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47件
ケーキの切れない非行少年たち
著者 宮口幸治
「頑張る人を応援します」。世間ではそんなメッセージがよく流されるが、実は「どうしても頑張れない人たち」が一定数存在していることは、あまり知られていない。彼らはサボっているわけではない。頑張り方がわからず、苦しんでいるのだ。大ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』に続き、困っている人たちを適切な支援につなげるための知識とメソッドを、児童精神科医が説く。
歪んだ幸せを求める人たち―ケーキの切れない非行少年たち3―(新潮新書)
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ケーキの切れない非行少年たち
2019/08/23 04:18
境界知能と犯罪と
51人中、48人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:AKHT - この投稿者のレビュー一覧を見る
粗暴な行為をする人の心理について、仮説検証の一助として購入。個人的にはかなり収穫のある本でした。
本書の基本内容は「不法行為をする人の中に高い割合で知的障害者が存在し、現在の日本ではその人たちは知的障害として扱われないことによって、彼ら彼女らに真の支援が届いていない」ことを著しています。
論旨の焦点は「認知機能の低さ」で、学童時期にこれが放置されたまま成育したために種々の問題が発生することを説いています。問題に関して、不法行為を行う側だけでなく、不法行為を行う人を相手する健常者(と言って良いのかな?)の側についても多くの言及が為されており、むしろ健常者側の無知と無理解が引き起こす問題について丁寧に描かれています。
主に「境界知能」という概念に基づき、養護施設に入所するほど重度の知的障害を持っていない「軽度知的障害者」が、障害があることを健常者に気づかれずに、誤解され、嫌われ、排除されるという実態を浮き彫りにしています。特に学校教育における発見の難しさと対応の不手際を解説しているところが肝です。
また、学校教育において「社会性」教育が完全に欠如しているとの指摘は現代日本社会の本質を突いています。
或る人が「(知的障害者は)能力が低いから生きていく上で困難や問題が起こるのではなく、少数であるから、つまり多数の能力水準に合わせた社会の中で生きるから困難や問題が生じるのだ。」と言っています。本書の論旨とは異なりますが、本質は同じだと思います。
本書の観点から言えば「IQ70の人がIQ100を基準として作られた社会で生きることは非常に難しい。なので、時にIQ70の人の行為がIQ100の人にとって犯罪となる。」でしょうか。
著者自身の体験と知見に基づき、非常に平易な文体で書かれており、いかにも知的障害者を相手にしてきた人だと感じさせる語り口です。レビュワーの中にはこの語り口をくどいと感じる人もいるようですが、同じ語句を思い出したように繰り返す手法は学習指導法として効果的な指導法の一つであり、既知の理解から新しい理解を導くことを図っていることが見て取れます。
最後に、本書の内容を「知的障害者を攻撃・排除する理由づけ」にする人が出ないことを願います(認知の歪みを有する人が読むと、そのように読めてしまう危うさがあるので)。
ケーキの切れない非行少年たち
2019/07/22 17:26
非行少年の思考回路を詳細に説明した1冊
28人中、25人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
重大な事件を起こして少年院に入った少年たちの思考回路がいかなるものかを、精神科医である著者が少年たちと面会した経験をもとに、著した1冊です。
こういう思考回路をした人間が世間に多々いる、それを如実に著しています。図がいくつか内蔵されていますが、いずれもショックを受ける内容です。
ぜひとも多くの方々に購読してほしい1冊です。視野が広まります。
ケーキの切れない非行少年たち
2019/09/03 07:21
ケーキが切れない
12人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
と刑期が切れない(犯罪歴が途切れない)とかけているのかな?
小学生と関わる仕事をしているが、子供の頃、危うそうでも、そこから、社会のレールに乗れる人、そうでない人は、どこが違うのか?
どこで救えたのかを考えたい。