戦国大名と分国法
著者 清水克行著
血で血を洗う戦国乱世,華々しく天下を目指した大名たち,のはずが!? 厄介な隣国,勝手な家臣,喧嘩に盗みに所有地争い,会議の席順や落とし物まで,この世はもめごとの種ばかり....
戦国大名と分国法
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商品説明
血で血を洗う戦国乱世,華々しく天下を目指した大名たち,のはずが!? 厄介な隣国,勝手な家臣,喧嘩に盗みに所有地争い,会議の席順や落とし物まで,この世はもめごとの種ばかり.新たな社会のルール作りに懸命に挑んだ大名たちを待ち受けていた運命とは──.悩める大名の素顔を語る,かくも雄弁な〈法〉の面白さ!
目次
- 目 次
- はじめに──分国法の世界へ
- 分国法への招待/大名はつらいよ/分国法の基礎知識
- 第一章 結城政勝と「結城氏新法度」─大名と家臣たち─
- 乱世の子/ 「新法度」制定の背景/奇妙な法律/羅列された条文/法の未熟さ/ゴリ押しする家臣たち/炎上する喧嘩/戦場のカオス/家臣への諮問/家臣と大名の合意/ 「古法」の吸収/大名への忠節/政勝のいらだち/その後の結城家
- 第二章 伊達稙宗と「塵芥集」─自力救済と当事者主義─
- “独眼竜”の曽祖父/ 「塵芥集」と「御成敗式目」/連想と借用/たった一人の戦い/誤訳と直訳/ 「塵芥集」の個性/復讐と法律/ 「生口」を探せ/冤罪の晴らし方/生口捕縛の修羅場/落とし物のゆくえ/ 「万民を育むため」/稙宗の有頂天/伊達天文の乱/稙宗の夢のあと
- 第三章 六角承禎・義治と「六角氏式目」─戦国大名の存在理由─
- 石垣と楽市の先進性/先進地域の分国法/異形の分国法/大名を縛る法/父子二重権力/日本版マグナ・カルタ/ 「徳政」としての分国法/抵抗する民衆/手ごわい村々/自力救済から裁判へ/訴訟手続き法/戦国大名の存在理由
- 第四章 今川氏親・義元と「今川かな目録」─分国法の最高傑作─
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戦後歴史学に再考を促す野心作
2018/08/01 16:50
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:K2 - この投稿者のレビュー一覧を見る
結城・伊達・六角・今川・武田各家の分国法を素材に、戦国大名について考える。文章は軽妙でいて内容は深い。分国法を残した上記諸家と、残さなかった大名との対比とその評価には驚いた。終章には、戦後歴史学の成果に再考を促す記述もある野心作。
初めて知ったことばかり
2018/11/20 19:53
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:玉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なるほどねぇ。こういうことだったのか!
こういう本を、ぜひ、先生方に読んでもらいたいですね。
中学校や高校の先生には特に。
戦国時代のイメージを変えますし、
分国法の教え方、重要性が変わるでしょうね。
納得したことがらが多いです。
いわゆる戦国時代や戦国大名がお好きな方は、
かたすかしをくうかも?
目から鱗
2018/11/01 20:31
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しゅんじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『戦国法の読み方』が非常に面白かったし、清水さんの著作なので期待して読んだが、満足。トノサマの愚痴やため息が伝わってくるような結城氏の法度や「塵介集」の読み方も面白いが、「先進的だからといって時代状況に合っているとは限らない」というのは卓見。「勝者になった大名たちに分国法は少ない」というのは言われてみればその通り。「先進的だから」法の支配を進めたのではなく、「内部に問題を抱えていたから」分国法のようなものに頼らざるを得なかった、というのは目ウロコだなあ。
地域法
2018/10/17 06:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
分国法の実態がわかって非常に興味深い。領主の赤裸々な文言が使われていたり必ずしも法治国家とは言えずうまく機能していなかったのも理解できる。原文も読みたくなるほどに興味がそそられる。
戦国大名と分国法
2021/08/12 15:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
発売後大変話題になった新書だが、3年近くたって読んだ。清水克行先生の本ということで、きっと面白くて読みやすいんだろうな、と思っていたらやっぱりそうだった。
分国法は大名たちが「国」の中で適用するために定めた法律で、中には家訓といったほうがいいものがあったり、系統立てられず漫然と書かれた物があったり、定めたはいいけど実際には使われなかったり、家臣を締め付ける事で反感を買ったり、逆に大名が勝手な事をしないように家臣が作った物など、御家事情のようなものが反映されていてとても面白い。
分国法は大名による一元的な統治を推し進めるため、という近世的な価値を持っているが、これを定めた大名の多くが衰退したり滅んだりしたというのは意外だった。渦中が治まらないから、分国法に頼らざるを得ない、という視点は卓見。