学ぶことが多かった本です
2020/07/10 12:44
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
実際にテレビやウェブ、動画で用いられ、炎上したCMを数多く取り上げ、そのCMがなぜ炎上したのかを著者が丁寧に解説した1冊です。
本当、現代になってもこんなに女性、男性に対する「固定観念」がわが国ではまかり通っているのか、と思い知らされました。学ぶことが実に多かったです。
これからの社会における性別の在り方の根底として、当書に著わされたジェンダー論を、多くの方々に把握していただければ、と私は思います。ぜひ当書に目を通してみてください。
「私作る人」、「僕食べる人」
2022/09/08 17:46
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
数10年前のこと、何のCMだったかなあ、カレーかラーメンだったかなあ、女の子(10代後半)「私作る人」、男の子(同じく10代後半)「僕食べる人」というCMが物議を醸したことがある、食事を作るのは女の仕事と決めつけるのかと。その当時に比べ今のCMは批判を受けないようにという技巧は進んだと思うが、思想は変わっていないような気がする
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
議論の対象となった各種の「炎上CM」を検証する一冊。確かにそんな作品があった!というもの多数。多角的に、しっかり論じていますが、やはり映像で見ないと分かりにくいのが正直なところ。
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投稿者:楠太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分は男性なんですけど、私が頑張ることは作者にとって「悪」なのだろうと思う。
この本を要約すると、『女性を揶揄するcmは許せない。でも男をハゲだの金稼ぎマシーンだの揶揄するのはOK。なぜなら、この社会は男性が支配していてそのcmは自虐に過ぎないから』と言った内容。
作者は、男性で東大教授という圧倒的地位を得ているにもかかわらず、それらは全て棚に上げて、男性が社会で活躍することを構造的問題だと批判している。
価値判断が主観的すぎるなぁと思う。
このレビューを本人が見たら「何もわかってない」と批判してくるだろうけど、それは僕の理解力不足です。すみません。
ジェンダー論を日常生活と密接に説明しようとした姿勢を評価して星二つ。
ps 東大では進振りという制度で、点数が高い順に行きたい学部を選べます。なお、他の先生方は男女区別せず、客観的な数字で成績判断しますが、scym先生は女子ばかりに優を出すことで有名。だから、こぞって女子が受講して「東大で人気な授業」になっている。
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出版社(光文社)ページ
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334044695
内容・目次
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この本でLGBTだけじゃなくて、性別の線自体を問題視するクィア、あるいはどちらの性であるかの性自認が揺れ動くクエスチョ二ングのQ、さらにはインターセクシャルのI、誰にも性的志向を持たないアセクシャルのA、全方位のパンセクシャルのP、も合わせてLGBTQIAPという言葉に初めて触れたのですが、もうすでにNHKのニュースで一般用語としてLGBTQという使われ方がしていて、この領域の社会認識のスピードの速さに驚いています。エアライン国内線のアナウンスがLadies and gentlemanを禁止してall passengersになったというニュースだったかな?とにかく踏み絵みたいな本で、自分はどうかな?こんなこと言ってないかな?こんな考え方を人に押し付けていないかな?とドキドキしながら読みました。突然、20年以上前デビューして間もない深田恭子の水着写真のスクリーンセイバーを会社PCに使っていたら、やんわり叱られたこと思い出しました。職場に限ってみても、どんどん当たり前は変わっていくのだろうけど、変わっていくことに対応するのではなく、女性と働くこと、いや他人と働くことの意味をちゃんと体質化しておかないとまずい、と思います。前に読んだ「育休世代のジレンマ」にもダイレクトに関わる問題です。筆者による東京都のIDEA for TOKYOキャンペーンへの抗議とか、その対応とか、他山の石に出来るか?いや結局は自分の意志ですよね。
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社会学者で東京大学教授の瀬地山角氏のジェンダー論で、
いわゆる炎上CMを検証し、問題を炙り出そうという論考集。
序章 なぜCMは炎上するのか
第1章 子育てママの応援かワンオペ礼讃か
(性役割×女性)
第2章 ファッションや化粧品のCMは難しい?
(容姿や性的メッセージ×女性)
第3章 何が「性的」とみなされるのか?
(性的なメッセージ×男性)
第4章 「はたらけ!」といわれる男たち
(性役割×男性)
第5章 マイノリティと言葉の政治
終章 履いている下駄の高さ
炎上案件を《4象限》に分割して解説しているので
「どこがまずかったのか」わかりやすい。
■第Ⅰ象限:
女性を応援・女性に共感したつもりだったが、
性役割分業の現状追認になってしまった。
[例]ワンオペ育児に疑義を呈さない、
料理を女性が担うものとしか描かない、等。
■第Ⅱ象限:
女性を応援・女性に共感したつもりだったが、
訴求層を分断する結果に。
[例]年齢で女性をカテゴライズする手法、
女子力とは何ぞや(余計なお世話!)
■第Ⅲ象限:
全視聴者・閲覧者対象のつもりが、
男性の欲望を表出させた内容でしかなかったという
訴求層の読み間違い。
[例]自治体の観光PRキャラクターに、
不自然過ぎる独特の顔立ち・体型の
キャラクターを採用。
■第Ⅳ象限:
全視聴者・閲覧者対象のつもりが、
性役割分業の現状追認になってしまった。
[例]男性、特に“おじさん”をイジる、ディスる。
世の中の誰一人として不快にさせない表現など
あり得ないだろうから、
100%完璧な広告を作るのは至難の業と言えるが、
それでも、言葉のチョイスや問題提起などは
日々アップデートされていかねばならない、
いつまで昭和のノリを引き摺っているんだ!
といったお話で、
時折CMを見て感じていたモヤモヤが
どんなところに起因していたのか、
言語化してもらったようで、少しスッキリした。
終章のタイトル「履いている下駄の高さ」とは、
男子が男子として生まれたというだけで、
様々な場面で女子より優遇される状況を指す。
その「高さ」を等しい状態に近づけるために
女性専用のサービスが考案されてきたのだと気づけ! と。
女の子なんだから大学へは行かなくていいし、
どうしても行きたいなら自宅から通える範囲で!
学生の一人暮らし不可、ついでに浪人も認めない!
……等々、親に言われて
志望校の選択範囲を狭める女子高生の辛さって、
自分らの時代辺りで終わった話かと思っていたら、
現在も大して変わらないことが書かれていて、悲しくなった。
頑張ろう、みんな。
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語弊を恐れず言うと、マーケティング本というか広告戦略本として必読だと思いました。個々の章の結論部は凡庸ですし、異論もありますが、「なんで炎上したのか」「なんで評価されたのか」を理解することが広告戦略で逆にブランドに傷をつけないために求められていると思います。
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大学を出てから、男女平等な職場で20年働きながら、産休・育休を経て復帰し、仕事と家事・育児の両立に悩みながら頑張ってきた私にはどストライクな内容でした。泣きながら読みました。いちいち深くうなづけました。
幸い、夫も同じ感覚の持ち主なので、「家事を手伝う」などとは思っていません。家事をできるだけ同じくらいに分担し、子育ても「手伝う」のではなく、「一緒にする」と思っていると思います。私たち夫婦は団塊ジュニアなので、珍しいタイプだと思います。なぜなら、親世代(団塊世代)は完全に「男は外で仕事・妻は家庭を守れ」と考えており、そういう家庭環境で育ってきたからです。
社会はなかなか変わらない。女性が男性と対等に働きながら、当たり前に子育てもできる世の中はまだまだ遠い先に思える。「女性が仕事と育児を両立できる社会を目指そう」という感覚がそもそも間違っている。
炎上CMを分析することを通して、社会の問題、日本人のそもそもの感覚のおかしさをあぶりだしている。へぇ、こんなCMも炎上してたんだ、というだけでも十分面白い。同業者や、職場の後輩や、その夫君たちにもおすすめしたい。
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馴染みのあるCMを取り上げて、問題例と成功例を比較しながら書かれていてとても分かりやすかった。4つのカテゴリーに分けられており、女性から共感を得られると思い作られたけど、結果的に女性に対する差別と捉えられたCMや、意図せず家庭においての性役割などを表していたり、興味深かった。
テレビで流れているものに対して鵜呑みにせず、問題意識を持ちながらちゃんと見るべきだと反省した。ジェンダー論についてまだよく分からない方にとっても良い本だと感じる。
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CMを具体例としてジェンダー論に切り込む、というのが具体的で、理解をする強力な手段になっていると思う。
最後まで読んで、正直まだまだ自分の認識がアップデートできていないところがあると悟った。特に5章はうっかり(これが危険)使いかねないので、注意しないといけない。
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こういったある部分エキセントリックな考え方をする方が、かえって新たな差別を生み出し、要らない軋轢を作り出しているかのような気分にさせられる。というのが正直な読後感。巻末資料はそれなりに面白い。
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これを神経質とか偏っているとか逆差別とか言う人は、たぶんツイッターの「いいね」欄に、おぎの稔の発言とか並んでるんだろう。講義をそのまま文字化したような文体で、タイトルから期待される要素は一通り学べる。
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運転免許センターで配られる教則本とオービス・ネズミ捕りマップと同種の機能。
ジェンダー業界の、取締りに関する考え方と事例集。
実用書としては、整理が行き届いており、有用だと思う。
「あとがき」に記されていた「私は社会運動を続けたいと思ったので大学院に進みました。」という一文が著者の全てではないかと感じた。
真理追求ではなく、「運動」が本質。
議論されているのと同じ構造を他の事柄に当てはめたときに起こる異様な姿を指摘された際、攻撃性で糊塗しようとする姿勢が、同種の運動をする人達より薄く感じられ、この種の内容に関する本のなかではなかなか読みやすかった。
しかし、「古い」を単純に「間違っている」と同義とする言葉の使い方をはじめ、やはりこの種の業界の人に特徴的な匂いは一貫して漂っている気がする。
何度か本書にも出てくる「politically correct (政治的に正しい)」という考え方は、その言葉が示すとおり、「正しい」とは違う。
突き詰めていえば、「正しい」とは違うという意味で、その他の多くの「間違い」と同じように「間違い」とも言えるのではないか。
それを、政治の力で、社会運動の力で、社会一般に強要すれば、社会は一層息苦しく、分断されたものになってしまうのではなかろうか。
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炎上してしまうCMというのは数多く存在
します。
古くは「ぼく食べる人、私つくる人」で、
家事を押し付けている、などと批判を受け
たCMや、最近でも「女性差別」と受け取
られて炎上してしまうCMは枚挙に暇ない
です。
それらを分析するだけでなく、この本は
炎上広告を4つのパターンに分類し、それ
がどういう観点でバッシングを受けたかの
原因を考察します。
さらに同じパターンに分類されているにも
かかわらず成功して評判になったCMも挙
げている点が新しいです。
批判を受けた側の企業の言い訳として、
「女性の意見も吸い上げたのですが・・」
というのがあります。
しかし吸い上げただけで「採用」はされな
かったが故に女性の観点がスッポリ抜け落
ちたわけですね。
この要因は意思決定方法にも問題があるの
では?と著者は指摘します。
要は上層部はオジさんばかりで、女性の観
点で物申す人もいなくて、最終的に古い価
値観のオジサン目線のCMが世に送られて
しまうのです。
もはや問題は組織論にも及ぶのです。
そのくらい「またか」と呆れるくらい同じ
問題で炎上が発生しています。
「ウチの会社は大丈夫」と思わずに、しっ
かりとジェンダー論を学ぶ事ができる内容
なので、オジサンこそ手に取るべき一冊で
す。