非常に注釈が多いので、勤勉な読者には大いに理解の助けになると思う。
2003/11/11 23:52
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中堅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
抽象的、普遍的なものについて、それがなにであるかを考えるのは難しい。
言葉の上っ面だけをもてあそび、同語反復におちいる危険があるからだ。
それが言葉というものの弱さなのだろうが。
アリストテレスは、厳密な言葉を定義をし、類や種などの独自の方法での分析をして、さらには他の哲学者たちへの批判や総括を踏まえて、「存在とはなにか」を掴もうとする。
残念ながらその問いへの明確な回答は得られていないが、
その思考の過程において、弁証法や唯物論、観念論の萌芽がみられ、著者の分析力、体系化能力に大変驚かされた。
哲学が、他の学問より優位な理由は、
諸学問すべての基礎付けを徹底的に行い、この世界をよりよく理解しようという点においてであろう。
アリストテレスには、理性への過剰なまでの信頼がある。
それは、科学実証主義によって理性への懐疑の後のあきらめでいっぱいになった現代人の姿とは対照的だ。
「全ての人間は、生まれつき、知ることを欲する」で始まるこの書物は、
我々に「全てを知ること」への欲求を蘇らせるだろう。
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
哲学者の出隆らしく、独自の解釈を散りばめた訳です。知性の探求の中に人間の本質を求める、奥深い世界観でした。
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哲学のもっとも根本的な問題の探求をめぐるアリストテレス(前384‐322)の一群の論文を集録した書。千数百年にわたって西洋の世界観に決定的な影響を与えたばかりでなく、西洋哲学の多くの基本概念を生み出した著作で、ここに示される問題分析の態度や発展流動する弁証法的思考方法は永久に研究者の模範となるものである
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翻訳の限界か、訳語のゆらぎが大きく論旨を追うのが難しい。参考資料として手元においておき、別途入門書を紐解くのが吉。
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オフィス樋口Booksの記事と重複しています。記事のアドレスは次の通りです。
http://books-officehiguchi.com/archives/4095786.html
アリストテレス『形而上学』(上)の最初の一文は、「すべての人間は、うまれつき、知ることを欲する。」で始まる。
トリビアの泉を見ていた人でこの一文を思い出した人はいるかもしれない。
文庫本の訳書であるが、専門用語が多く出ているので初学者には難しいと感じるかもしれない。繰り返し読むか、関連するアリストテレスの本を読んで知識の幅を広げたい。
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なんとか上巻だけ読んでみたが、私の頭では理解できなかった。入門書や解説書などを読んでから、この本に挑戦したほうが良かったのだろうか。
話は変わるが、これを読むと、どれだけソクラテスの説明が上手いかを実感できる。
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基本的には存在とは何かという問題を考察したアリストテレスの論文集だと思う。巻一は「四原因説」(質料因・形相因・始動因・目的因)からギリシア思想を分析している。巻二は問題提起、原因が無限ではないことを指摘し、研究対象に応じて研究方法が異なることを述べる。巻三は、哲学難問集、いわゆる「普遍」の問題(存在するものは個物か普遍か)など15の難問が提起されている。巻四は論理法則、とくに矛盾律や排中律を根拠とすべきことを述べる。巻五は哲学用語辞典、原理(アルケー)、自然(フィシス)、能力(ディナミス)、種・類(ゲノス)など30の概念を解説している。巻六は原因や原理と付帯的(偶有)との区別などが述べられている。巻七は「実体」と本質・普遍・類・基体などの関係、プラトンのイデア論の批判など。巻八は形相と質料の関係である。全編、言葉の意味の追究も細密であり、アリストテレスの思考の細やかさや現実に密着し、極端に走らない柔軟さにふれることができる。比喩もよくでてくるので、カントなどよりは読みやすい。個の定義不能性と実存主義や、プロタゴラスの人間尺度説(相対主義)の批判など、現代にもつながる問題を考えさせられる。アリストテレスのバックボーンは生物学といわれているが、形而上学でも生きて動いている自然を把握しようとしているようにみえ、エコロジーや産業主義の反省からも読まれてよいし、こう読めば刺激的だと思う。
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全部は読み切れなかった
下巻に収められている11巻、12巻が、概要になってる部分もあるのでそちらで誤魔化す
読んだところは面白かった
文庫で新しい訳が出るのを期待
なんで昔の人はこんな訳を良いと思ってたんだろうか
学問として格調高くするのに、形から、っていうような考え方やん
格調高いのは、言葉遣いでなくて内容で充分
光文社さん、よろしく!!
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世界の原理とそのありようをどのような形で理解すればよいか、アリストテレスがプラトン含めた過去の説とその課題も紹介した上で自説を展開。うち上巻は世界の構成要素(質料&形相)とその動的姿(生成と消滅&可能態→現実態)について解説。
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ミレトス(現トルコ)。哲学発祥の地。ギリシアの植民市で、ギリシア文化の影響が比較的弱く、自由な気風。さまざな異文化が混在。ギリシア人は自然(世界)は神々により創られたと考えていたが、異文化の人々は別の神話(創造の物語)を持っていることに気付く。地域に関係なく当てはまる(神に頼らない)万物の根源(アルケー)を考え始める。水(タレス)、原子(デモクリトス)、数(ピタゴラス)、無限なるもの(アナクシマンドロス)、空気(アナクシメネス)。
同一人物であっても、時の経過とともに老いていくから、同一人物でない。誰も同じ川に二度入ることはできない。万物は流転する。ヘラクレイトス
牛に手があれば、牛に似せて神の姿を描く。馬に手があれば、馬に似せて神の姿を描く。クセノパネス
人間の魂は天上界にいたものが地上界に降りてきている。輪廻転生を繰り返している。永遠不変の本質も天上界にある。人間はそこで永遠不変の本質を見ている。地上界ではそれを思い出すことができない。正確な円や正義や美を理解できるのは、人間が永遠不変の本質をたまに思い出すから。プラトン。▼事物の本質は、天上界にあるのではなく、事物そのものの内にある。事物の本質はそれが何であるかを表す「形」にある。コップの本質は水が飲めるその「形」にある。ちなみに、事物は形と素材で成り立っている。コップは水が飲める形とガラスという素材で出来ている。アリストテレスAristotle
〇エイドス。訳語「形相」。
〇ヒュレー。ものの素材。訳語「質料」。
神話、虚構の物語、語り伝えられたもの。ミュトス。▼論理、理性、言葉、秩序。合理的な考え方。拾い集めるもの。ロゴス
五感によって得た独断的な思い込み(ドクサ)。理性を使って判断した客観的な知識(エピステーメ)。
観念主義。世界を形作るのは物質ではなく精神。人は天上界でイデアを見ている(プラトン)。自我は知覚の束(ヒューム)。世界はモナドで出来ている(ライプニッツ)。宇宙は精神をもった1つの生命(シェリング)。精神が歴史を動かす(ヘーゲル)。
物質主義。世界を形作るのは精神ではなく物質。万物の根源は水(ターレス)。世界は原子で出来ている(デモクリトス、エピクロス)。生産関係が歴史を動かす(マルクス)。世界は物質でできている(自然科学者)。
多くを知ることよりも、多くを考えることに専念すべき。デモクリトス
哲学、政治、詩、技術。並外れたところを示した人間はすべて憂鬱症である。『問題集』