トオリヌケ キンシ
著者 加納朋子
人生の途中、はからずも厄介ごとを抱えることになった人々。でも、「たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても。根気よく探せば、どこかへ抜け道があったりする。」(「トオリヌケ ...
トオリヌケ キンシ
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商品説明
人生の途中、はからずも厄介ごとを抱えることになった人々。
でも、「たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても。根気よく探せば、どこかへ抜け道があったりする。」(「トオリヌケ キンシ」より)
他人にはなかなかわかってもらえない困難に直面した人々にも、思いもよらぬ奇跡が起きる時がある――。
短編の名手・加納朋子が贈る六つの物語。
(収録作品)
・高校に入ってから不登校・引きこもりになってしまったある少年。ある日彼の家に、一人の少女がやってきた。少女はかつて少年に助けてもらってもらったことがあるという――。『トオリヌケ キンシ』
・「ある形」を見つけてしまう能力以外はごくごく平凡な女子高生。そのふしぎな力を生物の先生は「共感覚」と分析した……。『平穏で平凡で、幸運な人生』
・やさしかった母がある日豹変、家の中でいじめられるようになってしまったタクミ。つらい日々の救いは、イマジナリーフレンド(想像のお友達)の存在だった。『空蝉』
・人の顔が識別できない――「相貌失認」の「僕」は、高校入学を機にそのことをカミングアウトする。あろうことかその後「僕」はある女の子から「好きです」と告白される。不思議な始まりの恋の行方は? 『フー・アー・ユー』
・長く連れ添った夫人を突然に亡くし、気落ちする亀井のおじいちゃん。家の中でひとりのはずが、ある日「座敷童がいる」と言い出した!『座敷童と兎と亀と』
・前日に高熱を出して受験に失敗した「俺」は、ある場所に引きこもり、自分でコントロール可能な「明晰夢」を見る日々を過ごしている。そんな中で出会った女の子「ミナノ」、彼女は夢だったのか、それとも?『この出口の無い、閉ざされた部屋で』
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これぞ、加納朋子!、といえる作品集。
2017/06/14 03:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
6編入りの短編集。
冒頭の『トオリヌケ キンシ』に、油断して泣いた。
連作短編ではないが、最後の話で他のエピソードの登場人物が出てくる(明確にわかる人と、もしかしてそうかな?のレベルと)おまけつき。
『トオリヌケ キンシ』・『平穏で平凡で、幸運な人生』・『空蝉』はほぼ同じ構成。
幼き(若き)日のエピソードから始まり、その後成長した主人公たちがあの日々の記憶によって救われる。 誰もわかってくれないという苦しみを抱えつつ、自分の思い込みが自分の首を絞めているということにも気付かないほど痛めつけられた過去を持つ人たちに、さりげなく訪れる救い。 これまたつい泣いた。
時間軸の移動はそんなにないが、残り3編『フー・アー・ユー?』・『座敷童と兎と亀と』・『この出口の無い、閉ざされた部屋で』も、いろんな事情で「他の人には理解してもらえない」ことを抱えている人々の物語。 そこで自棄になるのも若さ故だし、ついお節介したくなるのは年長者の証かな。
全体的に、加納朋子節が全開!
『この出口の無い、閉ざされた世界で』は冒頭、非常に吉野朔美的でどぎまぎしてしまったけれど、中身はどの作品以上に加納朋子だった。
私は『トオリヌケ キンシ』と『空蝉』が特に印象深いかも。 泣いたから、というだけではなくて、後味のよくない内容を取り上げておきながらそれでもやっぱり読後感はよろしいから(その点、若竹七海と真逆なのだが、私はどちらも好きである)。
もともと多作な人ではないが、結婚して子供を産んでから作品の発表ペースは落ち、病気してから更に落ち、回復に伴いちょっとずつ発表ペースが上がってきたのは大変よろこばしい。 でも、「病気した人だから」という目で見られるのは作家としては好ましくないだろう。
けれど、この作品群は<病気した人だからこそ書ける>内容なのもまた事実で。
なんとなく、複雑。
愛しい哀しいうれしい物語たち
2018/05/20 09:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
脳腫瘍、共感覚、相貌失認、醜形恐怖症、場面緘黙、反側空間無視、無菌病棟、無菌室……漢字を並べると医療関係の言葉って、なんておどろおどろしいのだろう。
無菌病棟から生還した加納朋子の『トオリヌケキンシ』は、そんな言葉にまつわる短篇集。
でも、こわい暗い話でなく、。
ファンタジーに終わらず、日常ミステリーで謎は解ける。
犯人はいないミステリー。
加納朋子らしく、それぞれの短篇がちょびっとリンクしてるのも楽しい。
小学生でも、読書になれていたら読めます。おすすめです。
様々なこころの事象をミステリー風に描く
2024/01/23 15:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とりまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
場面緘黙、醜形恐怖など様々な心にまつわる事象をミステリー風に描いている短編集。
最後のお話はうっかり結末を読んでしまい、暗そうだったので読むのをやめようかと思ったのですが、主人公の夢の中にそれまでの短編の登場人物が出てきたのでそこは良かったです。
一番好きだった短編は共感覚の女子高生のお話。旦那さん、実はきっとそうだよね?と願ってたのでタネ明かしにホッとしました。奥さんになった彼女の口調がいかにも「奥様」って感じで、そこは昔ふうの表現だなと思いましたが。
最後のお話はしんどかったけれど、加納朋子さんの描く文章はいつも優しいです。
再会しました
2017/09/28 09:57
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投稿者:ヤマキヨ - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み進みながら、デジャビュというか、妙な既読感。表題作は以前、NHKのラジオ文芸館で放送されていました。本書を読み始めるまで、そのことをすっかり忘れていました。放送は仕事中に聞き流していたのですが、今回はすっかりはまってしまいました。
書き出しは次のようになっています。
トオリヌケキンシ
その札を見るたびに、思っていた。
そうか、ここからどこかに通り抜けられるんだ、と。
通り抜けられるはずなのに、ぜんぜん出口が見えてこない。
出口は自分で見つけるのか、誰かがみちびいてくれるのか。
いろんな病
2022/04/11 13:51
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
世の中にはいろんな病があるもので。
理解される状況があればいいけれど。
実際はどうなんだろうな。
生きやすい世の中だといいね。
短編集
2019/08/03 22:34
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主に症状あるいは病気がモチーフとなった6つの作品からなる短編集。加納朋子さんの作品が好きなので読んでみましたが、残念ながら正直あまり楽しめませんでした。他の本をオススメします。