紙の本
トンデモ説やフェイクニュースが溢れる世の中で騙されないために必読の歴史入門書
2018/06/05 15:34
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
『応仁の乱』が大ヒットした呉座勇一氏の最新刊。「陰謀」とあるが、これは中世史で「陰謀」と見られていることがいかにいい加減か、を考証した本。謀反の背景には黒幕がいると諸説あるが、呉座勇一氏がそれらをまとめて葬り去ってしまった。「自分の思い通りに歴史を動かせるわけがない」「実際にはそんな都合のいいことは起こらない」という呉座先生の言葉、歴史教育の現場でも強調していくべきかも知れない。
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歴史学者が歴史の俗説、通説に鋭くメスを入れる
2020/08/11 17:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:パミチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「論ずるに値しない珍説やトンデモ説は黙殺すべきだというのが日本史学会の共通認識であるが、全ての日本史研究者が無関心を決め込めば陰謀論やトンデモ説は生き続け、社会的影響力を持つかもしれない。誰かが猫の首に鈴をつけねばならない。」というのが著者の本書を著した理由である。
本書の素晴らしいところは、単に世間に流布されている陰謀論や珍説・トンデモ説を批判するだけでなく従来の俗説・通説にも鋭くメスを入れ、我々読者の固定観念を修正してくれる点にある。
例えば平家を壇ノ浦で破り、平宗盛を鎌倉に護送した源義経が鎌倉入りを頼朝から許されず、「腰越」で足止めにあったという「吾妻鑑」に出てくる有名な話(腰越状)は義経の悲劇性を強調する作り話であると一次史料を基に解説している。また足利尊氏が鎌倉幕府に反逆した理由として引き合いに出される「源義家の置文」も源氏の嫡流でない足利氏に伝わることはあり得ないとし、世間に流布されている尊氏の「野望説」に疑問を呈している。
それ以外にも「本能寺の変」の黒幕説や関ケ原合戦時の「小山評定」の真偽についても鋭い考察を加えている。後世の作り話や時の権力者の思惑によって我々が如何に歴史の真実を見誤っているかに気付かされる良書である。
大変面白く読ませてもらった。
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勝者は全能だったわけではない
2019/03/10 21:57
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者は、最終的な勝者が全てを予測して状況をコントロールしていたと考えるのは陰謀論の特徴だという。また、陰謀研究は根を詰めてやっていると、どんどん深読みしていきがちである、だが推測を重ねる前に、資料を素直に読むという原点に立ち返ることが重要だともいう。本能寺の変の黒幕は○○だとか、日野富子は稀代の悪女だと言っているほうが大衆受けするかもしれないが、たとえば応仁の乱は将軍の跡目争いという視点から考えてしまうと、義視という存在が説明不能になってしまう、畠山家の家督争いが発端だとするとすんなりと理解できる。本能寺の変も「あれだけの大事件だから、明智一人がやろうとしたことではないだろう」という先入観から陰謀説がとびかう。作者が言うように勝者は未来のすべてを把握していたわけではないのだ
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歴史学の思考法
2019/01/08 18:09
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投稿者:玉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
評価がさまざまなようですが、百田さんのトンデモ本が大ベストセラーになっていまう昨今、こういう本が広く読まれることは必要です。求めていることが違う方は、のってこないかもしれませんが、きちんと考える、見きわめる、フェイクにだまされない、安易に拡散しない、いろんな観点から筆者の想いを大切にしたいです。ありがとうございました。
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<目次>
第1章 貴族の陰謀に武力が加わり中世が生まれた
第2章 陰謀を軸に『平家物語』を読みなおす
第3章 鎌倉幕府の歴史は陰謀の連続だった
第4章 足利尊氏は陰謀家か
第5章 日野富子は悪女か
第6章 本能寺の変に黒幕はいたか
第7章 徳川家康は石田三成を嵌めたのか
終章 陰謀論はなぜ人気があるのか?
<内容>
濃い内容だが、通常の歴史書とは一線を引く内容。院政期から室町期辺りは、先輩諸氏の論を打破する内容。本能寺の変や関ヶ原は、「歴史読本」のような感じ。つまり、アマチュアの歴史家の「陰謀論」を木っ端微塵に論破してます。でも、アマチュア歴史家は、終章にあるように、”疑似科学”とおんなじで、それこそ仕組まれた、と論破されないんだけどね。本の中にも出てくる、原田実氏の著書のように、間違った歴史(観)が、文科省にまでつながってしまうと、事実が捻じ曲げられてしまう虞もあり、怖いところ。
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2018030
応仁の乱の著者の一冊。
平清盛の時代から関ヶ原にかけての時代の陰謀論を紹介。
頼朝と義経の関係は世間が思うほど悪くなかったのではないかと言う説は興味深かったです。吉川英治の平家物語では、頼朝の心理描写があまりなかったので、一方的に義経に肩入れしてましたので。
本能寺の変は朝廷黒幕説、イエズス会黒幕説など色々あがりましたが、それだけ敵が多かったということでしょうか。
1番興味深かったのが関ヶ原の合戦で家康が実は追い詰められていたと言う展開でした。何かを成し遂げるのに順風満帆なんてないと思うし、ピンチをチャンスに変えてきたからこそ、名将としての今があるのだと思います。
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読むのはなかなか骨が折れますが,歴史に対する知的興味を大いに刺激されました。
一番目からうろこだったのは,「応仁の乱」というのは,実はそういう争いだったのだということ。
室町時代は,ぱっとした印象がこれまでなかったのですが,「観応の擾乱」といい,愛憎激しく,複雑でドラマティックな時代だと認識を新たにしました。
著者のベストセラーである「応仁の乱」も手に取ってみようと思います。
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保元平治の乱から関ヶ原までの中世におけるトピックを検証し、これにまつわる誤解から珍説までを切って捨てるという、痛快にしては手を出したくない論争を挑んだ内容。
歴史を学んだ人間としては納得ですが、一市民としては容赦のなさが残念ですし、遊びはあってもいい気がします。
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本書の内容にいちいち納得♪
でも、家康だけは全てを把握した上で仕掛けた
狸親父の大陰謀者であって欲しいな、
今更このイメージだけは払拭できそうに無いw
(ちなみに私はアンチ家康ですw)
終章にもあるように、しっかりとした専門家が
トンデモ説やキワモノを黙殺しないでしっかりと
批判して欲しい。まさに『東日流外三郡誌』に
ならないように。
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なぜだろう
好きな時代の好きな陰謀歴史
読みづらい・・・体調悪いのかな
6.12 体調良し!面白い
でも、この人の考え方は少し歪んでる
コミンテルン批判は異論在り
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中世の様々な陰謀とされている事件の検証。
6章の本能寺の変と7章の家康と三成の所だけ読んだ。
後世で陰謀とされるものの多くは結果論的な解釈や著者の立証責任の転嫁などで出て来るという。
本能寺の変などは様々な陰謀論が有るが時系列、各キーマンの地理的な配置、其々のリスクとリターンを勘案すれば陰謀に与するのは無理だとわかる。
他の時代の章も読んでみたいが、また今度
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日本史の人気のある事件などの陰謀史観を
列挙して、その矛盾や成り立たないところ
を反論している内容。
まあまあ読めますが、でどうしたという感じ。
そんなことは申し訳ないがわかっているつもり
というところもあって
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「応仁の乱」より面白かった。日本史に、意外にわかっていないことが多いことを痛感。いつも思うのですが、鎌倉時代はすごく血なまぐさい時代だったんですね。室町時代もしかり。
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歴史に陰謀があったのでは、と思ってみるとオモシロイよね。本能寺の変の黒幕は秀吉だとか、関ヶ原は家康が仕組んだものだ、とか。単純明快で分かりやすい。でも、そんな訳があるはずもない。特定の個人があらかじめ仕組んだ筋書き通りに歴史が進行するなんてことはない。分かりやすいものしか信じられない「いま」を矯正してくれる一冊だ。
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短い中に入り組んだ話が詰め込まれててやや読みにくい。陰謀と言われているものを考察して陰謀があったとは言えない、とするだけではなく、陰謀とほぼ確定しているものを考察してみないと、すべての陰謀説のあるものは陰謀説を否定できる、としか言えない気もする。