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198件
八咫烏シリーズ
著者 阿部智里
松本清張賞を最年少で受賞、そのスケール感と異世界を綿密に組み上げる想像力で選考委員を驚かせた期待のデビュー作は、壮大な時代設定に支えられた時代ファンタジー!
人間の代わりに「八咫烏」の一族が支配する世界「山内」では、世継ぎである若宮の后選びが今まさに始まろうとしていた。朝廷での権力争いに激しくしのぎを削る四家の大貴族から差し遣わされた四人の姫君。春夏秋冬を司るかのようにそれぞれの魅力を誇る四人は、世継ぎの座を巡る陰謀から若君への恋心まで様々な思惑を胸に后の座を競い合うが、肝心の若宮が一向に現れないまま、次々と事件が起こる。侍女の失踪、謎の手紙、後宮への侵入者……。峻嶮な岩山に贅を尽くして建てられた館、馬ならぬ大烏に曳かれて車は空を飛び、四季折々の花鳥風月よりなお美しい衣裳をまとう。そんな美しく華やかな宮廷生活の水面下で若宮の来訪を妨害し、后選びの行方を不穏なものにしようと企んでいるのは果たして四人の姫君のうち誰なのか? 若宮に選ばれるのはいったい誰なのか? あふれだすイマジネーションと意外な結末――驚嘆必至の大型新人登場!
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2020/07/10 21:09
ファンタジーとは荒唐無稽にあらざる
10人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
・国語文法の破たん
唐突だが、図解なしには難解すぎる描写が多々。
唐突すぎて、主客の転倒や主述の多重ねじれも多い、流し読みでは追えず、じっくり読むと混乱する。
唐突に、送りがなが揺らぐのも気になる。ATOKを使っているが「誤用」と怒っている。変換に任せて常用外の漢字を誤用したがるの悪い癖。
唐突だけど、どうしてどの人物も“唐突に“動き出すのかが分からない。
作文にお金を払うつもりはないので -1。
・古典知識の貧弱さ、考証の甘さ
ファンタジーには徹底した世界構築が必要だが、バックボーンは貧弱だ。
作者は“八咫の烏“を知らずに書いているが、わが国で神様のお使いと異なるのなら、そこは頁を割いて説明が必要だろう。
唐がない世界の唐衣、蘇がない世界の蘇芳、呉がない世界の呉服とは?
大荷物を軽々と離陸させられるのに車が発展したなんて、技術屋からしたら「あり得ない」。
細かな設定の齟齬はファンタジーには付き物だが、そこを突破できる勢いもない。-1
・凡庸な展開
王朝絵巻か、あせびの立身伝か、最終的にどちらでもないのだ。
巻頭から少し読めば、金烏が全てを持って行く結末が見えてしまう。
正直この程度の作品ならライトノベル文庫で死屍累々である。加藤みどりが棒読みで「なんと言うことでしょう」と言うでしょうと思うくらいに芸がない。
・後に続かない事を祈る
松本清張賞はミステリー・推理小説以外はエラい凡作・駄作が多く、本シリーズが筆頭であろう。
もっと良質な読書体験を重ねて頂きたいと願うものである。
本作を読んで「この程度でも賞が穫れる!」と駄作が続かないことを…、なーんて思っていたら「なろう系」とかいうゴミまであらわれる始末。
烏に単は似合わない
2015/10/16 09:15
烏である必要があったのか?
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のりべん - この投稿者のレビュー一覧を見る
このシリーズは、これを最初に読みました。
入内をめぐる各家の争いを中心に話が進みます。
最後に、この人たちが烏である意味ってあったのかな?って思いました。
八咫烏であるかはこのあとなのだと思いますが、一作目が何故、このテーマだったか甚だ疑問でした。
気が向いたら二作目を読もうかなと思います。
追憶の烏
2024/01/14 10:38
陰謀が目覚めさせたもの
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DB - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一作目からエンターテイメント性とストーリー性を楽しめるシリーズです。
第二部のはじまりとなる前作の『楽園の烏』では、第一部から二十年後にうつっていた。
前作を読んだのがちょうど二年前だったので、内容を忘れかけていた部分もあったけど自分の書評を見返してどうにか思い出しました。
二十年後では金烏だった奈月彦はどうしたのか姿を見せず、雪哉が金烏の代わりに政治のトップとなる黄烏となって支配する八咫烏の世界となっていた。
奈月彦に、そして彼の妻と娘に何が起きたのかを描いたのが本作だ。
八咫烏の世界である山内に猿が攻め寄せ、八咫烏の世界を作り出した山神が姿を消して山内は崩壊するものと思われていた。
だがある日突然世界が滅びるのか、それとも端から徐々に綻びが広がっていくかのように崩壊していくのかはわからない。
その時に八咫烏たちが生き延びるために奈月彦は土地を開墾し備蓄を増やすとともに外界に八咫烏が移住する準備をするなど様々な策を打ち出していった。
それまで派閥争いに終始していた貴族たちも、山内の危機に一致して立ち向かうべく金や労働力を工面していたはずだったが。
時は流れ奈月彦と浜木綿の間に生まれた娘の紫苑が成長し、日嗣の御子として紹介されるシーンとなります。
女金烏の先例はほとんどなく、皇后が子供を産めないのなら側室を迎えればいいという意見の方が大きかったがここは奈月彦が我を通したのだろう。
新年のあいさつに始まり東家への行幸とまだ少女でも重責に向き合おうとする姫宮と、それを支えようとする雪哉の姿が描かれていきます。
凶事は「やっぱりお前も外界を見ておけ」という金烏の一声で人間の世界へ雪哉が送り込まれていた時に起きた。
黒幕は第一作目から陰謀の中心にいるような大紫の御前だったが、さらにその背後に陰謀の源があったのだった。
純粋に政治的な利害関係から北家を代表する形になった雪哉は、陰謀の元凶さえも飲み込み政治の中心に座ることになる。
権力を手にした彼が失ったものは何だったのだろう。
それを取り返すことができるのか、取り返すことに意味を持てるのか。
時を戻せないのと同じく、雪哉が心を開くことはもはやないのだろう。
だが行方不明となった少女が再び姿を現して八咫烏の世界はどう動いていくのか。
やはり続きに目が離せない。