなーと思ってたところで、メガネと放蕩娘。
小気味良い文章なのは以前のとおりで、地方を馬鹿にせず、余計なことも言わない。
いっぱい調べて、いっぱい勉強して、それで書いたのだろうなと思わせる。
一言で言うと地方のさびれた商店街を立て直す姉妹と仲間たちの話なんだけど、このタイトルのメガネは姉、放蕩娘は妹のことで、そのタイトルはちょっとイマイチだなと思う。
エッセイで好きだと言ってたように記憶しているんだけど、獅子文六とかっぽさに憧れてるんだと思う。それっぽいタイトルにしたかったんだと思うけど、なんか全然いまいち。わたしとしては、放蕩のほうだけに娘がついてるのも気に入らないし、じゃあなんてタイトルにしたら納得がいくのかわからないけど、とにかくいまいちって言いたい。
あといまいちなのは、余計なこと言わないところと、タイトルだけではなくて、ラストの始末もいまいち。
なんかやっぱりそれっぽさにあこがれているのか、丸くおさめたいのか、どうしても、めでたしめでたし、チャンチャン!って言って終わらせたいのか、雑だと思う。
と、気に入らない山内マリコの新刊だったけど、表紙の黄色と水色のしましまがかわいくてくやしい。
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今作も地方都市×アラサー女子というザ・山内マリコ作品なんだけど、人生の分岐点を迎えた主人公より衰退した商店街の活性化計画に比重を割いている点が印象的。楡周平の『ドッグファイト』みたいな経済小説に近い。著者の作品は女性の方が楽しめると思ってたけど、これは間違いなく男性も楽しめる。
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山内マリコ 著「メガネと放蕩娘」、2017.11発行。昭和の香り漂うアーケードの商店街、百以上あった個人商店が、今や10軒に満たない状況、シャッターが街に。そんな商店街を活性化しようとする若者たちの物語。そこそこ楽しめますが、「いまいち」の感は否めなかったです。失礼しました。
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寂れたシャッター街のアーケード商店街にあるウチダ書店は、市役所務めのメガネのタカコと、高校中退の家出娘ショーコの実家。
ショーコが大きなお腹を抱えて戻ってきてから、二人の中でこの商店街をなんとかしようという気持ちが高まり、周りの協力のもと奮闘することとなった。
表紙が可愛い。寂れた商店もこんなならいいなと思わされますが、そうはいかないか。
軽いタッチで描かれるストーリーですが、大きな社会問題をテーマにしているため、読ませます。
店子募集時に申し出た若い人達の店、天然酵母のパン屋カフェ、洋服のセレクトショップ、器の店、北欧雑貨の店、ブックカフェなど、みんなが出店できたら、間違いなく商店街が活性化するのにと思います。黒磯にもありますよね。
でも、なかなか上手くいかない。残念。
フリポケという落とし所と、再開発は現実的かなと思いました。
ショーコの娘街子が可愛い。彼女達の代で、また何かが変わってくれたらいいなと思いました。
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商店街の町おこし、あるあるがいっぱいで、とてもリアルで、今まで勉強してきたことを小説というかたちにまとめるとこうなるんだなあと思う。すごく良くできているから、街づくりについて勉強したい学生には必読本として紹介したいし、ふつうに面白くて万人向けに売れそうとも思う。でも、豊島さん以降のあねもね系作家さんのひとりとしてずっと受賞作から読んできたものからすると、山内マリコさんらしさみたいなものが徐々に薄まっていっているようで少し悲しい。最初の二作がすごくとがっていたので、そういう作品を期待するんだけど、彼女も世の中と繋がっていく中でだんだん丸くなっていくのね。
とはいえ、いろいろな立場からの視点でものが見えてくるのは、大人としての経験や人脈のたまものだろうから、そういう良いところが生かせた小説でもあるな。
これからも応援していきたいと思う。
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子供の頃はクラスメイトに商店街の子がたくさんいました。パン屋さんの子、おやつにフルーツサンドが食べられるなんて羨ましかった。畳屋さんの子、肉屋さんの子に八百屋さんの子、蕎麦屋に小間物屋、本屋、銭湯もあったな。今はもう行くこともできない場所だけれど、あの商店街はどうなっているんだろう・・・などと読みながらふと思ってしまいました。
商店街の活性化、と一口に言っても、細々とした制約や問題点があり、なかなか実現しないのだなぁ、と考えさせられました。若者たちはそこに何とか活路を見出そうとします。
その奮闘ぶりや片桐くんの論文などは面白いのですが、ラストは成り行き任せの現在進行形。これが商店街の運命なのでしょうか。
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商店街の町興し、市役所が絡んでのストーリーだったけど、やっぱりそうなるかという結末。
シャッター通りの実状が意外でびっくりしたけれど、これは日本の各地で抱えている問題なあと。あえてシャッターをおろしたままにしていることに憤りを感じたのは私だけなのだろうか。