- 販売開始日: 2017/02/17
- 出版社: 太田出版
- ISBN:978-4-7783-1560-3
裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち
著者 上間 陽子
それは、「かわいそう」でも、「たくましい」でもない。この本に登場する女性たちは、それぞれの人生のなかの、わずかな、どうしようもない選択肢のなかから、必死で最善を選んでいる...
裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち
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商品説明
それは、「かわいそう」でも、「たくましい」でもない。この本に登場する女性たちは、それぞれの人生のなかの、わずかな、どうしようもない選択肢のなかから、必死で最善を選んでいる。それは私たち他人にとっては、不利な道を自分で選んでいるようにしか見えないかもしれない。
上間陽子は診断しない。ただ話を聞く。今度は、私たちが上間陽子の話を聞く番だ。この街の、この国の夜は、こんなに暗い。
――岸政彦(社会学者)
沖縄の女性たちが暴力を受け、そこから逃げて、自分の居場所をつくりあげていくまでの記録。
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書店員レビュー
丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2017年3月号より
書標(ほんのしるべ)さん
沖縄で生まれ育った著者による、沖縄の夜の街の女性たちの人生に迫った本書。それぞれ暴力や貧困などの問題を抱えながらも、その中で最善と思える道を彼女たち自ら選び取って前に進んでいく姿が本書のインタビューからは読み取れる。人に寄り添うということがどういうことかについても考えさせられる1冊。
自分の居場所を作り上げた人たちのお話
2018/11/23 17:43
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:miyajima - この投稿者のレビュー一覧を見る
先日読んだ岸正彦の「質的社会調査の方法」で紹介されていた学者の代表的著作ということで読んでみました。
沖縄ではじめた科研費の研究をきっかけに知り合った女性のうち、キャバクラで働いていたり援助交際をしながら生活をしていた10代から20代の女性の生活史。
「裸足で逃げる」というタイトルですが、家族や恋人たちから暴力をうけて生き延びるためにその場所から逃げ出して、自分の居場所を作り上げていくお話ということに由来。
本書に登場するシングルマザー全員がパートナーであり子供の父親である男性との関係を解消した後、慰謝料も教育費も一銭ももらわず、単身で子どもを育てることを強いられていました。スーパーやコンビニよりも時給が高いキャバクラで働くことで生活費を得ていました。沖縄のキャバ嬢たちは「母」でもあったというわけです。
本書について著者は前書きで「調査の記録」とも「物語」ともしていますが、基本的に本書は「物語」だと思います。彼女たちの受けてきた暴力はすさまじいものですが、その通りだと思う一方で、登場人物たちの多くは「自分の居場所を作り上げ」た人たちばかりなので、基本的にハッピーエンディングだったりそれを示唆するものだからです。だから読後感は決して悪いものではありません。
その中で印象に残ったのは沖縄の非行少年の文化。先輩を絶対とみなす「しーじゃー・うっとう(先輩・後輩)」関係の文化。先輩から金品を奪われ暴行を受けても後輩は大人に訴えることはない。そして学年が代わり自分が先輩になると今度は後輩に同じことをする。そして学校の先生も面倒見がいい教師でも体罰をふるっている。つまり暴力が常態化する中で育つ子供たちは、成長すると暴力をふるうことが当然だと思うし、暴力を振るわれた方も愛されているから暴力を振るわれていると思い込もうとするから逃げるのが遅れる、というもの。
それともう一点。DV法は2004年から施行されてはいたものの、配偶者からの暴力に限られていたため、同棲に過ぎない場合には警察に訴えても門前払いをされていたという点。同棲の場合にも対象が広がったのは2014年から。暴力を振るわれて怪我をして乳飲み子を抱えて警察に逃げ込んでやっとシェルターを紹介されたという本書の事例を読むとそれも遅きに失したなという感想。
すべての大人に。
2017/12/13 00:20
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:haruka - この投稿者のレビュー一覧を見る
子どもをとりまく現状を本当に知っている人はわずか。大人になるチャンスを奪われた子どもが子どもを産み育てる。日本中で起こっていることだけれど、目を覆ってみないようにしている大人がたくさんいる。その一人が自分だと気づかされる一冊。著者の上間さんの活動に心から敬意を表したいと思います。
知っている人の横顔を見るような気持ちになった
2022/10/31 15:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:amisha - この投稿者のレビュー一覧を見る
読もうか読むまいか、散々迷った挙句手にとった。
大学教授という肩書きから、論文のようなものを想像していたのだったが、まったく違った。ドキュメンタリー、ノンフィクション、そしてウチナーグチの会話がふんだんに盛り込まれた物語だった。文章が公開されること、多くの人に伝えるためには、おそらく、この様式でないと難しかったのではないか。人生の過酷な局面を当の本人たちは隠したい、忘れたいとおもいつつも、誰かに語ることでしか癒えない部分がある。彼女たちの傷を晒すのではなく、社会課題として受け止め、どう乗り越えていくかを考えてもらうための一冊に仕上げた著者の力量に圧倒される。
格差社会・負のスパイラル
2019/04/24 16:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ごり - この投稿者のレビュー一覧を見る
沖縄での少女たちが、出産、DV,シングルマザー、体調が悪くてもキャバクラ勤めなどで生活をしていかなければないらないなど、苦しい日常から抜け出したくても抜け出せない実情に胸が痛くなった。
今の若い女性の中には、華やかという理由から興味本位でキャバクラにお勤めされる方もいらっしゃるのかもしれませんが、一方では生活のために子供のために働かざる負えない少女たち、男性や大人に傷つけられ裏切られ居場所がなくなっても、心や身体が傷ついても、いつかは幸せな生活をしたいと頑張る少女たちもいる現実。
登場した少女たちが幸せな、今以上の幸せな生活ができることを祈るばかりです。
整理されない言葉=現実に寄り添う
2022/12/06 14:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
沖縄在住の社会学者の著書。暴力にさらされた若い女性たちの聞き取りをまとめたものだが、よくある学者の聞き取り調査や論文といったものとは一線を画している。
著者が学者という専門性を持つひとりの人間として、少女たちと共に生きた時間をそのまま記録したような一冊だ。
暴力にさらされた少女たちは考えや思いを、たぶん上手に言語化できない。それゆえに書かれていることは読みにくいのだが、その分、上手に言葉で飾ってごまかすことのできない現実が浮かび上がっている。
夜の街の衝撃的なリポート
2020/07/12 09:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
美しい海や島のイメージが強い沖縄の、負の一面を取材しています。暴力や搾取に虐げられた女性たちの、支援に乗り出した人たちに僅かな希望を感じました。
ジャッジしない著者、ジャッジしたくなる私
2019/09/12 18:09
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Conviviality - この投稿者のレビュー一覧を見る
低評価レビューがあることに驚き、その文言に更に驚いた。
その方々が「無理」とか「共感できない」と呼んでいるのは、紛れもない現実で、その現実から目を逸らしたくなるのはわかるが、それをもって本書を低評価しているところにショックを受けた。
本書は「裸足で逃げる女の子たち」をジャッジしないばかりか、DV夫や彼氏さえ殆ど裁かない。しかし、前者を後者から護るための手助けは厭わない。
なんでこうなるんだろう、とか、こうすればいい、とか、随分安易な「アドバイス」したくなったとしたら、安全地帯にいる評論家に過ぎないことを自覚した方がいいかもしれない。私は、少なくともそう忠告されたような気さえしたのだ。