紙の本
新型コロナウイルスは私たちに深く考えるきっかけを与えてくれた
2020/08/05 21:49
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の内容は、世界の知性と言われている専門分野の異なる英国と米国の大学教授6名に、コロナ後の世界について緊急インタビューしたものである。新型コロナウイルスの流行拡大において、あえてポジティブな側面は何かと問われると、6名の識者すべて、「私たちに深く考えるきっかけを与えてくれたこと。」との答えが印象的だったとインタビューアーは述べている。今後の世界について、示唆に富む内容の一部は次のとおりである。◆「データは新しい石油」と表現されているが、それほど遠くない未来においてAIは何かを学習するのに大量のデータを必要としなくなる。◆AIは核兵器や生物兵器以上に、非常にパワフルで厄介なものになる可能性がある。今のまま無秩序な開発が進み、誰かがしくじれば人類は終わりということもあり得る。AI開発の戦略や倫理基準を定め、AIを利用する際に越えてはならない一線を明確にルール化すべきである。◆目前の危機に惑わされないために、視点を変えることも重要。過去と現在を比べ、データで現在の状況を冷静に判断しよう。過去に進歩したのだから、これからも進歩できる見込みはある。楽観主義により人類は過去の危機を乗り越え、進歩してきた。◆前回の金融危機で各国の中央銀行が学んだ教訓は、ためらわずにバズーカ砲(強力な金融緩和策)を撃つこと。国の借金は問題ない。金利が成長率よりも低ければ最終的にはGDPに対する借金の割合は徐々に減っていく。◆本当のリセッションは、新型コロナの猛威が収束した後に来るものであり、しつこいほど長く続くと考えるべき。
当然のことながら世界の知性といえど、即効薬があるわけではないし、経済政策については、国の借金について楽観的過ぎないかとも一市民は懸念するが、様々な専門分野の学者の見解がコンパクトに取りまとめられており一読をお勧めしたい。
電子書籍
読みやすい文体
2020/08/08 04:58
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽこすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
電話やメールでのインタビューをまとめた形式のためか、
名だたるインテリジェンスのオピニオンでありながら非常に読みやすいです。
「聞かせる(読ませる)」ことが意識されているような印象を受けました。
文章での寄稿であればこうはならなかったような気も・・・笑
コロナ後の世界がどう変化していくのか、
自分なりの思考を固める上で、大いにヒントを与えてくれる良書です。
個人的には、クルーグマン氏の章がとても勉強になりました。
電子書籍
読み応え
2020/10/20 09:18
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投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
岩波新書の「コロナ後の世界を生きるー私たちの提言ー」は日本国内の有識者のコロナ禍の論評だったが、この本は米英の世界的な著名人のものである。
日本に関するコメントがあり、6人の識者の日本評は妥当なものと思える。各人の専門分野における日本政府や政策に関しては概して厳しい反面、日本の長所も指摘してくれ、希望を持たせてくれている。各論とも読み応えがある。
日本の為政者にも是非読んでもらいたいものだ。
電子書籍
この時期に読むべき1冊
2020/10/11 16:01
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投稿者:KazT - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジャレド・ダイアモンド、ポールグルーグマンのほか、LIFE SHIFTのリンダ・グラットン、GAFAのスコット・キャロウエイらが、コロナ後に世界がどうなるかについて語ります。
コロナのようパンデミックに対しては、一見、独裁国家の方がよいように見えるが、ジャレド・ダイアモンド、ポールグルーグマンともに独裁者は間違いを隠すため、結果的に良いことはないと考えています。
ぜひ、この時期に読むべき1冊だと思います。
紙の本
前向きな気持ちになれました
2020/08/24 16:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
コロナ禍について、海外の知者6人に文藝春秋がインタビューしたのを、日本語に訳した内容です。
終息に見通しが立たないコロナ禍で、人類はどう生きて行けばいいのかを、6人それぞれが説いています。読み終わり、前向きな気持ちになれました。購読して良かったと心から思っています。
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むやみに不安を煽るのではなく、各専門家による、エビデンスに裏付けされたポジティブで有益な予測。海外から日本がどう見られているのかもわかる。大変興味深かった。
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それぞれ一家言ある方々の充実のラインナップ。一応コロナ本なんだけど、コロナを真正面から扱うと思うと肩透かしに合う。あくまでも自分の自論が語られた本。特にクルーグマン。
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ジャレド・ダイアモンドさんの意見には希望が持てる。人口減、少子高齢化などの問題を抱える日本が今後行うべき事を的確にに指摘している。歴史に学ぶ事の重要性は未来をどう生きるかに参考となる事例がたくさんある。
Jared Diamond's opinion is encouraging.
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タイトルから、コロナによって世界がどう変わるか書いてあるのかと思いましたが、コロナだけでなく、各インタビュアーの専門分野の世界がどうなっていくのか、簡単に要点が述べられていました。
一番心に残ったのはジャレド・ダイアモンド氏が「危機を乗り越えるために最も効果的なことは、まともな政治のために投票に行くことである」と述べられていたことです。
今ほど政治家の手腕の重要性が問われる時代もそう多くないと思います。
以下、要点をまとめました。
第1章 独裁国家はパンデミックに強いのか
ジャレド・ダイアモンド(82)
『銃・病原菌・鉄』著者
●方策の第一は私たちが家にいること。
(集団免疫を獲得するべきだという考え方もある)
●21世紀が中国の世紀になることはない。
●危機を乗り越えるためにできる最も効果的なことは、まともな政治の投票に行くことである。
第2章 AIで人類はレジエントになれる
マックス・テグマーク(53)
マサチューセッツ工科大学教授
●パンデミックと戦うことは情報戦。
AGIは、完成すれば人類の歴史上もっとも影響が強いテクノロジー。
●AGIの一回のエラーが「人類の終焉」を引き起こすこともあり得るし、AGIを手に入れた独裁者が地球のすべてをコントロールするために使うことも考えられる。
第3章 ロックダウンで生まれた新しい働き方
リンダ・グラットン(65)
ロンドンビジネススワーク教授
『ワーク・シフト』『ライフ・シフト』著者
●「働き方改革」を成し遂げる絶好の機会を得た。
●「healthy aging」(健康を保ちつつ歳を重ねることの重要性)
●「年寄り」と言っていいのは80歳以上。
●日本は世界各国と比べて「健康寿命」が非常に長い。
●テクノロジーが発達した未来では、我々の仕事により、”人間らしい力”が求められている(共感力、創造力、理解力、交渉力、英語力)
第4章 認知バイアスが感染症対策を遅らせた
スティーブン・ピンカー(65)
ハーバード大学心理学教授・進化心理学
『暴力の人類史』『21世紀の啓蒙』著者
●原発やAIよりも懸念すべきは核兵器。
我々は格差よりも「アンフェアネス(機会の不公平性)」に重点を置くべき。
第5章 新型コロナで強力になったGAFA
スコット・ギャロウェイ(55)
ニューヨーク大学スターン経営大学院教授
『the four GAFA』著者
●GAFAの中で最も生き残る可能性のあるのはアマゾン。
●今回(コロナ禍での)最大の驚きは二流大学の混乱。
●GAFAは何十億人もの生活の価値を高めていますが、彼らの目的はがんの撲滅や貧困の根絶ではなくつまるところ金儲け。
第6章 景気回復はスウッシュ型になる
ポール・クルーグマン(67)
経済学者
●これから感染症対策が問題となっていくのは、地方の貧しい地域。経済を回すことを優先させることよりも、まずは感染症対策の最前線にいる医療機関と経済的シャットダウンで打撃を受���ている人たちをサポートすべき。
●日本経済にとって最大の懸念材料だったのは、2019年10月の消費税引き上げ。
●パンデミックで最も大きなダメージを受けたのはアメリカ。トランプ大統領の再選によりアメリカは格差拡大。民主主義の危惧。
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コロナ禍という切り口で、6人の知識人が持論を展開する。
「ライフ・シフト」のリンダ・グラットン 「銃・病原菌・鉄」のジャレド・ダイアモンド 「the four GAFA」のスコット・ギャロウェイ そして経済学者のポール・クルーグマン...など。
なんともすごい面子だ。
内容については、それぞれが得意とする領域について書かれる。これからの世界情勢、AIと人工知能、働き方、GAFAの行く末、経済動向など…。たいへん知的好奇心をくすぐるラインナップ。
すべてのパートは20〜30ページほど。さらっと読めてしまう。しかし確実にエッセンスが詰まっているのは、さすがその道のエキスパートと言ったところ。
もし気になったパートがあれば、彼らの著作を読んで深堀りするのも良いかもしれない。そういう意味では、パンフレット的な1冊でもあった。
無粋な言い方だけど、非常にコスパが良い一冊。幅広い読者におすすめ。
(引用や抜粋は、書評ブログの方に書いてありますので良かったらそちらもどうぞ)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E7%9F%A5%E6%80%A76%E4%BA%BA%E3%81%8C%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%82%92%E5%8D%A0%E3%81%86_%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E5%BE%8C%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C_%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%AC
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とても読みやすく示唆に富んだ本。
特に心に残った部分は、スコット・ギャロウェイ氏が新型コロナウイルス感染症の経済への影響について、「変化の担い手」ではなく「促進剤」と述べていたこと。つまり、コロナが経済を変化させたのではなく、コロナがなくても必然的に起きていたであろう変化のスピードを速めただけ、ということである。
変化はゆっくりの方がいい。変化のスピードが速くなるのはやはり怖い。コロナに感じる底知れぬ恐怖の原因は、そういうところにもあるのかな、と思った。
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【新型コロナで人類は新たな歴史を迎えた】ジャレド・ダイアモンド、ポール・クルーグマンら世界を代表する六人の知性が、新型コロナ・パンデミック後の世界を大胆に予測する。
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ポジティブにこれからをとらえている学者もいれば、ポールクルーグマンのように先行き不明と アメリカ社会をとらえている人もいる。クルーグマンは反トランプの姿勢と日本の消費増税を真っ向から批判し安倍政権の姿勢を批判している。
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この本を一言で言えば、
「コロナを考慮した最新の未来予想図」
未来のことなので当然、自論にはなってくるが、これだけの錚々たる面々の各分野における未来に関しての意見を1000円以内で読むことができるというのは素晴らしいと思った。
既知の内容も新しく知ることもあったため刺激的であり、自分の未来観に良い意味で影響を与えた。
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「世界の知性6人に緊急インタビュー」このパンデミックで人類の未来はどう変わるのか? 帯より。
どの章も興味深く読みました。
今本当に歴史の節目を生きているんだなーと考えさせられます。自分の人生をあらゆる側面から捉え直すいい機会が訪れているんですね。
人生の間引き作業です。あれもこれもと、たくさん持ちすぎているんです。
何をとっておいて、何を捨てるか考える時が来てるのかな…と捉えながら、日々過ごしている2020年です。