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5件
〈ブラウン神父〉シリーズ
著者 G・K・チェスタトン , 中村保男
奇想天外なトリック、痛烈な諷刺とユーモア、独特の逆説と警句で、ミステリ史上に燦然と輝くシリーズの第一集。小柄で不器用、団子のように丸く間の抜けた顔。とても頭が切れるとは思われない風貌のブラウン神父が事件の真相を口にするとき、世界の風景は一変する。レストランの塩と砂糖を入れ替えるなど、奇妙な痕跡を残していく二人連れの神父を追う名刑事ヴァランタン。その背景には何が? ブラウン神父初登場の「青い十字架」のほか、大胆なトリックが炸裂する「見えない男」、あまりに有名な警句で知られる「折れた剣」など12編を収める。【収録作】「青い十字架」「秘密の庭」「奇妙な足音」「飛ぶ星」「見えない男」「イズレイル・ガウの誉れ」「狂った形」「サラディン公の罪」「神の鉄槌」「アポロの眼」「折れた剣」「三つの兇器」/解説=戸川安宣
ブラウン神父の醜聞
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ブラウン神父の童心 新版
2022/12/06 09:40
チェスタトンだから手ごわいです
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
4年前に読んだ「木曜だった男」以来のチェスタトン氏、その結末に脅かされたが内容は推理小説ではなかった、これを読んだ当時の私はチェスタトン氏によるチェスタトン小説と勝手に命名していた。創元推理文庫ではINNOCENCEを童心と訳してタイトルにしているが、新潮社では「純智」、ちくま文庫では「無心」、ハヤカワ文庫では「無垢」と訳されているがどれも同じ短編集のようだ。てっきり私は、最初の作品、「青い十字架」にカッコよく登場したパリ警視庁警視総監の捜査官・ヴァランタンがこの後ブラウン神父の力を借りて難事件を次から次へと解決していくのだろうなと勝手に想像していたのだが、作者が「木曜だった男」の人だということをすっかりと忘れていた、相棒になったとは国際的犯罪者のフランボウで、ヴァンランタンときたら・・・
ブラウン神父の童心 新版
2019/03/10 22:50
読むならばこちらを推します!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はるはる - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちくま文庫でも「ブラウン神父の無心」という書名で同じ本が存在する(INNOCENCEをどう訳すかなんだろうけど)が、こちらの方が訳が格調があるというか、設定されている時代に即している感じです。読むならば、こちらを推します!
ブラウン神父の知恵 新版
2017/09/17 09:46
語録
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
「それにくらべたら真相なんてものはむしろ月並みの茶番劇ですな」
「全身全霊を捧げなさい。持っているものなら天も地も捧げておしまいなさい」
「あらゆる点でまちがえようとするには、おそろしく多くのことを知っていなければならんのだ。悪魔がそうだろうに」
「もし、あなたがたに警告を発するのが当然の義務でなかったとしたら、わざわざ、そちらのご心配に輪をかけるようなことを言いだしはしません」
「あんたという人は、みずからのうちに悪徳というものを持ったことがないんじゃありませんか」
「あの男が見せかけの鼻をつけているのは、ほんとの鼻があんまりりっぱだからでしょうな」
「もし悪魔がこれはおそろしいものだ、見てはならぬと言ったなら、断じてそれを見るべきです」
「火事の灰ですよ。ただ、あんたがたは自分が葉巻をすっているものだから、そうは思わない」
「ひとりきりでいるというのは、当然、自分のまわりがだれもいない空き地であるということで、それなら自分はその空き地のまんなかでことさら人目につきやすいというわけです」
「狂人だったら欲しがらぬはずものを欲している」「自分が間違っていたということを証明したがっておいでだ」
「ただ一種類の敵にたいしてだけ、長い剣よりも短剣で殺したほうが有利なことがある」
「たしかに起こった事件そのものは陰惨だ、が、やはりお伽噺でもあったのだと思っている」
ブラウン神父は、人が困難に遭った時にそれを助けるために力を尽くし、親友の怪力探偵フランボウとともに何処へでも赴き、時には悪党との立ち回りも辞さない。そして困難の方が強すぎると犯罪という事態が訪れてしまうが、その上でなお生き抜く力を与えようとする。そのために彼らの境遇についての深い理解が生み出すのが、神父の推理なのだ。
それは人間とは何か、世界とは何かという叡智の積み重ねの上にあり、表層のトリックだけを追うような論理とは根本的に違っている。この神父の生き方そのものが、文明に毒された我々への逆説であり、人生の警句なのだ。

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