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5件
ルバイヤート
著者 オマル・ハイヤーム著 , 小川亮作訳
過去を思わず未来を怖れず,ただ「この一瞬を愉しめ」と哲学的刹那主義を強調し,生きることの嗟嘆や懐疑,苦悶,望み,憧れを,平明な言葉・流麗な文体で歌った四行詩の数々.十一世紀ペルシアの科学者オマル・ハイヤームのこれらの詩は,形式の簡潔な美しさと内容の豊かさからペルシア詩の最も美しい作品として広く愛読されている.
ルバイヤート
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ルバイヤート 改版
2006/07/27 15:05
酒を飲め飲め飲みまくれ〜
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ISH - この投稿者のレビュー一覧を見る
酒を飲め…生きる意味なし…ひたすら悲し…酒を飲め…酒を飲め…。
あんた現代にいたら依存症の診断つきます。
で…「こんな悲観人間の書くもん読んで何が嬉しいんだくっだらね!」とよく周囲に怒られていたが…心の中でこっそり憤っていた。
「この人酒には飲まれてるが…我々がいともたやすく飲まれる物には飲まれてないよ。『貴様らに飲まれるくらいなら貴様らが禁じるこれに飲まれた方がましさ』なあんて皮肉なのかも」と。
当時のお堅い宗教にも、まともな人間なら自分自身で考えもせず「はい」というべき何かにも大真面目に疑問を投げかけ続ける。
「生きてる意味ねえ〜」の裏を返せば「おまえらの言うとおりに生きてる意味はねえ」。実はものすごく生きてて楽しかったのかも。
人生探求が生きがいの人々の聖典。反抗期の子供にもどうぞ。
十二世紀のペルシア…異世界の学者さんにさえ反逆魂が…生きてる感がしねえよおが…と。
ルバイヤート 改版
2004/09/26 19:51
のんびり行こうよ俺たちは
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
この人、飲み過ぎです。訳者がペルシアのダ・ヴィンチ、平賀源内と例えるほどの賢人ー科学者・哲学者であるが、まったく虚無的、享楽的。それは当時12世紀ペルシアとしては特異な、作者の唯物的=無神論的思想の産物とされるが、極端なんだって。人生訓として読んだら道を誤ります。詩ですからね。
詩形は4行詩で統一されており、解説によるとペルシア文芸復興時代の定型に従っているとのこと、訳文はその韻律の再現を心掛けたという仰天であるのだが、それを抜きにしても詩情豊かな美文は原文で読んでみたいという気にさせられる(無理だけど)。ちなみに過去の文語訳に対して、訳者に口語訳を勧めたのは佐藤春夫とのこと。
一番の魅力はイメージの豊かさ。この時代、世界は大牛に乗っていると思われていたそうだが、とてもそんなとは思えない広がった世界観と時間観念を感じる。これは後のグレゴリオ暦も凌ぐ精度の暦法を考案したという、天文学の知識に裏付けられているのかもしれない。
酒はおそらく刹那の享楽の代名詞として使われているのだろう。それは琴、薔薇、酒姫(=美少年)、巻毛などといっしょで。しかし恒久の時間を漂うような虚無的な雰囲気は、やはり酔いの効能なのか。
しかしこの時代においてこの内容は画期的だろうと思う。酒じゃなくて甘いものだったらペルシアのチョコレート革命とでも呼びたいところ。日本で言えば古今和歌集と新古今和歌集の間ぐらいの時代だが、無論完成度も高く、後代まで愛誦されているのはむべなるかな。どうしようもない浮き世を嘆く向きにも、共感できるところ多であると思うよ。
解説も時代状況やハイヤームのエピソード、過去の和訳との比較など盛り沢山で読みどころ満載。方丈記や平家物語との比較も興味深い。
2024/06/27 10:33
人生を楽しむ、イスラムの戒律の中で
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
本当にイスラム文化圏で書かれたのかと疑わずにはいられない詩集。過去も未来もなく、楽しみは今この一瞬なのだという叫び、ないし酒の唄だ。