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武士道
「武士道はその表徴たる桜花と同じく,日本の土地に固有の花である」.こう述べる新渡戸(一八六二―一九三三)は,武士道の淵源・特質,民衆への感化を考察し,武士道がいかにして日...
武士道
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武士道 改版 (岩波文庫)
商品説明
「武士道はその表徴たる桜花と同じく,日本の土地に固有の花である」.こう述べる新渡戸(一八六二―一九三三)は,武士道の淵源・特質,民衆への感化を考察し,武士道がいかにして日本の精神的土壌に開花結実したかを説き明かす.「太平洋の懸橋」たらんと志した人にふさわしく,その論議は常に世界的コンテクストの中で展開される.
目次
- 目 次
- 訳 者 序
- 改版にあたって(矢内原伊作)
- 第一版序
- 増訂第十版序
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紙の本
日本人の道徳とはこういうものだろう。
2004/02/01 23:27
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:健忘 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近、「道徳」なる言葉を聞くことが多い。「国民の道徳」という本も出ているようである。そもそも道徳とは何か、人が生きていくために、最低必要な倫理、というものではなかろうか。その道徳、日本ではどのような形で、昔から教えられていたのか。その答えを記しているのが、本書であろう。著者はご存じ、新渡戸博士。といっても、最近の若い人になじみがなければ、5千円札のおじさん、である。
本書は新渡戸博士が、ベルギーの法律学者、ラブレー氏に、日本は宗教教育無くして、如何に道徳教育を施すのか、と質問され、自分の道徳教育の根本理念は武士道にあり、と感じて書かれたものである。本書では、武士道の基本に、仏教の諦観、神道の教義、儒教の教訓があると見る。この三者が一体となって、日本の道徳概念が形成されたと見ている。その道徳概念は、封建制度に培われ発展した。ここまでくると、それは男性中心社会の道徳理念ではないかと反論もでようが、博士は、第14章“婦人の教育および地位”という一章を設けて、封建制度の下においても、婦人の教育と地位も武士道の中に組み込まれたもので、決して婦人の地位は低くなかった、と述べている。このあたりは、本書が外国人向けに英語で書かれたことと、婦人が外国人であった博士らしい論述でもある。博士は、日本の道徳教育の形を広く海外に示し、日本の文化への理解を広め、日本の道徳は武士道だと主張した。ここに本書の最大の貢献があると思う。
本書を読んで、人の情とか倫理といった基本的なことは、現代でも共通の問題だと思った。しかし、これらの問題は、決して学校教育の問題ではなく、家庭教育の問題であろう。博士も武士道が学校やそれに類するところで教えられたとは言っていない。昨今の道徳教育論議は、学校に道徳教育を導入するしないといった議論である。日本では道徳というのは、人の道という考え方であった。それを学校で教え、評点いくつ、というのは、まったく本末転倒であると思う。そう言った、日本の道徳とは何か、という問題を再考するのには、本書が一つの教科書となると思う。これが本当の“国民の道徳”だろう。
紙の本
読みやすい現代文語訳
2018/07/30 13:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まらりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本思想の一部を知るために購入しました。
読みやすい現代文語訳で、武士の思想・哲学の一端を知ることができました。
電子書籍
本の題名は誰もが知っているが、
2015/08/12 12:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Ottoさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「武士道」
誰もが知っている題名だが、みんなが勝手にイメージで「武士道」を考えている。
この本がその根本。
明治時代、日本人が英語で日本文化を紹介した本が3冊ある。
内村鑑三の「代表的日本人」
岡倉天心の「茶の本」 そして
新渡戸稲造の「武士道」です。
日本の文化や社会に興味のある人は、どこかでこの3冊に出会うことになる。
なにしろ、あの「ラストサムライ」のトムクルーズの読んでいるというから。
紙の本
蛮国の弁護のなかに新しい「武士道」の芽を見る
2010/01/20 23:22
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナンダ - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争中、この本が軍人たちの心の支えになったと聞いた。右翼的な本だと思って読んでいなかったが、よくよく見たら著者はキリスト者として有名な新渡戸稲造だ。新渡戸は平和主義であるクエーカー教徒だ。右翼思想とは正反対に位置する新渡戸がなぜ? と思って読むことにした。
言葉づかいが難しく読みにくい。が、それでも新渡戸の伝えたかった一端は見えてきた。
この本は日清戦争直後に英語で書かれた。東洋の野蛮な国と思われていた日本にも西洋に負けぬ倫理や道徳の規範があり、だからこそ急速な発展を遂げることができたのだ、と、欧米の人々に示すために書かれた。欧米のさまざまな哲学や思想と日本の武士の倫理観や孔孟の思想などを比較することで、日本や中国の文化や精神の高さを示すと同時に、滅びつつある過去の文化や精神を惜しみ懐かしむ内容になっている。
経済学者の森嶋通雄は、武士道のかわりに「儒教」をおき、それが日本の発展の原動力になったと説いた。本来、中央集権体制に合致した日本的儒教から自由主義に適合する中国的儒教に移行するべきだったのに、戦後の「疑似民主教育」によって儒教精神を根こそぎにされ、その教育で育った世代が90年代に国の中心を担うようになって日本はダメになったと主張した。「儒教」を「武士道」に置き換えればそのまま新渡戸の論と重なりそうだ。
だとしたら、中国的儒教に見合う、現代的な武士道とはどんな形になり得るのだろう? それはたぶん、欧米スタイルとはちがう、日本的なボランティア(国際貢献など)のなかに見えてくるような気がする。
紙の本
現代日本人が忘れかけているもの
2001/02/03 06:28
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:匿名の読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は現代日本人が忘れかけているもの、特に精神的な美徳について啓蒙的に書かれている。
古臭い思想だと思われる方もあるかも知れあいが、われわれ日本人のこころの奥底には、本書で述べられているような意識が存在するということを忘れてはならないと思う。
それはともかくとしても、紙幣の肖像になっている人物なので、その人の思想についてわれわれは少しくらいの知識があってもよいのではないだろうか。
紙の本
現代日本の恩人
2017/04/15 04:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読人不知 - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治時代、主に英語圏の人々に向けて書かれた本の日本語訳。著者は旧五千円札の人。
西欧列強に、極東の島国は決して蛮族の土地ではない、と日本人の道徳観の中でキリスト教的な思想に通ずる点や、日本の文芸作品と西欧の古典との類似点などを挙げ、時には、かなりこじつけめいたことをしてまで、懸命に弁護した本。
日本が植民地化を免れたのは、本書の力もあったのではないかと思った。
逆輸入された視点で語られる日本人の美点は、現代でも残っている部分もあれば、喪われてしまった部分もある。
かつて美点とされたことが、現代では悪しき因習の根となってしまったものもある。
武士道は、武士階級のみならず、広く庶民の心に根付く人の道。宗教に依らず、平和と秩序を築く礎。
今に伝わる良き花を咲かせる根を枯らさないように、本書で再確認して、大切に守り育てたいと思う。
書かれた時代が古く、難しい表現が多いので、次の版では現代語の解説を付記すれば、若い人にも読みやすくなると思われる。
紙の本
理解できませんでした。
2008/12/25 20:00
7人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
武士道 新渡戸稲造 岩波文庫
不思議ななりたちの本です。アメリカ在住だった著者が1900年(明治33年)に英語で書いたものをその後日本語訳してあります。
冒頭にある昔を懐かしみ現在を嘆くという状況はいつの時代にも通じるものです。結局時代は同じことの繰り返しであり、存在する人間が入れ替わっているに過ぎません。
武士道を美しいものと尊ぶ本と思いきや、そうではない。武士道を分析してこういうところはいけないという批判がなされています。たとえば権力の濫用をしてはならない。解説の中では、忍耐と根性が大切であると説いています。
私が期待していたものとこの本の内容とは、かけはなれています。私の読解力が伴っていないのでしょう。内容には引用が多く、何が書かれているのか残念ながら私には理解できません。著名人の方達がこの本を絶賛される理由がわかりません。
電子書籍
封建制度の支配側の思惑によって創られた道
2023/05/22 20:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マーブル - この投稿者のレビュー一覧を見る
武士の本質は戦いである。その戦いは主君のために行うもの。義も仁も礼、誠、名誉、忠義もすべてはその目的に沿っている。禅仏教の側から見た鈴木大拙の書を思い合わせれば、武士はその戦闘の意思をコントロールし、最高の状態で発揮するために禅の教えを取り込み、変形し、武士道を創り上げていったと思われる。生と死の超越。自らを滅し主君のため命を投げだすことを厭わぬ。剣という物理的力と権力という政治力を暴走させぬための仁徳。武士という身分を意識し、ふさわしい行動を要求する名誉の感覚。封建制度の支配側の思惑によって創られた道。