電子書籍
現代を象徴するルポ
2019/10/30 21:09
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投稿者:AR - この投稿者のレビュー一覧を見る
眉をしかめ吐き気を覚えそうな事実の数々に打ちのめされそうになっても最後まで一気読みしました。
紙の本
現代日本の戦場である孤独死現場の取材録
2023/02/23 22:27
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投稿者:Toshi - この投稿者のレビュー一覧を見る
他人事とは思えなかった。
著者の取材と文章によって、孤独死を遂げた人々や自宅がゴミ屋敷状態になっている人々を中心に、彼らを取り巻く遺族、その後の処理を担う遺品整理業者や特殊清掃業者、民間のボランティア団体の置かれている状況が綴られていくものとなっている。
最も自殺率が高い中高年男性の窮状は往々にして無視されがちなのは知っていたが、やはり孤独死を遂げた人々には現役世代や男性が多く、彼らはその属性故に支援を受けにくい事が描かれていた。
一方、この本で述べられている彼らを支える側にある人達は属性関係なく支援を行っているのが示唆的だった。
また、彼らも辛い過去を抱えた者達であり、同じ様な未来を辿ってもおかしくない人々である事が余計に問題の複雑さを表している。
最終章では行政や特殊清掃業界が取り組んでいる孤独死への対抗策やテクノロジーによる解決策が述べられているが、著者も述べる通り限界があり、あくまでもやらないよりはマシといったものだろう。
この本で述べられている社会的格差や社会的孤立の問題は日本だけでなく、先進諸国でも見られる。
近代以降に個人主義と自由主義という物語を選んだ時から、遅かれ早かれこうなる事は必然だったのだと思う。
それらにメスを入れない限り、テクノロジーやビジネスによる対処は対症療法でしかないのだろう。
息苦しさやお節介、権威主義を毛嫌いするのはわからなくもないが、あらゆる解決策はトレードオフであり、ここまで社会的格差や社会的孤立の問題が深刻になっている以上、コミュニティの再構築と集団主義の再評価は必要不可欠だと感じた。
一方、個人的には僕達世代が生きてる間に社会的孤立への根本的な解決策が図られる事は期待できないと考えているので、僕個人としては、早めにウェアラブルデバイスの携帯やヘルスケアアプリのインストールを行い、ゆくゆくは孤独死保険の加入と遺品整理に早めに着手しておこうと感じた。
紙の本
壮絶な孤独死のルポ
2019/07/13 22:30
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投稿者:UMA1001 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ものすごいなあ、出会いたくないなと思うが、自分の身にもいつ降りかかるか、自分がなってしまうかわからないことがよくわかる。
・日本にはおよそ1000万人が孤立状態にある
・年間約3万人と言われる孤独死
・心が病めばキッチンが、心疾患系ならリビングが汚れる
・ゴミ屋敷化のキッカケの一つはゴミの分別化
・会社を辞めたり、子供が巣立ったりすることがキッカケでゴミ屋敷化
電子書籍
孤独死の現場だけでなく、生前の様子までたどる
2019/07/08 09:18
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投稿者:akihiro - この投稿者のレビュー一覧を見る
ライターである著者が、特殊清掃の現場に同行して取材した事例をまとめた本です。特殊清掃員だけでなく、現場に立ち会った遺族の会話を綴った事例も書かれています。
ゴミ屋敷の問題は単に片付けられない性格やモノへの執着心だけでなく、セルフネグレクトに起因する場合もあるんだなと思いました。ゴミ屋敷は不衛生や火災による近隣への危険というイメージを持っていましたが、本書を読んで住人の命の危険を示すシグナルでもあるんだなと気づきました。
孤独死の事例を知りたい人には良書だと思います。
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
孤独死が他人事でないと思い、興味深く読むことができました。社会的な支援とともに、個人での準備の必要性を感じました。
紙の本
生きづらさを抱えた人たちへのメッセージ
2020/11/09 11:57
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投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
はじめにで触れられているように、著者には不登校の経験があり、生きづらさを抱える人への共感が執筆の動機だそうだ。特殊清掃の現場の凄惨な様子を突き付けながら、生きづらさでうじうじしている人のケツを叩いてもう一度社会とかかわるように励まそうとしているように感じた。
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独身者が増えている昨今、孤独死は増加傾向となり、これから益々このような事案は増える事は予想出来ます。孤独死の原因は色々とありますが、この著書で挙げられているものは、大概が「ゴミ屋敷」と言われる足の踏み場もない部屋で亡くなっている事。そんな惨状を整理する仕事人の姿を交ぜながら、これからの社会を垣間見る一つと言う印象が残ります。
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以前、所有していたアパートで孤独死の案件があった。
独居男性だったが、とある新興宗教の信者だったこともあってか、翌日には訪問した信者に発見され、遺体の損傷などはさほどなかったようだ。
少なくとも宗教を媒介にした他者との交流が、彼にはあったということだ。
とはいえ、当人の死後は、葬儀をしてくれるわけでも合同墓に入れてくれるとかいうわけでもなく、なんのための宗教だと思わないでもなかったが。
著者も述べるように、孤独死に至るまでには、その前に幾つもの人生の躓きがあるのだろう。
それが何だったのかは知る由もないが、彼も、汚部屋や悪臭のクレームだけでなく、家賃の滞納が目立ち始め、退去に向け訴訟を行っている最中での死だった。
その前のどこかで手を差し伸べられないものだろうか、というのは思うところだが、現実には本書にもあるように、宗教・自己啓発セミナーなどが、そういった人々を食い物にしている、という構図だろうか。
ちなみに、残された部屋は、「ここ数年は付き合いはなかった」という連帯保証人の方になんとかゴミの処分をお願いしたが、それ以上の原状回復費の負担は拒まれたためリフォームは行わずに放置。
結局そのアパートを売却するときまで、その部屋を貸し出すことはなかった。
こちらも百万単位のリフォームをかけてまで告知事項ありの部屋を作るメリットがなかった。
今後も孤独死が増えるなら、それらも含めて、死を有り体に受け入れる社会でないと、賃貸業も回らない。
そういえば、被告が死亡したことを知らせたときの裁判所の人の声がなんとなく嬉しそうだったのを覚えている。
「あ、じゃあ取り下げにしておきますねー。」
案件が多すぎて、一件でも捌かなければならない件数が減るのは喜ばしいことだったのだろう。
人生の躓き、諍い、争い。それらもまた、事務的に片付けられてゆく社会。
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内容はかなり衝撃的。
ひとごとではない、一方間違えたら誰でもそうなる可能性がある。
でも、途中の話は冗長かも。
『おーちゃん』の話は余計な部分が長すぎる気がする。
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文字で読むから映像も臭いもしないから、読み終えたが、孤独死の実際の現場に立ち会うことできないだろうなと思った。
今のところ孤独死する身内はいないとは思うが、他人事だと思い切ることもできない。
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壮絶な内容でした。少なくとも身近な人セルフネグレクトにならないよう、ゆるーい関係でも作っていきたいと思います。
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子と同居しているのに親の死に1週間も気が付かないというのが衝撃だった。同居していてそこまで疎遠な関係というのがちょっと理解できないし、これで孤独死が起こるのなら対策の立てようがない。
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※インスタに掲載したコメントの転載です
昨年の夏、熱中症による孤独死が多かった。腐敗した遺体があった部屋を現状回復させる現場のルポは、読んでいてかなりキツイ。でも、それは自分の隣の部屋で起きているかもしれないし、最近、連絡が取れていない身内や知人に起きているできごとかもしれない。
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生野区は高齢化率31.4%、ひとり暮らし高齢者比率20.6%でどちらも24区中2位で、地域福祉が充実しているから一人でも暮らせるともとれるが、こどもや孫世代がまちに帰ってこない結果とも言える。また、家賃の安さからの流入も一定ある。
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この本には、40代・50代という年齢ゆえに福祉ネットワークから漏れて孤立し、ゴミ屋敷の中で死んでいた人の話も出てくる。制度はいつも、法そのものが古かったり、施策が作る側の想像力が欠けていたりして、なかなか穴が埋まらない。その現実を突きつけられる。
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若いときはエリートで、外資系の企業で活躍していた兄は、ある時期から「仕事が忙しい」と会う機会がなくなった。20年ぶりに会うと、ゴミに埋もれて引きこもっていた。失職したことを、知られたくないがゆえに、身内に「助けて」が言えなかった不幸。
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必要な時に「助けて」と言えることこそ、「生きる力」。でも、言えない人がいる。不器用で傷つきやすくて、周りが時間をかけて関係を築かなければ悩みが言えない。その人の「生きたい」「立ち直りたい」気持ちを呼び起こし、応援し、ゆっくり一緒に歩いていく役割の人たちは誰なのか、行政職員の人員が増えない中で、悩む。
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今言えるのは、とにかくひとり暮らしの身内がいれば、近所の人にも一度お願いをしておくといいことと、ITも活用した見守りサービスを使うこと。そして、自分の近所に住む人を「気にかける」ことから始めたい。
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この本では、孤独死した人やその家族、特殊清掃に関わる人の人生を感じるだけでなく、解決のヒントが最後にまとめてある。
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その中で「これだ!」と思ったのは「セカンド小学校」というアイデア。孤独死者数・年間約3万人という数字を出した研究者の提案で、リタイア後の生涯学習などを義務化するというもの。定年後に全員、地域の「セカンド小学校」に入り、出席すれば地域の商品券がもらえたり、逆に欠席すれば年金が減額される。
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強制力を伴うので、地域ネットワークの中に入りやすくなるし、「閉じこもり」が避けられる……生野区のめざす「まちぐるみ教育・みんなの学校」構想の中に入れこめるような提案だった。
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行政としての視点で読みながら、一方で「自分はどんな人生の終わり方をしたいか」についても、考えてしまう一冊。重かった。
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最近は話題になることも増えた、「特殊清掃」の世界。
興味本意で読んでみると、重く、そして、悲しくて切なくなり、そうして、どうにも解決できないやるせなさに向き合うことになります。
特殊清掃を実際に行うひとの想い。
突然、日常生活では無関係だった人について、血縁があるからといって責任をとらざるを得なくなる人の想い。
そうした状況になるとは全く知らなかった肉親の、無念の想い。
いろいろなものが渦巻いてしまい、文章から現場の臭いが漂ってくるようで息苦しくなります。
ひとは一人では生きていけません。
どこででもよく聞くことばです。
では、ひとが一人で死んだらどうなるのか。
それがよくわかります。
どうにかならなかったのか、、、と思う反面、そのような状況を自ら招いたような人に、どうやって同情すればいいのか、それはわかりません。
ひととして、日本人として。
今、ここにこういう問題があることを、わすられなくなることは間違いありません。
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孤独死清掃の中での出来事を事細かな描写で見せてくれている。
リアルな状況説明に目を背けたくなる場面はとても多いが、この故人のリアルな描写を読み進めているうちに、自分の生き方を改めて考えたくなる思いに変わっていった。
内容はグロいが、その向こう側にある大切なものを気づかせてくれる良い本でした。