中原の虹(3)
著者 浅田次郎
大いなる母・西太后(シータイホウ)を喪い、清王朝の混迷は極まる。国内の革命勢力の蜂起と諸外国の圧力に対処するため、一度は追放された袁世凱(ユアンシイカイ)が北京に呼び戻さ...
中原の虹(3)
商品説明
大いなる母・西太后(シータイホウ)を喪い、清王朝の混迷は極まる。国内の革命勢力の蜂起と諸外国の圧力に対処するため、一度は追放された袁世凱(ユアンシイカイ)が北京に呼び戻される。一方、満洲を支配する張作霖(チャンヅォリン)は有能なブレーン・王永江(ワンヨンジャン)を得て、名実ともに「東北王(トンペイワン)」となる。幼き皇帝溥儀(プーイー)に襲い掛かる革命の嵐の中、ついに清朝は滅亡する。(講談社文庫)
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巨星落ち、天下が動き始める。
2011/07/21 10:23
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
前巻で絶対的権力者西太后が逝去し、いよいよ天下が動き始める。まだ幼少の皇帝「溥儀」が即位するものの、虎視眈々と日本を含め諸外国がその土地を、そして革命勢力が覇権を狙い始める。その勢力に対抗する為に袁世凱が呼び戻され、実権を握るようになる。しかし物語の主人公、白虎の張作霖が満州から東北地方を統べ、名実ともに「東北王」となった。そして覇者の印「龍玉」は、その張作霖の息子の手の中にあるのだ。果たして中華の国は、一体どのような命運を辿るのか。
王朝崩壊から中華民国の樹立まで。中国の歴史の何と興味深く面白い事か。国ががらりとその様相を変えるあたり、日本における大政奉還にも似た感触があるが、まるでスケール感が違う。物語構成も大きいが、登場人物の感覚もまた大きい。島国日本ではちょっと得難い感覚で紡ぎだされる歴史と冒険的物語は、何とも読み手の心を捉えて離さない。
孫文に蒋介石、梁文秀と役者はそろった。次の4巻で最終巻。さぁ物語は一体どう終結するのか。期待度120%で進んでいきたいと思う。
人間力
2018/03/19 20:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポッター - この投稿者のレビュー一覧を見る
史実が元での作品であるが、作者の切り口により人間味溢れる物語となっている。
人間はちっぽけだけど、可能性はいくらでもあるのですね。
真の天子を欠き、清の混乱は止まらない
2024/08/08 15:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
西太后・光緒帝が同時に隠れ、国内に巣食う勢力が次々に立ち上がり始める。各勢力の思惑、陰謀が渦巻き、混沌としていく第三巻だ。
この巻の張作霖には幻滅してしまった。飢えと貧しさへの憎しみが彼の原点と見なしていたが、いくら警告に従わなかったとはいえ、飢えとも貧しさとも無縁の農村を滅ぼすことに何の大義があるのだろう。徹底して領分を弁えない人の弱さを嫌う張の性格がそうさせるにしても割り切りすぎだ。
無論、予告通りに粛清しなければ権力にも革命勢力にも舐められる危惧はあろう。国の乱れようを見れば、あの粛清は避け難かったのもわかるし、従軍した吉永の記録をして張を英雄と称させたのも、情勢や張の底知れない精神性を含めれば湧いて然るべき深い評価だとも思う。あるいは予言や竜玉の魔性が絡んでいると解釈する余地もあるかもしれない。
でも、初心から乖離した言動は、どう繕っても格好悪さが拭えないんだよ。
大筋が決まっている歴史ロマンに何言ってんだと思われても構わない。あるいは動乱の世にあって覇を唱える所業に如何なる道理もないというサブテキストが隠れているのか、確かにそう理解できる展開だが、どれだけ忠実に迫ろうが、人物の情緒や言動の機微は作者の作意だ。微妙に張の本質が変わっているように感じる一方で、その変化をカバーする描写がなくては消化不良である。それともその描写も次巻に持ち越しているのか? いずれにせよ間が悪く感じて仕方がない。