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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰かの悪気ない言葉に傷ついたり、逆に悪気なく相手にかけた言葉が実は差別的で後から恥ずかしくなったり。そんな経験は多かれ少なかれ、誰にでもあることなのかもしれない。
本書は、そんな誰しもの中に潜むバイアス(差別意識とまではいえなくても)、無意識の偏見について、分かりやすく気付かせてくれる。
韓国でベストセラーになった、人権問題研究者の著作ということで、何かと構えて読んだが、まったく堅苦しさはなく、国籍や性別、人種にかかわらず、広く人類に大切なことを語りかけてくれる、普遍的な内容の本だった。
この本が、日本で出版されたことを、まず関わった方々に感謝したい。
著者自身も、何気なく口にした言葉について問われ、自分が悪意なく差別していることに気付く。
そこから、みんな差別はいけないと分かっているのに、なぜなくならないかを考えていく。私たちが内面化された差別や偏見に気付かずにいることが、いかに差別に加担しているかを、易しい言葉で丁寧にひもといていく。
プロローグにこんな印象的な言葉がある。
「私は他人を差別していないという考えは勘違いであり、思い込みにすぎなかった。誰かに対して「真に平等」に接し、その人を尊重するのであれば、それは自分の無意識にまで目を向ける作業を経た上でなければならない。いわば自分が認めたくない恥ずかしい自分を発見することである」
そして著者は、米国の研究などから、誰もの心に存在するバイアスを明らかにしていく。差別はいけないという思い、差別は存在しないと思いたい願望、確かにみんなそんな風に思っている。でも差別がなくならないのは、気付かないからだ。
印象に残ったのは「特権」という言葉について。
私たちはそれはエリートや財閥など一部の人の権力だと狭義に捉えているが、実はそうではなく「与えられた社会条件が自分にとって有理であったために得られた、あらゆる恩恵のことを指す」と著者は述べる。「既に備えている条件であるためたいていの人は気付かない」。持てる側は、「自分が持てる側だという事実にさえ気付かない」と。確かにそうだ。
「差別の存在を否定するのではなく、もっと差別を発見しなければならない時代を生きている」という指摘には何度もうなずいた。
多くの人に読んでもらいたい素晴らしい一冊だ。
そのとおりですね
2022/04/13 20:08
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投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
差別なんか私は絶対にしません。だって私は差別が大嫌いで、常日頃差別に気を配っているし、忌み嫌っていますもの。差別を理解していない人にも、指導をしていますよ。
そんな私が差別をしているって仰るのですか。そんな訳ありませんよ、何を仰っているのですか。理解できませんね。あなた本気で仰ってます?怒りますよ。相手にできません。
そういう人が差別をしていると書いてある本です。
差別をしないための努力
2023/10/14 13:35
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投稿者:ぐり - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰もが差別され、そして、差別をしてしまう可能性がある。
ただ生きているだけで、差別に加担してることもある。いや、十中八九、加担している。
本書の中の事例は、韓国や米国のものが中心だけど、容易に日本の辞令も思い浮かべられて、差別の仕組みを実感させられる。
気づける人になるために
2021/09/26 21:38
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投稿者:魚大好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
韓国やアメリカの差別に関する事例を取り上げているが日本にもたくさん当てはまることがあると感じた。
一般人の私たちも気づいていないだけで''特権(あらゆる恩恵)''を持ち合わせている。この特権が奪われると、不便や不都合な状況が発生し、人は不平等だと感じる。
それゆえに多くの人は差別に反対しているにもかかわらずなかなか差別がなくならないのはこういった理由が挙げられる。
常に差別をしているかもと自問する。そして「差別しない努力」を念頭に置いて行動することを心がける。
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投稿者:はらみ79 - この投稿者のレビュー一覧を見る
まだ全部読めてないがタイトルだけでもう、毎日何度も自分に言い聞かせている。その習慣だけで買った値打ちがあるのではと思ってしまう。
悪意なく差別してしまうことは勿論、そのことを簡単に認められない背景は何なのかを頭に置いて読み進めていきたい
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差別なんてしてません、って顔でこの本を読んでるお前のことを言ってるんだよ。って何度もハッとさせられた。
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ときわ書房志津ステーションビル店
@tokiwashizu
「差別はいけない」とは当たり前のこと。
にもかかわらず、無頓着なのは何故なのか?
差別される側に立つことのない者と、立たされ続ける者の意識の差は天と地ほどに違う。その差を縮め無くす努力。その為に学ぶことは可能だ。
https://twitter.com/tokiwashizu/status/1430464630187458565
悪意なき差別主義者/相対的剝奪感/トークニズム/特権/損失回避バイアス/固定観念/架空の偏見/スティグマ/ステレオタイプ脅威/構造的差別/優越理論/偏見にもとづく規範理論/名指す権力/「些細な」差別/間接差別/能力主義のパラドックス/不公正な能力主義/承認の政治/差異の政治
好書好日(2021.11.6): https://book.asahi.com/article/14475694
東京新聞(2021.11.28): https://www.tokyo-np.co.jp/article/145061
好書好日(2022.2.3):著者インタビュー「無自覚に他人を踏みつけないためにできること」https://book.asahi.com/article/14532082
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私は差別主義者じゃない、差別なんてするわけがない、と思っているけど、自分の特権に気が付かず無自覚に差別をしている可能性がある、、、ということを恐ろしく感じた。自分の何気ない言動で他人を深く傷つけることもある。いつだって「差別される側」にもなるだろう。「差別しないための努力」は、誰もが意識して取り組まなければならないことだと思った。
読んでいる間、自分のエグい部分に向き合うことになり居心地が悪くなったけど、「今」気付くことができてよかった。アップデートしないと。
訳者あとがきにあった韓国のことわざ、「何気なく(いたずらで)投げた小石にカエルは打たれて死ぬ」。これは覚えておこう…。
解説はちょっと難しかったです…。
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読めば読むほど 差別を失くすことの難しさを痛感するのだけど、まずは誰もが「自分は知らず知らずのうちに差別をしているかもしれない」と自らに問いかけることが大切、というとは胸に刻んでおきたい。
こういう本がベストセラーになって多くの人に読まれている国って、羨ましいなと思っちゃった。
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世の中には差別が溢れている。見えない差別も溢れている。無自覚の差別にならないよう、何気ない一言にも気をつけていくという意識が必要だと思った。
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これは必読。SDGSのいう「だれ1人取り残さない」社会実現のために考えなければならないこと、必要な視点や課題が詰まった本。とてもわかりやすいです。
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差別も特権も、ありふれているからこそ見えない、韓国で16万部のベストセラーが邦訳されました。
「自分は差別などしていない」本当にそうか。民医連は以前から「権威勾配をなくし、平等な職種関係を構築しよう」と職場への周知を呼びかけているが、本当に医療・介護や民医連の事業所において権威勾配なく職種間連携が行われているか。本書は、韓国における問題提起であるが、世界においてもトークニズム、特権、優越理論、間接差別、差異の政治など、差別に関する多様な理論が適切な事例とともにわかりやすく紹介されている。よって、個人レベルから構造的なレベルまでの差別について考える好材料になっている。日本でも、潜在的優位性、家父長制、男尊女卑、権威勾配とヒエラルキーなど、日常生活から社会関係から見直し、あらためて民主主義、人権尊重を考え直すきっかけとなる。また、ヘイト表現をやめる運動など、どのように人権運動に携わるかの模索も提起され、「真に平等」に接する人間関係の構築を考える1冊になるのではないか。
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原題 :『선량한 차별주의자』(善良な差別主義者)
“自分には何の不便もない構造物や制度が、だれかにとっては障壁(バリア)になる瞬間、私たちは自分が享受する特権を発見する。”(p.31)
“冗談に対して笑わない人たちがあらわれたとき、そのユーモアは消えていく。だれかを差別し嘲笑するような冗談に笑わないだけでも、「その行動は許されない」というメッセージを送れる。”(p.105)
“差別に敏感にも鈍感にもなりうる自分の位置を自覚し、慣れ親しんだ発言や行動、制度がときに差別になるかもしれないという認識をもって世の中を眺めることができるだろうか。自分の目には見えなかった差別をだれかに指摘されたとき、防御のために否定するのではなく、謙虚な姿勢で相手の話に耳をかたむけ、自己を省みることができるだろうか。”(p.201)
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わりと敏感な方ではあると思うけど、いつ何時、自分が差別する側になってしまうかわからない。気をつけないと。
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めっちゃ難しくて読みながら何回も寝ちゃったけど、それでも絶対絶対読んでよかったと思える本!
職業柄、人権には人一倍敏感なつもりだったけど、私も無意識のうちに人を区別したり型にはめたりしちゃってたかもしれん。。自分の大切な部分を守るつもりでの言動も人に屈辱を感じさせてしまったかもしれんし、自分が良かれと思ってやってたことすら捉え方によっては差別になってた可能性すらある。そう思うと社会ってすごく良くなってきてるといってもまだまだみんなで考えていかないといけないことばっかりだし、中学校も悪意のない差別に溢れてると感じたな〜〜大学の時めっちゃ厳しかった憲法の先生が「高権者が一番憲法を知っていなきゃいけない」って訴えてたのを思い出したし、もっともっと勉強しよって思った。
忘れないように!↓
「私は苦しいけれど、あなたは楽だよね」じゃなくて「あなたと私を苦しめる、この不平等について話し合おう」という共通のテーマについて語ることが必要
韓国の難民受け入れ事例
「立ち位置が変われば風景も変わる」
人々は自分が属していない他の集団を簡単に単純化する傾向がある。自分が属している「ウチ」は相対的に複雑かつ多様で、より人間的だと感じられる。一方「ソト」の人々は単調で均一で、人間的ではないと感じられる。このように「かれら」に対する固定観念と偏見が作られる。
鳥に鳥かごは見えない。構造的差別は自然な日常だから認識しづらい。だから私たちは疑問を持ち続ける必要がある。世の中は本当に平等なのか。私の人生はほんとうに差別と無関係なのか。
そうしないかぎり、私たちは慣れ親しんだ社会秩序にただ無意識的に従い、差別に加担することになる。
嫌なことを嫌だと表現できるのは権力である。女性から男性、部下から上司に嫌だと言えるとき、権力関係は従来とは異なる関係に変わる。しかし、権力を持った人が使う「嫌い」の表現は違う。社長から社員、教師から学生へ嫌いという時、これは単なる個人の好みの問題ではなく、権力関係の変動でもない。まさに権力そのものである。無数の差別は、嫌いという感情から生じ、その感情が、だれかを機会や資源から排除する権力として働く。マジョリティ集団が、特定の人を嫌いと指さすことで、「馴染みのない者」を選別し排除する、パノプティコンのような監視システムが作動をはじめ、公共の空間を統治する。