紙の本
命がけの打ち合い
2019/12/31 18:32
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦後の混乱の中で、牌に全てをかける雀士たちの生きざまが刹那的です。永遠のライバル・ドサ健や、壮絶な最期を迎える出目徳には胸を打たれました。
紙の本
こういう小説が時代を越えて読み継がれる
2019/05/18 07:32
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説のジャンルのひとつに「ピカレスクロマン」というものがある。
日本語で「悪漢小説」とか「悪者小説」と訳されることが多い。
定義を調べると、「虚構の自伝形式をとり、下層階級出身の主人公が次々と事件に出会い、異なる階級の人たちに接するという形式」とある。
読者にとっては、自身の未知の世界を垣間見るとともに、気分的にスキッとするところが人気のある点といえる。
阿佐田哲也(彼には色川武大という名前もあって、この筆名で直木賞を受賞)のこの小説もまた「ピカレスクロマン」になるのだろうが、戦争が終わって飢えで死者まで出る時代が舞台であれば、誰もが生きるために精一杯で、ゆえに作品に生きる力がこもるのもわかる。
そして、これは長い作品の導入部といってもよく、「青春篇」というタイトルが躍動的なものを感じさせる。
それはかつて深作欣二監督が描いた「仁義なき戦い」に通じるものがある。
主人公は「坊や哲」というまだ学生だった若者。戦争に負け、両親も世間も呆然自失となったなか、生きるために博打の世界に足を踏み入れる「坊や哲」。
博打は麻雀。
そこで出会うさまざまな男と女。
「ドサ健」「出目徳」「上州虎」と呼ばれる仕事師たちは、博打打ちにも関わらず、強烈に生きることを主張している。
1969年(昭和45年)に刊行されていまだに読者を魅了するのだから、名作にちがいない。
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青春小説の傑作中の傑作。
和田誠さん原作の映画もよかったです。
が、やはり原作の小説は偉大です。
僕の青春はこの本とともにあったと言っても過言ではありません。
僕の人生に与えたであろう影響も計り知れません。
人間は泣きながら裸で生まれてきて
一人静かに孤独に死んでゆく生き物です。
しかし、そのはかない人生の中で
血沸き肉踊るような激しい世界を生きずして
どうして死ねようか、そんな本です。
最初に手にとってから20年30年と経ち
僕自身のほぼ半分が過ぎました。
ところが今読んでも、やっぱりドキドキします。
心の奥深くが揺さぶられます。
魂の本です。
こんな小説を書いた阿佐田さん(色川さん)にたいして
畏敬の念を抱かずにいられません。
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先にマンガを読んでしまっているので、知っている話も多いが、生のパワーをビリビリと感じる。たとえ、雀士ならずとも。
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ピカレスク‐しょうせつ【-小説】
召使や詐欺師など下層階級出身の主人公がさまざまな社会や事件に出会った経験をのべる小説。諷刺・ユーモアの要素が多い。16世紀スペインの「ラサリーリョ=デ=トルメスの生涯」に始まり、17世紀に流行。悪者小説。悪漢小説。悪党小説。
<「広辞苑 第4版」より>
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主人公「私」、坊や(=主人公?)が戦後からギャンブラアとして生きていくようになり、他のバイニン(玄人)と互角に戦っていく。飯を食っていく為のギャンブラアとは、またその哲学とは。こんな時代が本当にあったのか。
ただし後半は主にドサ健を中心とした話であり、主人公はサブキャラクターであるように描かれている。キャラクターは皆かっこ悪く生きているのである。
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太平洋戦争終結直後から復興期にかけての世相を背景にした、麻雀小説の金字塔。
第一巻青春編は、まだ幼顔の残る少年、私こと坊や哲が、戦禍の跡も生々しい東京を舞台にプロのゴト師を志し、個性豊かな打ち手たちとの出会いを通して、挫折を乗り越えながら独り立ちしていくという、さながらビルドゥングス・ロマンのような、本格の香りたかい作品となっています。
戦争で家を失い、仕事を失い、牙を折られた人々が、やり場のない闘争本能を賭博で発散している感があり、全編が暗い迫力に満ちています。
主人公の哲ちゃんも、旧制中学を出ていながら、戦争のために進路が狂ってしまい、弱冠16歳にして、一家の生計を一人で背負わなければならない、なのに仕事がない。
切羽詰まった状況で、ついバクチに手を出す、というところから話が始まります。
深刻な話の一方で、大の男たちが、知恵も財産も何もかも、持てる力のすべてを賭して打ち込んでいるのが、吹けば転がるよな麻雀牌という脱力感。
生死を賭けた凄絶な勝負に、からからと乾いたユーモアの風が吹くのが、この作品の真骨頂でしょう。
筋金入りのゴト師のくせして、安定収入に憧れ、麻雀を正業にしようと、土台無理なアイデアに奔走する、ドタ健の硬軟入り混じったキャラクターはこのシリーズの象徴ともいうべき傑作です。
敗者からは文字通り身ぐるみ剥いでしまうような、情け容赦のない世界の中に漂う、奇妙な仲間意識と互いへの敬意は、矛盾だらけでありながら、何か納得させられるところがあって可笑しい。
単純に色分けすることのできない人間の複雑さ。
しぶといのに繊細。頭がいいのにバカ。悪人だけどお人よし。冷酷なのに優しい。
くだらないけど、何だかしらんがいろいろと、たいしたもんだという感動があります。
ニヒリズム、なのですが、それだけでもない。
それからもちろん、この本のリアリティの基礎である、麻雀の部分が非常によく出来ています。よく出来すぎていて、素人には、一読では何のことだかわからないくらいです。
ゴト師の技術は、おそらく作者が実際に見聞きしたものが大部分と思われますが、いやもう、インチキもここまでやれば立派!というレベルで、感嘆するほかありません。
初版刊行時は、今のように写植やコンピュータのない時代ですから、わざわざ牌活字を作ったんだそうです。組版も校正もさぞかし大変だったでしょう。
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購入者:吉田治
阿佐田哲也プロの実話とフィクションの混合
戦後、高度成長期前の日本が舞台となっている、
麻雀の知らない人は読みにくいかも知れませんが女衒の世界も
勉強できます。
返却2012、11、20
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「坊や哲」というのをどこかで聞いて「なんだろう」と思っていたけれど、ここが出典だったのか。
ギャンブルの世界は深いですな。家族麻雀をする程度だけど、なかなか面白かった。
天和とか一度でいいからやってみたいよ。
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阿佐田哲也氏の名作!本当に素晴らしい小説だと思う。坊や哲が繰りなす人間模様...ドサ健、出目徳、上州虎、など個性あふれる男たちの物語。黙祷。。。
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青春小説。
現代ではカイジとかが究極の状況を用意して、近い作品を作ってますが、アレ系は無理矢理な舞台を作り出して極限状況の心理戦をやってます。
しかし焼け跡バラックで行われる麻雀放浪記は、自然に極限下で戦っております。負けたら裸にされて死にます。それが自然。そんなやつらがウヨウヨ生きてきた時代をカイジの会長とか、アカギのワシズとかが勝ち残ってきたのだとしたら、現代の緩みっぷりに耐えきれないんでしょう。そのときの焦燥が忘れられない亡霊となって、興奮させてくれる舞台を作り続けるのではないか、と。
作者の実体験がかなり含まれてるらしい。出て来るやつはゴトしかしない。二の二の天保とか本当にやってたらしいがよく殺されなかったもんだ、と思います。
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麻雀のルールがさっぱりわからないくせに、何故これを読んだのかと言われそうですが、おもしろい。わからなくてもそれなりに読める。
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映画やマンガにもなっている有名作品。原作は未読だったが、たしかにすごい作品だ。
ひりひりとした緊張感、博打にしか生を感じることができない男たち、そして男に翻弄されながらも力強く生きる女たち。戦後のロマンだ。
意外にも映画がほぼ原作に忠実だったこと。いい映画化だったのだと再評価した。
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いやぁ面白い。しかし麻雀だったのか?男がいかにだらしがないかっていつもの話じゃないか。くだらない生き物ほど必死になるってね、そりゃぁ生きているだけめっけもん。クズみたいなもんだから必死に燃やそうとする。それが熱くないわけないものな。
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映画を久しぶりに見て、面白かったので原作を紐解く。映像そのままの展開で、麻雀好きにはたまらないストーリーだね。