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最後の逸話に思わず涙...
2007/07/26 00:30
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投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
暗殺されたユリウス・カエサルによって後継者に指名されていたオクタヴィアヌス。18歳の彼は、カエサル暗殺後の15年間にブルータスら暗殺者、それから政敵アントニウスを次々と倒す。そして前27年、ただ一人の権力者となった彼は、元老院議員たちの前に立った。
誰もが独裁政治の復活を予想した中で、オクタヴィアヌスの口から発せられたのは、元老院中心の政治、すなわち共和政への復帰宣言だった。これに狂喜した元老院議員たちは、敬意を表して彼に「アウグストゥス(尊厳なるもの)」の称号を送る。しかしこれは、「偽善者」であった彼による独裁権確立のための巧妙な布石であった。新リーダー「アウグストゥス」が始めた政治体制は、市民の第一人者(プリンケプス)による統治という意味で「プリンキピア(元首政)」と呼ばれるが、その実体はプリンケプスによる独裁であり、ローマ帝政の事実上の開始なのであった。
政治権力の集中は、地中海世界を支配するようになったローマにとっては必然的な流れであり、その先陣を切ったのは、カエサルであった。アウグストゥスが目指したのは、この体制をより堅実なものとし、国家の安全と平和を保障することであった。そのために彼は、元老院の反発や警戒を防ぎ、暗殺など不慮の死による事業の中断がないよう細心の注意を払いながら、着実に帝政を整えてゆく。
元来ひ弱で、軍人としての能力にも欠け、カエサルのようなカリスマ性もなかったが、きまじめで一つのことを粘り強く行う性格だけが取り柄だったこの青年の人物を見抜いたカエサルの眼力もさすがだが、それに十二分に応えたアウグストゥスはやはり偉大である。軍事面では、カエサルによってあてがわれた名将アグリッパ、行政面では、メセナ運動の祖といわれるマエケナスに助けられながら、41年という彼の長い治世は、ひたすら上の目標を実現することへと捧げられる。その結果、ローマには比類なき平和と繁栄の時代が訪れる。ここから以後の2世紀を、ひとは「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」と呼ぶが、平和の礎を築いた初代皇帝アウグストゥスの功績は、どんなに賞賛してもしきれないであろう。
こんな彼も、長い治世のあいだにはいくつか過ちを犯す。たとえば軍事面では、カエサルがあえて踏み込まなかったゲルマニア(ドイツ)への拡張政策を行い、その結果、3万もの兵隊が全滅するテウトブルグの惨劇を生み、ローマの防衛線を事実上後退させる。
また、自己の血を引く皇統に固執する彼は、再婚相手の連れ子で後に2代皇帝となるティベリウスと、前夫アグリッパに死に別れた実娘ユリアとを結婚させるが、これはそれぞれの男女の不幸を生むだけであった。ティベリウスは最愛の前妻への思いを断ち切れず心をかたくなにし、ユリアも政略の道具にされるだけの身の寂しさから、浮気へ走ってしまうからである。しかもユリアはその結果、アウグストゥス自身が制定した不倫に対する厳しい法律により、流刑に処せられる。
老年期に入ってから起きたこれらの事件は身から出たさびともいえるだけに、アウグストゥスの心をどんなにか苦しめただろう。だが、そんな彼の人知れぬ苦労をねぎらったのは、他ならぬローマの市民たちであった。娘ユリアの不祥事のあと、元老院は彼に『国家の父』の称号を与える。事件で落ち込んでいる彼を慰めるためであった。そして本書は、晩年の彼を「心の底から幸福にした」という次の出来事を伝えて終わっている。
アウグストゥスがポッツォーリという港町に入ったときのこと。船上で休んでいた老皇帝の姿を、別の船の乗員や乗客らが認めた。すると彼らは、合唱をするように彼に向かって叫んだ。
「あなたのおかげです、われわれの生活が成り立つのも
あなたのおかげです、わたしたちが安全に旅をできるのも
あなたのおかげです、われわれの自由で平和に生きてゆけるのも」
これに感激したアウグストゥスは、彼ら全員に金貨40枚ずつをあたえたという。ローマの平和とは、それをあたえる者もまた享受する者も共に理解しあえる時代だったのだろう。
紙の本
ローマ帝国 ― 人類史上、唯一の普遍帝国の完成者
2020/10/02 21:18
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投稿者:司馬青史 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ローマ帝国・初代皇帝アウグストゥス。
彼は天才ではなかった。
養父カエサルの創造力もなければ、ハンニバルの軍才もない。キケロの弁舌もなければ、スッラの強烈さもない。
彼にあったのは、愚直な責任感と冷徹なまでの自己認識だけだった。
しかし、そんな彼だからこそ、天才たちが成しえなかった偉業を成す事ができた。
あの時代、あの時のローマ帝国には、彼の様な指導者、皇帝が必要だった。
敗者さえ同化し、多民族・多文化が融和した普遍帝国・ローマ。
アウグストゥスなくしてローマ帝国の完成はなく、普遍帝国・ローマの完成も栄光もなかった。
彼は天才ではなかった。
しかし、ローマ帝国がアウグストゥスの様な至高の皇帝を持つ事ができたのは、幸いであった。
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英雄カエサルの遺志を継ぎ、事実上帝政ローマの初代皇帝となったオクタヴィアヌス(アウグストゥス)の一生を描く一冊。
以下、本文から抜粋。
「天才の後を継いだ天才でない人物が、
どうやって、天才が到達できなかった
目標に達せたのか。」
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カエサル亡き後に役者はいるのかと思ったけれど、塩野さんの筆ならばきちんと役者は登場する。アウグストゥスは悩みに悩んで帝国を育てた人だった。そして自分の身内を結果的には贔屓することもなく、フェアプレイをした人だった。フェアプレイをする気はなかったのに、結果フェアプレイ。この人もまたすごい人だった。
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(2016.06.15読了)(2009.07.05購入)
「ローマ人の物語」の第1巻を読み終わったのは、2005年9月でした。読み始める時は、月一冊ぐらいのペースで、どんどん読むつもりでいるのですが、第5巻まで読んだのが、2008年1月です。8年、間をおいて、やっと第6巻を読みました。今度こそ、第15巻まで読み切りたいと思っているのですが、・・・。
「ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず」2005.09.30読了
「ローマ人の物語Ⅱ ハンニバル戦記」2006.01.20読了
「ローマ人の物語Ⅲ 勝者の混迷」2007.01.01読了
「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサルルビコン以前」2007.08.15読了
「ローマ人の物語Ⅴ ユリウス・カエサルルビコン以後」2008.01.04読了
第6巻は、オクタヴィアヌスことアウグストゥスの治世の物語です。アントニウスとクレオパトラがオクタヴィアヌスとの戦に敗れ、オクタヴィアヌスが完全にローマ帝国の権限を握ったところから始まります。
ユリウス・カエサルが暗殺されてから、16年が経過し、当時18歳だったオクタヴィアヌスも34歳になっています。77歳で亡くなっていますので、統治期間は43年とずいぶん長きにわたっています。
ユリウス・カエサルが、領土を広げられるだけ広げていますので、アウグストゥスの役割は、じっくりと統治のためのシステムを構築してゆくことでした。
一度、ゲルマニア征服を試みますが、うまくゆきませんでした。
ユリウス・カエサルのような軍事面の才能はなかったので、軍事面は、アグリッパが支えました。外交面は、マエケナスが担当しました。
アグリッパが亡くなった後の軍事面は、ティベリウスとドゥルーススの兄弟が務めました。アウグストゥスの後を継いだのは、ティベリウスです。
人は権力を持つと世襲にしたくなるのでしょうか? 身内しか信用しなくなるのでしょうか? アウグストゥスの子供は、ユリアという女の子だけです。
アウグストゥスは、自分と同い年のアグリッパにユリアを嫁がせます。アグリッパには妻がいたのですが、離縁しています。ユリアの最初の結婚相手のマルケルスは病死しています。いわば再婚同士ということにはなりますが。
アグリッパとユリアのあいだには、5人の子供が生まれています。アグリッパが亡くなると、アウグストゥスは、ユリアをティベリウスと結婚させています。こちらの結婚はうまくいかなかったようです。
【目次】
読者に
第一部 統治前期(紀元前二九年~前一九年)
アウグストゥス、三十四歳~四十四歳
若き最高権力者
軍備削減
国勢調査
霊廟建設
ほか
第二部 統治中期(紀元前一八年~前六年)
アウグストゥス、四十五歳~五十七歳
“少子対策”
宗教心
アルプス
ドナウ河
ほか
第三部 統治後期(紀元前五年~紀元後一四年)
アウグストゥス、五十八歳~七十七歳
祖父アウグストゥス
娘の醜聞
「国家の父」
ティベリウス復帰
ほか
年表
参考文献
●アウグストゥスは尊称(35頁)
古代のローマでは、アウグストゥスとは��に、神聖で崇敬されてしかるべきものや場所を意味する言葉でしかなく、武力や権力を想像させる意味はまったくなかった。
●専守防衛(52頁)
最大の目標が防衛に変われば、従来のやり方では不都合になる。敵はいつ襲撃してくるかわからない。ゆえにそれへの対応手段は常に準備しておかなければならない。アウグストゥスは、専守防衛を目標とするからこそ常設軍事力が不可欠であることを理解し、それを実践したのである。
●支配層の不満(55頁)
カエサルは、征服された民族が反旗をひるがえすのは、民衆が自主的に蜂起するからではなく、民族の支配層が民衆を扇動するからであることを知っていた。そして、支配層が不満を持つのは、他国民に征服された結果、自分たちの権威と権力が失われるからであるのも知っていた。
●幸運のアラビア(69頁)
「幸運のアラビア」とは、そこに住むアラビア人が自称したからではなく、地中海世界の住人であるギリシア人やローマ人がつけた名であるらしい。香料や没薬、真珠や宝石、そしてインド経由で運ばれてくる支那の絹などの高級品商売でもうけるという幸運に恵まれたアラビア、という意味である。
●政治家(78頁)
経済人ならば政治を理解しないでも成功できるが、政治家は絶対に経済がわかっていなければならない
●徴税権(89頁)
アウグストゥスは、それまでは属州総督の管轄下にあった徴税権を「皇帝財務官」という官僚を専任にして送りこむことで、取りあげてしまっていた。これでは、共和政時代の属州総督のように、属州勤務中に一財産築くことなどは不可能になる。〝利権〟を失ったことが、ローマの公職選挙がクリーンに変わった主因であった。
●ノーメンクラトゥーラ(91頁)
ローマには昔から、有力者は家を外にする際に、「ノーメンクラトール」と呼ぶ役の奴隷を同伴するのが習いだった。有力者なのだから、フォロ・ロマーノを歩いているだけでも、近づいてきて挨拶する人が絶えない。その人たち全員の名を覚えているなど不可能だ。それで、向こうから人が近づいてくるのを見るや、「ノーメン」(名前)を「クラトール」(世話する役)の奴隷は主人にささやく。
●流通システム(107頁)
食糧危機とは、産出高が減少したからというより、産地にはあるのにその運搬がうまく行かなかったがゆえに起こる場合が多い。
●不倫(147頁)
健全な「国家(レス・プブリカ)」は健全な「家族(ファミリア)」の保護と育成なしには成り立たないと考えるアウグストゥスは、不倫に対しては厳罰でのぞんでいる。「ユリウス姦通罪・婚外交渉罪法」では、不倫関係を結んだのが有夫の女であれば、資産の三分の一を没収されたうえ孤島に終身追放と決まった。
●パクス・ロマーナ(213頁)
「ローマによる平和(パクス・ロマーナ)」は、国境の外に住む蛮族の襲撃の心配から解放しただけでなく、国内の山賊や海賊への恐れからも解放した。経済活動には、安全は重要このうえない条件なのである。
●指導者(229頁)
指導者に求められる資質は、次の五つである。知性、説得力、肉体上の耐久力、自己統制の能力、持続する意志。カエサルだけが、このすべてを持っていた。
●文章力(231頁)
伝えたい、わかってもらいたいという強い想いが、文���力を向上させるのである。
●幸運の女神(257頁)
幸運の女神は、すべての人にすべてを約束する。と言って、約束が守られたためしはない。
●不断のメンテナンス(274頁)
統治も街道に似ている。不断のメンテナンスが不可欠と考える認識力と、認識するやただちに修正するのをいとわない柔軟な行動力と、それを可能にする経済力のうちの一つが欠けても、機能しなくなるのである。
●政治家に必要な資質(282頁)
第一に、自らの能力の限界を知ることをふくめて、見たいと欲しない現実までも見すえる冷徹な認識力であり、第二には、一日一日の労苦のつみ重ねこそ成功の最大要因と信じてその労をいとわない持続力であり、第三は、適度の楽観性であり、第四は、いかなることでも極端にとらえないバランス感覚であると思う。
●階級(318頁)
ローマの社会は、階層間の流動性はあったにせよ、元老院階級、騎士階級、平民、解放奴隷、奴隷と分かれていた。
☆関連図書(既読)
「世界の歴史(2) ギリシアとローマ」村川堅太郎著、中公文庫、1974.11.10
「ローマの歴史」I.モンタネッリ著、中公文庫、1979.01.10
「古代ローマ帝国の謎」阪本浩著、光文社文庫、1987.10.20
「世界の歴史(5) ローマ帝国とキリスト教」弓削達著、河出文庫、1989.08.04
「ローマ散策」河島英昭著、岩波新書、2000.11.20
☆塩野七生さんの本(既読)
「神の代理人」塩野七生著、中公文庫、1975.11.10
「黄金のローマ」塩野七生著、朝日文芸文庫、1995.01.01
「ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず」塩野七生著、新潮社、1992.07.07
「ローマ人の物語Ⅱ ハンニバル戦記」塩野七生著、新潮社、1993.08.07
「ローマ人の物語Ⅲ 勝者の混迷」塩野七生著、新潮社、1994.08.07
「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサルルビコン以前」塩野七生著、新潮社、1995.09.30
「ローマ人の物語Ⅴ ユリウス・カエサルルビコン以後」塩野七生著、新潮社、1996.03.30
「ローマ人への20の質問」塩野七生著、文春新書、2000.01.20
「ローマの街角から」塩野七生著、新潮社、2000.10.30
(2016年6月17日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
天才カエサルの後を継いだ天才でない人物が、いかにして天才が到達できなかった目標に達したか―人々が見たいと欲する現実を見せるために、見たくない現実を直視しながら、静かに共和政を帝政へ移行させた初代皇帝アウグストゥス。ローマを安定拡大の軌道にのせるため、構造改革を実行し、「ローマによる平和」を実現したアウグストゥスの運命と意志の物語。
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ローマ人の物語は、塩野ファンのみならず、どなたにもお勧めしたいシリーズ。この巻では、カエサル後のローマの繁栄。
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第6巻は紀元前30年、オクタヴィアヌス(アウグスツウス)の皇帝即位から、紀元後14年アウグスツウスの死まで。
「マキャヴェリ 新しい政策を断行しなければならない場合は、人々に考え批判する時間を与えないように次々と行うべきである」
「情報公開 秘密とは、それを所有する者の権力を増す上で、最も有効な手段である」
「アウグスツウスの卓越した手腕 一つ一つは完全に合法でありながら、それらをつなぎ合わせていくと、共和政化では非合法とするしかない、帝政につながっていくからである」
「ローマ街道 ひとつの目的のために完璧につくられたことは、他の目的のためにも役立つという真理」
「価値観さえ共有していれば、妥協は常に可能である」
「平衡感覚とは、中間点に腰をすえることではない、問題の解決により適した一点を探し求めるという、永遠の移動行為」
「ローマ人の家庭には必ず、その家の守護神と先祖たちの「霊」を祭る一画がある。神的なまでの天分に恵まれた生者は死後には星・守り神になる 日本の神々との類似性」
「平和を目指すからこそ常備軍が必要という、方針が確立」
「マキャヴェリ いかなる事業も、それに参加する全員が、内容はそれぞれ違ったとしても、いずれも自分にとって利益になると納得しないかぎり成功できないし、その成功を永続させることもできない」
「税制改革 いかなる事業であろうと、財源の確保なしには存続は望めない」
「一見逆説のようだが、逆説ではなく真実である。文明のどが高ければ高いほど、その民族の制覇は容易になり、低ければ低いほど、その民族の制覇は困難になる」
「長生きすることは、親しい人の死に出会う回数が増えることである。同年代の人が多くなると、人間は老いを、そして自分の死も、深く感ずるようになる」
「人間とは、責任感と自負心を持ったときにもっともよく働く、使う側から言えば駆使できる、生き物である」
「女は愛されていなくても愛するフリをしてくれるだけでも耐えられないこともない」
「ローマの共和制とは、貴族性・寡頭制であり、現代の我々が考える民主政体ではない」
「人間は、自分では忘れたいと思っていることを指摘されると、腹を立てるものなのである」
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オクタヴィアヌスがカエサルの後を継ぎ
アントニウスとの闘いなどを経て初代皇帝アウグストゥスとなったところです。
晩年のエピソードが好きです。
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天才カエサルの後を継いだ天才でない人物が、いかにして天才が到達できなかった目標に達したか―人々が見たいと欲する現実を見せるために、見たくない現実を直視しながら、静かに共和政を帝政へ移行させた初代皇帝アウグストゥス。ローマを安定拡大の軌道にのせるため、構造改革を実行し、「ローマによる平和」を実現したアウグストゥスの運命と意志の物語。
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初代皇帝アウグストゥスがいかにして”皇帝”としての地位を暗黙裡に固めていったか、また、その後皇帝として行った数々の改革を中心に描かれる。
アウグストゥスの巧妙で、バランス感覚に恵まれた施策の進め方に感心するとともに、苦悩、人間臭さも出ていて面白い。
個人管理No. JI20091116-001
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18歳でカエサルに後継者として認められた初代皇帝アウグストゥスの生涯を描く。
まずは、ローマ国内のライバル、アントニウスとその妻であるエジプト女王クレオパトラを葬る。続いてはローマ国周辺を制圧。そして、皇帝へ。
と、ローマの帝国化に成功したアウグストゥスだが、次期皇帝を自身の血縁者にするという最大の目標には失敗。心残りだったのだろう。
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この巻では、アウグストゥスによるローマの改革が描かれました。表面上は共和制に戻したようにみせて、実権は自らの手に残すアウグストゥスがしたたかです。
カエサルほど光り輝く存在ではありませんでしたが、その強い責任感と強い意志には感服しました。
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アウグストゥスの治世。
スキピオ、カエサルのドラマチックな業績に比べるとどうしても後継者、引かれたレールを上手に辿った感は否めない。
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確かにカエサルの人生や業績に比べたら、退屈なくらい地味である。しかし、地味ではあっても確実に手を打っていく姿は、ここまで徹してやられると帰って小気味いい。晩年になって、一番大切にしていたはずの血縁に足を引っ張られるあたりは、神の描いた寓話のようだ。
政治関係の参考書を読んでいるような気分になる本で、ストーリーを楽しむというものではないかもしれない。しかし、現代の日本にも通じる様々な問題に挑む皇帝の姿は、やっぱり参考書ではなく小説のものだ。
2007/3/28
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ローマ人の物語六巻目。塩野七生さんの見識の深さは素晴らしい。まだまだ続く物語。今年中に読み終えることができるかどうか?はなはだ怪しいものがある。じっくり読む作品。