紙の本
天を測る
2024/02/22 15:09
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投稿者:kon - この投稿者のレビュー一覧を見る
小野友五郎なる人物は初めて知りました。魅力ある人材です。表舞台には出ずらいかな。勝海舟、福沢諭吉の描かれ方がいいですね。多分個人主義で嫌われ役だったのかな。小野から見た場合でありますが、公儀から見たらこうなるか。
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天を測る
2023/10/10 17:24
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカとの条約締結のためにサンフランシスコに向かう咸臨丸には艦長は勝海舟、軍艦奉行の木村摂津守そして天文学、測量術に精通している小野友五郎が乗艦していた。小野友五郎はアメリカ人艦長のブルックスも舌を巻くほど卓越した能力の持ち主であった。新しい軍艦の製造や製鉄所の建造等、彼は降りかかる難題をいとも簡単に数式で解決してみせたのであった。しかし、友五郎にも時代に抗えない事態が発生する・・・・・。
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幕末の信念の官僚の物語
2023/11/26 11:50
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投稿者:マーロウ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の主人公である小野友五郎という人物は本書を読むまで全く知らなかったものの、すぐにその魅力にとらわれることとなった。
幕末から明治期にかけて、このような己の信念を貫く官僚がいたことを日本人として誇りに思う。
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強化タイトル
2024/03/14 00:32
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちょっとタイトルは吹っ掛けすぎというか、
登場人物を表してはいるけれど、
物語を表したタイトルではなかった。
江戸末期を生きた数学者、軍人、官僚・小野友五郎が主人公。
主人公の人徳か歴史小説に珍しく、ほぼ全編の会話が敬語で、
よんでいて心地よかった。
面白いのは後世で高く評価されている勝海舟や福沢諭吉あたりが
かなり作中で問題のある人物として描かれていること。
そういう人が妙に高い地位を得るのは今も変わらないな。
個人的には上の命令だから、という理由だけで
正確に軍を動かし、軍艦を買い付ける人間、
というのも十分に怖ろしい。
淡々と綴られるだけに、より恐怖を感じる。
そういった思想は日本特有のものという気もする。
本人としては“正しい道”と信じているところがなによりたちが悪い。
後の世のことになるけれど、
零戦の設計思想と似たところを感じた。
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今野敏さんが歴史小説⁈ってなったけど、やっぱり面白い!正直、全然知らない人だったけど、面白かった。
面白くない歴史小説によくある、調べた資料並べ替えただけ、みたいな感じが全くなかったし、この人は後にーみたいなのもなかったから、凄く入り込めた。維新のころの幕府側の人の話で、気持ち分かるなーってなったのは初めてだった。
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この作品には、良い意味で、大いに裏切られた。主人公が、いわゆる「文官」で、舞台は幕末といっても、あまりドラマティクな展開は期待できない、と思っていたからだ。確かに、「戦」の場面は、その結果のみ語られているだけで、派手なところはないけれど、主人公の、確固とした信念に基づいた言動の潔さには、胸がすく思いだった。それに、勝海舟や福沢諭吉が、意外と「ポンコツ」だったのも面白かった。
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笠間藩士として出世して幕府に出向。咸臨丸で航海長を務めて後幕臣となり、勘定奉行並にまで出世した、「笠間が生んだ科学技術者」小野友五郎の物語。
友五郎が常に淡々としていて感情移入がし難いけれど、幕府には人材を登用する仕組みがちゃんとあったんだなぁ、と感慨深く思う。この多才の人にじっくりと一つのところで仕事をさせる余裕のなかった時代のめぐり合わせが惜しまれます。
その一方で、明治の偉人として高名な勝海舟や福沢諭吉、坂本龍馬もけちょんけちょんです。
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今野敏さんの時代小説を読むのは初めてでした。過去に読んだ警察系の小説とは趣が全く異なる。
幕末、激動の時代。咸臨丸で太平洋を渡るところからストーリーが始まります。主人公の小野友五郎は幕府の官僚(当初は笠間藩士)。長崎海軍伝習所の一期生。計算能力が人並外れており、計測技術に優れている。
いつの世でも特殊能力を持っている人はいるものですが、私欲がなく「自分にできること」を「社会の必要に迫られて」全力を尽くす人がいる。後に名を残すような派手な政治家は数多くいるかも知れないが、こういった人が実際の歴史の流れを支えているのだなあと感じ入りました。
全編を通じて淡々とした語り口で激動の幕末を背景にしています。自身の能力を最大限に発揮していく小野の働きを通じて、社会と人の移ろいを綴っている。幕府の一官吏としての視点で幕末の激動を見るというのはとても新鮮でした。中浜万次郎、福沢諭吉、坂本龍馬、勝麟太郎、榎本武揚といった錚々たる人物が、幕府の一官吏の視点で描かれている。私が認識している?元々の個性はそのままに、「そういう風に見ることもできるなぁ」と感じさせてくれました。
時代の捉え方は幕末の志士や幕府の一般官僚とは異なる見方で、極めて冷静に列強諸国から脅威に晒されている日本の様子がとてもよく伝わってくる。幕府の官僚も薩長を中心とした志士たちも小野の目を通してみるといかにも愚かに見えてくる。客観的な視点で幕末を観察している。作品中の小野から見ると「攘夷」と「国防」の違いもわからず外国の脅威を微塵も感じずやれ倒幕だ!と喚いている輩が忌々しく見えている。
しかし、本作品を読んで思い知ったのは、歴史というものは「勝ち残った者たちを正義として扱い、後世に伝えていくものなのだ」いうことです。幕末の時代では志士が活躍して現在の礎を作ったのか?それとも幕府が統治していた時代に現在の基礎を作ったのか?今の我々では判断が難しい。
ただ、結果として今があり、歴史として過去を学習する。これだけは仕方ありません。
今の世界的な感染症や戦争といった様々な出来事について、百年後の世界はどのように説明するのでしょう?あるいは人類は生き残っているのか?色々なことを考えさせてくれるとても良い作品でした。
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小野友五郎という数学者が、幕末から明治にかけて、官僚として活躍したお話。
浅学にて、こんな人がいたことは知らなかった。
福沢諭吉や勝海舟ファンが読んだら噴飯物の内容かも。
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長崎海軍伝習所1期生の小野友五郎の半生。
算術達者から長崎海軍伝習所で学び測量技術者となり咸臨丸で渡米。その後も幕府の裏方として働く。木村摂津や小栗さんと仲良し。武力攘夷をバカの仕業だと感じる人柄。
職人気質の真っ直ぐさが好き。
この作品では、勝と福沢がまあまあアレな人で、ごめんその感じまさに同意だわwと思った次第
小野さん自身はこの物語ののちのちまで生きていたので、続編を作っていただいても嬉しい。
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幕末の技術者、小野友五郎の生き様を描いた歴史小説。歴史の前提知識があまり無くても割と読みやすい。
測量技術者として計算に絶対の自信を持ち、アメリカ人相手にも臆することのない友五郎の技術者魂に心打たれた。計算は嘘をつかないという信念の元淡々と仕事をこなすのが常の友五郎だが、激変する環境に翻弄される中で垣間見える人間臭さが何ともよい。
勝海舟や福沢諭吉などの超有名人物がダメ人間として描かれているところが個人的にすごく好み。
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「己にないものを自覚し、他者のよさを認めて足し算をしていく。品格というものは、そうして育っていくものでしょう。引き算ばかり考えている連中には、品格が備わることはありません。」
日本の現代化を支えるためには様々な思惑が絡んでいたんだなと。