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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
下巻ではファブリスの活躍よりも保護者である公爵夫人とモスカ伯爵による宮殿での政治的対立や陰謀が描かれる。ファブリスはつまらない恋愛から殺人を犯すが、正当防衛を陰謀により証明できなくなり、獄中で監獄司令官の娘との恋愛に励む。
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投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
下巻に入ると宮廷内の陰謀が激しさを増し、そこで汚されたジーナは復讐を果たす(スタンダールらしいやり方で)。一方でモスカは権謀術数を駆使しながら政争に明け暮れるが、最終的に権力を得て公国に善政を敷く。ファブリスは終盤でようやくクレリアとの想いを遂げるが、パルムの僧院で短い生涯を終えることが明かされて物語は終わる。情景描写もそうだが、作者の文章はひと筆書き。有名な庭園の場面も言葉少なく、イメージ喚起させる。物語った後の人物たちの生き方を語っても実にあっさりしているが、かえって作品世界が現実と対置して際立ってくる気もする。結びの句はふさわしく、この小説が語る対象は「少数の幸せな者たちへ」なのだ。
大岡昇平氏が翻訳してます
2019/02/28 23:04
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「赤と黒」がジュリアン・ソレルの立身出世を描いた作品(といっても、その立身出世の目論見は果たせなかったが)とすれば、このパルムの僧院はファブリスという青年を一応は主人公とはしているが、パルム公国というイタリアの小国に住む貴族たちをグランドホテル形式に描いた作品と言えるだろう。読み始めは、このファブリスという青年(登場時は少年)に感情移入できず、ジュリアンがんばれと読んでいた赤と黒のことを懐かしくさえ思っていたのだが、下巻でファブリスが収監されるところぐらいからがぜん面白くなってくる。訳は大岡昇平氏のものなので、やや古臭い表現が鼻につくところもあったりするが、全体的にはすてきな格調高い翻訳になっていると思う
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上・下巻あわせて800ページに及ぶ大作。 舞台は18世紀イタリア。 学生の頃愛読した本です。
確か赤い表紙の世界文学全集の一冊でした。
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愛する叔母サンセヴェリーナ公爵夫人、その愛人である宰相モスカ伯爵。彼らの必死の努力全てを水泡と化し、クレリアと会うためだけに牢獄へと戻ったファブリス。暗闇で育まれる愛の行為。妄想とも呼べるほど激しい恋の数々に、どこか滑稽ささえ感じさせられる作品です。
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途中の盛り上がりが尋常じゃない。風呂でコツコツ読もうと思ってたのに、『絶賛脱獄(させ)計画進行中本人全然乗り気じゃない』辺りにさしかかったら、もう風呂から上がった後も読み続けずにはおられなくなって…結局徹夜で一気読み。徹夜に反省。
なのに、なんでラスト付近であーなっちゃうの?情熱の方向が、いきなりねじ曲がっちゃってるわ(温笑)
あとスタンダールが、フランスよりもイタリアのが好きなの!っていうのはビシビシ伝わってくるんだけど…登場人物の描き方とか、なんかそんな気がする。
「赤と黒」と比較すると、ファブリスはやっぱりジュリアンと違っておぼっちゃんなんだなーってのが、なんかよく伝わってくる。どこか鷹揚で、野望への執着が薄いあたり…。
更に、ブルジョワとしてのおぼっちゃんであるリュシアン・ルーヴェンとも比較すると面白いかも。
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・何で牢獄に戻っちゃうかなぁ、ファブリス。
・手は血塗れ、片方の肩を脱臼して、そして多くの人に助けてもらって脱獄したのに。
・服役中にかわしたクレリアとの僅かなやり取りは、それは確かに恋する者の情熱を駆り立てるだろうけれど。
・「顔を見ない」という誓いを守りつつも逢瀬を重ねているクレリアは、自分の気持ちに素直になったのだろうか。
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愛が狂気に変わっていく様がありありと見えて恐ろしい。この作品の中の真の主人公は公爵夫人だと思う。意志を持った女性は強いなと思わされる。
一言でまとめるなら、世代違いの叶わない恋に身をやつした女性の物語。でも、それがかわいそうだとも思えない所にこの物語の魅力がある。むしろ女性の末恐ろしさを感じさせる。。
てゆーかクレリア…「純粋すぎるけど可愛いっ絶対最後幸せになってね(*´∀`*)」て思ってたのに、、ラストでショック受けた。
私の胸の高鳴り返して( ´Д`)
最後の10ページは私にとっては不要です・゜・(つД`)・゜・
ファブリスのどうしようもなさが最後に垣間見えたのは個人的には良かった。そんなもんだわさ。
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いやあ、むちゃくちゃ面白かった。終盤の盛り上がり方は能の序破急を見る思いでした。スタンダールを楽しめて幸せです。でもまだ自分をThe happy fewと規定する自信はありません。
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下巻に入ってやっと運命の女性クレリアと巡り会う主人公ファブリス。その恋は成就することなく囚われの身となるが。フランス人であるスタンダールがルネサンス期のイタリアを舞台にして、なぜこの作品を書いたのか。よく分からないまま物語は終焉を迎える。なんだろう。その時代、宮廷政治という奇怪な状況、その中での純愛というものが理解しにくいのは確かである。この作品が名作と呼ばれる理由はなんだろう?
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主人公が収監されてからようやく面白くなってくる。
よくあるよね、脇役が活躍する回の方が面白いTVドラマとか。そんな感じ。
小説の主人公がダメ人間でも共感できなくても別にいいんだけど、それならそれなりのテンポ感で読ませてほしい。
新潮文庫版の訳は格調が高いと言うか、斜め上過ぎて、その点楽しくない。
いずれにしてもこれが海外の長篇第28位。
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上巻とはかなり雰囲気が変わり、緊迫した展開が続くが、基本はメロドラマ。
何かであらすじを読んだことはあったが、ここまでしっかりメロドラマをやっているとは思わなかった……。
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下巻から面白くなった。不幸を知らずバカだった主人公は、望みが叶わずに苦しむことで成長…は多分していない。相変わらず自分のことだけ。
おばさんの公爵夫人と恋人の伯爵が良い脇役だけど、主人公カップルは幼稚な印象。
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ストーリーの展開は若干遅くて、人間関係も複雑に感じたけど、ファブリスとクレリアの情熱的な恋は最高に盛り上がる!ふたりの恋に落ちていく過程は特殊な状況ではあるけど、普遍的なものに訴えかけるのはスタンダールのセンスだと思う。
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長年の積ん読の山から取り出した本。主人公の幸福な入牢生活がまだるっこい。とうやく脱走して新たな展開に期待。
読み終わってなにこれのラスト。恋を捨て信仰に目覚めた主人公とばかり思っていたけど最後まで煩悩だらけだった。