老害の人 みんなのレビュー

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：夏の雨　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

1948年生まれの内館牧子さんは、りっぱに高齢者の分類にはいるのだろうが、
　その内館さんが『老害の人』というタイトルで小説を書くなんて
　ちょっと自虐すぎないか。
　いえいえ、すでに内館さんは『終わった人』『すぐに死ぬんだから』『今度生まれたら』と、
　老後小説を続々と発表し、
　おそらく登場人物と同世代の読者から熱い支持を受けている。
　なので、この『老害の人』というタイトルに
　納得する人はいても、憤慨する人は少ないと思う。
　少なくとも、そういう年寄りいるよなと
　笑っているのではないだろうか。
　自分はさておき。

　この小説の中で、内館さんは「老害」についてこう書いている。
　「老害とされる人は、口数が多い。後先を考えず、言いたいことを言う。
　そんな自分に酔い、際限なくいくらでも言う。」
　そんな男、85歳の福太郎がこの物語の主人公。
　小さな玩具会社の業績を伸ばしたのが自慢。
　「老害」の典型が自慢話。
　その果てに、会社の新しい取引を破談にさせ、娘からこっぴどく叱られる。
　それで引っ込まないのも「老害」ならでは。
　「病気自慢」「趣味自慢」といった「老害」仲間を集めて、
　老人のためのサロンをこしらえてしまう。
　「何かを始めることは、こんなにも人間を力づける」と、
　福太郎たちに精気がよみがえり始めた。

　この物語を読んで、
　曲がった背中がしゃんとするかもしれないが、
　それが新たな「老害」にならないよう、
　危惧もしたりして。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：tad　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

内館牧子氏の老人小説第四弾
毎回面白いし、自分もそういう歳に近づいてきているので身近に感じて考えさせられる。
良くないことは歳をとってもこんなことしちゃいけないんだなと思うし、良いことはこういうお年寄りになりたいと思う。また今回のお話の中に出てくる夫婦のようにうちもよくいっしょに出かけるので先に相手に逝かれると辛いだろうなと思うし、最後のほうは感情移入してしまいました。
私の先輩はこの老人小説を読むと気分が悪いと言われますが、いつも面白いと思うし、ためになると感じています。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：アンナ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

自覚症状なしに進行する『老害』は、決して他人事ではないですね。
若鮎達がそうしたように、役割を持つことにより『社会的承認欲求』が満たされるのかと。
何もしないご隠居さんは返上し、何歳になっても社会との関わりを大事にしたいなと、考えさせられました。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：ポッポ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

出だしは、よく聞いたり経験するようなお年寄りの行動、本題の「老害」の行動そのままで思わず大きく何回も失礼ですがうなずいてしまいました。後半、背景のコロナ禍を思いだし日常生活に苦労していくなかでの老人パワーには別の意味のうなずきと考え方、行動を少し変えるだけでこんなにも変わるのかと感動を受けました。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：ピーちゃん　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

老害とは？・・・と思って読んでいたら、ああ、あり得るあり得る、そうそんなこと困るんだよなあ・・・と思いつつ、笑って害に苦しむ周りの人の気持ちに共感。
引退したはずの老人たち、社会と結びつく機会を求めて、企業では無いが交流場所作りに。
毒にも薬にもならない人間ほどつまらぬ者は無いとの言葉を胸に、頑張る老人パワー全開。段々頑張る老人たちが素敵に思え、面白かった。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：makiko　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

中小企業の創業者が８０代になって家族と会社に昔の自慢話を垂れ流して迷惑がられ、周囲の老人達もそれぞれ困った老害をまき散らしていた中で、そういう老人達があつまって「若鮎サロン」を開き、老人が集まって楽しくゲームをできる場を提供する話。こういうことあるある…という部分も多く、他方で、老人は老人で先がないことや社会の役に立てていないことに悲しみを抱えているという指摘も上手に物語化されていました。内館さん、よく見ているなぁ。あらゆる年齢層の人が読んで楽しめ、ちょっと考えさせられる本だと思います。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：エムチャン　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

老害ねえ、と思いながら手に取りました。しかし、読み進めるにつれ、あるある、という気分にさせられました。周りに確かにいます、こういう人！そして、似たようなこと、有ります、本当に！

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：あや　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

面白かったけどこの人の他の本に比べると鋭さが足りない気がしました。
もっとスパッとした感じでいつもの節を読みたかったかも。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：タタ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

最近よく聞く老害という言葉で、なんとなく読んでみましたが、面白かったです。自分では老害と思っていないっていうのが刺さりました。