紙の本
韓国映画から韓国社会の変化を読む
2023/09/08 21:38
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
韓国の映画を通して、朝鮮半島の近代の歴史や社会の変化について述べた書である。隣国でありながら、日本と異なる文化習慣を持つ国を、2回しか訪れたことがない。それゆえか、初めて知ることが多かった。朝鮮戦争、軍政下での生活、民主化、さらにはその先の変化と、韓国映画の中に描きこまれていたのだという。時代とともに国民意識の変化もあり、様々な新たな問題を抱えながらも、より良い方向へ進んでいこうとする姿勢は、日本人は見習うべきなのだろう。
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今回は映画中心に韓国社会を解説
2023/11/22 11:36
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつも周回遅れで、伊東順子さんの書いたものを読んでからドラマを見る。前著の『韓国カルチャー』で紹介されていた配信ドラマで見たいなと思った作品を、最近までかかってようやく見終わって、伊東さんの前著で書かれていることを確認したところだ。
なので、本書(続編)に出てくるドラマはほとんど見ていないが、前著同様、未見でも楽しく読める。それに今回は配信ドラマより、過去の名作も含め、韓国映画の話が多め。多様な切り口から、ここ20年の韓国社会の変化を紹介してあり、興味深い。映画館で見ていない作品も、いまは配信で見ることができる時代。伊東さんのおかげで、何度も楽しめそうだ。
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韓国映画の視点で
2023/07/15 18:05
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投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、続編ですが、韓国映画を使ってカルチャーを分析しています。それが興味深いです。私も何本か韓国映画を見ました。その映画の裏にある韓国文化の見方について勉強になります。
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紹介されている映画やドラマをみんな見てしまいたくなった。第一章:韓国の学校教育を知る、ドラマ「今、私たちの学校は…」、第二章:韓国人が考える、「大人の責任」、第三章:実は、大人たちの物語、第四章:映画でふりかえる「6・25朝鮮戦争」、第五章:イム・スルレが描く、生きとし生けるもの、第六章:「子猫をお願い」が描いた、周辺の物語、第七章:韓国の宗教事情を知る映画、第八章:ドラマ「私たちのブルース」、第九章:ベトナム戦争と韓国ドラマ、そして映画、第十章:語られることのなかった、軍隊の話、第十一章:「タワマン共和国」、第十二章:映画「別れる決心」とパク・チャヌク監督のこだわり。
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韓国映像作品から見る韓国の「歴史」と社会の変化。幾つか私の馴染みのある作品が扱われていたので、手に取ったのだけど、読むと知らない作品も見てみたい、となり、昔の作品ももう一度観たい!となって、珍しく韓国ドラマで何日も夜更かししてしまい、珍しくDVDを買ってしまった。それは、また別途レビューしたい。
第四章「映画でふりかえる「6.25(ヨギボ)朝鮮戦争」」には、歴代朝鮮戦争映画を網羅している。韓国で大きな事件は日付で記憶される(私たちの3.11よりももっと一般的だ)。1950年、6月25日、北朝鮮は突然攻めて来て、ソウル市民はあっという間にソウルを追われた。そしてあっという間に全土制圧まで行きかけた(「戦火の中へ」)。米国の連合軍参戦、中国参戦で前線は何度も行きつ戻りつする(「高地戦」)。朝鮮戦争の民間人の犠牲者は少なく見積もって200万人と言われる。太平洋戦争時の日本の民間犠牲者は80万人である。しかも同族で殺し合った。親兄弟で殺し合ったことも少なくなかった(「ブラザー・フッド」)。犠牲者の多くは、北のせいだけではなく、大国と政府のやりとりで、市民がなおざりにされたことが大きかった。ビックリしたのは、これら朝鮮戦争の全体を国民が学んだのは、民主化(90年代)がなされて以降だというのだ。2000年代に立て続けに戦争映画ができたのもムベなるかな。
第七章「韓国の宗教事情を知る映画」では、私の大好きなチョン・ドヨンがカンヌ映画祭主演最優秀女優賞を獲った、「シークレット・サンシャイン」(原題「密陽」2007年イ・チャンドン監督)が取り上げられていた。実は、翌年2008年日本公開直前に作品舞台である慶尚北道密陽を旅していた。駅前に派手にカンヌ受賞の立て看板が立っていた。確かに街中を縦横に歩いて、本当に小さな町なのに、どこからでも教会の十字架が見えた。2015年の宗教人口別の数字は以下。
1.基督教(プロテスタント)約970万人
2.仏教 約760万人
3.天主教(カソリック)約390万人
4.円仏教 約8万5000万人
5.儒教 約7万5000万人
プロテスタントとカソリックは明確に分かれていて、上位三つが三大宗教である。いずれも、日本のようななんちゃって宗教ではない。明日取り上げる「マイ・ディア・ミスター」でも、いざという時に主人公たちが頼るのは「お寺」だった。
そしてだからこそ、問題はある。聖職者も人間であり、世俗的な部分もある。だからこそ、「普遍的な問題」も取り上げることができる。決して「反・キリスト教映画」ではない。
第9章「ベトナム戦争と韓国ドラマ、そして映画」
ベトナム戦争を扱った作品は「ホワイト・バッジ」(1992アン・ソンギ主演)と「あなたは遠いところに」(2008スエ主演)だけしかなかった。何故か前者の日本語字幕なしの海賊版DVDを持っている。こんな凄い内容(韓国人兵のベトナム民間人虐殺)だったんだと初めて知った。後者はファンタジーだから、まだ韓国社会が本気でベトナム参戦を精算できていない証拠だろう。
第12章「映画「別れる決心」とパク・チャヌク監督のこだわり」
今年観た映画で、間違いなくベスト10に入る。来月4日にレンタル開始���機会があれば、是非!
伊東さんは、内容がミステリーということを考慮して、ストーリーに関することを一切書かずに主題歌「霧」についてとテーマがいかに関わってゆくか、在韓中国人のヒロイン・ソレの生きる位置と在韓朝鮮族やその他外国人差別についての、この作品への背景を書いている。なんでこんなことまで書いているのか?一度映画を観ている私でもスッキリしないほど書いている。そもそも映画については一度見ただけでは50%ぐらいしかわかっていなかったということだけはわかった。正に映画である。これこそが映画だ。ちなみに、伊東さんは言及しなかったが、最後に選ばれた原発の町、イボは、韓国南部にあるのでおそらく古里(コリ)だ。そうやってみれば再見時、又何か発見があるかもしれない。