進化論的な切り口でバサバサ
2021/04/08 16:21
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
良い意味でも悪い意味でも刺激的な本である。著者の日頃からの主張の集大成のような位置づけの本のように感じた。特に人文科学系の難解な考えを、著者の得意とする進化論的な切り口でバサバサやるところは読んでいてなかなか気持ちがいい。しかし裏返して見ると独善的な奇をてらう自分の主張に都合の良い部分だけを引用する という欠陥を持っている。
それを承知で読めば、なかなかに面白い本である。
新しい世界をつくるのは、新しい哲学だ。 知の最前線で、問題解決能力を鍛える入門書。
2022/04/03 08:05
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
1年間に出版される本は8万冊を超える。
そして、世界に存在する本は1億3000万冊。
100万年かけても追いつかないし、その間にまた莫大な数の本が出版される。
ならば、読むべき本でなく読まなくてもいい本を決めればいいじゃないか。
まず、20世紀半ばからの「知のビックバン」の原動力となった、複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義に注目。
これらの「知のパラダイム転換」で、「知の見取図」を手に入れて、読むべき本を決めていこうと著者は呼びかける。
世界を覆う問題群へ必要なことは、「新しい世界」のビジョンを受け入れた上で、進化するテクノロジーとどのように共生していけばいいのかを示す「新しい哲学」「生命倫理」ではないか? との著者の主張に大きく共感。
「日本の社会で『リベラル(自由主義者)』と呼ばれているひとたちは、大学の教員にしても、マスメディアの正社員にしても、自分たちの組織が弱者を差別していることには知らない顔をして、『国家権力』なるもの(安倍政権とか)とたたかう振りをしてカッコつけているだけだ。フーコーが教えてくれたように、ひとはエラくなるほど自らの内なる権力から目を背け、外に敵をつくって偽善を隠蔽しようとする」(あとがきより)
知の最前線に触れる感動と、目の前の問題解決能力を鍛える入門書。
複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義
2019/07/21 20:29
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投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
人生の時間は限りあるから読める本には限界がある。大事なのは読まなくていい本を読まないこと、というロジックで何を読むべきかを示した本。アカデミックな『古典』は一旦パッサリと切り捨てているのでおもしろいが、著者が全く否定しているという感じではなく名残惜しそうにしている。複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義が読むべき5つの分野であると明快に語られる。それぞれの章の後にブックガイドも付いているが、ここでの選書(の一部)はちょっと拍子抜けした。書かれている内容だって、そもそもDGの言う『リゾーム』がほんとうに複雑系なんですか。そんなしようもない突っ込みもありながら、この本は面白く一気に読めた。
知の最前線に触れる感動と、目の前の問題解決能力を鍛える入門書。
2023/06/05 09:40
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
1年間に出版される本は8万冊を超える。
そして、世界に存在する本は1億3000万冊。
100万年かけても追いつかないし、その間にまた莫大な数の本が出版される。
ならば、読むべき本でなく読まなくてもいい本を決めればいいじゃないか。
まず、20世紀半ばからの「知のビックバン」の原動力となった、複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義に注目。
これらの「知のパラダイム転換」で、「知の見取図」を手に入れて、読むべき本を決めていこうと著者は呼びかける。
世界を覆う問題群へ必要なことは、「新しい世界」のビジョンを受け入れた上で、進化するテクノロジーとどのように共生していけばいいのかを示す「新しい哲学」「生命倫理」ではないか? との著者の主張に大きく共感。
「日本の社会で『リベラル(自由主義者)』と呼ばれているひとたちは、大学の教員にしても、マスメディアの正社員にしても、自分たちの組織が弱者を差別していることには知らない顔をして、『国家権力』なるもの(安倍政権とか)とたたかう振りをしてカッコつけているだけだ。フーコーが教えてくれたように、ひとはエラくなるほど自らの内なる権力から目を背け、外に敵をつくって偽善を隠蔽しようとする」(あとがきより)
知の最前線に触れる感動と、目の前の問題解決能力を鍛える入門書。
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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
とっても貴重な自分の時間を使って、何を「読んだほうがよくて何を読むのが無駄なのかということが、学べました。
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興味がない分野への導入書といった内容の書物。平易な文章なので難しい内容でもすんなり読めます。
ただし、「平易」に書こうとしすぎて少々暴力的表現が目立ちます。あんまり、いい気分はしません。
あと、著者自身が理解できない分野には「無意識」とか「複雑」と言う曖昧な言葉で逃げる癖があるようです。
アマゾンレビューに「ギガバイトからキロバイトになっててグッと圧縮されててわかりやすい」とありましたが、いわゆる不可逆圧縮されてますし、ところどころ著者の独自解釈や主張が織り交ぜられてます。出展は紹介されてますので、そちらを読まれてはいかがでしょうか。
また本書以外にも導入書や叢書的立場の本はあるので、そちらの方が有用でしょう。
そういった意味で本書こそ「読む必要のない本」かもしれません。
少なくとも私はそう感じました。
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本書は、読書案内といいながら、筆者の考える重要概念を、筆者の言葉で一通り解説している本。読まなくてもよい本が実際に書いてあるわけではない。
初めて橘氏の著作を読んだが、1959年生まれということで、自分より7年年上の先輩にあたるといえる。重要概念の説明の仕方が非常にうまく、例えば、PC(Politically Correct)のあたりの話はうまい。PCにひっかからないように、イデオロギー化する危険を指摘しているバランス感覚がある。
1複雑系
・フラクタルをマンデルブロが考えた後で、カオス理論が出てきた。
2進化論
・グールドの進化論批判は道義的な動機で行われたので、アカデミックには今一つ
・竹内久美子は、動物行動学者としては、まったくもって不適格の烙印
3ゲーム理論
・ベスト&ブライテストの動きとしてのキューバ危機
・経済学より国際政治にあてはまる
4脳科学
・ここ(意識)がニューロンの電気的・化学的反応、すなわち物理的現象にしかすぎないことを明らかにしつつある
・行動は7秒前に予測されている
・意識に現れる「自由な心」はよくできた幻覚にすぎない
・社会科学は自然科学に統合されていく
5功利主義
・トレードオフがある以上、すべてのひとが満足することはありえない
・正義はエンターテインメントである
・自由、平等、友愛が政治的党派のオリジン
・功利主義には進化論的基礎がない
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たったこれだけの分量で現代思想の最前線を概観できる。これだけわかりやすい文章で書かれているのもすばらしいブックガイド。
タイトルは「読まなくていい本」となっているが、「ここから読めばいい本(それあまでの本には付き合わなくていい)」という感じであろうか。本書を足掛かりに、ショートカットして知の最前線に飛び込もうという趣向は、興味にあふれる僕らにとって実に刺激的で、背中を押してくれるものであった。
またここに戻ってきたくなるけど、振り向かないくらいの気持ちでいたい。そんなもの。
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後に『言ってはいけない』へと続く論理展開。読まなくてもいいのは、自然科学の進歩によって、その存在意義を失った哲学やフロイトの精神分析など古い認識・考え方で書かれた本。人生は短く、読める本は有限だからこそ、本を選ぶ必要性を教えられた。進化論ではヒトの不合理な経済行為まで説明し得る。各章末のブックガイドで、また読みたい本が増えた!
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こんなビジネス書はゴミみたいだから読むなみたいな内容を想像していたけど全然違った。複雑性や進化論など一見すると小難しいことをざっくりと紹介する本。
この本が取り扱うテーマは進化論、複雑性、ゲーム理論、脳科学、功利主義。
なぜこのテーマなのかはこの本を最後まで読むとわかるこれら全てつながっている。
進化論や複雑性など自分が知っているつもりだったテーマが多いと思っていたが知っている事と人にわかりやすく説明できることを文章としてまとめられる事は全然違うことであると感じる。その、この本の著者はこれらのテーマのことをよく理解していると思う。
しかしなあ。自分が興味ある分野がこれだけ一個人に網羅され解説本も出されてるとなると自分が貪るように本を読んでいるのは何なんだろうという気持ちになるな。自己満足のために読んでるはずなのに。
......
行くのはマンデルブロ単純な規則が複雑なものを乱すフラクタルと言う概念を見いだす。それを駆使し金融市場で成功したナシームニコラスタレブも登場
象の時間ネズミの時間 生物の個体の寿命は体重の4分の1乗に比例する。体が大きいほど動物の寿命が長い
ポリコレ、メリークリスマスはキリスト教特別扱いしているとしてクリスマスから新年にかけての挨拶はハッピーホリデイズに変わった
ゲーム理論。自分がだす情報は最小限に相手から引き出す情報は最大限に
プロスペクト理論は進化により説明ができる。得をするすなわち職業を得る事はリスクを取った大きなリターンよりも少ないリスクを取る確実なリターンが重要で奪われることつまり死に直結する事はリスクを取ってでもゼロにしたいと言う選好があった
統計は理論がなくても答えが導き出せる手法。経験的
記憶や感情意識意思といったものは脳の神経細胞の集まりとそれらの活動に過ぎないと言う論文が1994年に出版されている。意外と最近
近代科学の最大の武器は還元主義
フルーツが赤やオレンジなのは緑の反対色で動物に見つけてもらいやすかったから
ニューロンの仕組みはほぼ解明されておりそれが電気信号と化学反応による情報伝達やエントロピー増大の法則などの物理法則に従うのは当然のことであるがここから意識と言う奇妙なものの発生は説明ができないこれが心脳問題における最高度の難問
進化心理学における心とはシミュレーションマシン
脳科学における正義は娯楽(エンターテイメント)である
リベラルはデモクラット(平等主義者)と言う意味で使われている古典的自由主義はリバタリアン
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橘さんの本は好きで、よく読んでます。その博識ぶりから察するに、橘さん自身もものすごい読書家なのではないかと思います。そんな橘さんが、『現代の知を語るならこれくらいは知ってなきゃダメ』という内容を整理し、それらを学ぶために最良の書籍のリストを作ってくれました。内容は完全に『読むべき本』の読書案内です。タイトル後半部分の、『知の最前線を5日間で探検する』の方が内容をよく表しており、まさにこの書籍は知的探検のための最良の指南書です。本文中に、『古いパラダイムでできている知識をどれほど学んでも、なんの意味もない』と書いてあり、古い知識のいくつかが紹介されていますが、それらも歴史として学べばさらに自分の教養の引き出しが多くなると思います。ただ、膨大な知識体系を300ページの本1冊でまとめようという野心的な書ですので、やはり説明は簡素ですし、橘さんの私見も多分に入っていますので、やはりこの本を読んで終わりにするのではなく、紹介されている多くの本にチャレンジしてみるべきだと思います。 何にしても、おススメの本です。
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読まないといけない(=読みたい)本があまりにも多すぎるこの頃。どうしたらいいのだろうと思っていたら図書館でたまたま見つけました。「なるほど!読まなくていい本を決めればいいのか!」目から鱗です。
これまでの知識の集積によって,世界の捉え方は格段に変化してきています。たとえば,天動説の時代に書かれた知識は,現代(地動説の時代)を適切に捉えられないわけで,現代を捉えるにはそれを捉えるために適切な知識が必要なわけです。
そういった「最先端な」知識を紹介しようと試みたのが本書です。「なるほど,ここにアクセスすればいいのだな」と唸らせられました。「読まなくてもいい本」を通して「読むべき本」を教えてくれる面白い本でした。解説の吉川浩満氏が書いていますが,「読まなくてもいい本」をさんざん読んできたからこそ,著者は「読まなくてもいい本」を選別できており,著者の優しさ溢れる一冊です。
しかし,「読むべき本」にもっとアクセスしなければと思わせられた一方,ひねくれ者の私は「読まなくてもいい本」もしっかりおさえながら「読むべき本」をおさえなければと思ってしまい...結局は読まないといけない本がただ多くなるという...。悲しいやら嬉しいやら。
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2019年の5月に出た本。
書き方が良かったのか、とても面白くてすぐに読めてしまった。
現在の知識社会を知るには何を知ればいいのかを、
複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義について簡潔にわかりやすく書いてある。
それだけだったら、☆3だけで普通の本だけど、これらが一個バラバラでなく、見事に点と点を繋いで線になって統合されておて、思わずおお!となった。
まさに知のガイドブックって感じ
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借りたもの。
「読まなくていい本」を選別するために、知の最前線……知識や論争を挙げ、「複雑系」「進化論」「ゲーム理論」「脳科学」「功利主義」の5つの分野を取り上げ解説したもの。
昨今のグローバリズムで求められる分野についてを解説。
現代版リベラルアーツみたいなもの?だった。そういう点では、池上彰『おとなの教養』( https://booklog.jp/item/1/4140884312 )に通じるものがあった。
章の最後にその分野に関するブックリストがある。
世界が二元論ではない。
哲学的な内容が科学で説明される、線引きが曖昧になっていることが伝わってくる。
中には近現代で発表当時は革新的だったが失敗?に終わった?今となっては疑似科学になってしまったような古典からの言及まで。まるで施川ユウキ『バーナード嬢曰く』( https://booklog.jp/item/1/4758063710 )的な?
ポストモダンの限界。ドゥールズ、ガタリ『リゾーム』(『千のプラトー』https://booklog.jp/item/1/4309463428 )からのアラン・ソーカル、ジャン・ブリクモン『「知」の欺瞞』( https://booklog.jp/item/1/4006002610 )の件は、まぁ、確かに言葉遊び(知的曲芸)か。哲学はゴミという話か……
複雑な世界が小世界の相似系の組織化(フラクタル)からカオス理論
ダーウィンの進化論をより発展させ、ヒトが進化の頂点ではなく、多様な可能性の1つに過ぎない。当時のヨーロッパにおいて衝撃的な発見。
社会生物学という分野の発展。男女の愛の違い、生殖戦略が異なり“利害関係”が一致しないこと。
…この辺りもよく分かっていない事が多いなとしみじみ思う。
ゲーム理論の話は、ビジネス、マーケティングにも関わる話なので興味深かったのだが、人間の判断は非合理であること、統計学とビッグデータの的確な解析の必要性を理解するにとどまる。
脳科学分野に関しては、意識の問題に取り組める哲学という分野が死んだ(神は死んだ?)とする潮流を取り上げる。
脳自体のブラックボックスぶり…脳の錯覚(勝手に情報を補う)、トラウマ理論で巻き起こった災厄――記憶の改ざん――についての紹介や、フロイトのエディプスコンプレックスはデタラメである(本質ではな)なぜなら近親相姦を避けるウェスターマーク効果なるものがあること。
人間には認知的不協和があり、新しい理論を受け容れる事への抵抗がある。
自由意思の幻…
どの分野も大まかな流れを掴めるが、いささか専門性に欠けるのと、全体的に批判精神(それまでの流れをひっくり返すこと)に終始している印象も受けた。
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絶望とともに、希望をもたらす一書。複雑系・進化論・ゲーム理論・脳科学・功利主義という「知のビッグバン」は、諸学をそれ「以前」と「以後」とに明確に分けてしまう程のインパクトを持っていた。それ「以前」に拘泥している私は、これからどうすればいいのだろうかw