輪違屋糸里(上)
著者 浅田次郎 (著)
新選組局長・芹沢鴨はなぜ殺されたのか? 近藤勇ら試衛館派と芹沢鴨ら水戸派の間で対立が深まっていた、新選組と呼ばれる前の壬生浪士組。京都・島原の置屋「輪違屋(わちがいや)」...
輪違屋糸里(上)
商品説明
新選組局長・芹沢鴨はなぜ殺されたのか? 近藤勇ら試衛館派と芹沢鴨ら水戸派の間で対立が深まっていた、新選組と呼ばれる前の壬生浪士組。京都・島原の置屋「輪違屋(わちがいや)」の芸妓・糸里は、姉のような存在の音羽太夫を芹沢に無礼討ちにされ、浪士達の抗争に巻き込まれていく…。土方歳三を慕う糸里、芹沢の愛人・お梅ら新選組に関わる運命を背負った女たちの視点から、激動の時代のうねりを描く。大ベストセラー『壬生義士伝』に続く“浅田版”新選組、第二弾!
著者紹介
浅田次郎 (著)
- 略歴
- 1951年東京生まれ。日本ペンクラブ会長。95年「地下鉄に乗って」で吉川英治文学新人賞、97年「鉄道員」で直木賞、2000年「壬生義士伝」で柴田錬三郎賞を受賞。
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浅田次郎の輪違屋糸里
2011/08/08 05:14
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:renogoo - この投稿者のレビュー一覧を見る
浅田次郎の壬生義士伝につずく新選組第二弾。
今回は女性の視点からみた新選組を書いています。
出てくる女性は、土方におもいを寄せる島原の芸妓糸里、糸里の友達で桔梗屋の吉栄、壬生村にある八木邸の奥さんおまささんと前川邸のお勝さん、そして芹沢鴨の妾だったお梅さん。
この5人の女性をとおして壬生村に住んでいたころの初期の新選組をかいてます。
よって、本がおわるのは芹沢鴨を暗殺し、近藤局長を頂とした新選組が出発するところでおしまい。
ちょうどいい時期(?)で終わるので安心して読めました。
歴史小説にありがちな、"慶応X年にXXXがXXXして"というようなバックグランド的なナレーションもなく、登場人物たちの会話でなりたっている。とても人間的な小説。
この本では芹沢鴨はなかなか奥が深く、そういう陰謀があってもおかしくは無かっただろうなとおもわせる説も登場。
反対に土方はかなり冷酷。あーこいつ嘘ついてるなー、糸里だまされちゃダメ!!!と声をかけたくなりました。
沖田総司にいわせると、土方は女性を人間とみていないらしい。一方糸里は、土方の謀り事に彼の本心をみつける。
それでも最後はいったいどっちが土方の本心だったのか分からないようになっている。
私は土方がただ糸里を利用したとしかおもえなかったけど。
新選組の話は、でてくる登場人物は同じだけれど、書く作家によって見方が変わるのでとてもおもしろい。
幕末。新撰組の物語。
2008/10/03 21:44
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末。新撰組の物語。
新撰組の物語といっても、主人公は糸里をはじめとする島原の女性たち。日本人は、どうも「滅びの美学」的なものを好む性質があります。私もそのひとり。
新撰組のなかにある純粋性と残忍性、そして滅びゆくものとしての悲劇性が重なり、ファンも多いはず。
本書では、そのなかでも残忍性と、そこにかかわる女性たちの生きざまがメインのテーマとなっています。
この物語のクライマックスは、芹沢鴨の暗殺。
この事件を契機に新撰組は、一躍時代の寵児となるわけですが、それ以前から話は始ります。
その中では、芹沢という人間の中にある矛盾が次第に明らかになっていく様が描かれています。
また、一方新撰組の立ち役者でもある土方歳三は恋仲にある糸里に対してどのように接していくのかがポイントです。
男としては、仕事をとるか恋をとるかというところでしょうか?
上巻は、このあと起こる悲劇の兆候を強く意識させられる内容です。
http://blog.livedoor.jp/c12484000/
京の島原の妓。
2010/06/18 12:41
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本史に疎い私が、日本の歴史に興味を持ち始めたのはここ数年のことです。長い海外暮らしの中で、海外から見た日本を感じ、それを通して日本の良さや歴史の尊さを切実に思い、少しずつでも学んでいこうと思って手に取った一冊。高校二年の頃から世界史を専攻していたので、基本的な日本史しか学がない私ですが、本書は充分楽しめます。昔、少年漫画を通じて多少の幕末を知っていたので助かりました。
京の島原にある輪違屋にいる糸里が物語の要になっているものと思って読み始めたら、そうでもないので少し戸惑った。新撰組がどういうふうにして出来上がったのか、とか浅学な私でも知っている名前の組長たちの言動、歴史の流れが中心になっているように思える。もちろん、糸里もぼちぼち登場してはくるけれども、上巻を読み終えた今、正直に言って印象は少し薄い。
お店の女房たちやその周囲の人たちの方が、どちらかと言えば強い個性を発揮しているように思える。局長の一人である芹沢と、複雑な関係のあるお梅の存在であったり、お勝やおまさであったり。登場人物らの心境や置かれた立場が克明に伝わってくるので、さすがは浅田次郎さんと言ったところでしょうか。読み進めていくうちに、勝手に抱いていた歴史上存在していた登場人物らのイメージが覆されたり、そのままだったりしたので興ずることができました。
例えば、土方歳三が二枚目だったなんて、知らなかった。あんなに雄弁だとも思わなかった。だけど、芹沢の尻拭いをする場面では理不尽だと思ったりもした。芹沢については、ただただ酒癖が悪いものだと思っていたけれども、その生い立ちや境地には同情の余地もあったりした。個人的には沖田総司贔屓なんだけれども、それは以前読んだ少年漫画に出てきた沖田総司の印象が良かったからに尽きていた。でも、本書に登場する沖田総司は子供っぽく、イメージがちょっと壊れた。逆にイメージに沿っていたのは斉藤一。ああ、やっぱりこういう人か、と納得がいった。近藤勇の性格については、意外だとしか言いようが無い。
上巻の最後は、居た堪れない。糸里の健気さが染みる思いでした。新撰組そのもののイメージも変わったし、流れや背景を理解することで歴史への関心も深まったので良い機会となったのは言うまでも無い。下巻への期待を育むような構成だったので、色々な謎が自分の中で蓄積されて下巻に手をつけました。糸里のこれから、新撰組のこれからが楽しみで仕方ありません。
女性たちの数奇な運命
2021/06/21 12:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
壬生義士伝、輪違屋糸里、一刀斎夢録と浅田次郎の幕末三部作の一作品。
新撰組筆頭局長の芹沢鴨・局長の近藤勇らは京に上るも、幕府や会津藩からは具体的な指示もなく商家等の厚意で糊口を凌いでいる状態であった。彼らは商家から押し借りをしたり、無銭飲食したり壬生村では厄介者であった。そんな新撰組に係わった壬生や島原の女性たちがいた。芹沢の愛人で新撰組を利用しようとしたお梅、会津藩の御用達という立場で新撰組を世話するお勝そしてお勝に頼まれたまさ、新撰組の隊員と恋仲にある桔梗屋の吉栄、芹沢に殺害された輪違屋の音羽太夫、土方に思いを寄せる輪違屋の糸里。新撰組に係わった女性たちがどのような運命をたどるのか・・・。
新撰組についてはいろいろ作品を読みましたが、女性にスポットが当たった作品は今回が初めてでした。読んでいてうなずけるところが多かった。早く下巻を読んで結論をしたいです。
島原遊郭、幕末の頃。
2015/09/23 14:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夜メガネ - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末の動乱に欠かせない、京都島原の遊郭が舞台。
江戸・吉原もですが、歴史文献・手記・小説と遊郭にまつわるものを読んでいると、
幕末にはある程度下火になっていたはずなのですが、何事もとにかく豪華絢爛で
数十年はズレてるんじゃないかと思ったくらいです。
表紙になっている糸里の姐さんの豪華さからも見てとれます。
硬派な幕末ものを読んだ後だと、登場人物がやや魅力薄に感じるかもしれません。
ですが、作者それぞれの解釈なので、浅田さんのキャラクターが好きな人は楽しめるはずです。
武士を頂点とする「武家社会」が崩壊しつつある幕末に、多くが武士階級以外から成り上がろうとして苦悩する新選組を軸としてはいるがその軸は細くてはかない。
2016/11/22 11:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
武士を頂点とする「武家社会」が崩壊しつつある幕末に、多くが武士階級以外から成り上がろうとして苦悩する新選組を軸としてはいるがその軸は細くてはかない。それに対してそれを取り巻く女性たちは時代の不安定さに翻弄されながらもそれぞれしたたかに生きようとする。『壬生義士伝』『一刀斎夢録』と合わせて新選組三部作と言われているので、当然新選組が主題と思っていたが、どうも時代の激変期にあっても“女性”という不変の存在としての“女性”たちの生き様が主題のような作品であった。上巻は、主役女性たちの生い立ちと、宿命の様に新選組と関わっていく様子を描きながら女性たちの心理描写に多くの紙面が割かれている。下巻では、京都守護職である会津藩の暗殺者集団として都合よく使われている新選組の姿を描きながらクライマックスの芹沢鴨暗殺へと展開していく。