街道をゆく(1) 湖西のみち、甲州街道、長州路ほか
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紙の本街道をゆく 新装版 1 湖西のみち、甲州街道、長州路ほか
2009/07/14 03:53
道を描くということ
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:白みそ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「僕の前に 道はない 僕の後ろに 道は出来る」
高村光太郎の詩の一節であるが、この詩ほど道というものの本質を鋭く言い当てたものはないだろう。空間と時間のほかに、人間という存在を欠いては、道は存在しえないのだ。
この巻に収められた「湖西のみち」からスタートする司馬遼太郎の紀行文は、その後、日本国内にとどまらずアメリカやモンゴルにまで及ぶことになる。
司馬は、街道という空間を現在往来する人々に目をやるだけではない。過去にその街道を往来したであろう人々の姿や息遣いをその場で感じ取ろうとする。
道という存在に人間が不可欠の要素である以上、それは歴史小説家である司馬にとって街道を描くために不可欠の作業だったのであろう。
昭和47年に始まり司馬の死により終了したこの紀行文の描く街道をすべて自分の脚でたどってみたいというのは、おそらくかなわないであろう私の夢である。
2022/04/19 15:17
大河ドラマの副本として読むのもいい
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家司馬遼太郎さんの代表作のひとつである「街道をゆく」は、司馬さんが日本各地(時には海外も)の街道を歩きながら、そこに生きた人々を描いた紀行エッセイだ。
司馬さんが鎌倉幕府発祥の地となった神奈川県三浦半島を旅したのは、1994年頃だろうか。(週刊誌に連載されたのは1995年3月から11月にかけてだったから)
長い「街道をゆく」シリーズでいえば、終わりから二つ目の巻になる。
この紀行エッセイでは書き出しがいい。
この巻はこう始まる。
「相模国の三浦半島は、まことに小さい。」
短いながら、旅の始まりの高揚感が伝わってくる。
司馬さんは三浦半島を歩きながら、その隣の伊豆半島の小さな在所に20年いた男のことをおもっている。
源頼朝である。
今回の紀行はおのずと頼朝とそのあとの時代、つまりは鎌倉時代を描くことになる。
「鎌倉の世は、存外ながい。」と、司馬さんは書く。
頼朝が鎌倉入りして、153年続いたというから、確かに長い。
といっても、頼朝の血流はわずか三人で終わるから、そのことをなかなか気がつかない。
まして、頼朝という名前が大きすぎ、さすがに北条家はわかるとしても、和田家や三浦家梶原家と彼の鎌倉入りを支えた御家人の 名前は複雑に絡み合ってよくわからない。
さすがに司馬さんのこの作品を読めば、ある程度は整理ができるはずだ。
司馬さんはこの旅のおわりに横須賀の港も歩いている。
『坂の上の雲』執筆時の思い出も語られていて、この巻の旅は気持ちいい。
2021/07/25 14:04
やっぱり司馬遼太郎は、すごい!(その1) -壱岐・対馬の道ー
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:野間丸男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
何度も訪れたことのある所だけど、こんな旅もあるのだ!
「街道をゆく」シリーズがあることは知っていたが、
実際に行ったことのある所だとまた違った読み方ができる。
時代が少し重なったところもあるが、全体的に古い内容なのが残念。
それでも、「あッ~! そうだったのか?」と思うことが多い。
壱岐の卜部、唐人神、田原、郷ノ浦、曾良の墓、神皇寺跡など
対馬の厳原、国昌寺、雨森芳洲、溺谷、山ぶどう、佐護、赤米、千俵蒔山、佐須奈の浦など
歴史ある国境の地なので、
それなりの想いを持った人達との交流をおりまぜながらの
深い知識による洞察は、その地方の脈々と続く歴史が楽しめる。
2020/09/21 05:27
阿蘭陀
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
オランダと日本の関わりを歩き廻る。シーボルトゆかりのライデン大学など江戸時代に交流の深さを知る事が出来る。また人が作った国土という風土も味わえる。
2020/09/09 05:24
朝鮮
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
半島文化を練り歩く。日本とのつながりも深い隣国だが当然違いもある。歩いてみて回るからこそ発見もある。じっくり丹念に観察することが重要。
2020/09/07 05:24
神話
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代浪漫を巡る旅と坂本龍馬の脱藩の道をゆく。日本海側での厳しい気候の下での暮らし。かつて竜馬像を作り上げてしまった功罪。
2020/08/29 05:29
港町
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
海の交易を中心に避けた町の共通性を追うことになる。社交的な面など興味深い内容でまとまっている。共通した独特の雰囲気のある街並みとなっている、
2020/08/19 05:32
北の文化
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の文化で北からの影響を考える。交流やら衝突やらを繰り返して近代を迎え開墾が始まり原風景が失われてしまった。
2020/08/18 05:22
四国
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
四国の南西方面を巡る旅。坂本龍馬の脱藩のみちなど秘境も歩く。宇和島など伝統的な歴史道も。そこに生きる人々も興味深い。
2020/08/17 05:31
島嶼
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
壱岐・対馬のみち。日本海側にぽっかり浮かぶ島々の暮らし。そして日本史に重要な事件をもたらしたこともある長閑な風景などをめぐる。
紙の本街道をゆく 新装版 4 郡上・白川街道、堺・紀州街道ほか
2020/08/05 05:24
秘境
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
洛北街道、郡上・白川街道と越中街道、丹波篠山街道。堺・紀州街道、北国街道とその脇街道。本街道だけでなく道の隅々までも見て廻った回。
電子書籍街道をゆく(35) オランダ紀行
2018/02/04 17:43
すばらしい
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mameko - この投稿者のレビュー一覧を見る
このシリーズは初めて読みましたが、上品な文体と司馬さんのものの考え方、おびただしい量の知識に裏付けされた旅行記で、とてもすばらしいです。これからこのシリーズを集めたいと思います。
もしかしたら、司馬さんご自身の考えが強く表れている分、歴史小説よりもおもしろいかもしれません。。
実際の旅行の話(食べ物や観光地など)は少なめです。ただその分、その土地の背景などは盛沢山です。
読みごたえもあり、最高でした。
2016/05/20 10:36
東北の方にぜひ読んで頂きたい
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GON - この投稿者のレビュー一覧を見る
目が止まった。
「司馬遼太郎さんもお書きになっていることだが、弘法大師空海が遣唐使として海に渡れたのも、現在の福島県あたりの金山から採れた砂金の力が大きかった。」
(新書 【下り坂をそろそろと下る あたらしい「この国のかたち」】より)
本書を読み直してみた。
さらりと読んでしまうと気づかないが、天才平田オリザは 司馬遼太郎が直接言及するのを避けたことを見破っている。
「東北征伐は、何のために行われたか?」
単に文化の違いで征伐に行くだろうか。
その疑問を、本書は裏コードで答えている。
東大寺仏像の表面を覆うために必要だった金。国内調達が難しいと思われた時、宮城県涌谷で大量に採れた。それから、東国へ坂上田村麻呂や徳一が向かうこととなる。百人一首にも選ばれる源融は、金の眠る東国の地を愛した。「黄金の国ジパング」とマルコポーロによっていわれたのも、東国に豊富にあった金のためである。
平安期、金を奪ったことをなぜ隠すのか?
東北にあった歴史がなぜ大同年間というよそ者の語る歴史で書き直されているのか
それは明治期、東北の天然資源をすべて、国有化・払い下げという形で経営権を奪った歴史を知って欲しくないという力が働くためである。
2016/03/30 17:08
歴史の勉強をしながら旅行ガイドにも。
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヨッシーパパ - この投稿者のレビュー一覧を見る
このシリーズはもう39巻目を読んでいます。
歴史的な人物や出来事を含めて作者が実際に行った土地土地のことがよく分かります。
作者の行程に従って旅行したこともあります。
2015/11/05 18:33
私にとっては旅行ガイドにとどまらず、北海道史の教科書でした!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:大阪の北国ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
いきなり昔の今東光氏との函館訪問の思い出から漫談のような紀行が始まります。旅行記を読むというような気軽な入り方ができるのですが、その実、津軽と南部の微妙な関係、函館を中心に展開されるロシアとの関係史、同地のハリストス正教会とお茶の水のニコライ大聖堂の歴史と、息つく間もなく軽快なテンポでストーリーは展開していきます。読みながら、われわれ特に関東以西に住む日本人は“外国人・外国語”と言えば 通常は“アメリカ人・英語”を想像しますが、以前に函館で博物館を訪ねた際、この地ではそれが ある時期においては“ロシア人・ロシア語”であったのではないか、と考えたことを思い出しました。
本書の内容に戻りますが、函館近辺では過去 横暴であった和人へのアイヌの反乱、その後の幕末から明治初期にかけての松前や江差のエピソードと語られ、石狩から果ては月形の樺戸監獄へと進み、北海道開拓にあたった囚人たちの命懸けの労働史へと繋がっていきます。
読み進む毎に、読んだ内容を忘れていくのが余りにも惜しく、とうとうメモを取りながら読了する羽目になりました。この本も私に取っては「歴史の教科書」でした。読了とともに書店(古書店も含む)で、今東光『お吟さま』、船戸与一『蝦夷地別件』、吉村昭『間宮林蔵』と『赤い人』を買ってしまいました。実に充実した味読期間を過ごせました。