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ほとんど無害
突拍子もない事故で、最愛の女性と離ればなれになったアーサー。放浪の末、サンドイッチ職人としての平安な人生を手に入れるも、突然トリリアンが彼の娘を連れて現れる。一方フォードは、銀河ヒッチハイク・ガイド社の異変に疑問を抱き…。並行宇宙を舞台に繰り広げられる、大傑作SFコメディ最終巻。
ほとんど無害
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ほとんど無害
2020/05/17 10:56
イギリス人脚本家ダグラス・アダムス氏によるスラップスティックSFシ5巻シリーズの最終巻です!
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、イギリスの脚本家ダグラス・アダムス氏によって書かれたスラップスティックSFシリーズの一冊です。河出文庫では、第1巻『銀河ヒッチハイク・ガイド』、第2巻『宇宙の果てのレストラン』、第3巻『宇宙クリケット大戦争』、第4巻『さようなら、いままで魚をありがとう』、第5巻『ほとんど無害』として刊行されており、同巻は最終巻の5巻目です。内容は、突拍子もない事故で最愛の女性と離ればなれになったアーサーですが、放浪の末、サンドイッチ職人としての平安な人生を手に入れます。しかし、突然トリリアンが彼の娘を連れて現れます。一方、フォードは、銀河ヒッチハイク・ガイド社の異変に疑問を抱き始めます。さて、この結末はどうなるのでしょうか?ぜひ、続きは同書をお読みください。
ほとんど無害
2006/09/10 22:58
近くて遠い宇宙の中の宇宙のほとんど無害な話
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シノスケ - この投稿者のレビュー一覧を見る
宇宙ヒッチハイクガイドも本作で最後。パニクるな!の名言とともにユーモアとジョークでできた宇宙をこれでもかと見せ付けてくれた。本作の主人公はやはり最後までアーサー・デント。4作目で最愛の女性と結ばれるものの、突拍子もない宇宙の気まぐれで再び放浪者となってしまったアーサーはある惑星でサンドイッチ職人としてそれなりに平和な生活を送っていた。突然現れたのはフォード・プリーフェクト……ではなく、トリリアン。突然現れた彼女はなんとアーサーの娘を連れていたのだ。そのころフォードは、銀河ヒッチハイク・ガイド社の異変に気がつき、秘密を探り出そうとするが……。
虚構で塗り固められたSFコメディの終焉は、なかなかシニカルな終わりを見せる。え、これがあのヒッチハイク・ガイド? いいの? ほんとに? などと思ってしまったが、よくよく考えてみればわかりやすさや納得できる結末を求めていたわけでもなく、混沌とユーモアは存在しているし、一体全体なにが不満なのだろう。
どこかの宇宙にはフェンチャーチとともにヒッチハイクをしているアーサーがいる宇宙もあるかもしれない。憂鬱症が治ったマーヴィンがいるかも、<黄金の心>号を盗まなかったゼイフォードが、究極の問いの答えが42じゃない宇宙が、地球が「ほとんど無害」でない宇宙があるかもしれない。自分たちの住んでいる宇宙と地球はたまたまありえないほどの確率で、こんなに面白おかしい事が起こらないんだと信じたくなってしまう。
20年後くらいにはたぶんこの本の内容は変わって読めるだろうし、ひょっとしたらひょっとして自分の知っている『ヒッチハイク・ガイド』とは中身が違っているかもしれない可能性だって0だとは言い切れない。……たぶん、自分は今生きている宇宙に不満なのだろう。
ほとんど無害
2007/02/26 08:41
御慶,御慶,シリーズ全5作品の完訳なる!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
ダグラス・アダムスの「銀河ヒッチハイク・ガイド」シリーズ最終巻。
前作でめでたくフェンチャーチと結ばれたアーサーだったが,彼女は超空間の事故であっさり消え去り,紆余曲折……いやぁ,こんなはちゃめちゃな顛末をたった4文字で表せてしまう漢字ってホントに偉大だな,の後,現在はある未開の惑星で「”ボブ”がつかわしたサンドイッチ作り」として安らかな日々を送っている。ところがある日,あのトリリアンが1人の女の子を連れてやってきて「あなたの娘よ,ちょっと面倒をみてて」と……。
一方こちらも紆余曲折の末,「銀河ヒッチハイク・ガイド」の本社にたどりついたフォードは「ガイド」がいつの間にかインフィニディム・エンタープライズというとっても官僚的な会社によって買収されてしまったことを知る。そこで灰色のヴォゴン人たちに追われた彼は,会社がこれから売り出そうとしている「銀河ヒッチハイク・ガイド第2号」を持ち出してアーサー宛に送るのだが……。
訳者あとがきで安原さんが書いているように,SF小説としては傑作。でもこのシリーズの最終巻としてはどうかなぁ,と思う。笑いながら背中のほうの筋肉をひきつらせているようなイギリス的ユーモアが売りのシリーズのはずが,この本では笑顔を見せずに背中のひきつりを前面に出している感じ。シーンシーンは笑えるんだけど,物語全体を覆っていたあのあっけらかんとした軽薄さがないんだよね。とはいえ,これでシリーズ全5作品の完訳がなったわけで,こんな嬉しいことはない。
この本の本邦初訳,あの新潮文庫版の編集者にして,しかも第3部「Life、 The Universe and Everything」に「宇宙クリケット大戦争」というワケワカメな邦題をつけた張本人である大森望氏の解説も一読の価値あり。