紙の本
新たな革命
2024/01/14 02:28
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
運命に抗いひたすらに自由を求めるレーエンデ人の深い絆を描いた王道ファンタジー、第三弾。
一巻から二巻、三巻と約100年ずつ時が流れ、感情的な戦がメインだったこれまでとはがらりと角度を変え、文明的な「革命」にシフトされていて、その意外性がとても良かった。
何度潰えても「希望」を与え続ける英雄。不器用な双子が描く「劇」を通し、一巻のユリア達、二巻のテッサ達の想いを再度ゆっくりと噛み締める事が出来る構成がまた心に響いた。
変わらず続く迫害に苦しみながらも、知性と理性が加わった多角的なアプローチがゆっくりと芽吹く予感がし、四巻が待ち遠しい。
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民族高揚の第三巻
2023/12/21 16:44
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投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
前巻主人公たちの活躍が忘れ去られた時代が今度の舞台。蒸気機関が登場し、人の移動が活発になったことで芸術文化が華やいだレーエンデで、役者と脚本家の兄弟が、隠された歴史を蘇らせる。
もうこれだけで熱い筋書きだ。前巻の結末を知っている読者にとって、テッサたちの活躍と思いが舞台の上で復元され、後の時代に繋がっていく様子を追えるのは最高のご褒美だろう。
残りあと二巻。この土地の行く末が気になって仕方がない。
あと、このシリーズを読むのに「銀呪病視点で読む」態度を推奨したことがあるのだが、これ本当に銀呪病視点で進行しているかもしれない。
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心からの喝采を
2024/04/20 15:39
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投稿者:のぶ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『レーエンデ国物語 3 喝采か沈黙か』読了。
「革命の話をしよう」……のわりに今回は革命要素が少なかった気がするのは気のせいだろうか。
レーエンデ地方を取り巻く新たな空気。アルベルトの後に即位した冷徹な法皇帝ルチアーノの治世は安定し、法皇庁のお膝元であるレーエンデも例外なく文化の花開く地となった。人々が求めるままに都会は熟れ、享楽と愉悦に満ちた時代がやってきた。そんな時勢の歓楽街に生まれた双子、アーロウとリーアン。戯曲の才に恵まれ、高名な演出家にも目を付けられるほどに神に愛された兄リーアン。早々に家族から離れて暮らし始めた彼に置いていかれ、数々の苦難を乗り越えながら甘い仮面をかぶって生きる凡人の弟アーロウ。2人の対比によって進む物語は、どこか計画的で、まるで一つの物語を読み聞かせられているようだった。いや、物語読んでるんだから当たり前なのだけど。
面白くなかったわけではないのです。表現が難しいのだけど、これまで以上に一人の人間の「人生」が頭に流れているようだった。それは間に挟まれた戯曲公演の描写のせいかもしれない。才能あふれるリーアンに憧憬と嫉妬を感じているアーロウに同情したからかもしれない。あえて一つの言葉でまとめるとしたら「読みごたえがあった」になるだろうか。
地方劇団の裏で行われる細々とした革命活動。それは本当にわずかな情報のみ受け継がれ、半ば忘れられた英雄の意志をよみがえらせるためのもの。一つのきっかけで2人は一大傑作を作るための旅に出て、法皇の目を盗んでくすぶる小さな革命の灯に瞠目する。その旅路を読んでいる間に呼び起こされるテッサ・ダールという女の子の一生。涙せずには読めません……。どんだけ泣かせに来るんですかねレーエンデの人たちは。それを知ったアーロウとリーアンの反応が非常に心に残っています。アーロウは初めて知る事実に驚き、英雄の旅路に胸を打たれ、必ず意志を継ごうと決心する。一方のリーアンは、リーアンだけが感じるレーエンデという土地の呪い、彼に授けられた神の愛という名の呪いに懊悩する。双子でありながら距離ができてしまった2人の対比が効果的。寄り添ってほしいのにままならない愛。捜索の世界でよくある形ながら、こんなに新鮮に感じるのはとても不思議。ある意味革命的かもしれない。
読書を通じた感想が個人個人で全く異なることはわかっているのだけど、今作を読んでの感想は個人的にとても新しいものに思えました。ここまでが神の仕込みでないのだとしたら、作者による読書体験の革命を疑ってしまう。かなりメタな感想ですけども。
読み終えてみれば、幕間の戯曲公演のシーンも伏線になっていたとわかる終幕。そしてこの終幕の描写こそが今回の革命だとわかる展開。ちゃんと革命の灯はあったのです。また一人、人生を賭した若者の生き様に喝采を。
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次回作が楽しみ
2024/04/18 18:58
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投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
「革命の話をしよう」
前作と同じ言葉で始まる今作は、
時代を経て前作を振り返る仕立てになっています。
歴史は為政者のものと言いますが、
ルーツを奪うことは尊厳を奪うことなどだと痛感。
ようやく次につながる展開で終わったので、
次回作が楽しみです。
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レーエンデ国物語の第3巻。
舞台は異なる世界、西ディコンセ大陸の聖イジョルニ帝国。北イジョルニ合衆国が帝国から独立して百年。戦争が終わり安定と安寧を取り戻した平和な日々は芸術や産業を育んだが、レーエンデ人には変わらぬ苦難の日々が続いていた。
今作の主人公は、聖都ノイエレニエの下町、劇団ルミニエル座で生まれ育った双子のリーアンとアーロウ。語り継ぐことを禁じられていた英雄テッサの人生を戯曲にするため、2人はテッサの足跡を求めて旅に出る…。
壮絶だった前巻に比べると、とても平和な時代ではあるけれど、レーエンデ人たちは虐げられたまま、その立場や扱いをあきらめてしまっていた。そんな状況からまたどうやって立ち上がるのか?剣をペンに持ち替えた2人の戦いの結末は、果たして…。
またさらに百年後となる次巻へ、ユリアとテッサ、リーアンとアーロウの想いはどう繋がっていくのでしょうか、あぁ、もう早く続きが読みたいです。
今回も図書館で借りて読んだのですが、なんと初版限定なのかな?スペシャルストーリーの掌編2編もちゃんと巻末に貼り付けてあって読むことができました。ユリアとトリスタン、テッサとルーチェにまた会えて嬉しかったです。司書さん、ありがとう。
ところで、今年も「BOOK OF THE YFAR 2023」目当てに『ダ・ヴィンチ1月号』買ってしまいました。まだパラパラッと見ただけなんですが、多崎礼さんのインタビューが載ってまして、すみません、私…多崎礼さんっててっきり男性だと思い込んでました。女性だったんですね、初めて知りました。
そして多崎礼さんのデビュー作『煌夜祭』の決定版が単行本として発売されましたね〜。読みたい、だけど単行本を買うのはどうしようか悩んでいたところ、なんと多崎礼さんのX(旧Twitter)でサイン本を通販してくださる本屋さんを知り、速攻でポチってしまいました。こちらも早く読みたいです。
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まず、1,2巻のスペシャルエピソードが書かれた冊子が挟まれていて、とっっても嬉しかったです。
本編も、2巻で落ち込んだ気持ちを救い上げてくれるようなお話しでした。
ただ、それで終わらないのがレーエンデだよなぁって感じで。やっぱり内容は壮絶です。
あと、作者さんの好みなのか男の人同士の絡みが多くて、抵抗感がある人もいるだろうなと思いました。
でも、それを含めても面白かった。
3巻も次に繋がるのかなと思うと、とても楽しみです。
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みんな幸せになってめでたしめでたし……という結末を描くことのない作者からすると、この巻でシリーズ完結だったとしても全くおかしくない程度には救いのある結末。しれっと全5部作であることが明かされているが、シリーズど真ん中でこの展開を持ってきたあたり、4作目にはどんなつらい展開が待ち受けているのかと身構えてしまう……
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前作までと打って変わって、芸術を主体にした物語
でも目指すところは革命なんですな
変人でぶっきらぼうだけど本当は弟想いのリーアン
「…人との絆は命綱だ。多けりゃ多いほどいい」
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読み終わってすぐに4巻の発売日を検索!!
前作からさらに100年後の物語。
序盤は前作までの勢いを保てるのかと不安に思っていたのですが、今回も心震える展開でした!
こんな革命のための戦い方もあるんだなと。
レーエンデの自由が待ち遠しいです…。
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前作テッサの時代から100年後。
時の流れを感じつつ、舞台は戯曲の世界へ。
剣や斧を羽根ペンに変え、レーエンデを変えていこうとする双子の兄弟の切なくも苦しい戦いでした。
一筋の光が見えたのだろうか。
“レーエンデに自由を”
来年の続巻が待ち遠しい。
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個人的には"沈黙と喝采"すごく面白かった。物語の流れはすごくシンプルなんだけど、前回の革命への壮絶戦いから一転、芸術や文化で歴史を変えることって出来るんだと思って感動した。
お金や力ではなく感じた事のない経験で人は救えるんだなあ。リーアンが一度捕まって壁に楽譜書いたとき、囚人達が美しい旋律を聞いて改心したのも、音楽を聞くとか芸術に触れる経験があったら違う人生を歩んでたって言ってて、泣いちゃった。
あとペネロペやマウロ然り100年以上前の歴史を名前で語り継いでるのもぐっときたし、月光石はユリアの時代からだもんね。
革命や歴史的な出来事ってどんどん風化して忘れ去られちゃうのが1番悲しいからリーアンが一世一代の傑作を書いてアーロウが演出していく行間の物語が本当に目の前で演じられてる感覚で良かった。
今だに神の子の存在が謎なんだけど、次回作に出てくるかな。あと竜の首の設計図もまだまだ出てきそう。
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#読書記録 2023.11
#レーエンデ国物語喝采か沈黙か
点と点だった1作目、2作目が、この3作目を得て線になり、さらに方向性が見えてきた感じ。外見はファンタジー、実際は人間の尊厳を軸にした大河小説。テッサの物語が種となってこの後どう花咲くか楽しみ。
#読書好きな人と繋がりたい
#読了
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読み手を本の世界に引き込む言葉の綴り方が本当に素晴らしい。読んでいて周りが気にならない、見えない、まさにその世界にいる感をとても感じられる作品だった。
リーアンとアーロウ双子の魂は個人的には最後は1つになったのではないか、と思う。
アーロウがリーアンとして生きたと考えられなくもないが、逆もしかり。
だけどマレナがリーアンと結婚するとは考え難い。
本当はリーアンがアーロウを守ったのかとも思えなくもない。
物語の中で入れ替わり説の話が書かれていたが、それも物語の一つの醍醐味としてミステリーさが組み込まれているように思えてとても面白かった。
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前作テッサの活躍は帝国にとって隠したい出来事であった。全て隠されたレーエンデ国で新たな革命の芽吹が。テッサの活躍を戯曲化しようとする兄弟。テッサの足跡を辿り、ついに知り得た真実を手に、ついに上映されるが…。
過酷な運命に兄弟はそれぞれの信念を賭けて立ち向かう。そして、その小さな革命は次の革命へ。
レーエンデ国の不遇な時代は終わりを告げるのか。あの大昔から脈々と続く革命は、実を結ぶのか。物語が壮大過ぎる。
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第3部。
前作より更に100年後。とある双子から、物語が動く。
今回も良かった・・・。
リーアンとアーロウ、双子だからこの物語になったんだなあ・・・。
それはそれとして作中の言語が英語なのが気になる。