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  • カテゴリ:一般
  • 販売開始日: 2020/03/10
  • 出版社: 文藝春秋
  • レーベル: 文春文庫
  • ISBN:978-4-16-791452-3
一般書

夜の谷を行く

著者 桐野夏生

女たちが夢見た「革命」とは?連合赤軍事件をめぐるもう一つの真実に光をあてた傑作長篇。山岳ベースで行われた連合赤軍の「総括」と称する凄惨なリンチにより、十二人の仲間が次々に...

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夜の谷を行く

税込 730 6pt

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商品説明

女たちが夢見た「革命」とは?
連合赤軍事件をめぐるもう一つの真実に光をあてた傑作長篇。

山岳ベースで行われた連合赤軍の「総括」と称する凄惨なリンチにより、十二人の仲間が次々に死んだ。
アジトから逃げ出し、警察に逮捕されたメンバーの西田啓子は五年間の服役を終え、人目を忍んで慎ましく暮らしていた。
しかし、ある日突然、元同志の熊谷から連絡が入り、決別したはずの過去に直面させられる。

解説・大谷恭子


※この電子書籍は2017年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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みんなのレビュー47件

みんなの評価4.1

評価内訳

連合赤軍事件とは何だったのか

2022/07/08 16:09

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る

「総括」と称する凄惨なリンチで、12人の仲間をリンチでなぶり殺しにした連合赤軍事件。それから半世紀。これまでほとんど光が当たらなかった(興味本位でしか語られなかった)「女性兵士」と呼ばれた人たちに迫った本作を、あらためて文庫版で読んだ。

あくまでフィクションで、主人公の元「女性兵士」西田啓子は架空の人物だが、題材の連合赤軍事件の流れや、永田洋子ら事件に関する人物は、実在の通りだ。
リンチ殺人の山岳ベースから脱走し、逮捕され、服役した西田啓子は、事件後、家族ともほぼ絶縁状態になり、ひっそりと一人で暮らしている。
そんな静かな日常が、永田洋子の死や東日本大震災で、少しずつ揺らいでいく…

革命の名の下に、世の中を良くしようとしたはずの女たち。何がどうなって、リンチ殺人に至ったのか。どんな力や意思が働いたのか。一審の判決文で「女性特有の執拗さ、底意地の悪さ」と書かれたリンチ事件を、社会はちゃんと総括(検証)したのか。
桐野夏生さんが圧巻の筆で、陽の当たらない(無視されてきた)女性たちの真実に迫り、核心をあぶり出していく。

あまりの凄惨さに、自分とはまったく関係ない過激な人たちの話だと線引きをしてタブーにしたり蓋をしたりしてしまいがちな事件を、ぐっと現代の読者のそばに引き寄せるのはフィクションならではの力だろう。世間の興味本位や、社会のジェンダー観によって、不可視化されたものは何か。関係者の沈黙の背後に何があるのか。考えさせられた。
さらに、桐野夏生作品の素晴らしさは、それがエンタメ作品として昇華されているところ。
主人公とジャーナリストが対峙する最終場面の展開には震えた。一回目よりも二回目読んだときの方が、予備知識も多いせいか、感動した。

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小説とはこんなにすごいものなのか

2023/02/08 15:53

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

東日本大震災が起こった2011年、
 その大きな災害のおよそ一か月前の2月5日に、
 ひとりの女性が獄中で亡くなった。
 彼女の名は永田洋子(ひろこ)。
 連合赤軍のリーダーの一人で、1971年から72年にわたっての仲間へのリンチ殺人の罪で
 死刑判決が出ていたが、刑の執行ではなく、病気で亡くなっている。
 65歳だった。
 それから、3年後の2014年11月から2016年3月まで、
 雑誌「文藝春秋」に連載されたのが、
 桐野夏生の『夜の谷を行く』だった。

 この長編小説の主人公は
 永田たちが引き起こしたリンチ殺人の現場から逃げ出した
 元活動家の女性西田啓子。
 当時警察に逮捕され、彼女は5年間の服役を終え、
 その後は人目を避けるように暮らしている。
 そんな彼女が永田の死のニュースから
 まるで暗い裂け目をのぞくように当時のことと向き合うことになる。
 服役後、唯一交流していた妹とその娘だが、
 啓子の過去の事件を知ることで激しくののしられる。
 それは、そのあとに起こった東日本大震災の大きな揺れと
 まるで共鳴するかのように
 彼女の平凡だった暮らしを揺さぶっていく。

 永田やリンチ殺人で亡くなった女性たちの実名が書かれているが
 これはあくまでも小説である。
 おそらく桐野の綿密な取材もあるだろうが、
 むしろ2011年に起こった永田の死や東日本大震災が
 創作の発露となったように感じる。

 そして、何よりもこの長編小説の最後の瞬間に
 まるで一閃の衝撃をうけるはずだ。
 小説のすごさを体感できる問題作だ。

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一種の叙述トリック

2022/11/14 12:46

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:いほ - この投稿者のレビュー一覧を見る

三人称の語りなんですが、主人公(視点人物)にほぼ固定された、擬似一人称の語りになっています。この計算された語り口のなかで、三回、他の人から決定的な過去の挿話が、主人公に向けて語りかけられます。そして、主人公は「思い出す」。「忘れているはずはないこと」を「思い出す」。この構造が「思いだしたくない過去」の「語り直し/生き直し」に繋がっていくかのようです。それを思わせるラストは余韻を残し、大変感動的です。

文庫版解説は「事実は小説より云々」というか「事実と小説の平仄があっている」的な挿話が紹介されていて、貴重です。

TVドラマか映画にならないかな?向いてると思うんだけど、この語り口。

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若い時の罪は一生ものなのか

2020/04/26 11:56

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のりちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

若い時の罪を一生背負って行かなくてはならない主人公の人生に驚愕をせざるを得ない。そしてどうして非人間的な過激派リンチ殺人へと発展していったのか。この辺の動きは人間心理の連鎖反応と生存本能が真実を叫ばせなかったということか。
ヒロインの孤独感と今に至る家族との齟齬に慄然とした作品。

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「夜の谷を行く」を読んで

2023/04/29 21:31

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kenken - この投稿者のレビュー一覧を見る

読み始めてからは、ほぼ三日で読み終わった。連合赤軍事件の関与者の物語。桐野夏生氏の小説。親戚縁者とも縁を切り、一人で四十年間生きてきた老境に入った西田啓子が主人公。目立たなく生きていこうと決心してきたものの、他人を批判するのが習い性となって唯一の家族の妹、姪とも批判の応酬の末絶縁することになる。永田洋子の死と東日本大震災をきっかけに過去の仲間との繋がりが復活していく。それを取り持ってくれたのが、熊谷千代治と赤軍事件を追っているというジャーナリストの古市であった。古市のナビゲーションで二三人の元仲間と逢い当時の話をしていく中で自分たちの幼さを自覚していく。また、他人を批判していた自分を嘗ての仲間も批判的に見ていたことを知らされる。
後半、永田洋子の遠大な夢を描く。それは、なぜ妊娠した女性を多く同士として受け入れてきたかという疑問につながる。永田は子どもをたくさん産ませて子供に赤軍兵士としての教育訓練をすることを計画していたという。そこには、映画や巷間言われる女性に対する嫉妬と執拗な嫌がらせをする永田とは違う母性を思わせる永田がいた。どちらが本当の永田かは分からない。フィクションとしての仮定かもしれない。だが、女性の視点から事件を考えるとまた違った面が顕れてくるのかもしれない。
山岳ベースやリンチに立ち会った啓子は被指導者という立場で比較的監視の目の緩い立場で雪の中を逃亡して逮捕された。そして五年の服役の後、社会復帰し、小学生の学習塾を開いて生活し、今はリタイアして年金と貯蓄で暮らしている。古市と山岳ベース跡を見に行った時、古市に告白された。「自分はあなたの産んだ子供だ」と。その経緯は詳しくは述べられていないが、啓子はずっと嘘を言い続け妊娠していたが掻把したと言ってきた。だが古市は獄中で出産したのはあなただけだ、と言う。そして産んでくれて感謝している、と言う。糞尿にまみれて寒さのなか凍えて死んでいった同志とは異なり、永田に対して立てつかずうまく生きのびて逃げ出した。そして無事出産した啓子に古市は感謝を述べたのだ。そこで、初めて啓子の心に温かいものが溢れてくる。
因みに題名の「夜の谷を行く」は、山岳ベースで死んだ同志を埋めるために男たちが夜に谷を渡って行ったことから来る。この小説の下地になっているエピソードは事実であろうが、彼らのイデオロギーに触れないのは物足りないが、作者はそれを蘇らせたくないと考えていたのかもしれない。

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過去

2020/03/18 12:16

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ねむこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

過去と言うには、まだそれほどの時間は経っていないのに、既に映画や本でしか知らない時代。
当事者やその家族にとっては、とても過去の話とは言い切れない思いを背負っている・・のかな。

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2020/02/17 17:25

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2020/03/24 11:41

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2020/03/26 22:45

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