どっしりしてて、王道
2021/02/02 10:25
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投稿者:hideton - この投稿者のレビュー一覧を見る
間違いない大作
ライバルがいて、一方がいいとき、もう一方が苦しい
2人の人生の対比も鮮やかだし、舞台が伝統芸能の世界
おもしろくできる材料をこんだけ揃えて、最後は吉田修一先生が調理してくれて、おいしくいただきました
歌舞伎の知識がゼロでも身体中がゾクゾクするように楽しめる。
2022/11/26 08:07
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
長崎の極道のひとり息子・立花喜久雄。
歌舞伎舞踊の名作を演じた新年会で、敵対する組の急襲を受け父は命を落とす。
喜久雄は大阪へ。
歌舞伎の世界へ身を投じる。
師匠の花井半次郎の厳しき指導を、同じ年の息子俊介とともに受けきっていく。
歌舞伎が好きで好きでたまらなかったから、つらくはなかった。むしろのめり込んでいった。
その半次郎が「白虎」を襲名する際に下した決断から、運命が大きく動き出す。
「本当にもう、博打というか、作家人生賭けてやるくらいのことをやりたくなったんです」と作者が語る渾身の作品。
膨大な資料を徹底的に研究し、実際に黒子となって歌舞伎の舞台裏にいること4年間。
その作品を朗読するのは五代目尾上菊之助。
「まるで映画を見ているかのよう」との作者のコメント通りに、圧倒的な大迫力。
老若男女を語り分け、実際の歌舞伎のシーンでは鳥肌が立つほどの美しさに荘厳さ。
作者にも、朗読者にも、登場人物にも通底するのが「歌舞伎が好きで好きでたまらない」との純粋な情熱。
「言葉の持つ力を感じることができました」(尾上菊之助)
歌舞伎の知識がゼロでも身体中がゾクゾクするように楽しめる。
歌舞伎の知識がゼロでも、身体中がゾクゾクするように楽しめる。
2021/07/29 07:59
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
長崎の極道のひとり息子・立花喜久雄。
歌舞伎舞踊の名作を演じた新年会で、敵対する組の急襲を受け父は命を落とす。
喜久雄は大阪へ。
歌舞伎の世界へ身を投じる。
師匠の花井半次郎の厳しき指導を、同じ年の息子俊介とともに受けきっていく。
歌舞伎が好きで好きでたまらなかったから、つらくはなかった。むしろのめり込んでいった。
その半次郎が「白虎」を襲名する際に下した決断から、運命が大きく動き出す。
「本当にもう、博打というか、作家人生賭けてやるくらいのことをやりたくなったんです」と作者が語る渾身の作品。
膨大な資料を徹底的に研究し、実際に黒子となって歌舞伎の舞台裏にいること4年間。
その作品を朗読するのは五代目尾上菊之助。
「まるで映画を見ているかのよう」との作者のコメント通りに、圧倒的な大迫力。
老若男女を語り分け、実際の歌舞伎のシーンでは鳥肌が立つほどの美しさに荘厳さ。
作者にも、朗読者にも、登場人物にも通底するのが「歌舞伎が好きで好きでたまらない」との純粋な情熱。
「言葉の持つ力を感じることができました」(尾上菊之助)
歌舞伎の知識がゼロでも身体中がゾクゾクするように楽しめる。
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投稿者:真太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
喜久男という少年が、任侠の親分でもあった実父を亡くし、その後歌舞伎役者花井半二郎の元、役者修行をしながら順調に歩むのかと思いきや、なかなかそうはいかないのが世の常。そして、半二郎の息子俊坊と出会い、二人歌舞伎役者目指す中、喜久男がめきめき頭角を現し、俊坊は家出をします。その後の喜久男の人生は波瀾も波瀾。それでも役者を捨てきれない喜久男は、三代目半二郎を襲名。俊坊との再会を果たすが、血筋をまざまざとみせられ嫉妬の炎と根性とが喜久男を変えていくのか、というところでの上巻。かなり話に魅せられ、男世界だけどとてもいいです。
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任侠の世界から歌舞伎の世界に偶然か必然か
入り込んだ喜久雄と世襲の世界で何不自由なく生きてきた
俊介。高度経済成長の芸能界やテレビの進出、昭和の匂い
を感じさせる長崎、大阪、東京と読み手も一緒に時代を駆け抜ける。女形の口調で語られる物語はまるで歌舞伎を
観ている様な高揚感があり次の幕が待ち遠しい。
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朝日の連載で読みました。長崎の侠客の家に生まれ父親を殺された主人公が、高度経済成長の昭和から平成の最後まで時代を駆け抜けながら、歌舞伎の世界で国宝に上り詰めるまでの一代記、大河ドラマとなっています。これまで個人的に歌舞伎には全く関係せず生きてきましたが、いわゆる梨園の世界というものに触れることができる内容でした。吉田修一としては新しい文体、新しい内容にチャレンジした作品なんだとは思いますが、正直、小説としての面白さは感じられなかった。
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ジェットコースターのような喜久雄の人生の前半戦。続きが読みたいため早めに家に帰りたくなるくらいの作品。
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数少ない新作を必ず読む作家のひとり「吉田修一」。
(ほかにどんな作家がいるの?と聞かれそうなので先んじて書いておくと「石田衣良(最近、間引き始めているが。。。)」「宮本輝」「池井戸潤」「山崎豊子(本当に惜しい作家を失った。そして、数少ない再読する小説の作家)」あたりかな?)
¬芥川賞作の「パークライフ」では、なんてことない日常の風景を淡々と記しているのに、何だかとても情緒的な気持ちにさせる描写力半端ねえ!と思い、サスペンス要素満載の長編小説「悪人」で「どれだけ引き出しがあるんだ!?」と感じた。(たぶん、このあたりから「おやっ?なんか違うぞ。。。」と思って読むのをやめた方も多いはず)
そして、今回の「国宝」。
¬¬
タイトルだけ見ると、仏像が美術の話しか?と思いそうだが「歌舞伎」を題材にした小説。極道の世界からひょんなことから歌舞伎の世界へ引き込まれていく主人公。紆余曲折の末、当代きっての「女形」として「人間国宝」までのぼりつめるストーリー。
何だか、こんな書き方をするとあまりにも陳腐な感じがしてしまうがそんなことはない。そこはさすがの吉田修一のチカラ。笑 歌舞伎の家柄を「梨園」なんて言い方をするけど、そんなドロドロの世界をまさにリアルに描き切っているところがさすが。
しかし、今年歌舞伎に興味がわいて、見たり読んだりしているから、この小説のモデルは「市川海老蔵×坂東玉三郎を2で割った感じ」というのが正直な感想。(もしかして、吉田修一も「NHKプロフェッショナル 仕事の流儀」で坂東玉三郎の回を見ていたのかな?と思ってしまったくらい。笑)
なので、個人的には評価「★5」ではあるものの、歌舞伎の予備知識がないと読んでいても「???」となるところがあるかもなあ~。でも、台風の影響で予定がなくなったのをいいことに上下巻をあっという間に読んでしまった満足感は半端なかったな。
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2018/9/15-9/25
1章の入りから面白く引き込まれていった!
喜久雄、徳次から始まり、俊ぼん、幸子、春江などなど登場人物が軽快で読み進めていきたいと思えた。
喜久雄の役者に対する心持ちが少年の頃からの、生来の気質なのだろうか、俊ぼんとの違いからも見えてきた。
半ニ郎の「カタギの人間にするのは諦めた(みたいなセリフ)」から、言葉には言っていることと、異なる意味があるということを改めて勉強させてもらった。
人と人とはコミュニケーションから成り立つ。こういう会話も本からで学びとり、実生活に活かさないと。
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1964年元旦、長崎の老舗料亭で、この国の宝となる役者・立花喜久雄は生まれた。この世ならざる美貌は人々を巻き込み、喜久雄の人生を思わぬ域にまで連れ出し…。
読み始めてすぐ、五木寛之の「青春の門」筑豊篇を何となく思い出した。読み進めていくうちに、自分に歌舞伎の素養があったら本作をなお楽しめたのに、という思いが強くなっていった。それでも描かれる人間模様が興味深く、上巻で止めるわけにはいかなかった。
(B)
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極道の息子ながらその親を殺されたのち歌舞伎役者になる喜久雄と歌舞伎役者の息子として生まれながらに役者の道を約束されていた俊介という二人の役者のお話。これが実に面白い。
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著者の作品は悪人と怒りしか読んだことがなかったのだけれど、世間の評判がよい割に2作品とも私には響かなかったので、本作もあまり期待はしていませんでした。
が!予想外にとても引き込まれました。
昭和30年前後にヤクザの子供として生まれた主人公の喜久雄は関西の歌舞伎界に芸養子として出され、そこで知り合った御曹司の俊介と切磋琢磨しながら芸を磨いていくという大河小説です。
まず、噺家が語ってくれるような文体で物語が進むことで、この本自体が舞台装置のような役割を持ち、まるでお芝居を観ているような気分にさせられます。
私は歌舞伎の演目も舞台裏も知りませんでしたが、分かりやすく丁寧なこの噺家さんのおかげで(笑)全く不自由なく読むことができました。
それどころか豪華絢爛な舞台にうきうきするし、舞台裏の芸への苦悩、波乱万丈な運命にも厚みがあり、かなり感情移入しました。
最終的に血がモノを言うのか実力がモノを言うのか・・・そんな邪推も寄せ付けない迫力があり、喜久雄も俊介も歌舞伎を愛し抜き、芸に身を捧げ、芸と心中する覚悟がひしひしと伝わり胸を打たれっぱなしです。
下巻も期待を裏切ることはないでしょう。
喜久ちゃん頑張れ!
俊ぼんお帰り!
徳ちゃん、あなたのお蔭で何度も救われてます!
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ページをめくる手がとまらない。
とりあえず下巻読んでから詳細書くけど、とんでもなく面白かった。今年1番だわ。
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初読。図書館。3年で200以上の演目を見て、鴈治郎さんの計らいで黒衣として日本全国をまわり、舞台裏から歌舞伎を観て書き上げた。というだけあって、歌舞伎と歌舞伎役者と歌舞伎を取り巻く時代の流れと、とにかくありとあらゆるものがぎゅうぎゅうに詰まっている。あの役者さんがモデルかなとか、あの事件がモデルかなとか、いろんな材料がパッチワークのようにつながっていく。正直下巻のラストを読み終わるまでは、詰め込み過ぎじゃないか、もう少しテーマを絞り込めばいいのにと思っていた。しかしここからすごいラストシーンに。
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俊介と喜久雄のそれぞれの「自分には歌舞伎しかない」という必死さが伝わってきて、二人の半生に引き込まれた。
これからどうなっていくのか、下巻が楽しみ。