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幽霊たち(新潮文庫) みんなのレビュー

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一般書

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みんなのレビュー192件

みんなの評価4.0

評価内訳

192 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

透き通る存在

2007/08/28 22:42

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:sanctusjanuaris - この投稿者のレビュー一覧を見る

初めにブルーがいて、次にホワイトがいて、そしてブラックがいる。探偵ブルーはホワイトから依頼を受ける。ブラックをずっと見張り続けるように、と。書き物と散歩しかしないブラックの毎日を、ブルーはアパートの窓越しに眺め続ける。さしずめこの小説は、ブラックを描写するブルーの描写だ。だが、ブルーに、描写という役割を与えたのは、ホワイトであり、そしてブラックだった。ところが、ブルーの作成した無味乾燥な事実の羅列に、ブラックは自分の存在意義があると思う。
ブラックとホワイト、そしてブルーの存在と役割は、彼らの相互依存のみによって存立している。しかもその依存関係が、堂々巡りの幻のようなものであることが、物語が進むうちに、分かってくる。読者がそれに感づく頃に、彼らの存在は、透明で抽象的な、ゴーストになっていく。
作者は、ホイットマンとソローにも言及する。都会の外部即ち自然で暮らした偉人たちだ。ソローやホイットマンは、ブルー達のような都会のパーソナリティと対極にある象徴だろう。後半で作者は、最後にブルーはブラックをぶちのめして旅に出てしまうとしておこうと書き、描写を留保する。一見解釈余地を多分に与えてくれるようだが、この作品の目論見は、解釈余地の深さを示すことではなく、存在の抽象性が引き起こす不安を表現することにあるだろう。だからソローやホイットマンの登場や、ブルーの最後の行為の仄めかしで、読者を救われた気分にさせようなどと作者は思っていない。『幽霊たち』の登場人物は、抽象的なペルソナだろう。色で指し示されているが、代名詞や代数で彼らを呼んでも変わりない。ブルーとブラックはxとyでもよかった。
都会的パーソナリティの持ち主たちは、己の存在に意義を追い求めた。だが追い求めるほどに、存在は透明になり抽象化していった。郊外に解決を求めようとしても、出口は、ない。存在なるものの根っこには、そもそも拭いがたい透明さがある。己の存在を追う不気味な登場人物たち以外にも、この存在の根源的な透明さという幽霊たちも、当作品に出没しているのだ。彼らが取り付かれたように己の存在を追う過程で、鬼火のように立ち現れる幽霊が微妙に発見されることだろう。

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紙の本

さまざまな色たち

2000/10/24 21:51

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:katokt - この投稿者のレビュー一覧を見る

 登場人物の名前が色なのは、ビジュアル的にいい。映画化すると、その色のジャケットとか着てるんだろうなぁ、バットマンだっけ? みたい。それにもまして、最初にカードをさらして、そこから組み立てで展開していく流れがいい。簡潔にさらされたカードがどう展開していくのか、楽しんでみてください。詳しくは

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紙の本

読む前から名作と決定されていた

2021/12/04 22:11

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

翻訳家、柴田元幸氏が評するところの「エレガントな前衛」作家ポール・オースターとその翻訳家・柴田氏による本だから名作であると、読む前からこちらとしては決め打ちしている。「ガラスの街」「鍵のかかった部屋」そしてこの作品、あわせてニューヨーク三部作というのだそうだ(この中でガラスの街は未読)、鍵のかかった部屋も失踪した友人を探すというの話だったが、今回もホワイトという謎に包まれた男から依頼を受けてこれも謎の男ブラックを探るという人探しがテーマ。「ソローは何が面白くて、ひとりで森なんかへ行くんだ」とブルーはブラックが読んでいるらしいソローのことを不思議に思っているのだが、そう思っていたブルー自身が森へと知らないうちに迷い込んでいるような状況になっていく、どんどんと話に引き込まれていく

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紙の本

面白い

2021/04/21 07:11

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ミチ - この投稿者のレビュー一覧を見る

テンポがよくすらすら読めます。

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紙の本

何にも

2020/01/04 16:39

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る

こんなにも、何も起こらない作品だとは思いませんでした(笑)
なのになぜこんなにも惹きつけられるのでしょうか。
本に熱中しすぎて電車を乗り過ごした初めての作品です。

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紙の本

シュールさにしびれる

2016/02/14 22:00

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:山好きお坊さん - この投稿者のレビュー一覧を見る

翻訳者の柴田元幸さんは、アメリカ文学の中でもポール・オースター大好き人間らしく、ほとんど一手に翻訳している。後に彼の新訳で読む『ガラスの街』にいたっては、すでに他の翻訳者が角川書店から出版していたことが、痛恨の極みと解説文の端々に感じられるほどであった。それだけに期待して読み始めたが、噂に違え難物であった。私立探偵ブルーが受けた仕事が変っていて、向かいのビルの真向いの部屋に出入りするブラックを一日中見張り、報告書をまとめて郵送するというもの。ブラックは何をするではなく、窓際の机にすわり、何か読み書きしているだけ。ブルーの頭は、ブラックへの集中と仕事への疑問から狂わんばかり、とうとう、変装して接触を試みたり、部屋に押し入るに至る。内容の多くはブルーの思考の上で展開する。この仕事の目的、意味が不明、ブラックもまたブルーと同じ頼まれ私立探偵でもあるようだし、実にシュールな感じのする作品である。

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紙の本

事件は現場で起こっている

2015/08/09 20:07

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:金吾庄左ェ門 - この投稿者のレビュー一覧を見る

まずはじめにブルーがいて・・・と粋な始まり方をする探偵小説です。

私立探偵ブルーが、ホワイトの依頼によりブラックを監視しはじめるのですが、ブラックはこれといって何をするわけでもないので、ブルーは妙な考え事で退屈しのぎ。しかし、事件は会議室ではなく現場で起こっているという言葉通り、すでにブルーは事件に巻き込まれているのです。

そしてブルーは仕事を逸脱し、ホワイトの正体を突き止めようとするのですが、これがホワイトの意図する所であり、起こるはずのない事件であったのです。ブルーはある意味で事件の被害者とも言えます。

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紙の本

たちの悪い幽霊

2002/03/21 00:00

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナリティ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 タイトルからして、なにか変じゃありませんか?
幽霊たちって、わざわざたちをつける必要がある
のかなあ。ねこたちって日本語にしたら、英語のテスト
だったらたぶん三角ですよね?
 なんて、表紙を見るだけでいろいろと考えてしまっているけど、何を隠そうこの本は、主人公があれやこれやと想像を巡らせつづける、はっきりいってしまえばただそれだけの話なのです!それのどこがおもしろいかって?おもしろいんですよ、まるで人の頭の中をのぞいているような感じです。
 私立探偵のブルーは、依頼人ホワイトから、ブラックという男を見張るように依頼されます。しかし、いくら見張れど何も起こらない。ブルーがブラックに、ホワイトに対してめぐらす推測、ふくらんでいく空想。そういった細部にすごくリアリティがあって、あっという間に読み進めます。事件は起こらないんですけど。そして、衝撃的というか拍子抜けのラスト。とぼけた味わいとはぐらかされた肩透かし感。 
本当にたちの悪い幽霊です!

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紙の本

お互いを見張りあう男と男の不思議な物語。

2002/01/15 21:05

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投稿者:ポーリィーン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ただただ普通(?)に生活する男を見張るストーリー…だというのに奇妙な緊迫感があり、飽きるどころか引き込まれて最後まで読みきってしまった(といってもページ数は少ない)。合間合間の読者心をくすぐるエピソードの数々に魅了され、ラストの有無を言わさぬ潔さには感服。とにかく不思議で面白い。

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紙の本

何も起こらないのにスリリング

2001/03/12 09:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:白井道也 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 まず出だしがいい。「まずはじめにブルーがいる。それからブラックがいて、そもそものはじまりの前にはブラウンがいる。」
 何の話かと思ったら、私立探偵の話だ。しかも、事件はほとんど起こらない。ブルーがホワイトを見張るだけ。しかもホワイトは部屋に閉じこもっている。ブルーは様々な思いをめぐらす。その思考は、どんどん深みにはまっていく。
 何も起こらないのに、ミステリアスで、スリリング。最後までグイグイ読ませる。変な小説だけど、凄い小説だ。

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電子書籍

不思議な感覚で

2021/04/14 01:01

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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る

読み終えました。まず、出てくるのが、ブルー、ブラック、ホワイト。すべて、色、なんですけど……これは、何かの暗示か……と思いつつ……読み進めて、ラストは……。

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紙の本

「何かをする」ということ

2001/11/13 16:24

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投稿者:naka-m - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ある探偵がある人物を見張るだけの話。しかしその人物は毎日何もしないので、当然探偵も何もしない人物を見ているだけの月日が流れて行きます。

 そもそも「何かをする」というのは何なのか。

 誰かがいるから何かをしたり、誰もいないから何かをしたり、結局のところ人間の行動というのは全て自分以外の誰かに依存してるんですね。

 一度読み終わった後、もう一度読むと面白い本です。

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紙の本

幽霊たち

2001/10/30 14:49

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投稿者:333 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 登場人物はブラックとホワイトとブルー。ブラックはブルーに依頼してホワイトを見張るようにめいずる。しかし、ホワイトは部屋に篭っている。何も起きない日常、しかし、ホワイトを見張り続けなくてはならない日常。そんな、不調和な日常を鮮やかに描いた作品。最後にある事件がおきますが、それは読んでからのお楽しみ。

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紙の本

透明感

2001/02/15 23:29

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投稿者:谷池真太 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 目的が見つからない毎日を打破するために行動する人間。だが、その行為もその街にとってはとるに足らない、目にも映らないことである。だが、無意味というのとは違うすべてのことには意味がある。ただ、それが透明で見えないだけなのだ。

 透明な話である。登場人物の名はすべて色で表現される。記号としての色。記号としての人間。
 無為であれば、いずれ人は人でなくなる。自分も、そして自分がみる世界も記号と化してしまう。だからこそブルーは行動するのだ。

 読みやすい話なので、お薦めしたい一冊。

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紙の本

何もしないことをしている

2002/08/13 01:45

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投稿者:青月堂 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「何もしないことをしている」と言ったのはギリシャの哲学者だっただろうか。この奇妙な小説は、まさに何も起こらないことが起こる小説である。
「まずはじめにブルーがいる。次にホワイトがいて、それからブラックがいて、そもそものはじまりの前にはブラウンがいる」という文章から始まるこの小説は、主要な登場人物の名前は全て色名である。ブルーは探偵で、ホワイトからブラックを見張って欲しいという依頼を受ける。早速ブラックのアパートの向かいに部屋を借り、張り込みを続けるがブラックは何もしない。ほとんど部屋から出ずに、終日、本を読んだり何か書き物をしている。何もしないブラックを前にして、ブルーは途方に暮れることになる。そして自分と向き合うことになる。自分は一体誰なのだろうと。
 ブルーはこの状況を解明するために、仮説=物語を創ることになる。そして、読者も同じように、何も起きない小説を読みながら、時々目を本から外し、自分の物語を創っていくことになる。
 この本を読みながら、僕はずっと考えていた。人は何故小説を読むのだろうか、と。知識や情報を得たいためだろうか、感動や恐怖を体験したいからだろうか、あるいは別の人生を疑似体験したいからだろうか? しかし、少なくともこの小説からは、どれも得られることはない。自分と向き合うこと以外には、何も。
 思い出した。「何もしないことをしている」と言ったのはプーさんだった。たぶん。

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