成長神話の終わり
2017/10/14 12:15
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投稿者:ぴー - この投稿者のレビュー一覧を見る
海外進出によって利益が得られる時代は終わり、自分の利益を確保する守りの時代に入っている。限られたパイの争奪戦より分かち合うことが大切だと思い知らされた。
資本主義は終わった今後の生き方を示唆
2019/05/21 00:06
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投稿者:在外邦人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
資本主義は「ゼロ金利、ゼロ成長、フロンティア無き時代」になって既に終
焉している、という新たな基本認識を教えられた。富を簒奪するフロンティ
アが無くなった為に、世界中で格差社会が出現し、過労死ラインの労働を強
いられる傾向が世界各地で出現している所以なのだと。グローバリゼーショ
ンの化けの皮も?されたからには、気付いた者から「より近く、よりゆっく
り、より寛容に」を基本とする持続可能な生活を実践せよ、というお説だ。
金、金、金の呪縛から解放され、ミニマリストを志向して心豊かな生活に切
り替える生き方が賢明のようだ。世界経済の現状認識を示され、深く納得し
た。ビッグモダンとは距離を置いて、詫び寂び一寸便利モードで暮らそうと
思う。世界に先駆けて新時代に突入している日本人とって、これからの生き
方について示唆に富む必読の書と思う次第。
資本主義にとってかわる新しい経済システムの中で生き抜けるのか!
2017/11/25 08:46
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、これまで世界市場を支配してきた資本主義体制の終焉によって、世界の経済システムが根本的に変わろうとしていること、そして、その新しいしてステムでは閉じた経済圏を確立した帝国だけが生き残れること、といった非常に過酷な将来を描いた作品です。欧米、中国、ロシア、そして我が国はその中で生き残れるのか、本書は、そうした将来に生き残れる道を模索しています。
現状認識と未来への希望が持てる
2017/11/15 12:43
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投稿者:魚太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゼロ金利という現実は、資本主義の終焉を意味する。資本主義の終焉は、民主主義の機能不全に帰結する。これは100年単位で歴史を俯瞰してこそ見えてくる、近代システムの終わり、限界である。著者は現在を「近代の秋」と表現している。この先どうなるのか、100年後の未来の姿はまだ見えないが、現代のわれわれはどの方向を向くべきかを選択することはできると著者は言う。そこに読者はようやく希望を見いだせるのである。「閉じてゆく」ことは不可避、不可欠。成長を追い求める時代は終焉した。「地域帝国」と「地域政府」の二層構造が望ましいと著者は言う。「閉じた帝国」と「定常経済圏」への方向性である。もちろん、いま生きている世代がその実現を見ることはないかもしれないけれど、その方向を見定めて生き続けることが、我々の希望でもあり次の世代へ引き継ぐ希望でもある。
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
膨らむだけ膨らんで、限界にきた資本主義が、遂に本性を現し、民主主義に牙をむいて襲いかかっているというのが現状のようです。
今後一体何が起きるのか。水野氏は、今後、世界は閉じていくしかないだろうと予想。つまり、一定の経済圏で自給体制をつくり、その外に富や財が出ていかないようにする。「閉じた経済圏(閉じた帝国)」で市場経済を再構築するという、いわば中世の復活です。世界規模で地産地消を目指すということでしょうか。水野氏はEU帝国をその実験台として評価していますが、成長に取り憑かれた人類が中世を選択するでしょうか。
ところで、資本主義が限界まできた証左として、ゼロ金利の常態化があげられています。つまり、資本を投下しても利潤を獲得できないわけです。これこそが資本主義の終焉であって、本書によると利子率が2%を下回る状態が10年以上続くと、それまでの経済・社会システムを維持できないというのが経験則のようです。
日本は、この状態が何と20年も続いています。水野氏が主張するとおり、2%の状態にするために無謀な政策を繰り出すよりも、これが何を意味しているのかを熟考するべきでしょう。しかし、黒田総裁と安倍コンビでは絶望的です。
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前作を受けて、「長い21世紀」の果てに、世界はどうなるのか、といった問題について、著者の展望が述べられている。それは十分に説得力のあるものだ。ヨーロッパはやはり底力がすごい。米国追随一辺倒のこの国に未来はあるのか?あきらめないことが大事と著者はいう。
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2019/06/14:
600年続いた、西欧の資本の蒐集による資本主義は、未開拓の地がなくなったことで、限界に達した。
アメリカが電子空間を新たな未開の地としたが、一時的な者だった。
これからは、再び帝国の時代に、それも「閉じた帝国」の中で、資本の拡張を前提としない「定常経済圏」による社会がうまれる。
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という内容。以前民主党が政権をとっていたとき、仙石さんのブレーンとして内閣官房の内閣審議官をやっていた人。
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海の帝国の時代から、再び、陸の帝国の中国やロシアが勃興し始めたとも書いている。日本の向かう「閉じた帝国」は、どこって考え始めると、それは中国じゃない、アメリカは没落するので、もしかして、ロシアとかインドとか??とか、考えると、閉じた帝国ってのも、なかなか難しいと思う。
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次々に著書を著していく水野和夫の近著。「より遠く、より速く、より合理的に」という近代の理念と「より多く」という資本主義の時代は終わったという前著に続いて、「より近く、よりゆっくり、より寛容に」というスローガンを掲げてポスト近代を手探りでも俯瞰しようとする意欲作。
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凄い本であると絶賛するしかない。かつて著者の「100年デフレ」や「君はグローバリーゼーションの真実を見たか」「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」を読んだ時にはあまりの壮大な視座に頭が追いつかなかった。
しかし本書でやっと著者の言いたいことが理解できた。背筋に戦慄が走る思いを持ったが、しかし「そうなのだろうか?」。
ここまで本書に引き込まれる理由ははっきりしている。リアルな世界では物価が上がらない、実質賃金も上がらない、潜在成長率も上がらない、どうやらアベノミクスは失敗に終わりそう。しかし経済学者やエコノミストの主張はバラバラである。
その点本書の主張は明快である「資本主義は終わった」のだと。確かに著者の主張を受け入れれば現状を矛盾なく説明できる。しかし証明できるのは相当未来になりそうである。
折しも今朝トランプ大統領がパリ協定離脱を表明した。「閉じてゆく帝国」である。やはり本書の視座は正しいのか!
2017年6月読了。
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面白い。筆者の圧倒的な説得力はバックあるデータに裏打ちされているのだろう。しかし新書ではその全てを論理的に説明する分量がないために、一部論理が飛躍している部分があるように思えた。しかしこれは新書の限界であろう、続きはハードカバーで落ち着いて読み解くべき内容だろう。
気になった点、感じた事。
考察では日本の輸出について話をしているが現状の日本企業では輸出だけではなく海外に生産拠点を置くことでそこからの配当受け取ると言うことを本書では考慮していないのではないか。
実質賃金が下がり続けている中で、企業利益は高まり内部留保は最高となっている。ネット上ではいわゆるウヨクと呼ばれる連中が日本企業のモノを買うべきと説いているが、現在の日本企業に儲けさせたところで技術の発展は望めず、国民を安く買い叩いている状況は変わらないだろう。国民は日本に根ざした労働環境の改善に声を挙げるべきだと強く認識した。
金融資産を持たない世帯が急増。
1987年は3.3%だったのが2016年には30.9%になったとの事。これはいくらなんでも信じられない。社会には昔から一定層は貧困層がいるがそこまで低かったはずがないと思う。
本書によれば私は技術発展信者?なので、コンビニの利潤がこれ以上高まらないという話には懐疑的だ。そもそも小売業界の人間でもない筆者にビジネスモデルの細かい点にまで突っ込むのは悪手だと思われる。業界のことを知らない一般人が見通せている未来などしれているのだから。今現在の技術水準で上り詰めたと思っているのが間違い、iPhoneが出るまで(出てからも)現在のスマホの普及状況を読み通せていたのならば億万長者だろう。
同様にその他の点においても筆者には伝えたい内容を分かりやすくする為に一般的なコンビニ、軽自動車等を用いているが、その際の書き方は精神世界を説いているようなもので読者には伝わらない。もしくはミスリードしていると感じる。
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衝撃を受けた本でした、この本の著者である水野氏が「資本主義の終焉」を書かれたときにも感じましたが、この本では更に踏み込んだ内容が書かれています。
今から40年ほど前に「ノストラダムスの大予言」という本が流行りまして、その中で今でも明確に残っている内容は「共産主義はなくなるだろう、資本主義はなくならねばならない」というものでした。
丁度、ソ連が崩壊してアメリカを中心とする資本主義が勝ったような状況だったので、当時は信じられませんでしたが、国債の金利がゼロ近くやマイナスになることは、投資をすることに魅力がなくなる、いわば中世のような時代が来る、という水野氏による説明で、私の中で繋がりました。
また、現在アメリカでシェールオイルを中心にエネルギー不安がなくなるのでは、と個人的に思っておりましたが、エネルギー収支比で考えると、シェールオイルは「2」である(消費可能なエネルギー割合が50%程度、通常原油は「30」で90%以上使用可能)エネルギー収支比は年を追うごとに下がっている(p223)図が衝撃的でした。やはりエネルギー危機の時代なのかもしれません。
更にこの本では、スペイン・ポルトガルがなぜ栄えたのかとずっと疑問に思っていたことが解消された(それ以前に栄えていた、イタリア・ジェノバの投資)かが分かり、良かったです。このお陰で、その後に、オランダ・イギリスが栄えたことも分かりました(彼らが投資先を変えた)
経済に関する世界史の勉強も一緒にできて嬉しかったです。最後に日本はどうすべきかという提言で面白い内容(EUへの申請をし続ける)がありましたが、私は「日英同盟復活」もしくは「日米英同盟」というもの面白いなと思いました。
以下は気になったポイントです。
・大きな歴史の見取り図をもとに言えば、13世紀初頭に始まった資本主義が最終局面を迎えている、投資をしても利潤を得ることが極めて困難なので、利潤が得られるのであればなりふり構わない「蒐集(しゅうしゅう)」を行うようになった、これがグローバリゼーションの正体である(p4)
・資本主義の終焉という歴史の危機を乗り越えるために必要なシステムは、結論を言うと、このあと世界が100年かけて移行していく「閉じた帝国」が複数並び立つ世界システム(p16)
・これまで5000年の金利の歴史において、2.0%という水準を複数年にわたった切ったこと(資本を投下しても利潤が獲得できない)は過去に一度、中世から近代への移行期である、1611-1612年のイタリアのジェノバのみ、実物投資空間から資本が蒐集できなくなったことを意味する(p17、19)
・長い16世紀に起きた大転換とは、陸の中世封建システムから、海の近代世界システムという変化、陸で囲まれた地中海という閉じた経済から、七つの海でつながった無限の経済圏で資本を蒐集するようになった(p19)
・オイルショック(1973)までは、交易条件が1を超えていて(仕入れが売り上げの比率)先進国が有利、それ以降は資源国が有利となった(p31)
・富の追求という経済的側面から��れば、中世と近代の間に断絶はない、中世と近代を分けて考えると資本主義の本質を見誤る(p34)
・15世紀末の「印刷革命」が、地中海世界と北部欧州を結合(これによりオランダの長期金利は6.3%に上昇)、19世紀の「動力革命」が欧州と新大陸(南北アメリカ)を結合、20世紀末の「IT革命」で全地球を結合した、現在の第四次産業革命は、工場をインターネットでつなげるIoT、ビックデータ活用、AIの活用である(p59、73)
・金利の下限をなくす最も簡単な方法は、現金を廃止、電子マネーに切り替えること、マイナス金利により中央銀行が徴税権を手に入れ、民主主義の破壊となる(p83、88)
・最低金利国は、イタリア→オランダ→イギリス→アメリカ→日本、と変遷してきた。これは高い利潤を上げることのできないくらい成熟した経済に到達していることを占める(p107)
・16世紀のスペイン皇帝は何度も借金不払い宣言をして債務を逃れてきたが、イギリスは1688年の名誉革命で国債を発行して資金調達をした。国家債務の信用力は、国家のモノの生産力であった、イギリスは、東インド会社・南海会社・イングランド銀行を設立して信用を高めた(p113、114)
・1991年のバブル崩壊は、際限のない生産力増強は国家の信用を崩壊させるとわかった点で、1559年のカトー・カンブレジ条約と同じ位置づけ(p115)
・2016年10月に、習主席は「核心」の称号を得て権威を高めた、これを得たのは、毛沢東・鄧小平・江沢民だけ(p121)
・真っ先に大海原に出たのは、地中海世界という閉じた世界で利潤を得られなくなった、スペイン・ポルトガル、それを経済的に支援したイタリア。しかし海を渡った先の陸で、陸の国としての古い統治方法をつづけた、オランダ・イギリス新しいルールを自国に有利になるようにつくりあげた(p123)
・世界経済は次のうちの1つしか選べない、1)ハイパーグローバリゼーション+国家主義(新自由主義)、2)ハイパーグローバリゼーション+民主主義(世界政府)、3)国家主権+民主主義(国民主権国家システム)、これらはいずれも資本主義の終焉という危機に対処できない。現代の危機は、西ローマ帝国の崩壊に近い(p133、139)
・ゼロ金利であった日本とドイツの21世紀の将来像は全く異なる、アメリカの金融・資本帝国とどう向き合うか、その姿勢の違いがあったので(p145)
・1ドル360円で為替が固定されるとともに、金1オンス35ドルと交換比率が決められた(p146)
・アメリカはドルの一層の下落を防ぐべく、日本と欧州(ドイツ)に利上げ回避を要請した、これが1987年のルーブル合意、それにたいして日本は利上げできなかったのでバブルが加速した、ドイツは1987年9月に利上げした(p149、150)
・実物経済で成長が見込まれないと、過剰マネーは、土地・株式に流れ込む(p167)
・中世システムにおいて、資本主義は周辺に位置づけられていた、資本家=高利貸し(商人)であった。中世社会の中心は、キリスト教関係者と封建貴族で、周辺に農民がいた。その周辺に、高利貸し・娼婦・宿屋、がいた(p1���7)
・教会は商業目的の会社には法人格を与えず、商人が資本を蓄積することを認めなかった、1代限りのパートナーシップ(組合)だけを認めた。高利貸しが築いた富は相続の段階で、教会・貴族が没収した(p177)
・主権国家とは、血みどろの宗教戦争を棚上げするための試みであった(1648:ウェストファリア条約)都市国家では小さすぎるし、神聖ローマ帝国では大きすぎるので、主権国家が誕生し、国境が画定した(p180)
・コペルニクス革命のポイントは、1)特権的な地球を、金星・木星と等価なものとした、宇宙は均質な空間となった、2)宇宙は閉じた空間ではなく、無限空間である、こうした宇宙観の転換は、政治・経済システムに大きな影響を与えた。さらに1世紀遅れて、ニュートンが時間も無限であると証明した、これが会社や貨幣の在り方を変えた。1602年にオランダ東インド会社が法人格を取得し永遠の生命を獲得した(p184、186、187)
・1609年にはアムステルダム銀行設立、最初の預金を受け入れて、信用創造が可能。1661年には、ストックホルム銀行が世界最初の銀行券(紙幣)を発行し、金・銀にとってかわった。無限にマネー供給ができる体制となった(p188)
・中世的な宇宙観(コスモス)の崩壊とは、1)地球は一惑星に過ぎない、複数の主権国家が存在する、2)万有引力の法則、主権国家がそれぞれ作用しあってシステムを形成、3)ケプラーの法則、それぞれの主権国家により共通の規則制度が承認される(p189)
・ペルー鉱山から持ち出された銀の量は、13兆ポンド=1800兆円=現在の日本の個人金融資産と同等、これが略奪(p191)
・EU帝国に、中国・ロシアを加えれば、ユーラシア大陸に、3つの閉じた「陸の帝国」が出現しようとしている、海の国は、北米とイギリス、日本は「陸の国」の内海化に位置する(p200、213)
・1930年代は、エネルギー収支比は「100=獲得したエネルギーのうち1単位を次の採掘のために確保しておけば残り99は自由に使える」、1970年代に「30」に低下した、大規模油田が二次回収(自噴でなくなる)となった、それば今では、10程度(p224)
・シェールオイルは、採掘コストが高いのは問題であるが、さらに深刻なのは、エネルギー収支比が「2」に近いこと(p227)
・イタリアは、マキャベリの提言を受けず、またコペルニクス革命の本質を見誤り、都市国家から国民国家へ転換するのを忌避したので、オランダとイギリスに主役の座を奪われた、30年戦争が始まった1621年ころに、投資家たちは、ジェノバ国債・スペイン皇帝がオランダ領で発行した国債を売却して、オランダ東インド会社の株式を購入、つまり投資先を、ジェノバ・スペインからオランダへ乗り換えた(p230)
・ケインズのいう、人間の生き方とは、「人生の目的として、人間交流の楽しみ=愛、美しきものに接する=美、ケンブリッジ知性主義=真を求める」である(p252)
2017年6月24日作成
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もはや、資本主義は終わった
『近代』とは経済的にみれば『成長』と同義語であり、資本主義は成長をもっとも効率的に行うシステム。『中心』たる欧米諸国は『周辺』(フロンティア)を広げることによって利潤率を高め、資本を増殖させてきた。そのためにグローバリゼーションを叫び、規制緩和をさせ、ひたすら『蒐集(しゅうしゅう)』に励んできた。ところが、もはや地理的な“周辺”はなくなりつつあり、かつては安く入手できたエネルギー(石油など)も高騰し、システムの限界がはっきりと見えてきている。
--地理的な「周辺」がなくなったために、アメリカは「電子・金融空間」に利潤のチャンスを見つけた
『電子・金融空間』とはITと金融自由化が結合して作られる。アメリカは世界中の余剰マネーをウォール街に呼び込み、途方もない利潤を生み出しました。だが、これも2008年のリーマン・ショックで崩壊しました。しかも『国民国家』の主体たる中間層を豊かにしたわけではなく、富を集中させ格差を拡大させた。世界的な『低金利』は、もはや投資先がない、投資しても利益が上がらないことを示している。
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■成長が真であるへの疑問
■モノで既に満たされている
■国家が恐怖を自作自演
■過剰サービス・費用対効果
■より近く、よりゆっくり、より寛容に
■主権国家システム
■地域帝国化
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コンビニ 日本全国で5.5万 一店舗当たり962世帯
7-11 一日平均客数 1057 (2016/2)
これ以上増やすと既存店の顧客を食い合う
最低金利国 オランダ、イギリス、アメリカ、日本
利子率は、実物経済で利潤率と近似値を示すため、いくら追加の資本を投下しても、高い利潤を挙げることのできないくらい成熟した経済に到達していることを示しています。つまり、世界一の低金利国とは、ある特定の世界システムにおいてもっとも成功した経済大国なのです
ジェノバで11年続いた超低金利は中世の帝国システムを解体し、近代主権国家システムを準備するほどの大きな革命的な変化をもたらした
オランダ、イギリス、アメリカでおきた低金利の交代は、覇権国の交代にすぎない
チャイナショック 日本同様のプロセスをたどるはず。数年かかって徐々に経済への影響が明らかになり、処理が終わるまでに、10年以上の長い期間を要するでしょう
中国 人民元をアジアの基軸通貨にしようとしている 現代の中華帝国
しかし、もはや中国の生産力を吸収できるフロンティアは一帯一路にのなかには残されていない
1997 日本のデフレ始まる 4半世紀を経て中国がデフレに転じてもまったく不思議ではない
近代化の最後の国、中国がデフレになるとき、資本主義はその最終局面にはいることになる
中国は13億総中流を実現する前に、近代=成長の時代が終わってしまうという最悪の事態を迎える可能性が高いのです。
エネルギー収支比 一単位のエネルギー豆乳で何単位のエネルギーを獲得できるか
1930年代 原油 100 1970 30 2000 11まで下がる
2単位にまで低下すると、エネルギーの採掘が止まり、化石燃料に前面依存した近代社会がおわる
1単位のエネルギーを投入して、2単位のエネルギーしか得られないのであれば、次の採掘用に1単位確保した後になにものこらない
近い将来、原油は値段の問題ではなく、採掘が持続可能かどうかの問題に転化することになるでしょう。
シェールオイル 採掘の費用が高い エネルギー収支比が2
近代資本主義の理念である、「より遠く、より速く、より合理的に」を実現するには、エネルギーが不可欠です。しかし化石燃料に頼ることが出来ないのですから、近代資本主義が成立するはずがありません。
定常状態実現のための3つのハードル
ゼロ金利だけでは不十分。財政均衡が必要
エネルギー問題 太陽光パネルと蓄電池(自動車)
地方政府を視野に入れが地方分権
より近く、よりゆっくり、より寛容に
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閉じてゆく帝国、定常状態を目指す、そうしたコンセプトには強く共感する。
そして、読みながら頭に浮かんだのは、梅棹忠夫の文明の生態史観に描かれた4つの帝国である。
そして、日本はその帝国のいずれにも属さない。
4つの帝国が陸の帝国であり、日本は海の国である。
では、海の国日本は誰と手を組んで閉じた帝国を作れば良いのだろうか。
それは、決して中国ではない。
日本はAIIBに参加する必要はない。中国の過剰な生産力を吐き出し、フロンティアの限界を数年先延ばしにするだけの麻薬のようなものにすぎないからである。
相手の一つとして考えられるのは、本書の中でも指摘されるEUである。筆者も断るように日本のEU参加は荒唐無稽に思われるかもしれないが、共に資本主義の限界に真っ先に突き当たる国同士が未来思考で連携することは不可能ではないかもしれない。
一方、私が最有力と考える相手は、梅棹忠夫と川勝平太の対談の書で梅棹も主張していた、経度の近い国との縦の連合、すなわちオーストラリアやインドネシアなど太平洋の海の国との連合である。
こうした観点から、いま日本が進んでいるEUとのEPA、環太平洋諸国(陸の国も含むが…)とのTPPは方向性として誤っていないと感じている。
とはいえ、これらの政策を進めたとしても、最重要の課題であるエネルギー問題や安全保障の問題が解決される訳ではない。中東依存のエネルギー問題、アメリカ依存の安全保障問題、この2つの解決なしに日本が閉じた帝国を形成することは出来ない。
引き続き、この2つの問題にいかに対処すべきか、しっかりと学び、考えていきたい。