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誰が本当の敵なのか、スパイが誰なのか分からない
2022/11/29 08:25
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ハヤブサ消防団』は、亡き父の故郷に東京から移住した売れないミステリ作家・三馬太郎が主人公のミステリーです。
中国地方の田園地帯。田舎なので人々はよそ者には開放的ではないのですが、太郎は両親の離婚のせいで疎遠になっていたものの、祖父母が健在の時代は訪れることもあったので、「ああ、野々村さんとこの息子か」と出戻った村の子のようにすんなり受け入れられます。
濃厚な人間関係も含めて田舎暮らしの醍醐味と心得、村人たちに誘われるまま自治会に入り、その会合の後の飲み会で、今度はハヤブサ地区の消防分団に勧誘を受け、それにも愛郷心を示そうとして引くに引けなくなって入団することになります。
そして入団式の日、放火と思われる火事が起きて早速出動することに。実はハヤブサ地区では立て続けに謎の火事が起こっており、放火か過失または事故かうやむやになったままで、村人たちは何かおかしなことが起こっているという不安に苛まされており、消防団は村と村人を守るために気合を入れています。
もう1つの村の悩みは太陽光発電の会社による土地の買い取りだった。村人が様々な事情でその会社に土地を売り、その後に作られたソーラーパネルパークが景観を損ねています。その会社が土地を買い占めようとしているのは他に目的もあるようだ。
長閑な田舎に放火犯、殺人犯、ソーラー会社、ハヤブサ地区にいい感情を抱いていない村長、新興宗教などが複雑に絡み合い、不穏な影を落とす中、太郎はミステリ作家としての推理力を発揮して真相の究明をめざしますが、その身には危険が迫り、誰が本当の敵なのか、スパイが誰なのか分からなくなり、ハラハラします。
見事な長編小説です。
ドラマを終えて
2023/11/27 19:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:破壊神小畑 - この投稿者のレビュー一覧を見る
意外にも池井戸作品では初めての読書でした。この作品がドラマ化すると聞いてドラマが放送される前に読み切ってやる、という気持ちで読みました。そして、ドラマを見終えてから再び戻ってきたというわけです。
舞台は田舎の小さな集落。のどかなところだと思って引っ越してきた主人公は、その町に潜む悪意の存在を徐々に知ることとなるのであった。連続放火事件とそれに伴う殺人、それらの背後に潜む悪意。
うまいこと迫りくる悪の描写が表現されていましたが、ドラマではそれがかなり誇張されていたように感じます。ドラマでは、原作でのまったり田舎生活部分を大幅にカットして内通者を作ってみたり、様々な脚色がありました。
結果的には僕は原作のほうが好きでした。確かにドラマも面白かったのですが、主題としてこの作品が掲げている、田舎暮らし、について深く書かれておらず、正直うーんとなりました。
一度原作を読んでからドラマを見るのは結構面白いですよ。どちらが好きかを比較することが出来ます。やってみてはいかがでしょうか。
田舎に引っ越す
2023/03/27 16:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
田舎に引っ越した作家が消防団に入り、行方不明者の捜索、消防操法訓練などを通して、地域に溶け込んでいく話です。
さすが池井戸潤さんの感度はすごい
2022/11/22 17:44
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
2022年9月に発売された池井戸潤さんの『ハヤブサ消防団』が、
本屋さんの平台にドーンと積まれ、たちまちベストセラー入りしたのは、
池井戸潤さんの人気の高さといえるだろう。
しかもこの作品が池井戸さんの名前を一躍有名にした「半沢直樹」シリーズや
直木賞を受賞した『下町ロケット』といった、
ビジネス小説とは趣きが違うミステリー小説だから、
池井戸さんの作品ということで手にした読者は驚いたかもしれない。
だが、そもそも池井戸ファンであれば
新作がどのようなものであるかしっかりわかった上での
読書体験だったにちがいない。
ミステリ作家の三馬太郎が父の死後、父の住んでいた中部地方の山々に囲まれた「ハヤブサ」という、
のどかな山村に越してくるところから、物語は始まる。
村のことだから、近所付き合いも何かとあって、太郎はさっそく地区の消防団に入団させられる。
はいってみて初めて太郎はこの「ハヤブサ」地区で、
連続して不審火による火災が発生していることを知る。
しかも、入団してすぐに新たな火災、それに続く殺人事件と、
「ハヤブサ」はのどかな山村どころか、危険極まる怪しい土地だった。
真相をさぐる太郎は、ある新興宗教団体の存在に気がつく。
太郎と同じように「ハヤブサ」に移住してきた美貌の映像クリエーター彩とともに
事件の核心へと迫っていくが、実はその彩もまた…。
2022年といえば元総理の射殺事件を発端に、
宗教団体の存在が政権を揺るがすほどの事態となったが、
池井戸さんの作品は2021年から2022年の春にかけて小説誌に発表されたものだから、
現実の宗教団体による諸々の疑惑を意識したものではない。
それでも、今読めば、現実とシンクロしてくるのは、
作家の感度の良さに感心する他ない。
そのあたりもまた、池井戸潤さんの作家としての魅力だろう。
ドキドキ
2023/10/01 01:14
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投稿者:MR1110 - この投稿者のレビュー一覧を見る
さすが池井戸潤氏というドキドキと結末の爽快感が味わえる作品です。宗教団体の存在が出てくる辺りから物語にさらなる不穏感が漂います。序盤はとにかく全員怪しく感じる展開で引き込まれました。