神意を知る王はいつ生まれたのだとうか?天皇の歴史を解説した画期的な書です!
2019/01/31 10:35
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、神意を知る王はいつ、どのように生まれたのだろうか?というテーマをもって我が国の天皇の歴史を遡って丁寧に検証した一冊です。卑弥呼や倭の五王まで遡り、『古事記』や『日本書紀』の記述を丁寧に解読しながら、神武天皇以降の我が国の天皇について解説していきます。天皇号と日本国号の成立などについても解説されており、非常に興味深い内容となっています。ぜひ、多くの方々に読んでいただきたい一冊です。
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の始まりについて記紀からどこまで言えるのかどこから不明なのかが分かりやすく書いてあり面白い。三種の神器のルーツに剣や鏡を各豪族に分配したり逆に各豪族が服属するときに剣や鏡を献上させたりしたことに触れていて勉強になった。
史料に基ずいた検証
2021/10/09 15:31
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投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
天皇制はいつから始まり、なぜ代々続いてきたのか。との疑問を持っている人は多いのではないだろうか。古代天皇制の成立を記紀や中国の史料から検証して論じている。著者は欠史八代の天皇は後に追加された天皇とし古事記神話は天皇と藤原氏の共治体制の正統性を説いていると。しかし史実でないとしても古事記・日本書紀を読み記紀神話についても理解しているのが古代史を考える前提とする。と述べている。東アジアの島国日本の天皇制統治機構を考えるとき、イデオロギーに囚われず検証・研究が必要ではと読後感じた。
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序章 「天皇の歴史」のために
第1章 卑弥呼と倭の五王
第2章 『日本書紀』『古事記』の伝える天皇
第3章 大和朝廷と天皇号の成立
第4章 律令国家の形成と天皇制
終章 天皇の役割と「日本」
著者:大津透(1960-、東京都、日本史)
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天皇制はどのようにして生まれ、なぜ現在まで続いてきたのか。その誕生は東アジアの国際関係と関係があった。中国の晋の冊封を受けた倭の五王、そこから離脱してワカタケル=雄略は小帝国を目指す。その延長上で大王、そして天皇を号するが、それはやがて律令国家の中央集権制を支えるために必要不可欠の道具となった。
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2010年に刊行された「天皇の歴史」シリーズの文庫版。2016年の天皇明仁(当時)が発した「象徴としてのお務めについてのおことば」を契機とした議論の高まりが文庫版の出版に繋がったようだ。副題にある通り、神話時代における天皇系譜の成立過程を探るのが本書の趣旨であり、それは史料なき時代の考証を、記紀やその他の後世の史料の批判的読解から行おうとする試みとなる。当然ながらわかり得ぬものを扱うため推測が混入することを防ぐのは不可能だが、各種史料を複合的に批判してその裏にあるものを炙り出そうとする専門家たちの苦闘がよく伝わってくる。
国内の史料が乏しい「倭の五王」以前を扱う第1章は比較的シンプルでわかりやすく、特に践祚に必要とされるレガリア(「三種の神器」)が魏から卑弥呼への下賜に起源することを論ずる下りは説得的。第2章では主に「記紀」を批判的に読み解くことにより、皇統が重視されるに至った経緯を明らかにしつつ、同時に大和朝廷成立における帰化人の役割や、天皇と祭祀の関わりが語られる。
第3章からは大和朝廷における畿内政権と地方豪族の関係が論じられるが、この辺りから議論がかなり複雑になる。著者の専門領域は奈良・平安時代の律令制であるため、考証史料を各種律令から持ってくることが多くなり、律令制に関する知識が乏しい読者にはややハードルが高い記述になっているように感じた。
第4章におけるテーマである天皇という称号や日本という国号の成立に関しては、中国大陸や朝鮮半島との関わりが内外の史料を用いて重層的に論じられている。個人的には、飛鳥の奇妙な石造物が、蝦夷との朝貢関係を維持していることの他国へのアピールであるとする著者の見解はやや突飛ではあるがシンプルで説得的であるように思えた。
全般的に根拠史料の掲出が豊富で、これらを丁寧に読み込んで行けばこの時代の溢れるロマンを十分に味わうことができる。門外漢には辛い部分も多いが、著者の言うように京都よりも奈良にシンパシーを感じる古代史ファンなら相当に楽しめる内容だと思う。
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フリーダムな感じ。いろいろな前提知識を当然のものとしていて、いやな書き方だと思う。一般読者はそんなに知識はないし、あったとしても確認ぐらいはするべきだろうと思う。
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神話の時代から天武天皇まで。詳細な記述を堪能した。卑弥呼が戦前の皇国史の中でどの位置に同定されていたのか、興味深いところだったが、著者によれば、西暦239年(己未、景初3年)の卑弥呼による朝貢の魏志の記述に合わせるために120年遡って神功皇后の「日本書紀」に神功皇后による朝貢との記述津があること、また「百済記」の記述を合わせていた!明らかに卑弥呼に比定する意図があるとのこと、これは初耳だった。それ以外は説明が無かったが、私としては著者が飯富皇女(顕宗・仁賢天皇の姉?)がシャーマンであり、もしかすると清寧天皇後に女帝に即位していたかも…との記述(P188)から、むしろこの皇女が卑弥呼のイメージに相応しいように感じた…。とはいえ飯富皇女の存在は西暦500年頃と思われるため、もちろん時代は全く合わない!神武天皇の即位を推古9年(601年)から1260年(21回)遡って革命の辛酉の年に決めたという説明も改めて詳しく教えられた。一方、大友皇子の弘文天皇としての即位があったのか否か?説明は大友のままであり、全く言及がなかったのは、私には少し消化不足。
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日本の歴史を改めて知ろうとしたら、やはり天皇と公卿の成り立ちからかと思い、この本を手にしました。
なかなか難しく、かなり読みきるのに時間を要してしまいましたが、とても勉強になる一冊でした。
天皇家のレガリアが玉、鏡、剣の三種神器であることを知って、宝剣が大切に保管されている奈良の神社まで出掛けてしまいました。大和王朝の始まりの地の息吹も感じてきました。
かなりたい子の昔から、朝鮮や中国との外交や争いがあったことには驚きました。もっと日本は歴史的に孤立していたようなイメージがあったので、もっと大きいスケールで日本の歴史を学び直す必要性を感じました。
昔は皆名字を持っていたことも驚きでした。その半分くらいは、○○部さんであったこと。確かに、阿部、服部、磯部、田部、建部、武部等と今でも部が名字につく人は多い。
もっと日本史を勉強し直してから、もう一度挑戦したい本です。