光秀は「麒麟」か
2020/07/24 08:37
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新潮文庫版で4冊となっている長編歴史小説もいよいよ最後の巻、「織田信長 後編」である。
そしていよいよこの巻のクライマックスで「本能寺の変」が描かれている。
そこからすれば、「織田信長編」というより「明智光秀編」といった方がいいかもしれない。自らの主家であった信長に何故光秀は謀反を起こしたのか。
おそらくそれは光秀しかわからない、あるいは光秀自身にも解けない謎であったかもしれない。
この長編小説にはたびたび信長に対する光秀の妬みのようなものが書かれている。
妬み、というのは、自分の方が生まれもいいし能力もある、という愚かな考えから出ている。
あるいは、濃姫と結婚したかもしれない自分を想像したこともあったやもしれない。
どんな組織でも、光秀のような考えをもつ人物は現れる。ただ光秀の場合、そんな考えを持つほどに能力も高かったのも事実だ。
ただ残念なことに、光秀は信長のことが嫌いであった。
好き嫌いの問題はどうしようもない。
精神が病んでいくように見える光秀だが、信長の仕打ちも目に余る。
現代ではパワハラであるには違いないが、戦国時代、ましてや下克上といわれている時代に信長のような強烈な個性がなければ天下などとれるはずもない。
道三、信長、光秀、三人の武将の長い物語はここで完結したが、一体誰が本当の「国盗り」だったのだろう。
秀吉なのか家康なのか。
あるいは光秀の謀反に組みしなかった、光秀の友細川藤孝だったのだろうか。
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
道三の弟子対決で幕を閉じる物語。信長の最後が光秀の最後でもあり物語の終焉を迎える。天下統一への夢の行方は悲劇への助走でもあった。
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司馬遼太郎の作品はかなり讀んでゐるつもりだが、この「國盜り物語」は何故か讀む機會がなかつた。
たしか私が中學生になつた年にNHKの大河ドラマで放送されてゐた。
平幹二朗が齋藤道三役だつたことを覺えてゐる。
「美濃の蝮」こと齋藤道三が主人公だと思つてゐたのだが、今囘讀んでみて、それは前篇だけであることを知つた。
ドラマでは道三の死で終はつてゐたやうな氣がしたのだが・・・
いづれにしても、この作品で強い印象を受けたのは、道三の生きざまである。
つねに自分の目標を追ひかけ、目標達成のために何をなすべきかを考へ、それを實行してゆく。
その結果、生涯に何度も名前が變はり、そのたびに伸し上がつてゆく。
まさに、變動する時代に於ける男の生きざまを目の當たりにさせられる。
齋藤道三の出發點が、一介の油賣りでなく大名家だつたとしたら、この男が天下を取つたかもしれないと思つた。
道三が殺されたあとの後篇では、主人公は明智光秀となつてゐる。
明智光秀が道三の正室の甥だとは知らなかつた。
道三の衣鉢を繼いだ弟子といへるのが、ひとりは信長で、もうひとりが光秀だといふ。
その二人が運命に引きずられるやうにして、つひに「本能寺の變」を迎へることになるのだから、歴史といふものは面白い。
光秀の生涯が信長の生涯と交はらなかつたとしたら、時代はどのやうに動いたことだらうか。
2004年11月25日讀了
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当時と違って今ではこれはサラリーマン小説にしか見えない。部下がオーナー社長を解任動議するとき。当時は素直に歴史事実だと思ったが。
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信長の最期、明智光秀の苦悩。
光秀の苦悩の描写が細かく、リアルで感情移入が過ぎて一緒に欝になりそうだった。
最期まで激しい戦国時代。
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織田信長の未来に暗雲が立ち込める後半付近になると、とたんに読む気がうせてしまうのが困った点。明智光秀の描写が秀逸で、それをみるに素直になりたくても素直になることができなかった悲しい男がよく現われています。おかげで信長が…。本当に苛々させてくれます。
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2006年10月読了 信長が主人公のはずなんだけど光秀に愛が傾いてるのがわかって面白い。負けるとわかって挑んでいく男ってかっこいいもんな
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織田信長編と書いてあるのに相変わらず光秀ばっかり。でも逆にそれがいい味を出していると思った。読みながら色々考えたけど結局、人間とは難儀な生き物だ、とそんな風に思ったような覚えがある。
(図書館にて借りる)
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将軍足利義昭のために奔走する光秀は、信長に仕えることになった。しかし、信長と光秀の性格は合わず、次第に光秀は殺意を募らせていく。そして歴史はついに本能寺の変を迎える。
追い込まれていく光秀が可哀想で可哀想で…。信様そこまでやらなくても、と何度思ったことか。光秀は思い詰めて思い詰めて最後に弾けるタイプです。濃姫様が実は昔光秀に憧れていた、というエピソードににやりとりました。
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「器用貧乏」とは光秀のためにある言葉だと思いました。やっぱり世渡りの天才だった細川藤高はすごいです。
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ついに信長に伺候した光秀だが、同じ道三の愛弟子でも、ふたりの受け継いできた素養は大きく異なっていた。それが激情を呼び覚まし、ついには本能寺の変へとつながる。ハッピーエンドで終わらないところが、この歴史の悲しいところである。
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初めて読んだのは小学校高学年のとき、親父に借りて読んだ。
残念ながら第3巻・第4巻の内容についてはあまり覚えていない。何故だろう。飽きてしまってその後二度と読まなかったのだろうか。
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気持ちのユレが読み取りにくい、信長。
気持ちのブレを鬱陶しいほど、前面に押し出してくる、光秀。
自分的には、「デアルカ」のカタコト信長に一票!
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なんだか最終巻になって、しりすぼみの感が…
とりあえず所感。
秀吉の人たらしの方法
非凡な点は、相手の性格までもふくめて行動すること。
しかも、愛嬌を忘れていない。ひとから頼りにされたり、好かれるのってこうやるんだ。
細川藤考の身の処し方
直接的な物言いをさけ、どこから見てもすばらしい評価になるような行動をしている。
人のかんがえを後押しするだけでも、ありがたがられるんだなぁ。
光秀の最期
しみじみと計画はたいせつだと感じた。
コトが大きければ大きいほど、ながい目で見た計画が必要だ。
突然機会があらわれたからもったいない、とおもって行動するなんて下策だ。
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信長っていうか光秀の話だろ!ってくらい光秀メインで話が進みます。信長が好きな私は若干不満だったりします前巻同様。
しかししかし光秀の信長に対する葛藤や煩悶、そして破滅へ至る筆致はやはりグイグイ引き込まれました。本当に本当に孤独になっちゃった光秀。関ヶ原の三成はまだ刑部や左近という味方がいたけど、彼は三成よりずっと哀れ。
最後の戦いまでもなんかこう、たゆたう感じがまさに悩む姿を現しているなあと個人的には感じました。
やっぱり結構、光秀は好きだと思う。「自分は畢竟、新しい時代を作れる人間ではなかったのだ」と諦観するP699辺りがぐっ、ときた。
しかし長篠までの信長軍の無理ゲーといったらないw 前巻でも書きましたが今でこそ信長tueee!&koeee!ってイメージあるけどこんなに苦労してたんだーとマジでびっくらでした。お疲れ信長! しかし、あの頭蓋骨で作った杯だけはいただけないなーそこで初めてムカッ☆とした。
全体的に信長の描写光秀に比べると少ないんですが、本能寺で襲われた時に自分の美学にのっとって自分の最期を演出し、自殺しようとした信長は道三っぽい、とフト思った。やはり道三の一番の後継者は信長だったのではないかしらん。
金ヶ崎では光秀・秀吉・家康が一緒になって守っているので何という豪華共演!と思いテンション上がりましたね。
ということで鉄板名作神作「国盗り物語」読了! 約一か月にわたる読書でした。