これでよいのでしょうか。
2021/12/29 21:21
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投稿者:Kanye - この投稿者のレビュー一覧を見る
裁判官も人なので,出世したいとか,大過なくすごしたい,という思いがあることは十分に理解ができます。けれど,大きな事件でない限り,裁判の結果を外部からチェックすることはできません。裁判官の判断の偏りが行きすぎていても誰もチェックができないというのは怖いことのように思いました。
最高裁の人事権を立法府と行政府に握られている
2023/12/01 11:54
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はモンテスキューが「法の精神」で示したほどに、三権分立の理念は実践できていないと力説する。それは最高裁の人事権を立法府と行政府に握られているから、これには私も同意だ
裁判官の判断の背景がわかります
2022/08/12 10:54
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投稿者:one story - この投稿者のレビュー一覧を見る
極端だと感じる事例もありましたが、実際の事件での判決に至る過程等を垣間見ることを通じて、裁判官の判断に係る背景の一端を知ることができ、興味深く読むことができました。
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
組織の不条理に押し潰されていく、ひとりの人間として裁判官を捉えています。三権分立を揺るがすほどの、裁判所の忖度も衝撃的です。
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苦悩するエリートたち。100人を超える裁判官への取材でわかった閉ざされた世界の住人の「素顔」とは?。出世欲、プライド、正義感、情熱・・・生々しい感情が渦巻く裁判官の世界。これまで固く閉ざされていたその扉を、粘り強い取材が、初めてこじ開けた。(2020年刊)
・はじめに
・第一章 視えない統制
・第二章 原発をめぐる攻防
・第三章 萎縮する若手たち
・第四章 人事評価という支配
・第五章 権力の中枢・最高裁事務総局
・第六章 「平賀書簡問題」の衝撃
・第七章 ブルーパージが裁判所を変えた
・第八章 死刑を宣告した人々
・第九章 冤罪と裁判官
・第十章 裁判所に人生を奪われた人々
・第十一章 ねじ曲げられた裁判員制度
・第十二章 政府と司法の暗闘
・あとがき
最初に本書を手にとったとき、参考文献一覧をみて棚へ戻すこととした。
一覧に倉田卓次の著書が無かったためである。参考文献に偏りを感じ、バランスを危惧したのである。(藤田宙靖も無い。)
もちろんあるテーマを取り上げるのに、全ての文献を網羅する必要は無いのだが、押さえて置くべきものはある。それが無いと画竜点睛を欠くと感じるものがあるのだ。
労作であるがゆえに惜しく感じた。
読みやすい本である。内幕ものとして面白く読めるが、爽快さは無くフラストレーションが溜まってくる。(本書では、いくつかの問題提起があるが、解決は容易ではない。)
読了後、本書のタイトル「裁判官も人である」が身に染みた。
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2020/04/30裁判官もひとである
法務省の大きな組織の中で官僚ルールに従わざるを得ない裁判官
持論を主張していると人事で「措置」される
司法官僚エリート
正解指向=思考放棄
裁判の審理 事実認定と法的判断
人事による裁判官の統制
ブラックボックスの裁判所の世界にカメラが入った意義は大きい
官僚化が進む組織を壊すには、世間の眼に晒すしかない!
造られた権威と実態とのギャップはフィクションに過ぎない。
原発稼働の判断は裁判所の最大のリスク
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本書は、裁判官という独特の世界を「ぶっちゃけて」語った本であるが、この内容を読む限りどうもこの組織も腐ってきている。今日本全体「政治」も「経済」も閉塞感が漂っているが裁判所と言えどもその例外ではないのかとの思いも持った。
本書を読みながら思わず「それじゃまずいだろ!」と何度もつっこむ。何事にも「建て前」はあるだろうし、誰しも「良心」「理想」はある程度はあるだろうと思っていたが、閉塞感漂う時代にはそんなものはドラマの中にしかないのかも知れない。
本書の後半はあまりの悲惨さに読むのが辛い。日本の司法の頑迷さは「信頼」よりは「悲劇」を産んでいる。冤罪事件が今でも後を絶たないことを思うとやはり司法の変革は不可避だろうと思えた。
また裁判員裁判制度を導入した意図には驚いた。このような司法官僚の本音は決して マスコミでは流れない。やはり閉じて隠された社会は例外なく腐敗するものなのだろう。司法の世界も、もっと広く知られるべきだと本書を読んで痛感した。
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ノンフィクションが好き。
多分、こんな本に時々出逢えてゾクゾクする楽しみから、手に取る機会が多い気がしてます。
裁判官などの内実や内心を知れるなんて生きていて全然ない。
自分の生活に関わる範囲内のことしか、なかなか考えることすらも無い。
多種多様な生き方を知る機会もないし、そもそも出会うことも無い人達のなんと多いコト。
だからそこ、専門的なことになればなるほど、こうやった書籍がないと触れることすらなく時が進む。笑
ドラマや映画とかにはない、リアルな人の声を拾っているので、色んな感想が頭に浮かびながら一ページ一ページ読むことになった。
「裁判官って弱い。ただのひとりのサラリーマン。」
「三権分立は立法・司法・行政ではなくて、立法・裁判・行政。司法は、行政の一部」
多分、今後の人生で、いつかふと思い出しそうなそんな言葉たちでした。
職業の一つではあるので、テクニカルなものもある、当然だ。
でも、凄い苦悩の中で、一人一人が独立した一個人として、裁判に向かい事件に向き合っていることも少しだけ理解出来た。
結局、どんな仕事も、人間がやっている。
改めて当り前のことを感じた、そんな時間になりました。
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週刊現代の連載をまとめて単行本化したものらしい。あまり手を入れないまま単行本化したみたいで、各章の連絡が十分でなく、ブツブツになっている。青法協弾圧から裁判所の政治従属が強くなったあたりを、若い人たちに知らせる意義はあるかもしれない。一票の平等に関しては、最高裁判事を辞任してから二倍を超える格差の選挙は無効判決を出すべしとする論文を果敢に書いた藤田宙靖・東北大学名誉教授のことに全く言及されていないのは調査不足。
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歪んだ判決が下されるには理由がある。
・裁判官の人事権を有する最高裁事務総局
・その最高裁に予算や人事権で影響を行使する内閣の意思を忖度させてしまう組織としての力学
上記の仮説を現役およびOB裁判官約100人の取材と多くの書籍から論証しようとした意欲作。
三権分立の柱である裁判所は本来独立心をもって司法・行政の暴走をコントロールすべきだが、
上記のような組織の力学に翻弄され、時に苦しみ歪められている裁判官の様子が鮮明に書かれている。
組織の力学に染まる中で裁判官個人が当初抱いていた純粋な理念を失っていく様も書かれていて読んでいて辛い箇所もあったし、それでもなお個人の良心と法の独立心に従い正しいと思った判決を下した裁判官も高裁や最高裁で歪んだ判決が下される様子は何とも言えない気持ちになった。
また警察や検察が彼らのストーリーに沿った供述や証拠を捏造する様子も書かれており、そうした裁判資料から冤罪が下され、人生が狂わされた人達の心境も書かれていて腹立たしい思いも持った。
おそらく組織側にも彼らの論理もあり、そうした面にはほとんど触れられていないが、歪んだ判決が下され続ける原因を説得力のある形で提示され、
今までにない問題意識を持つことができた。
個別の話では下記のトピックがとても興味深かった。
・原発稼働の是非を問う判決の押し引き
・立証責任の転換の話
・尊属殺重罰規定違憲判決の話
・最高裁事務総局という組織腐敗の原因
・平賀書簡の真実
・平賀書簡がきっかけで最高裁より再任拒否された宮本康昭(当時の最高裁人事局長は矢口洪一)
・GHQアルフレッドオプラーが限定容認した日本における死刑制度とその後の運用
・宮本康昭と矢口洪一のタッグで進めた裁判員裁判制度
・元最高裁長官矢口洪一が進めた裁判員制度の裏の意図
・小渕元首相の急死により実現できなかった法曹一元
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裁判官・検事・刑事ものの小説・ノンフィクションが好きなので、およその実態はわかっていたが、裁判官の実態を非常に丁寧な取材で明らかにした稀有な力作。名ばかりの司法権の独立や、改善どころか改悪されているのではと思う司法制度改革に本当に危惧を覚える。そんな環境でも地道に必死に正義を求める求道者たる裁判官もいらっしゃることに頭が下がる思いだ。
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裁判所に直接お世話になったことはないが、仕事では法律を考えない時はない。それだけ重要な司法を司る組織も、タイトル通り様々な悲喜交交があって、人間だもの、ということがわかる。
the last straw
ラクダの背に限度いっぱいの荷が載せられているときは、麦わら一本積み増しても重みに耐えかねて背中が折れてしまう、という話から、限界を超えさせるものの例え
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三権分立の司法権がこんなにも政府にすり寄る構造になっている事は、民主主義の根本が脅かされているということである。この非常に重要な事実を国民は認識すべきである。
司法制度改革で成し遂げられなかった、裁判官の外部からの登用など、裁判官の人事の透明性を上げる制度の改革をしていなかければ、ひたすら上を目指してきたエリートだけが出世する、忖度だらけの官僚組織になってしまう。
まずは、漫然と最高裁判事の国民審査を行なってはならない。
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骨太のノンフィクションです。
普通の生活を送っているのであれば、無縁の
存在とも言える裁判官。
しかし小学生のうちから学ぶ、「三権分立」
の一翼を担い、法治国家として国家の屋台骨
を支える裁判官。
彼らはどういう人間なのでしょうか。
死刑を宣告する時はどういう心理なのか。時
には違憲という国家さえも相手にするときは
どういう心構えなのか。「無罪」の判決を巡
って警察(検察)と対峙するときはどういう
覚悟があるのか。
一般市民からは想像もつかない重圧と闘う裁
判官の全てがわかる一冊です。
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普段読まないジャンルの本なので、すごく刺激的に読めた。
裁判官の判決と人事を結びつけるシステムが良くない。過剰な忖度を生み、裁判を争う人の人生と裁判官の人生が天秤にかけられていると読み取れる。
1968年の尊属殺人の裁判での井波裁判長の被害者を責める発言。読んでいてかなり頭にきた。
裁判官が保身のために被告人の状況の理解を示さず、逆に責めたのだ。「父親が実の娘を手込めにするのは大昔ならあたりまえのこと」?!彼女は父親と夫婦になった訳ではなく、虐待されて育ったんじゃない。それに責任を負えと?
もう被告人が可哀想に感じて仕方なく、インターネットでもこの事件について調べた。すると弁護士の大貫大八氏、正一氏の最高裁での口頭弁論が、かなり痛烈だったので胸がすく思いがした。そして50年前でもきちんとした考えで彼女を弁護した人がいたのだと知り、ほっとした。