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5件
なんとなく、クリスタル
著者 田中康夫 (著)
一九八〇年東京。大学に通うかたわらモデルを続ける由利。なに不自由ない豊かな生活、でも未来は少しだけ不透明。彼女の目から日本社会の豊かさとその終焉を予見した、永遠の名作。
なんとなく、クリスタル
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なんとなく、クリスタル 新装版
2021/01/02 17:05
懐かしかった
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投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「33年後のなんとなく、クリスタル」を読みたくて,その前提としてこちらも購入。「うんうん,そうだったね」と独りで頷きながら読んでしまった。好きか嫌いかと言われれば「嫌いな著者」かもしれないが,賛同する評価・視点も多い。同時代人なのだけれども,もちろんこんな優雅な生活はしていなかった。もちろん,こんなにモテなかったしね。いや正直に言おう。全然モテなかった。でも、たしかガールフレンドと旅行に行ったときに借りて読んだのだっけ…。今回気がついたのは,解説が秀逸だということ。「注釈が本文で,本文が注釈」という見方は目から鱗だった。そう思って読むと,現代史の貴重な資料として読める。「33年後のなんとなく、クリスタル」が楽しみだ。
なんとなく、クリスタル 新装版
2020/05/31 11:03
田中康夫氏が1980年に発表した当時の一大ベストセラ―で、一斉を風靡した作品です!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、作家、田中康夫氏が1980年に発表した小説で、我が国におけるポストモダン文学の先駆けとされる作品です。内容は、東京に暮らす女子大生兼ファッションモデルの主人公・由利の生活を中心に、1980年当時の流行や風俗を独自の視点と文体で描かれています。東京で生まれ育った比較的裕福な若者しか理解できないブランドやレストラン、学校や地名などの固有名詞があちこちにちりばめられており、それぞれに著者の視点を基にした丁寧な注釈と分析が入っており、それが話題になった作品でもあります。文藝賞にも輝いた同書を、ぜひ、読んでみてください。
なんとなく、クリスタル 新装版
2015/09/28 10:48
なんとなく、クリスタル
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投稿者:Carmilla - この投稿者のレビュー一覧を見る
「軽薄な作家が、軽薄な学生のことを書いた小説。何でこんな小説が『芥川賞』の候補になったのか、訳がわからない」
それがこの本を読み終えた第一印象だった。一流大学に通う、セレブな階層に所属する女子大生が、誰もがうらやむような生活を送る様子を描く小説。格差社会の現代で、こんな小説を発表する作家がいたら、周囲から総スカンを食らうことは確実である。ところが、作者のあとがきを読んだとたん、その印象は一変した。彼によれば、自分で読みたい青春小説を書きたかったのだという。今まで彼が読んできた「青春小説」は、現代の大学生の実態とはあまりにもかけ離れていた。そのことに違和感を覚えた彼は、それだったら自分で、今の大学生が何を考え、どう思っているのかをみんなに知ってもらいたかったのだ。そういう意味では、この作品は’80年代を代表する小説といえるかも知れない。